JCO東海臨界事故情報ボックス
 Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:master@y-ide.com) 最終更新日:1999/OCT/19

茨城県、周辺自治体から国への要望書

 10月4日、茨城県知事並びに周辺自治体の首長は連名で、国に対する要望書を提出しました。
 以下その全文をご紹介いたします。

要 望 書

 平成11年9月30日に発生した株式会社ジェー・シー・オー東海事業所における核燃料加工施設の臨界事故は、事態の展開次第によっては、多くの県民の生命を危険にさらしかねない重大な事態であり、我が国の原子力史上最悪の事故となってしまいました。

 加えて、今回の事故は、会社ぐるみの重大なルール違反により引き起こされたものでありますが、個々の作業員のモラルに任せる安全確保にすぎなかったことに鑑みるとき、これを許してきた国の安全審査基準にも欠陥があると言わざるを得ないと考えております。

 取り急ぎ、現段階において別紙のとおり要望をとりまとめましたので、政府におかれましては特段の御配慮を強く要請いたします。

平成11年10月4日

T 原子力の安全確保に関する要望

1.事故原因の徹底究明

    臨界事故に対する安全対策や法令の遵守状況を徹底した調査を行うこと。

2.安全審査基準の抜本的見直し

    多重防護システムの徹底など安全審査基準の抜本的な見直しを行い、既存の施設についても適切な改善を図ること。

3.保安管理体制の徹底

    核燃料加工施設を含む原子力事業所において、監視カメラや放射線モニタなどを施設内に設置し、核燃料物質の取扱状況を常に把握できる設備を整備するとともに、中性子も検出できるモニタリング設備を施設周辺に整備するよう、事業者に対し指導すること。

4.事故・故障発生時の情報伝達の徹底

    事故・故障発生時に情報が迅速、的確に伝達されるよう、事業者に対する指導を徹底すること。

5.原子力施設の安全対策等の総点検

    今回の事故を踏まえ、類似施設の安全対策及び情報伝達等の安全管理体制について総点検すること。

6.原子力防災対策に係る特別措置法の制定

    原子力災害は一般災害とは異なる特殊なものであることを踏まえ、原子力災害時においては「緊急時であること」及び避難、屋内退避等の判断は国が責任をもって一元的な対応を行う体制とするよう、新法を制定すること。

7.事故・故障発生時の政府現地本部の体制強化

    原子力安全行政に経験豊富な責任のある職員を配置するなど、政府現地本部の体制を強化するとともに、県、市町村、防災関係機関との連携を十分図ること。

U 地域の諸課題に関する要望

1.原子力災害に関する専門的施設の整備

    原子力災害に備え被害者の治療や一般住民の健康調査、さらには放射線計測・除染等の出来る専門的な施政を整備すること。

2.広報・避難体制の充実

    住民が迅速、的確に避難できるよう、緊急テレビ放送システムなど情報伝達手段の拡充及び緊急避難道路、コミュニティセンター等め整備に対し、財政措置を講じること。

3.防災資機材の整備

    放射能防譲用車両、放射能防護服、その他放射線測定機など応急対策活動に必要な機材の整備に対し、財政措置を講じること。

4.風評被害への対応

    (1)今回の事故により損害を被った農林水産業者や商工業者・観光業者等の風評被害に対し、適切な救済措置を講じること。

    (2)今回の事故による本県のマイナスイメージを払拭するため、広報・キャンペーン等、政府として全面的に支援すること。

5.原子力損害培償対策の迅速な実施

    被害者に対する損害賠償を迅速、的確に行えるよう、国においても、事業所を十分に指導するとともに、「原子力損害の賠償に関する法律」等の適切な運用を行うこと。

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