1998年9月9日、井手よしひろ県議は、県議会本会議一般質問において、2002年ワールドカップの準備状況を総合的に質問しました。
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次に、2002年サッカーワールドカップ鹿島開催についてお伺いいたします。
2002年日本・韓国大会へのカウントダウンが、すでに始まっています。
この世界的イベントの当事者として、私ども茨城県民も、知恵と力を結集して、その準備に当たらなくてはならないと思います。
橋本知事におかれましては、フランスに赴き、開催会場の模様、運営や警備のあり方、ボランティアの現状等をつぶさに視察されました。
そこで、知事にフランス大会を目の当たりにした率直なご感想と、今後の課題について、どのようにお考えになっているか、総論としてお伺いいたします。
次に、ワールドカップフランス大会の視察結果についてお答えいたします。
私は、去る6月18日から24日までの7日間、日本対クロアチア戦を中心にワールドカップフランス大会を視察してまいりました。オリンピックをしのぐ世界最大のイベントと言われる大会であり、しかも、日本ではまだ経験したことのない大会でありますので大会運営、警備、交通輸送状況など多くの点で参考となったところであります。
特に、セキュリティに関しましては、会場入口で厳重なボディーチェックを受けたことや、スタジアムの屋根の上に銃を持った警備員が配置されていたことなど会場内での対策のほか、会場外においても大規模な交通規制が行われるなど、徹底した対策がとられておりました。
また、各会場には約1000人、全体で12000人のボランティアが配置され、入口でのチケット確認、会場案内、警備などそれぞれの役目を意欲と誇りをもって誠実に遂行していた姿が印象的でありました。
さらに、私の訪れたナント市では、世界中から訪れた観客や関係者に楽しんでもらえるよう、様々なイベントが催されており、町全体で世界の人々を温かく歓迎していた姿が大変参考となりました。
さて、本県が開催地となる2002年大会までいよいよあと4年となったわけであります。
県といたしましては、今後、大会運営を円滑に進めるために、日本組織委員会や関係機関等と十分に連携を図りながら、交通輸送や警備、宿泊対策、ボランティアの確保などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、ワールドカップの開催は、本県を世界にアピールする絶好の機会でもありますので、全県的な気運醸成に努めるとともに、世界中から集まる方々を温かく迎え、楽しんでいただくために、趣向を凝らした交流の機会を設けるなど各種イベントで歓待し、国際交流の進展や本県のイメージアップにつなげていきたいと考えております。
このように、2002年のワールドカップ開催については、本県を訪れる方々が安心して楽しんでいただける大会とすべく、フランス大会の貴重な体験を十分参考にしながら、本県で、そして鹿島で開催してよかったと評価されるよう、その準備に万全を期してまいりたいと考えております。
次に、鹿島開催に関して具体的に5点、企画部長にお尋ねいたします。
第1点目は、カシマサッカースタジアムの改修工事計画についての質問です。
7月には入札が行われ、今定例会に予算案件が提出されております。今後の具体的な工事計画はどのようになっているのか、特に、Jリーグ公式戦との関係を中心に、ご答弁いただきたいと思います。
2002年ワールドカップについてのご質問にお答えいたします。
まず、カシマサッカースタジアムの改修工事計画についてであります。
本年7月及び8月にスタジアムの増築工事等の入札を行い、今回、これらのうち4件の工事請負契約につきまして、議案を提出し、御審議をお願いいたしているところでございます。
建設工事の予定といたしましては、できれば、この秋には着工し、平成13年5月の竣工を目指して進めてまいりたいと思います。
