◇中旬以降、ようやく気温の下がる日が出てくる

 上旬は高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。また、南から暖かい空気が入り気温も高くなりました。中旬に入ると偏西風の蛇行が大きくなり、周期的に寒気が南下してくるようになりました。このため、平均気温はようやく平年並みまで下がってきました。今年は10月に入ってもなかなか気温の下がらない日が続いていました。しかし、12日にこの秋初めて最低気温が15℃を下回った後は周期的に寒気が入るようになり、最低気温が10℃未満となる日もたびたび出てくるようになりました。また、地上では移動性高気圧が本州上を進むことが多く、引き続き晴れる日が多くなりました。なお、4日に台風第19号が関東地方の東を北上し、19日には台風第21号が関東地方の南を東へ進みました。しかし、どちらの台風も勢力が弱く規模も小さかったため、日立市への影響はありませんでした。

 この結果、月平均気温は17.6℃と平年より0.8℃高くなりました。特に、上旬の平均気温は20.2℃と平年よりも1.8℃高く、日立市役所観測開始以来2002年と並んで3番目に高い気温となりました。一方、日照時間は晴れる日が多かったことから、184.1時間と平年の122%になりました。それに対して、月の降水量は102.5mmと平年の59%で少なくなりました。

10月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 17.6 16.8
月降水量(mm) 102.5 173.3
月日照時間(時間) 184.1 151.2
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 20.2 18.4
中旬 17.0 17.0
下旬 15.7 15.0
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 53.1 43.0
中旬 68.4 49.1
下旬 62.6 59.1

 ●10月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移

2012年10月の日立市役所における日平均気温の推移 2012年10月のつくばにおける850hPa気温の推移(09時)

 ●10月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移

2012年10月の日立市役所における日最低気温の推移 2012年10月の日立市役所における日照時間の推移

 ※上のグラフの元データ:1210data.xls(エクセル2000ファイル、108KB)

 先に述べたように、今年は秋に入っても平均気温が高く気温の下がらない日が続きました。9月の下旬には太平洋高気圧の勢力が弱まり、平均気温は平年近くまで下がりました。しかし、本州を縦断した台風第17号の影響や高気圧の張り出しが北に偏ることが多かったことから、晴れて風の弱い日がなかったために朝の冷え込みがほとんどなく、最低気温の下がらない日が続きました。

 10月上旬になると南からの暖かい空気におおわれ、再び平均気温も高くなりました。しかし、7日に上層の気圧の谷が本州付近を通過した後は大気の流れが変わり、北から寒気が南下してくるようになりました。そして、11日に寒気を伴った低気圧が東へ抜けた後、12日の朝は高気圧に緩やかにおおわれ晴れて風が弱まったため気温が下がりました。日立市役所では06時05分に日最低気温13.3℃を記録し、今季初めて最低気温が15℃を下回りました。これは平年よりも半月近く遅く、日立市役所観測開始以来1994年と2005年に次いで3番目に遅い記録となりました。

 ●最低気温が初めて15℃未満となった日

順位 月日 時刻 気温
1 1994 10/17 23:36 13.9
2 2005 10/13 05:10 14.8
3 2012 10/12 06:05 13.3
4 1998 10/10 23:47 13.1
5 1990 10/09 23:22 13.0
平年 09/26    

 ※その年の8月1日以降に、日最低気温が初めて15℃未満となった日。

 ※順位は日付の遅い方からで、1953年から2012年までの統計。


 9月30日の夜から10月1日の朝にかけて、台風第17号が本州上を北東へ進みました。これに伴って、南から暖かい空気が関東地方へ入りました。1日の関東地方では、朝から晴れるとともに南部を中心に台風に向かう南西の風がやや強く吹きました。このため、日の出とともに気温は上がり始め、10時過ぎには気温が30℃を超える所が出てきました。この日の最高気温は、群馬県伊勢崎市で32.8℃、茨城県笠間市で32.7℃、群馬県館林市と埼玉県鳩山市で32.6℃を記録するなど内陸部を中心に気温が30℃を超えました。

 茨城県内でも笠間市の他、筑西市下館で31.9℃、常陸大宮上小瀬で31.7℃を記録するなど、県内15観測所のうち12か所で最高気温が30℃を超えました。日立市役所における気温の推移を見ると、1日6時から気温は一直線に上昇し、11時27分に最高気温30.7℃を記録しました。10月に最高気温が30℃を超えたのは、1999年10月12日の30.3℃以来です。また、10月の最高気温としては日立市役所観測開始以来4番目に高い気温です。

 この後、風向が南東に変わり気温は3℃近く下がりました。15時になると北から寒気が南下してきて風向が北東変わり、気温は急速に下がり始めて18時には25℃を下回りました。2日は北から高気圧が張り出して北東の風が吹き続け、晴れたにもかかわらず最高気温は24.5℃までしか上がりませんでした。

 なお、11月以降に最高気温が30℃を超える日が現れなかった場合、今年の日最高気温が30℃以上になった最後の日(真夏日終日)は10月1日となり、日立市役所観測開始以来4番目に遅い記録となります。今年は、5月を除いて1月から6月にかけて気温の低い日が続きました。しかし、7月以降は太平洋高気圧の勢力が強まり、一転して気温の高い日が続きました。9月に入ってもなかなか気温が下がりませんでしたが、10月12日に最低気温がこの秋初めて15℃を下回ってからは寒気が南下してくるようになり、気温の下がる日が出てきました。

●10月の最高気温及び真夏日終日の記録

10月の最高気温(℃)

順位

年月日 時刻 最高気温
1 1979/10/01 13:20 32.8
2 1984/10/03 13:20 31.1
3 1998/10/02 11:44 30.9
4 2012/10/01 11:27 30.7
5 1999/10/12 10:54 30.3
真夏日終日
順位

月日

1 1999 10/12
2 1984 10/03
3 1998 10/02
4 2012 10/01
4 1979 10/01
  平年値 09/13

※真夏日終日は月日の遅い順で、1953年から2012年の統計(11月15日現在)

 ●10月1日から2日の気温と風向の推移

10月1日から2日の気温の推移(10分値) 10月1日から2日の風向の推移(10分値)

 ●参考:10月1日12時のアメダスによる気温と風の分布

10月1日12時のアメダスによる気温の分布

 ●参考:10月1日12時の地上天気図と09時の500hPa面高層天気図

10月1日12時の地上天気図 10月1日09時の500hPa面高層天気図

※高層天気図において実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。


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作成日:2012/11/07
訂補日:2016/10/17
名前 日立市天気相談所