県政情報ロゴ
Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:master@y-ide.com)
最終更新日:1997/Oct/22

ゴミの固形燃料(RDF)化を考える

RDFとは、

 ゴミ焼却過程でのダイオキシンの発生が大きな問題となっている。

 一般に高温で安定して燃焼させれば、ダイオキシンの発生は抑えられると言われている。大都市においては、大規模な全連続燃焼式焼却炉(24時間稼働)でゴミを焼却処理する事によって、こうしたダイオキシンの発生が結果的に抑制する事ができる。さらに、大量のゴミを焼却する際に発生する熱を活用して、発電などに有効利用している事例が多い。

 その反面、大多数を占める中小自治体においては、ゴミの排出量が比較的小規模であるため、准連続燃焼式やバッチ燃焼式の焼却炉が多く用いられており、低温燃焼時におけるダイオキシン発生が懸念されている。更に、余剰熱利用発電等は、熱効率、採算性などの問題から実現されていない例が多い。発電に限って言えば、全国約1,900のゴミ焼却施設の内、発電を行っているのは約130カ所に過ぎない。

 こうした現状を打開する方策として、ゴミ焼却場の大型化広域化が計画されている。原則として、ゴミの処理は市町村のレベルで処理をされてきたが(いくつかの市町村が集まって作る広域事務組合の場合もある)、より広範囲な単位で、大型、高性能の焼却炉を設置する計画が進んでいる。

 焼却炉の広域、大型化とともに脚光を浴びているのがRDFである。

RDF RDF(Refuse Derived Fuel)とは、ゴミを熱圧縮・成形する事で固形燃料化したもの。紙屑、木屑、廃プラスチック等を粉砕して、一定の割合で混ぜ合わせ、熱を加えながら圧縮すると、プラスチック成分が紙や、木屑の接着材となって、炭状の固体ができる。この固体は、石炭と同じように燃焼し、都市で作られた石炭:タウンコールとも言われる。

 現在、一般のゴミには紙屑、木屑、廃プラスチック等と生ゴミが含まれている。生ゴミは乾燥させて、混ぜ合わせることになる。しかし、生ゴミの組成はその時の状態によって大きく変化し、均質のRDFを作ることは技術的に困難である。更に、そのカロリーも3,500〜4,000キロカロリーと生ゴミを混ぜないRDFと比べ7〜8割程度の熱量しかない。そのために、ダイオキシンの発生が増え、発電等の効率が落ちる傾向がある。

 RDFによるゴミのリサイクル化、低公害化と言っても、結論はゴミをいかに分別して回収するかというシステムの構築の問題に帰結するようだ。

技術開発の動向

 わが国では、1980年頃より事業系廃棄物を対象に研究開発が進められてきたが、最近では、厨房ゴミ(生ゴミ)を含む一般廃棄物の可燃ごみのRDF化が対象になっている。RDF製造システムは対象廃棄物によって異なるが、基本的には、破砕→選別→乾燥→成形という4工程で構成される。

 方式としては、乾燥後に成形あるいは成形後に乾燥するもの、含水率が低い場合には乾燥を省いて破砕後に成形するものもある。また、ダイオキシン発生抑止のために塩化水素の低減を目的に、生石灰を添加剤として加えたり、成形性の向上のために一定量のプラスチックを粘結剤として混合する方式もある。  

RDF化施設の現状

 現在、RDFは公共施設、工場、ホテルなどの冷暖房用熱源として使われている。RDFシステムを普及させるためには、発電用の燃料として本格活用されることが必要である。RDFに対する地方自治体の関心は高まっており、電力事業の規制緩和と相まって各地で事業化が進められている。

富山県福光町・南礪(なんと)リサイクルセンター

 富山県福光町では、南礪(なんと)リサイクルセンターの固形燃料(RDF)化施設が、稼働中である。国内では、現在8施設が稼働中である。

 福光町など2町1村の可燃ごみを年間4400トン処理する同センターの処理規模は1日7時間運転で28トン。ゴミを焼かないのでダイオキシンが発生しない。同センターのRDF化施設の建設費は約19億円。焼却施設なら約26億円かかったという。

