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 Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp) 最終更新日:2000/Mar/12


平成12年3月県議会一般質問

4.ティーム・ティーチング等への取り組みについて

 次に、教育の課題について、教育長にお伺いいたします。

 学級崩壊や不登校、いじめなど様々な困難な問題を抱える現在の義務教育に関して、学級定員を見直し、教師の目が届きやすい少人数学級を実現すべきであるという議論が盛んになっております。

 そもそも、「学級編成及び教職員定数標準法」いわゆる義務標準法に規定する学級編成標準は、教職員給与の半額を国庫負担、残りを都道府県が負担する際の基礎となる教職員定数算定の基準です。しかし、文部省や都道府県は厳格にこの標準を適用し、40人までは一学級という措置が、全国一律で取られております。

 しかし、こうした固定的な学級編成の考え方にも、変化が起こっております。国においては、中央教育審議会が、98年9月、都道府県が学級定員の標準を下回る人数の学級編成を独自にできるようにすること、都道府県による認可制を届け出制などに改めることを求めた具体的改善策を策定しました。また非常勤講師の報酬についても、国が負担できるようにする法改正も提言しています。

 私は、一刻も早く、市町村の独自の判断での少人数学級の編成を、認めるべきだと考えます。

 市町村長の政策判断で、少人数学級など教育条件の改善に予算を重点的に配分する選択はあり得ますし、こうした試みは本当の意味での地方分権に他ならないと思います。

 現在の教育問題の有効な解決策と思われる学級定員の見直しですが、反面、その財政的負担はあまりに大きすぎます。危機的な状況にある地方自治体にとって、毎年恒常的な出費となる教育費に多くの予算をかけることは、慎重な判断が必要になります。

 例えば、千葉県教育委員会が、98年12月に発表した試算によると、公立小中学校で30人学級を県独自で実現した場合、教師は 約5600人の増員が必要で、約450億円の追加支出が必要となるといいます。

 茨城県の場合を、私はマクロ的に試算してみました。その結果、公立小中学校で30人学級を県独自で実現しようとすると、教員は3000人の増員が必要となり、毎年230億円の追加支出が必要になることが判明しました。

 少人数学級の実現には、国を挙げた取り組みが必要であり、少子化が進み、児童生徒数の減少が見込まれる今こそ、真剣な論議が必要です。

 私は、県財政の危機的状況や教育現場の厳しい状況を判断すると、ティーム・ティーチングの推進が、現状取りうる最も有効な施策であると考えております。

 群馬県のように、「さくらプラン」と銘打って、小学校の第1学年で34人以上の学級がある小学校のすべてのクラスにTTを派遣するような事業を行い、結果的に少人数クラスを実現している県もございます。

 本県においては、県単独事業で本採用の教員73名をTTに当てることや、国の緊急地域雇用特別交付金を活用した非常勤講師をTTとして大量に354名採用するなど、全国的にもトップクラスのTT政策を展開しており、その見識を評価したいと思います。

そこで、教育長に、細かな指導の充実を行うためのティーム・ティーチング等に対する取り組みについて、ご所見をお伺いいたします。

   ティーム・ティーチングの取り組みについてお答えいたします。、

 ティーム・ティーチングは、議員ご指摘のとおり、個に応じたきめ細かな指導を充実する上で、極めて効果的な指導方法であると考えております。

 本県におきましては、平成7年度から4年間にわたり「多様な指導方法研究推進事業」を実施し、ティーム・ティーチングの授業について実践的な研究を進め、その成果を実践事例集にまとめて、各学校に配付し、普及を図ったところでございます。

 また、本県におけるティーム・ティーチングのための教員につきましては、平成5年度から、国の第6次教職員配置改善計画に基づき、毎年、計画的に拡充を図り、現在、364人を配置し、平成8年度からは、国の配置に加えて、県単独で、年次計画により拡充を図り、現在では、73人を配置しております。さらに、昨年10月からは、緊急雇用対策を活用して、社会人による非常勤講師を354人配置したところであり、新年度におきましても、339人を配置し、引き続き、県内すべての小中学校において、ティーム・ティーチングによる指導を実施して参りたいと考えております。

 このティーム・ティーチングによる指導は小学校におきましては、例えば、理科において、一人一人の児童がそれぞれに自分なりの方法で異なった実験ができますし、算数においては、児童の理解の程度に応じた、きめ細かな指導ができるようになるなど、どの児童も、問題解決の喜びを一層味わうことができることとなりました。

 中学校におきましても、数学において、習熟度に応じた学習が出来ることとなったり、英語において、教師と英語で話す機会を多くすることにより、一人一人の英会話の能力などを高めることが可能となったところでございます。

 また、小中学校のいずれにおいても、児童生徒が気軽に質問したりする機会が増え、教員と児童生徒、児童生徒同士の人間関係に深まりが見られるようになったりしているところでございます。

 今後とも、ティーム・ティーチングによる効果的な指導の在り方についての実践的研究を推進しながら、一人一人の児童生徒に確かな学力を身に付け、自ら学び、自ら考える力の育成が図られるよう、指導体制の充実に努めて参る所存でございます。


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