久しぶりに新幹線に乗った。妹のお姑さんが亡くなったので、そのお葬式だった。 場所は小牧市なので、東京から名古屋までである。 いつもは車で移動することが 多いので、新幹線は1年ぶりくらいかな。 東京駅、名古屋駅では700系の車両が、いい顔をして止まっている。ウイークデー だったので、「のぞみ」はけっこうサラリーマンの出張らしき人で埋まっている。自分が 現役のころは、出張も新幹線でも自由席が主体で、指定席はよほどのことがないと 利用しなかった。自由席でもちゃーーんと座席は確保できるのである。 葬儀場から火葬場までは、車で30分以上かかる。小牧市の郊外を走る。 いたる ところで農地が工場になっている。 工業団地ではなくて、田んぼが随所に埋め立て られて、工場、倉庫になっている。 工場の間に田んぼ、畑が点在している。どっち つかずの風景で、日本の急成長の景色ともいえる。 せっかくの工場も、景気低迷の影響か、見たところ活気がなさそうだ。建物も古く なったままだし、敷地に草も生えている。小さな倉庫などは使われていなくて、あち こちに 「せいだか泡立ち草」 が花をつけている。廃墟みたいになっているところも ある。 こんな景色を見ていると、心の中まで寒寒としてくる。工場が来るというので、農地を 手放した人たちは、この景色をどうみているのか。 火葬場は隣の市と共同使用となっている。敷地、建物、すごく立派で綺麗だ。市内の 雑然とした景色とはまったく異質のものだ。 待合室もロビーもホテル並である。 帰りの新幹線も昼間である。 なにげなく外の景色をみていると、「せいだか泡立ち草」 の黄色の花が、いやでも目に飛び込んでくる。 手入れがしていない土地には例外なく 花を咲かせている。便利さ、経済性だけを追求してきた日本のこれまでの姿をあざ 笑っているようだ。 (99.10.22) |