★★ ハミングバード13の艤装詳細 ★★


 ★ 艤 装 順 序 ;スループ艇(ジブ、メイン・セイル仕様艇)とキャット・リグ艇(メイン・セイルだけの艇)では、艇種によっても艤装の内容も多少は違ってきますが、ここでは、オーソドックスでシンプルなスループ艇(ハミングバード13)をモデルにしています。画像は組み立て順序に並んでいますので、参考にして下さい。

1.ハル(艇体)を風上に向けておきます。

ハル(艇体)を置く一例
艇体の艤装準備-画像・イメージ


2.組み立てに必要な艤装品を準備します。組立順序により次のものです。マスト一式、ブーム、セイル一式、シート類(メイン・シート、ジブ・シート、その他コントロール用)、ブーム・バング、センターボード、ラダー一式、はずしてある場合(スカッパー、ドレンプラグ)、その他オプション(ウイスカポール、パドル、アンカー、アカ汲み)があります。

各種、艤装品の一覧
つなぎマストとブームの画像・イメージ
1.マスト(2本継ぎ)一式
2.ブーム(ブロック付き)一式
セイルとシート類・画像

1.メイン・セイル
2.ジブ・セイル
3.バテン3本(長い;2本、短い;1本)
4.メイン、ジブ・シート


・シート類(コントロール用)は長さ別に、以下の5種類です。

  • ブーム・バング一式
  • フォース・トラベラー用シート(トラベラー・ブロック付き)
  • 一番長いシートと一番短いシートはメイン・セイルのクリュー(一般にアウト・ホールと呼んでいる)使用
  • 残りの2番目に短いシートはメイン・セイルのタック用(カニンガム兼用)です。
センターボードとラダーの画像・イメージ
1.センターボード

2.ラダー一式


3.マストを立てる、立てる順序は次のようになります。メイン・セイルを上げる時、メイン・セイルのラフ側に付いているボルトロープ(ロープを入れて縫ってあるので膨らんでいる)をマスト後方のグルーブという溝を通して上げますので、グルーブの溝のある側が後方になります)、マストは3本のステー(フォア・ステー、と左右のサイド・ステー)で立つようになっています。立てる前の準備として、ジブ、メイン・ハリヤードをマストの下側(マストを立てた状態を想定して)にクラブヒッチで仮止めしておきます。次に、サイド・ステーの左右を確かめ、サイド・ステーの先端に付いているリギンアジャスターをリギンアジャスター座板(艇体についている金具です)の間にピンで止め抜けないようにリングをつけ、もう一本のフォア・ステーは二人で立てる場合、一人は艇の前でフォア・ステーを引き、もう一人はマストを持ってマスト・ステップの穴とセンターケース前側についているマストヒール(黒いプラスティック製の凸部のある部品)の凸部に入るように合わせながら立てます。フォア・ステー先端にラニヤード(短いシート)が付いているので、バウ・プレート(バウに付いている金具)にある真ん中の穴にシャックルを取り付けた上でシャックルとフォア・ステーの先端に付いているアイ(シンブルと言います)を1回転・回して適度にテンションをかけて、下記の写真のように結びます。

マストを立てる順序・その一
マスト・グルーブ(溝)とヒール画像・イメージ マスト・タングのステー類とハリヤード画像・イメージ リギンアジャスターのセット画像・イメージ マスト・ヒールとステップ画像・イメージ
〇マスト・グルーブとヒール 〇ステー類(サイド・ステー2本とフォア・ステー1本)及びジブ・ハリヤード 〇リギンアジャスターの座板への取付 〇マスト・ヒールをステップに合わせる

マストを立てる順序・その二◆ フォア・ステー(ラニヤードの結び方)
ステム・ヘッド(金属部品)画像・イメージ ラニヤードの結び方・その一画像・イメージ ラニヤードの結び方・途中画像・イメージ ラニヤードの結び方・完了・イメージ
〇ステム・ヘッド(金属部品)の用途 〇ステム・ヘッドのシャックルとフォア・ステー・アイを1回転した上で一度止める 〇グルグル下側に回してクラブヒッチで結ぶ 〇最後にエンドを間に通して完成