 しかし、出来上がったRDFをどう処理するかが問題となっている。同センターで年間2,200トン生まれるRDFは約1,500トンが専用ボイラーを持つ福光町の老人ホームや同センターなどで燃料として消費される。残る700トンはRDF化施設を造った業者に引き取らせている。福光町以外の2町村で、RDF専用ボイラーを設置すれば、全量を使い切りことができるが、RDFを燃やす専用ボイラーもダイオキシン対策が必要になる。専用ボイラーの費用は通常の2倍以上で国の補助の対象外となっている。福光町以外の2町村でボイラー設置の予定はなく、現在のところ全国的にも、RDFはほとんど需要がないのが実状である。

 費用や用途では課題が多いRDFであるが、利点は大きい。同センターはRDF化の際、ダイオキシンの発生源となる塩化水素を除去。最終的に乾燥、均質化されるので完全燃焼しやすく、ダイオキシンは発生しにくい。焼却灰も約半分になる。RDFを焼却する同施設専用ボイラーのダイオキシン排出濃度は0.05ナノ(10億分の1)グラム。野焼きしても10〜20ナノグラムで、付近の「白馬山ろく環境衛生施設組合」の排出濃度22ナノグラムと比べても極端に低く抑えられている。

栃木県宇都宮市「地域エネルギーセンター」計画

 栃木県は、家庭の生ごみや紙、プラスチックなどの燃えるごみを固形化し、燃料として発電に再利用する「ゴミ固形燃料(RDF)発電」を、2001年度稼働を目標に計画を進めている。県内の家庭から出る可燃ゴミ(1500トン)の約半分(700トン)を燃料にして3700世帯分の電力を供給しようとする計画である。出力22,000キロワットのRDF発電施設「地域エネルギーセンター」を宇都宮市の郊外に建設する。燃焼後に出る灰は、溶かしてガラス状に固め、道路の舗装材などに再利用する。

 しかし、この計画には地元住民を中心とする反対が根強い。ダイオキシン対策の一つとして計画したRDF発電ではあるが、RDFを燃焼させれば、ダイオキシンが発生する可能性がある。そうした施設を地域内に設置することへの反発は強い。

ちょっと待ってよゴミ発電

三重県のRDF化プラントと発電所計画

 三重県の場合を見てみると、RDFプラントを同県桑名郡多度町内に予定している。桑名市と周辺5町でつくる桑名広域清掃事業組合が更新時期の迫っている焼却施設の代わりにRDF化プラントを設置し、そばにRDF発電所を県が併設する計画である。

 こうした実績を踏まえたRDF発電所では、一日平均200トンのRDFを使う。発電機を2基置き、最大出力は14,000キロワット。一般家庭20,000万戸が一年間に使う電気を生み出す。平成10年度に着工し、2001年度稼働が目標である。

茨城県神栖町「再資源化センター」事業

 一方、茨城県においては、県と鹿嶋市、神栖町、波崎町の3市町は、鹿島臨海工業地帯の企業でつくる連絡協議会(鹿工連)と第三セクターを設立して、RDF発電に取り組むことを決めている。自治体が家庭ゴミを加工してRDFを製造し、企業から出る産業廃棄物とともに焼却、この際に発生するエネルギーを使って発電する方法で、2000年をめどに焼却、発電設備を備えた共同再資源化センターを建設する。工業地帯と行政が協力してゴミの再利用に取り組むのは、全国でも初めてのケース。

 計画では、事業には同県、鹿嶋市、神栖、波崎両町と鹿工連、日本開発銀行が出資し、共同再資源化センターと、3市町にそれぞれRDF製造施設を建設する。同センターでは、RDFと、鹿工連加盟企業(66社)の各工場から排出される木材、廃プラスチックなどを一日あたり約200トン焼却し、毎時約3000キロ・ワットを発電する。電力は各工場や公共施設で利用し、電力会社にも売電する。売電による収入は年間2億円を見込んでいる。総事業費は約55億円と見込んでいる。