工事期間中のJリーグの試合開催についてでありますが、工事を短期間かつスムーズに行うために、工事期間中は、スタジアムを全面閉鎖することが望ましいところでありますが、鹿島アントラーズのホームスタジアムであることや地域住民が地元での開催を強く望んでいること等諸般の事情を考慮し、可能な限り、カシマサッカースタジアムで試合を行いながら工事を進めて行きたいと考えております。
このため、例年3月から11月にかけて行われているJリーグの公式戦の期間以外の時期に、集中的に工事を行う予定であります。
しかしながら、その一方で、ワールドカップの開催に向け、限られた期間内での工事でありますので、照明や給排水などが使用出来なくなること、屋根工事により観客の安全性が保たれなくなることなどにより、シーズン中であっても、スタジアムで試合を行うことが困難な期間が生ずることが予想されます。
このため、今後、県といたしましては、できるだけJリーグの試合の開催に支障の出ないよう、工事日程について十分調整したいと考えておりますが、一部の試合について、スタジアムでの試合開催が困難となる場合が生ずることもあるということについて、御理解賜りますようお願い申し上げます。
次に警備体制・フーリガン対策をお聞きします。
フランス大会でも、マルセイユでは、イングランドのフーリガンが、警官隊と衝突、さらにチュニジアのサポーターともビールびんを投げ合うなどして50人が負傷、100人以上の逮捕者を出ました。引っくり返されて炎上する車、血を流しながら路上をさまよう人たちの映像を見て、「こんな暴動が、茨城でも起こるのか」と、ショックを受けたのは、私一人ではないと思います。
鹿島開催に向けて万全な警備体制を検討する必要があります。
例えば、開催期間中、アルコール類の販売制限を検討する必要も出てくると思います。また、街頭に多く設置された自動販売機も、その無防備な姿に犯罪を誘発する可能性が指摘されています。フランス大会では、自動小銃を携帯した警察軍が要所要所の警備に当たっておりましたが、我が国においては、こうした武器による威嚇は、自治体レベルでは対応出来ません。
こうした点も含めて、会場の警備体制、特にフーリガン対策の進め方についてご所見をお伺いいたします。
次に、警備体制についてであります。
ワールドカップの開催にあたりましては、世界各国から選手、役員はもとより報道関係者や多くの観客が訪れることになるものと考えられますので、開催国といたしましてはこれらの方々の安全を保障するための警備対策は非常に重要なものと認識しております。
このため、先のフランス大会におきましては、その警備状況の調査のため県警察本部に警備担当官2名の派遣を依頼したところであります。
また、大会運営の主体となる日本組織委員会におきましては、大会全体の警備計画を策定するため、警備専門委員会を本年10月を目途に設置する予定であります。この専門委員会は、警察庁などの関係省庁や開催自治体及び警察本部のほか関係団体で構成され、要人警護やフーリガンに係る情報の収集管理や警察と民間警備のあり方等について検討することとなっております。
このため、本県における警備対策といたしましては、日本組織委員会が設置する警備専門委員会の警備計画の検討経過を踏まえ、県警察本部と連携を密にしながら、本県での円滑な大会運営や安全かつ快適な観戦機会を提供できるよう、フーリガン対策をはじめ、警備に万全を期してまいりたいと考えております。
更に、大会成功にはボランティアが欠かせません。
フランス大会においては、会場の警備だけでも、観衆100人に対して1人の警備ボランティアが動員されました。カシマスタジアムで換算すると、400人以上の警備ボランティアが必要になる計算です。警備ボランティアは、最悪の場合、混乱や争乱に対応する必要があるわけですから、誰でもが簡単にできるというわけではありません。
その他のボランティアを加えると、1000人以上のボランティアが必要になると思われます。
開催地の鹿島地域だけで、こうしたボランティアをまかなうことができるのか、より広域的で広範なボランティアの育成と組織化が不可欠であります。
こうしたボランティアの確保と育成についてのお考えをお聞きいたします。
次に、ボランティアの育成・確保についてであります
