うなぎ屋

 父親の法事で名古屋に帰る機会があった。 同級生とのメールで、「名古屋地区の鰻はどこがうまいか」というやりとりがあった。 「よしこの機会に試食してみよう」 ということになり、お勧めの店を聞いたところ、岡崎の四店を知らせていただいた。 ちょうど、実家に行く道すがら寄れそうな場所だ。

 東名高速道を岡崎で降りて、国道1号線に出る。 でも時間が午後の4時ころで、これでは、普通の食べ物店は休み時間だ。 この4店の中に国道1号線沿いに持ち帰りもありというお店があったので、そこに寄った。 食事が出来るのは昼間だけで、あとの時間は持ち帰りだけだ。

 国道1号を西に向かって、矢作橋の手前の左側に たしかにあった。 小さな店だ。 店の前には備長炭が箱で積まれている。 中に入ったら、焼くのを待っているお客さんが3人ほどいる。 そしてつぎからつぎへと客が来る。 なるほど、うまいという評判の店だと感じる。

 店の主人は職人肌で、にこっともしない。 ぶすっとしかめっ面で、鰻を焼いている。 鰻1本を4つに切って串に刺して焼く。 1本1000円だ。 4串頼む。 焼いている横では、生の鰻をどんどん開いて、串に刺している。

 さて、あつあつの鰻を折りに詰めてもらって、実家に急ぐ。 30分ほどで到着。 さっそくあたたかいご飯に乗せて、母親、それに弟も入れて、食事だ。

 食べた感想は?
 名古屋近辺に住んでいる弟、それに母親は「うまいな」と言っている。 でも長年関東地区に住んでいる私たち夫婦は「ちょっとちがうな」である。 かたい、たれがからい、そしてちょっと生臭い。 結果としてはいまいちだな。 でも昔はこんな鰻を食べていたんだ。

 昔から鰻は関東と関西では食べ方がちがうと。
関東では背から開いて、焼く前に蒸す。 関西では腹から開いて、そのまま焼く。 岡崎は関西風だ。 しかも焼いたあとたれをつけるだけで、2度焼きはしない。 だから店の前でも鰻を焼いている独特の匂いが少ないのだと思う。

 結果として、鰻は関東風のほうが、柔らかくて、とろっととろけるようで、うまい。 という結論になった。 でもこれはあくまでも個人の好みだね。
 

(2001.10.13)

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