◇梅雨明けとともに晴れて暑い日が続く

 上旬は梅雨前線が本州南岸に停滞し、曇りや雨の日が多くなりました。中旬に入ると、梅雨前線は本州上から日本海まで北上して太平洋高気圧の縁を周る湿った空気が入り、雨の降る日が続きました。しかし、中旬の後半になると太平洋高気圧が日本付近で強まり、梅雨前線は東北地方まで北上して弱まり消えたため、晴れる日が多くなりました。特に、下旬の前半にかけては上層の高気圧の中心が本州上に移動し、晴れて暑い日が続きました。月末には一時的に太平洋高気圧の勢力が弱まり、南から湿った空気が流れ込んで雨が降りました。6月に引き続いてオホーツク海高気圧の出現がなく、北東風による下層雲の広がることがありませんでした。このため、上旬から中旬にかけても時々晴れ間が広がり、日照時間は平年を10%近く上回りました。下旬は太平洋高気圧におおわれて晴れる日が続いたため、日照時間は91.6時間と平年の155%になりました。この結果、月の日照時間は175.1時間と平年の129%になりました。また、南から湿った空気が入り大気の状態が不安定となってにわか雨の降ることが多かったため、月降水量は150.5mmと平年並になりました。

 気温の推移を見ると、月を通して下層へ暖かい空気が入ったため、気温は13日と30日を除いて平年の値を上回りました。この結果、月平均気温は25.0℃と平年より2.1℃高くなりました。これは、7月の平均気温としては日立市役所観測開始以来6番目に高い記録で、最近では2002年7月以来の高い気温となりました。また、18日以降連続して最高気温が30℃を超えるようになったため、日最高気温が30℃以上の日(真夏日)も12日となり、日立市役所観測開始以来6番目に多い記録となりました。

7月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 25.0 22.9
月降水量(mm) 150.5 142.4
月日照時間(時間) 175.1 136.2
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 23.4 21.4
中旬 25.0 22.5
下旬 26.5 24.6
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 37.8 35.3
中旬 45.7 40.6
下旬 91.6 59.1

●7月の気温の記録

月平均気温(℃)
順位 気温
1 2001 25.9
2 1955 25.5
3 1978 25.4
4 2000 25.2
5 1961 25.1
6 2010 25.0
6 2002 25.0
平年値 22.9
真夏日の日数
順位 日数
1 2001 19
2 2002 17
3 2000 17
4 2004 14
5 1955 13
6 2010 12
6 1999 12
平年値 5.6

※順位は数値の高い(多い)方からで、1953年から2010年の統計

 今年の7月は、梅雨の曇雨天から夏の暑い晴天への移り変わりがはっきりしていました。上旬は、本州南岸に前線が停滞しました。12日と14日に低気圧が日本海を進み、前線は本州の日本海側まで北上しました。15日になると太平洋高気圧が勢力を強めて西へ張り出しきました。そして、17日になると上層の高気圧の中心が東日本へ移動してきて、本州付近は広く太平洋高気圧におおわれるようになりました(下図の00hPa高度の緯度・時間断面図及び15日から17日の地上天気図と500hPa面高層天気図を参照)。このため、北日本に残っていた梅雨前線は消え、晴れて暑い日が続くようになりました。特に、19日から25日にかけては上層の高気圧の中心が本州中部に位置し、日立市役所では連日最高気温が30℃を超えました。

 29日から30日にかけては太平洋高気圧に勢力が一時的に弱まりました。このため、南から暖かく湿った空気が流れ込んで雨が降り、気温は下がりました。なお、28日は太平洋高気圧の勢力が南へ後退していく過程で、全国的な猛暑は一段落しました。しかし、関東地方では北の低気圧に向かって南西の風が吹き込む形となったため、フェーン現象が起きて内陸部を中心に最高気温が35℃を超えました。群馬県館林市では最高気温が36.8℃、埼玉県鳩山町で35.9℃、茨城県の古河市でも35.4℃を記録しました。日立市役所でも10時48分に最高気温33.0℃を記録し、7月31日現在で今年一番の暑さとなりました。31日以降は再び太平洋高気圧の勢力が強まり、晴れて暑くなりました。

 ●7月の日平均気温と日照時間の推移(日立市役所)

7月の日平均気温の推移(日立市役所) 7月の日照時間の推移(日立市役所)

 ※上記のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(103KB)

 ●500hPa高度の緯度・時間断面図(東経135度線沿い、7月1日〜31日)

 5880mの等高度線で見るように、15日から27日にかけて太平洋高気圧の勢力が強まりました。特に、17日から22日にかけては5940mの等高度線が出現し、高気圧の勢力が一段と強まりました。

500hPa高度の緯度・時間断面図(東経135度線沿い、7月)

 ※網掛けの部分は、高度が5880m以上を表す。

 ●参考:7月15日から17日にかけての09時の地上天気図と500hPa面高層天気図

7月15日09時の地上天気図 7月15日09時の500hPa面高層天気図
7月16日09時の地上天気図 7月16日09時の500hPa面高層天気図
7月17日09時の地上天気図 7月17日09時の500hPa面高層天気図

※500hPa面の高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値はその地点の500hPaの高さにおける気温を、下段の数値は同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。


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作成日 2010/08/16
名前 日立市天気相談所