4.ジブ・セイルの取り付けをします、ジブ・セイルが畳んである状態ですとピーク・ボードが上に来ているのでピークにあるアイ(シンブル)とジブ・ハリヤード(以下は、省略してジブハリと呼びます)をシャックルで接続し、ジブハリを引いて上げながらジブ・ハンクスをフォア・ステーに取り付け、ジブ・セイルのタックはバウ・プレート(金具)の後ろの穴とシャックルで連結させます。この時、ジブ・セイルが捻れないように取り付けます。ジブハリはマスト基部に付いているクリートへある程度張力をかけてクリート結びで止めます。余ったハリヤード用のロープやシートをコイル等をしないで下に落として置くと、風と波がある時にバウから波が打ち込んで来るので、流れ出して絡まって危険なのでコイル等をして流れ出さないように処置をしておきます。

ジブ・セイルを上げる・その一
ジブセールとジブハリの接続-画像・イメージ ジブ・ハンクスをフォアステーへ取付(No1)画像・イメージ ジブハンクスのフォアステーへの取付(No2)画像・イメージ
〇ジブ・セイルとジブ・ハリの接続 〇ジブ・ハンクスをフォア・ステーに取付(順序1) 〇ジブ・ハンクスをフォア・ステーに取付(順序2)

ジブ・セイルを上げる・その二
ジブ・タックのステム・ヘッドへの取付-画像・イメージ ジブハリの止め方とコイル-画像・イメージ
〇ジブ・タックのステム・ヘッドへの取付状態 〇ジブハリの止め方と余ったハリヤードの処理


5.メイン・セイルを上げる、メイン・セイルの前後方向(ボルト・ロープが縫い込んである方が前)を確かめてサイド・デッキに置き、パテン・ポッケットへバテンを入れますが、テーパーが付いている場合は薄い方を先に入れます。バテン・ポケット内側の先端にゴム・バンドが縫い付けてあるのでセイルを透かして見ながら、バテンの先端が真ん中に当たるように合わせ、バテンがバテン・ポケット先端に当たるまで押し込み、反対側のバテン・エンドをバテン・ポケットに入れゴムの力を利用してバテン・ポケット後端のリーチ側に当てます。バテンがセイル・リーチのエンドに入っていないとセイルがシバー(風によってセイルがバタバタする)した時に抜け飛んでしまいます。続いて、ピーク・ボードの前側にあるボルト・ロープ(ロープを入れて縫ってあるので膨らんでいる)をマストのグルーブ(溝)へ下側のエンドから差し込みメイン・ハリヤード(以後は、省略してメンハリと呼びます)とシャックルで接続し、メンハリを引いてメイン・セイルを上げると同時にボルト・ロープがグルーブ入口に食い込まないようにリードしながらマスト・トップまで引き上げます。メンハリはマスト基部付近に着いているクリートに結ぶか、又は、フック(爪に引っかける)に止めます。余ったメンハリはジブハリと同様にコイル等をしておきます。

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メイン・セイルを上げる
バテンポケット-画像・イメージ バテン・ポケットへバテンを入れる-画像・イメージ メインセール・ヘッドボードとメンハリの接続-画像・イメージ メイン・ハリの止め方とコイル-画像・イメージ
〇バテン・ポケット 〇バテン・ポケットへバテンを入れる 〇メイン・セイル・ヘッドボードとメンハリの接続 〇メンハリの止め方と余ったハリヤードの処理


6.次に、ブームをセットします、一般にブームとマストを接続する部品をグースネックと呼びますが、ここでは簡単なジョー(オールの受けに似た部品)を付けたブームについて説明します。ブームに付いているジョーをブロックが付いている側を下にしてマストへ差込、ジョーのくびれた箇所とメイン・セイルのタックをタックシート(カニンガム兼用)で一回転してもやい結びで結びますが、ジョーとタックの間を極力少なくします(一般に専用のシート類は余分な長さにはなっていないので、必要以上に結びを大きくすると長さが不足して止める事が出来なくなります)。続いて、シートの反対側の先端を直ぐ下にあるクラム・クリートへ通し適度に張力を掛けて止めエンドは抜け防止のためにエイトノットで結びます。
・メイン・セイル後端のクリュー(一般に、アウトホールと呼ばれています)を一番長いシートでもやい結びをし、ブーム上側の後端に付いているデッドアイ(黒いプラスチック部品)を通し更に中間付近にあるクラムクリートに通し軽く引いて止め、余ったシートのエンドはエイトノットで抜け防止をします。又、アウトホールとブームを一番短いシートで二回程回し(この時、メイン・シートが先にリードされている場合はメイン・シートを一緒に回さないように注意してください)こま結び(一般には本結び、又は、固結びと呼ばれている)でクリューが前後に動く程度(この箇所は、セーリングしている時にセイルの深さを調節します)に結びます。
次に、ブーム・バングを付けますが、マスト基部に付いている金属の板とブーム下側の前の方にアイストラップ(金具のアイ)が付いているので、クリートの付いているブロックをブーム側にもう一方をマスト側にシャックルで取り付けます。この時、クリート(張力を掛けて止める箇所)は後ろ向き(乗艇者側)になるように、又、シートが絡んでないことを確かめて取り付けます。

