Nシステムをご存じですか

Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp) 最終更新日:1997/Oct/1


Nシステム(国道125号下妻市内)  平成7年の秋、議会の帰り道で、国道に設置されたカメラ群を見つけました。場所は、水戸市内の50バイパス。常磐高速のインターに向かって、河和田陸橋を越えて、右手にスカイラークを過ぎたあたり、銀色のアーチが上下4車線をまたいで立っていました。一つの車線に3種類のカメラのような物が取り付けられ、合計で4セットが設置されています。

 早速、県警の交通担当に問い合わせをしてみると「それはNシステムという交通監視システムの一種です。渋滞状況を把握するようなもので、速度の取締等ではないのでご安心を」との答えが返ってきました。

 気を付けて、いろいろなところを走ってみると、県内数カ所に同じようなカメラ群が確認できました。

 その年の12月、本屋で偶然見つけたのが、集英社のBartという雑誌(96年1月号)でした。その雑誌に、この「Nシステムの」特集が組まれていました。

 この装置は、「自動車ナンバー自動読み取り装置」(通称Nシステム)と呼ばれており、「犯罪捜査を目的に通行車両すべての通過時刻とナンバーを撮影記録する機械」ということでした。

 「Nシステム」は、箱形のカメラようなものが一車線に3台ずつ、路上に向けて取り付けられています。3台のうち、両わきの2台から赤外線を投光して車両を感知。中央の機器でナンバー部分を撮影し、コンピューターが自動的にナンバーを解析して記録保存するシステムと説明されています。

 通過した自動車のナンバーを即時に解析、記録して、ホストのコンピュータにインプットされた犯罪車情報を検索させるシステムのようです。盗難車のいち早い捜索や、広域化する犯罪の捜査に威力を発揮すると思われます。

 この「Nシステム」が効力を発揮したのがオウム事件でした。一連のオウム真理教事件の捜査でも、数十台の車に乗るオウム幹部の動きを追うことが事件解決の足掛かりにもなるため、「Nシステム」がフルに活用されたといわれています。全国に拠点を持つオウム真理教が相手の捜査だっただけに、このシステムがなかったら捜査に支障をきたしたことは間違いありません。

 反対に、オウム側でもこの「Nシステム」には重大な関心を寄せ、国松孝次前警察庁長官狙撃事件で、「私が撃った」などと供述している元巡査長が、オウム教団の求めに応じて、通行車両のナンバーを読み取る「Nシステム」に関する情報を教えたことなどを認めている事実は広く知られています。

 更に、平成4年、つくば市の医師による妻子殺人事件で犯人が遺体を放棄するために横浜に向かったところが、このシステムに捕らえられ犯人逮捕の決め手の一つとなった事例や、山梨県で起きた信用金庫OL誘拐殺人事件、富士フイルム専務殺人事件でも「Nシステム」が活躍したことが知られています。

 また、平成5年に判明した埼玉・愛犬家不明事件でも、被害者の車の偽装移動工作が「Nシステム」の写真記録で見破られたことが、埼玉県警によって認められています。

 こうした、車を使った広域犯罪に威力を発揮する「Nシステム」ですが、設置には莫大な費用が掛かっています。一説では、1セット(1ヶ所)で1億円を超えるという話しもあります。

 県警では「Nシステムの金額については、国の予算での設置のため把握していない」と説明しており、警察庁でも具体的な設置予算は公開していません。

 また、ナンバーを記録することがプライバシーの侵害に当たるのではないかとの意見もあります。

 「Nシステム」については、もっとオープンな論議が是非とも必要だと強く主張します。

 皆様のご批判、ご意見、情報等を是非お寄せ下さい。


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