国会正常化を求める決議への反対討論

県議会本会議
平成8年3月22日

 平成8年第1回 定例県議会の最終日に、「国会正常化を求める決議」が提出されました。この決議は、住専処理で空転する国会に対して、住専予算の早期成立を求める決議であり、空転の原因となっている連立与党の世論を無視した強引な国会運営を容認する内容でありました。
 この決議に対して、井手よしひろ県会議員は、公明・新進クラブを代表して反対討論を行いました。
 決議に賛成する自民・社民・自由クラブの議員のヤジで騒然とする中(議事録中の「発言する者多し」との表現はヤジで議場が騒然となった様子の記述です)、県民の住専処理への怒りを代弁する討論となりました。以下、県議会議事録より転載いたします。

井手 義弘

 公明・新進クラブの井手義弘でございます。国会正常化を求める決議への反対討論を申し上げます。

国会では、去る3月4日以来,19日間に及び予算委員会が開けないという事態が続いております。(「座り込みをしているからだ」と呼ぶ者あり)。この現象面をもって,議会制民主主義に対する背信行為であると決めつける今回の決議は,その根本的な部分において,県民の声を全く無視した決議であり,私どもは全く納得できず,強く反対の意思を表明いたすものであります。(発言する者多し)

 今回の住専処理に国民の怒りの声は頂点に達しております。マスコミの世論調査によりますと,8割から9割の方が,税金からの6850億円の公金支出に反対をしております。県内でも,私どもが呼びかけ人となりました「住専処理に反対する怒りの茨城県民会議」が行いました反対署名運動に,わずか2週間で7万8,282名の反対署名をいただきました。(「公明党だけだ」と呼ぶ者あり)

 まさに「住専」「6850億」という言葉は,子供からお年寄りまで,平成の悪政の代名詞として知れ渡り,住専処理への県民の反対の声は,爆発しているといっても過言ではありません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)

 そもそも今回の国会空転は,政府・連立与党が,住専予算の強行採決を行おうとしたところに、その原因があります。主権者である国民の世論を,国会議員の数の論理で一蹴しようとする強権的動きがあったことは明白であります。

 国の平成8年度予算案には,国民の税金から6850億円の公的資金を住専という民間企業の損失処理に使うという,今までの常識では考えられない不良債権処理案が含まれております。日本は世界に範たる法治国家であります。住専処理には,会社更生法等の現行法で厳正かつ速やかに処理を行い,(発言する者多し)関係者には民事・刑事両面の法的責任を徹底的に追及していくことが大原則であると主張いたします。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)

 ところが橋本政権は,そうした現行法規を超えた特別の処理,超法規的な措置をとろうとしておられます。(「声が小さい」と呼ぶ者あり)

 こうした超法規的処置を強行される背景には,この住専問題の後に控える120兆円とも140兆円ともいわれるノンバンク等の不良債権処理への周到な布石が感じられるのは私一人ではないと思います。(「そのとおり」「1人だ」と呼ぶ者あり)

 橋本首相は、「住専処理は国民の理解をまだいただいている状況ではない」と述べていることが,新聞等で報道されております。私が,住専反対の県民会議を代表して,首相官邸に反対署名を届けた際,対応された古川官房副長官は,「住専処理に公金を投入することを国民に納得していただくことは難しい。しかし、理解していただかなければならないことだ」と強弁しておりました。

 このように当事者が,国民に理解も納得もされていないことを知りながら,それなのになぜ政府・連立与党は,予算の無修正成立を図ろうとされたのか,強行採決をされようとしたのか。(発言する者多し)こうした「国民は黙ってついてくればいいんだ」という政府並びに連立与党の国民不在の議会運営に,今回の国会空転の責任があります。(「そのとおり」,発言する者多し)

 したがって,本議会において,国会正常化の決議を行うのであれば,その決薮に空転となった原因,つまり住専予算の削除を盛り込む必要があります。それなくして,この決議は県民大多数の声とは全くかけ離れたまさに国会の党利党略の一部に,我が茨城県議会が加担するものとの厳しい批判を,県民から受けるものとなってしまうと危惧するものであります。

議長(小川栄次郎君)

 時間が来ておりますので,簡略に願います。

016番(井手義弘君)

 さらに,今国会の空転の状況を加速させている問題がございます。それは,自民党の加藤幹事長のヤミ献金疑惑であります。(発言する者多し)住専からの大口借り手であった鉄骨加工メーカー「共和」からの1,000万円が加藤幹事長に不法に渡された問題に関して,元後援会長が決定的な証拠を公開しているにもかかわらず,連立与党はかたくなに加藤幹事長の証人喚問を拒み続けております。(発言する者多し)

 以上のような理由により,今回提案なされた国会正常化を求める決議には反対するものであります。最後に,重ねて県民の大多数が住専処理に反対し,多くの有権者が国会議員はもとより,私ども県会議員をも鋭い批判の目で監視してくださっていることを申し添え,議員諸兄の賢明な御判断をお願い申し上げ反対討論といたします。以上。(拍手)


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