◇中旬まで気温の高かった7月

 月の初めから下旬の前半にかけては、寒冷渦と本州の南に停滞する前線やオホーツク海高気圧からの冷たく湿った気流の影響で、曇りや雨の日が続きました。下旬の後半は太平洋高気圧におおわれ、晴れて気温が高くなったものの、月の日照時間は94.3時間(平年比72%)と、平年より少なくなりました。一方、上層の寒気の影響で4日に57.5mmの降水量を記録した以外は、東日本では前線の活動や低気圧の発達が弱く、大雨になることがなかったことから、月の降水量は127.5mm(平年比78%)と平年よりやや少なくなりました。気温は、冷たい北東気流の影響で、下旬前半までは平年より気温の低い日が続きました。下旬の後半になると、太平洋高気圧におおわれ気温は高くなりました。この結果、月平均気温は22.8℃と平年より0.2℃低くなりました。7月の平均気温が平年を下回ったのは、2007年7月の21.6℃以来12年ぶりのことです。

7月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 22.8 23.0
月降水量(mm) 127.5 162.5
月日照時間(時間) 94.3 130.2
旬平均気温(℃)
順位 観測値 平年値
上旬 20.4 21.5
中旬 21.8 23.0
下旬 25.8 24.4
旬日照時間(時間)
順位 観測値 平年値
上旬 19.9 35.8
中旬 14.9 36.6
下旬 59.5 57.7

 ●7月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

2019年7月の日立市役所における日平均気温の推移 2019年7月のつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

 ●7月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

2019年7月の日立市役所における日最低気温の推移 2019年7月の日立市役所における日照時間の推移

◇7月の日立市内の気温と降水量

 7月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所、十王交流センター及び南部支所の3か所が、ともに22.8℃で最も高くなりました。一方、山間部にある本山は最も気温が低くなりました。山間部にあるもう一つの観測地点である西部支所は、本山よりも標高が低く盆地状の地形も影響して日中の気温が高くなったことから、市内平均よりも気温が高くなりました。

 なお、市内7地点の平均気温は22.3℃で、水戸の月平均気温23.5℃よりも1.2℃低くなりました。日立市内の平均気温との差は、6月と同じになっています。また、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、6月に引き続いて全地点とも水戸より低くなりました。

 一方、月の降水量の市内平均は118.5mmで、6月の平均降水量212.8mmよりも100mm近く少なくなりました。観測地点の間の差は6月よりも大きくなり、最も降水量の多かった本山の196.0mmに対して、最も少なかった南部支所は82.0mmと2.4倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量118.5mmに対して、水戸の月降水量は123.0mmとほぼ同じになりました。

 ●7月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

7月の気温(℃)の記録
観測地点 平均
気温
最高気温 最低気温
気温 日時 気温 日時
日立市役所 22.8 33.6 31 11:46 17.0 10 04:02
十王交流センター 22.8 33.3 28 14:06 16.9 10 04:16
北部消防署 22.3 32.0 28 13:00 16.9 10 04:36
本山(中学校跡) 20.6 32.6 30 13:28 13.7 11 05:12
西部支所 22.6 34.8 30 14:02 15.5 10 04:31
諏訪広場 22.1 33.6 30 11:49 15.6 10 04:10
南部支所 22.8 34.0 30 11:39 17.2 10 03:52
上記7地点の平均 22.3 -

-

-

-

日立会瀬 22.8 33.1 31 11:51 17.3 10 04:06
水戸(金町) 23.5 35.2 30 13:13 17.2 10 04:58
7月の降水量(mm)の記録
観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量
降水量 降水量 日時
日立市役所 127.5 57.5 04 27.5 04 10:04
十王交流センター 15.15 56.0 04 27.0 04 10:08
北部消防署 170.5 75.0 04 40.5 04 10:06
本山(中学校跡) 196.0 65.0 04 28.0 04 09:59
西部支所 136.0 58.0 04 32.0 04 09:49
諏訪広場 102.5 48.0 04 18.0 04 10:00
南部支所 82.0 40.5 04 9.5 04 11:26
上記7地点の平均 118.5 -

-

- -
日立会瀬 115.0 50.5 04 18.5 04 10:01
水戸(金町) 123.0 48.0 04 16.5 28 05:15

 ※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。


◇下旬に入って気圧系が大きく変わり、気温が高くなる

 初めに述べたように、今年の7月は月の初めから下旬の前半にかけては、寒冷渦と本州の南に停滞する前線やオホーツク海高気圧からの冷たく湿った気流の影響で、曇りや雨の日が続きました。特に、7日から15日にかけては日本の西で上層の偏西風が南へ大きく蛇行し、気圧系の動きが遅くなるとともに、オホーツク海高気圧が勢力.を強めて北日本から東日本へ張り出しました。このため、日中でも気温が上がらず、日平均気温は平年より3℃前後低い日が続きました。

