◇暖かい空気におおわれ、気温が高くなる

 シベリア高気圧の勢力が弱く、日本付近では冬型の気圧配置は長続きしませんでした。上旬と下旬は、日本海から北日本を低気圧が通過しました。一方、東日本以西では高気圧に覆われて晴れる日が多く、周期的に南から暖気が入って気温の高くなる日がありました。このため、月平均気温は7.0℃(平年比+2.0℃)と平年よりかなり高くなりました。また、月の日照時間も230.4時間、日照率は76.4%(平年比133%)と平年よりかなり多くなりました。晴れる日が多くて雨の降る日が少なかったものの、15日には本州南岸を低気圧が発達しながら北東へ進んで79.0mmの雨が降りました。このため、月の降水量は84.0mm(平年比169%)と平年よりおおくなりました。

2月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 7.0 5.0
月降水量(mm) 84.0 49.8
月日照時間(時間) 230.4 175.0
日照率(%) 76.4 57.4
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 6.0 4.4
中旬 7.7 4.9
下旬 7.4 5.7
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 77.7 62.4
中旬 80.6 61.3
下旬 72.1 51.2

 ※下旬の日照時間の平年値は、各年の2月21日〜28日の合計値の30年平均。

 ●2月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

2021年2月の日立市役所における日平均気温の推移 2021年2月のつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

 ●2月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移

2021年2月の日立市役所における日平最低温の推移 2021年2月の日立市役所における日照時間の推移

 今年の2月は、中旬後半から下旬前半にかけて南から暖気が入り、特に気温が高くなりました。中旬の平均気温は7.7℃(平年比+2.8℃)、下旬の平均気温は7.4℃(平年比+2.2℃)と、ともに2℃以上高くなりました。このため、月平均気温は7.0℃と平年より2.0℃高くなり、2月の平均気温としては観測開始以来2番目に高い気温となりました。また、月の日照時間230.4時間も、2月の日照時間としては観測開始以来2番目に多い記録となりました。

 ●2月の平均気温と日照時間の記録(日立市役所)

月平均気温(℃)
順位 平均気温
1 1979 7.4
2 2021 7.0
3 2007 6.9
4 1959 6.9
5 2020 6.6
平年値 5.0
月日照時間(時間)
順位 日照時間
1 1980 233.6
2 2021 230.4
3 2004 214.5
4 1968 214.2
5 1983 207.4
平年値 175.0

 ※順位は数値の大きい方または少ない方からで、1953年から2021年2月までの統計。


◇2月の日立市内の気温と降水量

 2月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所が最も高くなっています。次いで、北に位置する北部消防署と十王交流センターが高くなっています。一方、本山と西部支所は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は5.6℃で、水戸の月平均気温6.0℃よりも0.4℃低くなりました。1月と比較すると、日立市の平均気温は2.4℃高くなりました。なお、昨年2月の日立市内の平均気温は5.6℃、水戸の平均気温は6.2℃で、日立市に比べて水戸は昨年よりも気温がやや低くなっています。

 一方、月の降水量の市内平均は75.5mmで、1月の平均降水量15.4mmよりも約60mm多くなりました。最も降水量が多かった本山の92.5mmに対して、最も少なかった西部支所は58.0mmと1.6倍の差で、1月よりも地点間の差は小さくなりました。また、市内7地点の平均降水量75.5mmに対して、水戸の月降水量は75.5mmと同じになりました。

 ●日立市内と水戸の2月の気温と降水量の観測結果

2月の気温(℃)の記録
観測地点 平均
気温
最高気温 最低気温
気温 日時 気温 日時
日立市役所 7.0 21.5 22 11:26 -1.9 10 04:47
十王交流センター 6.7 22.3 22 12:49 -2.8 25 06:44
北部消防署 6.8 21.3 22 12:09 -2.9 28 06:20
本山(中学校跡) 3.4 19.7 22 13:55 -5.7 09 06:26
西部支所 3.6 20.9 22 13:30 -6.1 10 04:51
諏訪広場 5.8 19.7 21 13:08 -3.4 28 05:54
南部支所 5.9 19.9 22 12:15 -4.4 10 05:17
上記7地点の平均 5.6 -

-

-

-

日立会瀬 7.0 20.6 22 12:25 -2.3 28 06:05
水戸(金町) 6.0 22.2 22 13:23 -4.2 28 06:32
2月の降水量(mm)の記録
観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量
降水量 降水量 日時
日立市役所 84.0 79.0 15 43.5 15 15:34
十王交流センター 76.5 74.5 15 39.0 15 15:35
北部消防署 87.5 83.5 15 46.0 15 15:35
本山(中学校跡) 92.5 88.5 15 33.5 15 15:;27
西部支所 58.0 55.0 15 17.0 15 15:13
諏訪広場 66.5 62.0 15 31.5 15 15:24
南部支所 63.5 57.0 15 30.0 15 15:20
上記7地点の平均 75.5 -

-

- -
日立会瀬 90.5 85.0 15 49.0 15 15:31
水戸(金町) 75.5 66.5 15 32.0 15 15:12

 ※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。


◇一時的に激しい雨が降る(2月15日)

 15日、上層の気圧の谷が、本州上を東北東へ進みました。これに伴う低気圧は、九州の南から東海道沖を通過して、15日昼過ぎには関東地方を通過し、夜には三陸沖へ進みました。低気圧の東側を回って暖かく湿った空気が流れ込んだことから、神奈川県と茨城県北部で降水量がやや多くなり、総降水量が90mm近くになりました。低気圧は、急速に発達しながら速い速度で北東へ進み、茨城県に進んできた15時には中心気圧が976hPaまで下がりました。このため、低気圧の中心の北側で雨雲が急速に発達し、茨城県北部では一時的に激しい雨が降りました。関東地方における15日の総降水量は、神奈川県藤沢で94.0mm、箱根で93.0mm、横浜で90.5mm、茨城県日立会瀬で85.0mmなどでした。また、1時間最大降水量は、茨城県日立会瀬で49.0mm(15時31分)、北茨城で40.0mm(15時50分)、水戸で32.0mm(15時12分)などでした。

