◇降水量が少なく、前半は寒くて後半は暖かった1月

 月の前半は冬型の気圧配置が続き、晴れて乾燥した天気が続きました。また、月の初めと半ばには強い寒気が南下して寒い日が多くなりました。しかし、中旬の終わりからは気圧系の流れが変わり、低気圧と高気圧が交互に日本付近を通過するようになりました。本州付近での低気圧の発達は弱く、関東地方は移動性高気圧におおわれて晴れて暖かい日が多くなりました。このため、月平均気温は5.0℃と平年より0.5℃高くなりました。旬別の平均気温を見ると、上旬と中旬は平年より0.5℃近く低くなりましたが、下旬の平均気温は6.3℃と平年よりも2.3℃高くなりました。一方、月降水量は3.0mmと平年の6%しかありませんでした。また、日照時間は205.6時間と平年の105%になりました。

 下旬は平年に比べて気温の高くなる日が多くなりましたが、上層の偏西風が南北に蛇行して一時的に強い寒気が南下する時があり、気温の変動が大きくなりました。特に、19日から20日にかけてと23日から24日にかけては、4月上旬並の陽気になった後に真冬の寒さに戻り、寒暖の変化が大きい大寒となりました。

1月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 5.0 4.5
月降水量(mm) 3.0 46.3
月日照時間(時間) 205.6 195.0
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 4.7 5.3
中旬 4.0 4.4
下旬 6.3 4.0

 月の前半は冬型の気圧配置で冬晴れの乾燥した天気が続いたこと、後半は低気圧が日本海を通ることが多く関東地方は移動性高気圧におおわれて晴れる日が多かったことから、日立市役所における1月の降水量は3.0mmと観測開始以来1981年の2.0mmに次いで2番目に少ない記録となりました。また、市内の降水量も0.5〜3.5mmと極端に少なくなりました。特に、市の北部に位置する十王交流センターと北部消防署では、0.5mm以上の降水量を観測したのは5日の1日だけでした。

 ●1月の市内の降水量と日立市役所における1月降水量順位

市内の1月の降水量
観測地点 降水量(mm)
十王交流センター 1.0
北部消防署 0.5
本山(あかさわ山荘) 1.0
西部支所 1.5
諏訪スポーツ広場 3.5
南部支所 3.0
市役所降水量順位
順位 降水量(mm)
1 1981 2.0
2 2010 3.0
3 1999 4.0
4 1957 4.0
5 1976 4.3
平年値 46.3

 ※市役所降水量順位は、1953年から2010年の統計で値の少ない方から。

 今年の冬は、下図のつくばにおける500hPaの気温の推移に見るように12月中旬に最初の寒波が南下してきた後、1月初めに2回目の寒波、中旬に3回目の寒波と周期的に寒気が南下してきました。寒気の流入に伴って、地表の気温も低くなりました。しかし、冬型の気圧配置が強まって季節風が強く吹くことが多かったため、西側にある山地の影響を受ける日立市役所では最低気温が-2℃前後までしか下がりませんでした。一方、山地の影響を受けない南部支所では-5℃前後まで下がり、同じ日立市内でも気温の下がり方に違いが表れました。

 17日に上層の気圧の谷が東へ抜けた後、気圧系が大きく変わりました。11日から15日にかけての5日平均500hPa高度・偏差図で見るように、上旬から中旬にかけての日本付近は平年よりも高度が低く(負偏差)、大気の流れは北西から南東への流れとなっていて寒気の南下しやすい気圧場となっていました。一方、22日から27日にかけての5日平均500hPa高度・偏差図を見ると、日本付近では高度が上がり(正偏差)、大気の流れも西から東への流れで寒気の入りにくい気圧場に変わりました。このため、19日以降は気温が平年を上回る日が多くなり、下旬の平均気温は6.3℃と平年を2.3℃上回り3月中旬並みの気温となりました。上旬から中旬にかけて平年より気温が低かったものの、下旬の気温が高かったため月平均気温は平年より高くなりました。しかし、平年より気温の低い日が多かったため、暖冬といわれるほどの暖かさは感じられませんでした。

 ●12月から1月にかけての日立市役所における日平均気温と市内の最低気温の推移

12月から1月にかけての日立市役所における日平均気温の推移 12月から1月にかけての市内の最低気温の推移

 ※上及び下のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(96KB)

 ●参考:850hPa面と500hPa面の気温の推移(09時のつくば)

12月から1月にかけてのつくばにおける850hPaの気温の推移(09時) 12月から1月にかけてのつくばにおける500hPaの気温の推移(09時)

 ●参考:5日平均500hPa高度・偏差図の比較

5日平均500hPa高度・偏差図:1月11日〜15日 5日平均500hPa高度・偏差図:1月22日〜27日

※500hPa高度・偏差図において、実線は等高度線を、破線は平年との偏差を表します。また、縦線で囲まれた部分は平年より高度が低い(負偏差)領域を表しています。

 ●【参考】1月14日と24日の地上天気図、500hPa面高層天気図及び気象衛星可視画像の比較

 3回目の寒波が入ってきた14日と寒気が後退した24日の高層天気図と気象衛星可視画像を比べてみると、気圧場の違いがはっきり表れています。地上天気図では、両日とも本州付近は中国大陸の長江下流に中心を持つ高気圧におおわれる形になっています。しかし、500hPa面の高層天気図を見ると、14日はアムール川下流にある強い寒気を伴った寒冷渦から南へのびる気圧の谷が本州付近にかかっています。このため、日本の西側の上層では北西から南東へ大気が流れており、日本付近へ寒気が入る気圧場となっています。気象衛星可視画像を見ると、この寒気の影響で日本海から東シナ海及び太平洋側にまで筋状雲が広がっており、寒気の強いことを表しています。

 一方、24日の500hPa面高層天気図では、寒気は北へ後退し日本付近の上層では大気が西から東へ流れていて寒気の入りにくい気圧場となっています。これに対応して、気象衛星可視画像では寒気による筋状雲は北海道から東北地方にわずかに広がっているだけで、関東地方以西では晴れの領域が広がっています。

1月14日09時の地上天気図 1月24日09時の地上天気図
1月14日09時の500hPa高層天気図 1月24日09時の500hPa高層天気図
2010年1月14日10時の気象衛星可視画像 2010年1月24日10時の気象衛星可視画像

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作成日 2010/02/17
名前 日立市天気相談所