 17日になると太平洋高気圧が勢力を強めて日本付近へ張り出してくるようになり、それに伴って気温も上がってきました。20日から23日にかけて、上層の気圧の谷が日本の東で深まり、寒気が引き込まれて一時的に気温は下がりました。その後、25日から26日にかけて日本の南を北上してきた台風第8号が本州中部を横断して、28日の朝には日本の東へ抜け、太平洋高気圧が本州上をおおうようになり、最高気温が30℃を超える日が続くようになりました。関東地方の7月の日最高気温が30℃以上(真夏日)となった地点数の推移をみると、1日から16日までは真夏日となった地点数は0から2地点でした。17日から20日にかけては、真夏日となった地点数は多くなりました。21日、22日と真夏日となった地点が少なくなった後、23日から真夏日の地点数は増え始め、25日以降は全体(84地点)の7割を超える地点で真夏日となりました。

 過去7年間の観測結果を比べてみると、今年の7月の平均気温は最近の7年間では最も低くなりました。しかし、真夏日(日最高気温30℃以上の日)の日数は7日と平年(7.1日)並みになり、下旬に入って暑い日が続いたことが分かります。なお、月の日照時間94.3時間は最近の7年間では最も少なく、2006年の72.7時間以来の少ない日照時間でした。また、降水量1mm以上の日数も16日と最近の7年間では最も多く、2006年の17日以来の多い日数でした。

 なお、昨年(2018年)の7月は月の初めから太平洋高気圧におおわれて、月平均気温は26.2℃と7月の気温としては観測開始以来最も高くなりました。これは、高気圧の中心が日本の西にあって南から南西の風向頻度が平年の2倍近くになり、この南西の風によるフェーン現象の影響があったためです。それに対して、今年の7月はオホーツク海高気圧の勢力が強く、風向頻度分布をみると昨年とは反対に北から北北東の風向が平年の2倍以上ありました。

 ●過去7年間の7月の気象観測値の比較

観測要素 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 平年値
月平均気温(℃) 23.2 23.7 24.6 23.6 25.2 26.2 22.8 23.0
最高気温(℃) 32.9 33.9 35.2 31.1 31.7 34.2 33.6 -
最低気温(℃) 17.1 18.7 17.3 17.6 20.3 17.8 17.0 -
真夏日の日数(日) 7 7 12 1 5 16 7 7.1
夏日の日数(日) 19 23 24 25 29 30 16 19.4
降水量(mm) 116.5 146.5 179.5 43.5 86.5 100.5 127.5 162.5
降水量1mm以上の日数 11 11 12 6 10 5 16 12.1
日照時間(時間) 152.2 180.9 148.8 117.7 143.0 159.2 94.3 130.2

 ●2019年7月の関東地方における真夏日の地点数の推移

2019年7月の関東地方における真夏日の地点数の推移

 ●2019年と2018年7月の風向頻度分布

2019年7月の風向頻度分布(日立市役所) 2018年7月の風向頻度分布(日立市役所)

 10日と29日の気象衛星可視画像と地上及び高層の天気図を比べてみると、太平洋高気圧の勢力の違いが分かります。10日の500hPa面高層天気図を見ると、5880mの等高度線で表される太平洋高気圧は東海上から日本の南へ張り出しています。一方、華中と日本の東には上層の気圧の谷があります。気象衛星可視画像では、北日本から北陸地方は晴れの領域に入っています。ただ、東北地方中部から関東地方の太平洋岸では、冷たい北東の風の影響で、下層雲が広がっています。また、関東の南から九州を通って東シナ海へ梅雨前線に対応する雲がのびています。

 一方、29日の500hPa面高層天気図を見ると、偏西風は北海道付近まで北上し、5880mの等高度線で表される太平洋高気圧が、本州付近から東シナ海、華中まで勢力を広げています。これに対応して、気象衛星可視画像では梅雨前線に対応する雲は消え、本州付近は晴れの領域に入っています。

 ●7月10日と29日の空の様子(日立市役所屋上から撮影)

2019年7月10日の日立市役所屋上から見た空の様子 2019年7月29日の日立市役所屋上から見た空の様子

 ●参考:7月10日と29日10時の気象衛星可視画像

2019年7月10日10時の気象衛星可視画像 2019年7月29日10時の気象衛星可視画像

 ●参考:2019年7月10日、21日及び29日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図

2019年7月10日09時の地上天気図 2019年7月10日09時の500hPa面高層天気図
2019年7月21日09時の地上天気図 2019年7月21日09時の500hPa面高層天気図
2019年7月29日09時の地上天気図 2019年7月29日09時の500hPa面高層天気図

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作成日 2019/08/14
名前 日立市天気相談所