ワールドカップを成功させるためには、フランス大会の例を見るまでもなく、多くのボランティアの方々の協力が不可欠であります。2002年大会におきましても、フランス大会と同程度のボランティアの確保が必要であると思われますが、ボランティアの確保と育成についての具体的な計画につきましては今後、日本組織委員会において検討されることになっております。
このような中で、ボランティアの確保につきましては、幸いにも本県には、Jリーグ開幕の年に、カシマスポーツボランティアが発足し、現在約400人が登録されており、Jリーグ開催時には、駐車場案内や場内整備等を中心に幅広く活躍いただいております。
ワールドカップ開催時には、これらの方々に中核的な役割を担っていただきたいと考えておりますが、フランス大会の例を見ますと1試合1000人程度のボランティアに活躍いただいておりますので、更に、広域的に幅広く掘り起こしを行い、ボランティアの確保に万全を期してまいりたいと考えております。
また、ボランティアを育成していくことも重要でありますので、今後、日本組織委員会における検討結果を踏まえながら本県独自のボランティア育成計画を作成し、積極的にボランティアの育成に努めてまいりたいと考えております。
次に、ワールドカップをより県民に身近なものとするために、また茨城を全世界にアピールし、町おこし、地域おこしの起爆剤とするために、参加国のキャンプ地誘致を提案いたします。
今回のフランス大会では、日本代表は、「エクスレバン」という地方都市にキャンプを張りました。1ヶ月近くこの町に滞在した日本代表チームに対して、マスコミ各社が取材に訪れたため、試合が行われた都市よりも「エクスレバン」のほうが記憶に残ったのが事実であります。
2002年大会では、参加32カ国の半分16カ国が、日本国内でキャンプを張ります。
外部から遮断でき、夜間照明の完備したサッカー競技施設と交通アクセス、室内練習場、宿泊施設などが完備していることが合宿地の条件になると考えられます。警備の都合やマスコミの取材から距離をおくことを考えると、都心からある程度離れたほうが、条件は有利であると思われます。
茨城県内では、福島空港の利用を考慮すると、日立を中心とする県北臨海部や奥久慈・大子地域など、その立地条件を満たす場所は数多くあります。
県は、市町村との連携の上、積極的に合宿地の誘致を図るべきだと提案いたします。
次に、キャンプ地の誘致についてであります。
キャンプ地に関するフランス大会の例を見ますと、各国代表は3週間程度のキャンプを行うものと見込まれ、屋外及び屋内練習場、ナイター設備などが各キャンプ地に整備されておりましたが、2002年ワールドカップにおけるキャンプ地の条件につきましは、日本組織委員会において今年度中にとりまとめる方針と伺っております。
従って、現時点におきましては、県内においてキャンプ地の適地があるかどうか定かではありませんので、県といたしましては、今後、日本組織委員会の動向を踏まえつつ、キャンプ地を誘致するかどうかについて検討してまいります。
また、カシマサッカースタジアムに愛称をつけることを提案いたします。
私個人といたしましては、アントラーズを育て、茨城のサッカー熱の基盤作りに大きな功績を残した、ブラジルの世界的なサッカープレーヤー・「ジーコ」氏の名前を冠した愛称などが、最もふさわしいと考えております。
検討委員会等を設置していただき、一般公募の手法をとり、より多くの県民に参加していただくのも一つの方法かと思います。
以上5点、2002年ワールドカップを大成功させるため、企画部長のファイトあふれる答弁を期待するものです。
次に、カシマサッカースタジアムの愛称募集についてであります。
カシマサッカースタジアムの正式名称は、「茨城県立カシマサッカースタジアム」であり、鹿島アントラーズのホームスタジアムとして、そして、日本初の全席屋根付きサッカー専用スタジアムとして全国的に名を知られるスタジアムとなり、テレビ、新聞などでは「カシマスタジアム」が定着している状況であります。
しかしながら、近年、スポーツ施設にも、正式名称のほかに、いわゆる愛称がつけられ
るものが見られるようになってきておりますが、さきほども申し上げましたように「カシマ」という名が全国的に浸透していることも念頭におきながら、今後の課題として研究してまいります。