 低気圧が急速に発達するとともに速い速度で進んだことから、沿岸部を中心に低気圧の通過に伴って、一時的にやや強い風が吹きました。また、低気圧が三陸沖へ進んだ夕方以降は、北部を中心に吹き返しの西寄りの風が強く吹きました。島しょ部を除いた関東地方における最大瞬間風速は、栃木県那須高原で西北西の風33.4m/s(19時12分)、千葉県銚子で南の風29.5m/s(14時39分)、茨城県鹿嶋で南南東の風27.8m/s(14時33分)などでした。

 日立市では、低気圧が四国の南へ進んできた15日6時前から弱い雨が降り始め、昼過ぎにかけて1時間降水量1mm前後の雨が降り続きました。低気圧が関東地方へ進んできた14時前からは雨が強まり、1時間に3mm前後の雨が降るようになりました。その後、低気圧が関東地方を北上するにつれて中心の北側で雨雲が発達し、この雨雲がかかった15時前後に一時的に激しい雨が降り、日立市役所では15時34分に1時間最大降水量43.5mmを記録しました。低気圧の動きは速く、15時40分には雨は止んで晴れ間が出てきました。なお、今回は低気圧の前面の東寄りの風で雨が降ったため、山地の西側に当たる西部支所では雨がそれ程強まらず、1時間最大降水量は17.0mmでした。

 一方、風は低気圧が近づいてきた15時から北寄りの風が強まり、低気圧が通過した後は吹き返しの北西の風が強まって、日立市役所では17時32分に北北西の風23.3m/sの最大瞬間風速を記録しました。なお、日立市内の他の地点は、日立市役所ほど風は強まりませんでした。低気圧が遠ざかった19時以降、風は徐々に弱まっていきました。

 ●2月15日の降水量(mm)

観測地点
総降水量

最大1時間降水量

最大10分間降水量

降水量
日時

降水量
日時
日立市役所 79.0 43.5 15時34分 14.0 15時19分
十王交流センター 74.5 39.0 15時35分 10.0 15時24分
北部消防署 83.5 46.0 15時35分 12.0 15時23分
本山 88.5 33.5 15時27分 6.5 14時49分
西部出張所 55.5 17.0 15時13分 4.0 15時07分
諏訪広場 62.0 31.5 15時24分 8.5 15時14分
南部支所 57.0 30.0 15時20分 7.5 14時59分
日立会瀬 85.0 49.0 15時31分 15.0 15時17分
水戸(金町) 66.5 32.0 15時12分 8.5 14時50分

 ※日立会瀬、水戸(金町)は、気象庁の観測地点

  ●2月15日の風と気圧の記録
地点 最大風速(m/s) 最大瞬間風速(m/s) 海面気圧(hPa)
風速 同風向 日時 風速 同風向 日時 最低気圧 日時
日立市役所 11.8 西北西 17時29分 23.3 北北西 17時32分 974.0 15時49分
十王交流センター 6.0 北北西 15時31分 13.2 北西 16時52分 - -
北部消防署 9.5 北北西 15時36分 18.3 北北西 15時30分 - -
西部支所 4.3 東南東 14時26分 10.4 南東 14時11分 - -
諏訪広場 6.8 西北西 17時13分 17.0 西北西 17時04分 - -
南部支所 9.8 西北西 17時20分 17.9 15時18分 - -
日立会瀬 9.5 西北西 17時19分 17.4 西北西 17時12分 - -
水戸(金町) 9.6 15時15分 17.6 15時14分 974.5 15時25分

 ※日立会瀬、水戸(金町)は、気象庁の観測地点

 ●2月15日の降水量と海面気圧の推移(10分値:日立市役所)

2021年2月15日の降水量の推移(10分値:日立市役所) 2021年2月15日の海面気圧の推移(10分値:日立市役所)

 ●2月15日〜16日の風速と風向の推移(10分値:日立市役所)

2021年2月15日〜16日の風速の推移(10分値:日立市役所) 2021年2月15日〜16日の風向の推移(10分値:日立市役所)

●2月15日15時と16時のアメダスによる降水量の分布

 低気圧が茨城県に進んできた頃から、低気圧の中心の北側で雨雲が帯状に発達しました。低気圧の移動に伴って発達した雨雲は北北東へ進んだたため、つくば市付近から茨城県北部の沿岸部にかけて一時的に激しい雨が降りました。

2021年2月15日15時のアメダスによる降水量の分布 2021年2月16日15時のアメダスによる降水量の分布

●2月15日15時と17時のアメダスによる風の分布

2021年2月15日15時のアメダスによる風の分布 2021年2月15日17時のアメダスによる風の分布

 ●2月15日11時から16時の降水レーダー図

2021年2月15日11時の降水レーダー図 2021年2月15日12時の降水レーダー図 2021年2月15日13時の降水レーダー図
2021年2月15日14時の降水レーダー図 2021年2月15日15時の降水レーダー図 2021年2月15日16時の降水レーダー図

 ●2月15日09時、15時及び21時の地上天気図

 低気圧の中心気圧は、15日03時には998hPa、09時には990hPa、15時には976hPa、21時には958hPa、そして16日03時には948hPaと24時間で50hPa低下しました。

2021年2月15日09時の地上天気図 2021年2月15日15時の地上天気図 2021年2月15日2109時の地上天気図

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作成日 2021/03/15
名前 日立市天気相談所