★★ 練習方法 ★★


・一通りセーリングについて理解が出来たら、実際に走って練習をしましょう。

・初心者の理想的な風速は2〜3m/sで波のない水面です。この程度の条件ですとミスをしても艇種にもよりますが、ほとんど沈は無いですし、回りすぎてワイルドジャイブをしても放り出される事もないと思います。

・上記のような理想的な状況とは限らないので、特に、回り過ぎてワイルドジャイブをし、ブームパンチを受けて怪我をしないように注意しましょう。

・出艇のページは、ここをクリックして下さい。
・着艇のページは、ここをクリックして下さい。
普通艇(単胴艇)の場合
  1. セーリングの中で一番走りやすくスピードの出るウインド・アビーム(以下、アビームと言います)のコースを走る、出来たらブイやマークを設定し、この間を走りマークやブイの回航は風下から風上へのタッキング(以下、タックと言います)をして元のコースへ戻ってきます。ある程度走って慣れてきたら途中で止まる練習をします。止める場合は、ジブシート、メインシートを放しセールをシバー(風がセール表面に沿って流れなくなり、旗のようにバタバタすること)させるとスピードが落ちます、この時、スピードが落ちない場合は風上に向けるようにティラー・エクステンションを少し押してやり、スピードが落ちて来たら、更にティラー・エクステンションを押して風上に向け完全に止めます。この時、回りすぎてタックしないように注意します。止めておきたい場合、艇を風上に向けて止めた後、ティラー・エクステンションをメイン・セイルのある側に押した状態にしておきます。続いてなみ舵(前ページのindex6.htmを参照)の練習をします。風上に向かって止めた後は風に押されてバックするので、この時舵の取り方によってバウを行きたい方向へ向ける、この時、補助的にジブセールやメインセールを使いバウやスターンを行きたい方向と反対側に張り出して、力の作用・反作用の原理を利用して、バウやスターンを回してやります。
    ◆ウインド・アビームのコース
    ウインド・アビームのコース画像-イメージ
  2. セーリング・ディンギーでは、横倒しの状態を(チン)といい、完全に裏返った状態を完沈と言います。沈起こしも練習の内と言われるくらいに、個人差はありますが最初の頃は沈をします。風によっては上記のアビームのコースで、既に、沈の練習をしている方もでてくるかも分かりませんが、一度だけでも練習しておきましょう。沈起こしがうまくいくポイント、その一、バウが風上側に向いているか、又は、マストは風下側にあること、その二、センターボードは船底より十分に引き出しておきます。次に起こす方法、出来たらセンターボードの上に乗って体重を掛けた方が起こしやすいが、乗れない場合はセンターボードの先端に両手をかけて体重を掛けますが、マストが水中へ潜っている場合と水面に浮いている場合とでは条件が違っていますが、マストが潜っている場合は、センターボードの先端に体重を掛けた状態で水面まで浮いてくるのを待ちます。その後、マストが水面を離れると急に起きてきますので、センターボードの上に乗って起こしている場合はコクピットへ片足をかけてすぐに乗り込む体制にし、起きると同時にコクピットへ入り込みます。両手をセンターボードにかけて起こしている場合は、急に起きてきたらセンターボードを放してガンネル(艇体の縁の部分)を掴み船から離れないようにして、サイドデッキ付近から直接乗り込むか、又は、スターンに移動して這い上がります。
  3. セーリングの中で上・下(かみ・しも)という言い方があります。上は風上を指し、下は風下を指しますが、走り方は反時計回り(左回り)でこの間を往復することを言います。
  4. 風下→風上への走りはクローズ・ホールドと言います。ここでは、微風(約1〜3m/s)、順風(約4〜6m/s)、強風(約8m/s以上)とに分けて説明します。  微風の場合、風の無い時の走らせるフィーリングは、セールで風を流すと言うよりも、風を捕まえると言った感覚でセールの調節をし、単胴艇の場合、風によってはヒールを故意にさせてセールのカーブを出してやると効果的なことがあります。又、バウトリムをする事により接水面積を減らして各抵抗を減らすと言ったことも効果があります。いずれにしても、微風の場合は走らせると言うよりも滑らせると言った感覚で乗ります。  順風の場合、ある程度乗れるようになり、乗るのに余裕が出てきたレベルの方には手頃な風となります。この時のセールの調節は、艇種や波の状態にもよりますが一般的には、スループ艇の場合はジブセール、メインセールをいっぱいに引き込み、ヒールに合わせてより風上へラフィングしたり元のコースへ戻したりして舵を取ります。スキッパーはセールにテルテールが付いている場合はテルテールを、無い場合はセールのラフ(ジブセールやメインセールの場合、ファアステーやマストの近くをさしますが、ジブセールの場合はラフが凹凸する寸前に合わせるようにし、メインセールはラフが多少凹凸するくらいに合わせます)を見て舵を取ります。なお、初心者の内は緊張の為、メイン・シート及び舵を引きすぎる傾向があり、風下へ落としすぎてヒールが強くなり更に引いてしまうと言った悪循環があるので注意しましょう。   強風の場合セールの調節について、ブームバング、カニンガムを一杯に引きマストをベンドをさせセールをフラットにし、フットの方だけ波の状況に合わせて調節します。初心者にとっては殆ど手に負えない風と言っても過言ではないでしょう。しかし、一切走れないと言う事はなく、スループ艇の場合はメインセールは殆ど風を逃がしジブセール中心の帆走となります。波の影響もありタッキング失敗が出てきますので、タッキングの場所付近に来たら、極力メインセールを引いて風上に上るように走り、波のある場合は波に向かってタックをするとうまくいきますが、失敗した場合は、止まった後すぐにバックしますのでなみ舵を使って方向を変えます。
  5. 風上→風下への走りはランニングとなります。 スピンネーカーなしのスループ艇の場合、乗艇位置はクルーは風下側のサイドデッキに座り、スキッパーは風上側のサイドデッキに座ります。 クルーはジブセールをウイスカポールを使って”観音開き(メインセールの反対側に展開する)”にしてジブセールを調節します。この時、ブームが振れ回らないように前に押しています。 スキッパーは目的地に向かって真っ直ぐに走らせます。又、風上の方向がメインセール側にならないように気を付けて舵を取り、ワイルドジャイブ(予測してないジャイブ)に気を付けます。このコースでは最低一度はジャイブがあるので、ブームパンチに気を付けます。 スピンネーカー装備艇の乗艇位置はクルーは風上に座りスピンネーカーが潰れないように調節(ラフが多少カールする位にすると推進力はほぼ最大になります)します。この時、ローリングが激しい場合は波による影響かセールの風圧による左右のアンバランスによるかを判断して、体重移動やスピンポールを調節(殆どの場合、スピンネーカーがオーバーパワーになっている事が多いので、この場合はスピンポールを前に出す)します。

