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デザインおおむね好評

物足りない情報公開面

毎日新聞
97年1月1日付け
より転載しました

1月1日付け毎日新聞 県のPRと県民への情報サービスを目指し、県は1昨年7月、ホームベージを開設した。県情報政策課は「観光のほか、県のプロジェクト、福祉施設の内容など800ページに及ぶ情報を載せ、当時は他の自治体の先駆けになるものだった。今ではまねをされてしまっているが」と胸を張る。

 この県のホームページ、県民や専門家はどう見るか、100点満点で採点してもらったら、視聴覚コンサルタントセンターの山田瑞恵氏が55点、井手義弘県議が70点だった。つくば市の「まともな市政をつくる会」の栗山洋四氏は「どういう基準で採魚して良いか分からないが、情報公開の観点だけからみれば限りなく0点に近い」と、限定付きの採点。情報公開に詳しい堀部政男・一橋大教授には「他のホームページをたくさん見たわけではない」として、点数化はしていただけなかった。

 採点者の評価を聞くと、制作会社も加わって作ったこともあって、デげインはおおむね好評。堀部教授は「写真やイラスト、地図を豊富に使い、視覚に訴えて分かりやすい」と評価。一方で、山田氏は「品の良い小冊子のような形式が、インターネットらしい自由さを発揮しにくくしているようだ」とも指摘している。

 県民への情報提供や情報公開機能については、各氏とも物足りなさを感じている様子。

 山田氏は「行政が行っている調査研究や委員会の報告書など、専門分野の資料をもっと積極的に掲載してほしい」。堀部教授は「住民から開示請求があって一度公開した情報は、いちいち同じ請求をしなくてもアクセスできるようにすれば良い。知事あてに質問のメールを出せるようにして質問、回答をやり取りしてみては」と提案。

 栗山氏は「情報公開の面では無策」と手厳しく、井手県議は「私が考えるあるべきホームページの姿から見れば0点かもしれない。しかし、まだ始まったばかりなので、頑張ってほしい」とエールを送る。

 ホームページを情報公開の手段とすることについて、情報政策課は「私たちの課は情報公開について論じる所ではないが、もちろん掲載する内容に制約はない。各課に積極的に参加するよう呼びかけている。しかし、パソコンの普及状態や、費用対効果を考えると、記者発表したものを全部掲載するような余裕はない」と説明、「今はあるべき姿までの黎明期なんです」とも強調した。長い目で見てほしいということのようだ。

まともな市政をつくる会
栗山洋四氏
(つくば市)
情報公開の面では
限りなく
0点に近い
 評価基準や比較対象を持ち合わせていないので、総合採点は不可能だが、県の意図は一般史PRの補完。情報公開とは、予算の執行内容まで含めた公開性の保証であり、県民の県政参画に必要な企画段階での政策説明だ。この点で県はまったく無策。最新情報への更新もよくない。
視聴覚コンサルタントセンター
山田瑞恵氏
(東京都)
総台すれば
55点
 基本的なデザインや四季ごとに変えている表紙ページは、ほのぼのとしていて好感が持てる。知りたい情報も検索しやすい。ただ印刷媒体をオンライン化した品の良い、小冊子のような形式が、自由さを発揮しにくくしている。少ないスタッフで孤軍奮闘している運営態勢の強化を。
県議会議員
井手義弘氏
(日立市)
今年度中は
70点
 発信されている情報と、受け手が欲しい情報とのズレが相当あると思う。ただ、インターネットがまだ市民権を得ていなし、県としてあまり突出したこともできないだろう。県がここまで実行したことは大いに評価すべきだ。しかし、来年度もこのままなら50点以下だ。

採点者の横顔

栗山洋四氏 「つくば市の利権政治・買収選挙を終わらせるために結成し、市民参加の市政などを目指す」市民団体、「まともな市政をつくる会」の情報公開分科会担当。同会のホームページの制作、更新を一手に引き受ける。
山田端恵氏 財団法人視聴覚コンサルトセンター(http://www.avcc.or.jp/)事務局員。昨春、「AV研究全国大会・公共ホームページコンクール」を行い、全国621の公共ホームページから「コミュニティー奨励賞」に茨城県など5団体を選んだ。
井手義弘氏 県議(公明・新進クラブ)。自分のホームべージを自分で制作する全国でも珍しい県議。ホームページの県政リポー卜には、県議の資産公開内容など、情報公開の観点から見ると、先進的な内容が盛り込まれている。


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