ブームのセットからメイン・セイル・調節シート(アウト・ホール)のリード
メインセール・タックとグースネックを結ぶ画像・イメージ カニンガムのリード方法-画像・イメージ メインセール・アウトホール(クリュー)のリード-画像・イメージ
〇メイン・セイル・タックとグースネックを結ぶ 〇カニンガムのリード方法 〇メイン・セイル・アウトホール(クリュー)のリード 〇メイン・セイル・アウトホール(クリュー)の止め方の一例


7.ジブ・シート、メイン・シートをリードします。ジブ・シートは全長の真ん中を確かめ、index4.htmにあるダブル・ランニング・ノットのジブ・シート結びで縛り、左右に振り分け、ジブシート・リーダー用スライダー(前後に移動して、ジブ・セイルのツイスト及び深さを調節します)の黒いプラスティックのアイに上から下へ通しエンドはエイトノットで結びますが、抜けやすい場合は2重巻き又は、3重巻きにしてコブを大きくして結びます。

ジブシートのリード
ジブシート結び(ダブル・ランニング・ノット)画像・イメージ ジブシートのリード・画像・イメージ ジブシートのエンド処理(エイトノット)画像・イメージ
〇ジブ・シート結び(ダブル・ランニング・ノット) 〇ジブ・シートのリード 〇ジブ・シートのエンド処理(エイトノット)


・メイン・シートの取り付け前に、ホーストラベラー用のシート(標準仕様の場合、コントロール・シートの中で2番目に長いシート)へトラベラー・ブロックを先に通して置き、スターン・デッキの両側に付いているアイストラップ(丸い形をした金属部品)へもやい結びで両側とも結んでおきます。
・メイン・シートのリード順序(ホース・トラベラー方式)は、次の通りです。Noは下記のイメージ画像を参照して下さい。
1.メイン・シートのリードはコックピット中央付近の下側にあるセンター・ブロックを通します。
2.ブームの真ん中付近に付いているブロックへ前から後ろへ通します。
3.先に通したブロックとブーム後端に付いているブロックとの中間付近にアイストラップのアイがあるのでこれを通します。(これを忘れると、シートが垂れ下がり首吊りをします)
4.ブーム後端のベケ付きブロックはシーブ(回転する部品)の上側を前から後へシートを通し、続いて、トラベラー・ブロックを通します。
5.先に取り付けたトラベラー・ブロックを通しますがブロックが捻れていないかを確かめて上側のブロック(ホーストラベラー用シートに使用していないブロック)へ後ろから前側へ通します。
6.先に通しましたブーム後端のベケ付きブロックに戻りベケ(シートを通して結ぶシャフト)へ後ろから前へ通しエンドはエイトノットで結びます。反対側のメインシート・エンドもエイトノットで抜け防止をします。

ホース・トラベラー・ブロックの取付、及び、メインシートのリード順序
ホース・トラベラーの取付-画像・イメージ


・最終チェックとして、ジブ・メインシートがスムースに引けるか、又は、ランニングの時にはブームがサイド・ステーまで出せるかや調節用のシート関係は問題なく出来るか等、特に動く部分はチェックします。
・その他、もやい・ロープやウイスカ・ポール、パドル、アンカー、アカ汲みを搭載する場合は流れないように取り付けてあるか等をチェックします。浮かべてからの準備としてセンターボード、ラダーを積んで置きます。

8.水に浮かべる前のチェックとして、ドレンプラグ(別名;キングストン)、ハッチ・カバー(別名;スカッパー)、セルフベーラー等がきちんと閉まっているかを確かめる。

☆セルフベーラー☆ ☆ドレンプラグ☆ ☆ハッチ・カパー☆
点検箇所・セルフベーラーとドレンプラグ-画像・イメージ 点検箇所・ドレン・プラグ-画像・イメージ 点検箇所;ハッチ・カバー画像・イメージ

9.最後にラダーとセンターボードをコクピットに入れておきます。
取り付け方法は、出艇(index7.htm)のページを参考にして下さい。

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