日立の道路情報
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日立・十王の道路整備の現状と提案

 日立市と十王町は、海と山とに挟まれた南北に細長い地形をしています。

 そのため、主要な道路交通は南北軸に集中しています。

 南北軸を構成する主要な幹線道路としては、山側部に常磐自動車があり、平地部に一般国道6号、海岸に国道245号が走っています。

 常磐自動車道は主として広域の長距離交通に利用され、市街地内の南北交通は、主に国道6号(2車線)と国道245号(2車線)によって処理されています。

 国道245号は、市の中心部で国道6号に結ばれているため、実質的に市内の南北交通を処理する幹線道路としては、国道6号のみです。日立市の幹線道路の交通量は、国道6号が約36,000台/日(平成11年10月、国土交通省が・西成沢町で調査)、国道245号で約27,000台/日(平成2年度交通センサス)と、道路の交通容量を大きく越えています。関東全体の一般国道の平均の約3倍に達しています。市内の通勤時の平均時速20キロは、関東地方の平均より10キロも遅く、単純計算すれば、市内の10キロ圏のマイカー通勤者は、ノロノロ運転で週100分の無駄が生じていることになります。

 また、日本自動車研究所(つくば市)の調査では、二酸化炭素や窒素酸化物の発生量は、加減速を繰り返しながら平均時速20キロで走行した場合、平均時速40キロで走ったときに比べ、二酸化炭素が30%、窒素酸化物が60%増加するとされ、地球温暖化などへの影響も懸念されています。

 さらに、西暦2010年(平成22年)には交通量が現在の1.4倍になることが懸念されています。

 日立は、工業都市として発展してきた経緯から、平地部を大規模な工場群が占めており、昭和30年代後半からの人口増加に伴う住宅団地等の建設は、山の南斜面を切り開いて分散的に配置されてきました。

 地形的な制約もあり、これら団地間を結ぶ道路の整備が不十分でした。そのため、これらの団地等から発生する生活交通は、すべて国道6号を経由しなければならず、特に朝夕の通勤時間帯には一般の通過交通と重なり非常に激しい交通混雑を引き起こしています。

 こうした状況を解消するため、総合的な道路整備計画を進行する必要があります。

日立市の道路構造:クリックすると拡大図となります。

 その整備計画の基本が、ラダー型道路整備構想です。ラダー、つまり梯子状に幹線道路を整備しようとする考え方です。山側から常磐高速道・山側道路・国道6号線・国道245号と国道6号海側バイパスの4本の縦軸道路を東西方向の道路で相互に結びつけていく計画です。ちょうどあみだくじの縦線と横線の関係を思い出していただければよく理解できると思います。

 この考え方を基本として、まず、常磐自動車道では日立中央インターチェンジが、平成5年秋に供用開始されました。

 遅れていた山側道路も、平成7年に石名坂から森山町に抜ける一部区間が開通しました。

 96年から現在開通している区間から、台原・金沢・塙山団地の山側を貫き大久保町に至る山側道路の計画が進んでいます。(山側道路計画) この道路は、県道日立・笠間線の整備計画と整合性をもたせ、大久保町から朝日峠をトンネルで抜け、はたそめ団地を経由して常陸太田市街に至る道路となります。大久保町から金沢団地山側まで南下し、常陸太田市方向に東進、トンネルを抜け常陸太田に至る区間は県が県道として整備し、完成した山側道路から台原団地山側を経由して、県道に至るまでは、日立市が整備します。両方の区間とも、早期完成に向け工事が具体的に進んでいます。

 山側道路の北側は、神峰公園からかみあい団地を経由して、小木津町に至る区間が平成13年か月までに開通(小木津バイパス)していますが、大久保町から神峰町の間の区間は、まだ都市計画決定がされておりません。早急の計画決定が望まれています。

 国道6号の久慈川にかかる榊橋は、平成11年4月に暫定2車線での架け替え事業が完了しました。(国道6号4車線化事業、榊橋掛け替え事業)現在、4車線化のための工事が継続しています。

留大橋開通式

 平成9年4月、久慈大橋の渋滞をさけて潜水橋である留橋を渡っていた一家4人を乗せた乗用車が、久慈川に転落して死亡するという痛ましい事故が発生しました。井手県議らは、一刻も早い連絡橋の整備を強く要望した結果、新しい架橋を建設し、東海村と日立市を結ぶ県道を整備する方向が確認されました。平成9年12月には、県道として認可され、工事が順調に進みました。平成15年3月には、新たな橋が完成し「留大橋」と命名されました。この道路の開通によって、午前7時から12時間の交通量は国道6号が10.4%、245号が13.9%減少し、日立市南部と久慈川南部との生活道路として十分に機能しています。(県道日立・東海線

 また、海側を走る国道245号線の4車線化工事も進んでいます。現在、南部のみなと町・久慈町の一部のみが4車線化されていますが、新茂宮橋の掛け替えを含む、みなと町(ウェル・サンピア前)〜南留交差点間の1.6km区間について国の事業として事業化され、工事が進んでいます。

国道6号日立バイパス(クリックすると拡大写真が表示されます)

 海側の国道6号日立バイパス工事は、北から工事が進められています。

 国道6号日立バイパスの工事は、昭和61年度から用地買収、平成3年度からは陸上部の工事が着手されました。平成8年6月には、漁業者との補償も解決し、海上部の工事が始まりました。計画は大幅に遅れていますが、平成13年春には、本宮アクセスまでの部分供用が開始され、平成15年5月から、鶴首ループ橋までが供用されています。

 旭町側のJR日立こ線橋改修工事は、地元住民の協力を得て、平成11年度に無事完成しました。引き続き、245号の拡幅工事が6号接続を目指して進められます。

 国道245号線と国道6号線諏訪五叉路を結ぶ県道鮎川停車場線が計画されました。海側の245号線と6号線を直結し、多賀地区の6号線を拡幅します。多賀駅前から山側道路(県道日立笠間線)に接続することによって、ラダー構造の道路を当面確保しようという狙いがあり、日立当面道路計画と呼ばれています。渋滞解消のためには、どうしても実現したい道路計画です。

 また、現状の道路新設または改修に頼る渋滞緩和策だけではなく、詳しい交通量調査や将来予測をしっかりとやり直し、交通量が少ない常磐自動車道路の活用なども含めて、新しい道路政策を具体化する必要性があります。


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