 RDFは完全燃焼し、ダイオキシンなどの有害物質の発生割合を低く抑えられ、公害防止面での効果がある。また、共同処理で、現在、同工業地帯内にある企業の焼却施設40か所が約1/3程度減り、同工業地帯周辺の硫黄酸化物の濃度が現在の0.30ppbら0.05ppb減少することも見込まれる。

RDF利用促進へ規格化が不可欠:通産省が方針を検討

 通産省・工業技術院は平成9年7月、ゴミを固形化して作る燃料・RDFの成分や大きさなどに関する統一規格を定める方針を明らかにした。

 現在のRDFは、廃棄プラスチックを主原料としたものから家庭の生ゴミを乾燥させて作ったものまで多種多様な製品があるため、ダイオキシンの発生原因となる塩素の含有量などが製品によって異なり、RDFを燃料に使用している事業者からは「使いにくい」という声が出ている。

 このため工業技術院は、RDFの規格化が利用促進にも必要と判断し、日本工業規格(JIS)に準じた「標準情報(TR)」としてRDFの塩素含有量や発熱量、大きさ、水分含有率などの規格を1999年までに数種類に順次統一し、2001年度にはJISに格上げする方針を決めた。

RDF全国自治体会議の趣意書

 一般廃棄物処理をとりまく環境は、大きな転換期を迎えており、今般のダイオキシン削減対策においても大きな効果が期待されているRDFが各方面から注目されてきております。

 このような状況の下、全国の多くの市町村で一般廃棄物のRDF化の検討が始まっておりますが、社会システムとしてRDF化が進展するためには、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等、法制度上の規制、補助制度、技術開発など解決すべき課題も多々残っております。

 このため、県内各市町村のRDFを集積し、これを活用したRDF発電システムを進めようと真剣に検討している三重、栃木県が、既にRDF化施設を建設または予定している南礪リサイクルセンター(富山県)、愛知郡リバースセンター(滋賀県)、桑名広域清掃事業組合(三重県)とともに、RDFに関する情報の交換や諸課題の解決のための国等への働きかけを行うことを目的とした標記「RDF全国自治体会議」の設立を目指し、各自治体に参加のお誘いを始めたところです。

 自治体が、RDF化に関する事業・計画等を進めようとする場合、検討の熟度が低かったり、庁全体としての方針が決定していない段階では、趣旨は賛同できても公式の場での意見表明や国に対して制度に係る要望等を行うのが困難なことが多いと考えております。

 そこで、方針を決定している私ども自治体が発起人となり、主旨に賛同していただける自治体を募り、RDF化に関する諸活動を展開しようと今回お誘い申し上げる次第でございます。

 なお、平成10年度の政府の概算要求に、本会議としての国への要望の主旨を反映させるという意味あいもあるため、6月下旬には本会議を設立いたしたいと考えております。

 会則や、事業計画、予算等については、発起人一同が相図って検討を進めておりますので、後日、より具体的な書面をお届けできるものと考えております。

企業の動向

 RDF製造装置あるいはそれを含めた発電システムについては、環境装置メーカーをはじめ、商社、住建業界などの参入が続いている。伊藤忠商事、川崎製鉄、川崎重工業、東京ガス・エンジニアリングが出資する「日本リサイクルマネジメント(RMJ)」と、荏原、石川島播磨重工業、三菱商事、フジタで構成する「J−カトレルグループ」が先行している。両者ともごみ固形化装置ですでに受注実績を持つ。

 先行企業以外の動きも活発化しており、神戸製鋼所は96年に実証施設を建設、RDF市場に参入した。また、産業廃棄物系のRDFでも川崎重工等メーカーの動きが活発化している。

 茨城県内では、住友金属が実証化プラントを設置して、研究を進めている。

 また、日立製作所では、日立工場内にRDF化施設を95年に完成させ、工場内のゴミのRDF化を行っている。日立電線でも同じような施設が平成9年10月に稼働開始予定である。

 

ani_yazirusi.gif (608 バイト)参考

鹿島共同再資源化センター計画

  

日立製作所のRDF化プラント


Webメニュー選択画像