 ◆ カタマランの場合 ◆ セーリングの基本は普通艇と同様ですが、ここではスペース13,14の乗り方について記述しています。又、チン起こしのポイトも記述しています。

・普通艇とのハルの違いによる、乗る位置の重要性について、基本的には普通艇と同様ですが、風速の違いで分けると下記のようになります。

 スペース13,14の乗艇位置・ファイル

・ハルは普通艇に比較して細いので、波があるとピッチングが激しくなるので、この様な場合はミッドシップ(帆走重心)の付近に乗るようにすると、ある程度、ピッチングを押さえることが出来ます。例としてスペース13,14のミッドシップはサイド・ステーの直ぐ後ろ付近です。

・カタマランの沈起こしについて、トラピーズ装備艇の場合はハワイアン・スタイルと言ってバウを突っ込んで急に止まった時、クルーが前に飛ばされないように掴まるシートを兼用したシステムを装備しますが、キャットリグ艇のようにシングルハンドの場合は必要ない(部品点数も多くなり、艤装に時間が掛かるようになりますが、装備は可能)ので沈起こし用として8ミリ以上のロープで艇の大きさにもよりますが、長さ10m程度を用意しておき出艇するときは必ず搭載します。
”横倒しの場合”沈起こし用ロープを上側艇体の上を回して前・後クロスビームとの接続付近にロープのエンド付近を結び背中に掛け、下側の艇体に両足を乗せたまま後ろに反るように体重をかけます。マストが風下側の場合は起きにくいので船が回るのを待ち、マストが風上に回るとトランポリンに風圧を受けるので、これを利用して起こします。この時、上側艇体が腹の付近に落ちてくるので腹を打たないように気をつけて下さい。
”完沈の場合”この場合はまず最初に横倒しの状態にします。風下側の艇体のスターン後端に体重を掛けスターンを沈めると風上側のバウを中心に上がって来て、トランポリンへも風を受けて起き易くなるので、横倒しの状態にします。横倒しになったら上記と同じ方法で起こします。

<<<”セーリングの実際”ページへ戻る>>>


[トップページ][はじめに][セーリングの原理][セーリングの基本と用語][ロープ・ワーク][艤装・フィッティング][出艇][着艇][日常のメンテナンス][ルールとマナー][天候][サバイバル・セーリング][ローカル・レース][セーリング艇の種類][結び][お問い合わせ]


H-B-Y_ロゴ 日立ボート・ヤード