2000/10/21update

第3回公明党全国大会 重点政策(案)
21世紀「健康日本」の構築 ―― “活力と安心の生活大国”をめざして ――


第2部


七 科学技術創造立国で世界に貢献します

 20世紀は、科学技術の大きな進歩によって、国民の平均寿命は大幅に延び、豊かで快適な生活が可能となった世紀でした。21世紀においては、これまでに生じた環境問題を解決して循環型社会を築いていくことや、少子高齢社会において、一人一人が安心して暮らせる社会を創っていくため、特に科学技術の分野が総力を上げて取り組んでいくことが求められています。また、情報通信技術の目覚ましい進歩に遅れることなく新産業の創出を促す研究開発を進め、その成果の活用を通じて経済構造改革を推し進めることも必要です。
科学技術創造立国によって、次代を担う若者が夢と希望と高い志を持つことを可能にし、近年の経済停滞による社会全体を覆う閉塞感を打破し、21世紀のわが国を「知的存在感があり人類の未来と世界の平和に貢献できる国」として新生させることをめざします。

1 21世紀の国づくりに向けた総合戦略の構築

 21世紀のキーワードになる高齢社会、循環型社会、IT社会を構築するには科学技術が大きな役割を果たします。その際、限られた原資を、どの分野の研究開発につぎ込むかが、国の将来の繁栄を左右します。その総合戦略は、内閣府におかれる総合科学技術会議が立案することになりますが、その会議の充実――調査・分析・評価能力に裏打ちされた戦略立案機能の充実――に力を入れます。

2 競争的資金の拡充による研究開発の活性化

 日本の科学技術の将来を左右するのは、基礎的研究を受け持つ公的研究機関、特に大学がその潜在力を十分に発揮するかどうかにかかっているといっても過言ではありません。しかし、これまでの大学は閉鎖的であり、年功序列という風潮が支配的であったと言われています。研究者が、創意やオリジナリティーに基づいて研究提案をし、競争的な環境のなかで研究を行い、成果を競い、それが公正に評価され、その成果が社会や産業界に生かされていく環境に変えていきます。このため、競争的研究資金を大幅に拡充します。
 また、研究資金の充実とともに、これまでの徒弟制度にも似た大学の研究体制を見直す必要があります。ノーベル賞級の成果はほとんどが30代までの業績といわれており、若い有能な研究者が、その能力を十分に発揮できるような流動的で開かれた研究体制を整備し、その活動を支援します。

3 研究評価システムの確立

 研究投資の配分の決定や有能な若手研究者の登用などの基礎となるのは、いわゆる目利きによる研究評価です。仲間内、あるいは世界水準での研究成果の質を問わない評価は、研究開発投資のムダにつながります。科学技術への投資拡大は、わが国の豊かな将来を確固たるものにするため最重要課題であることは間違いありませんが、同時に研究投資の効率を上げるため、適正な評価システムをつくっていきます。

4 人類の新フロンティアの開拓

 宇宙や海洋は人類に残された最後のフロンティアです。また、ナノテクノロジーなどミクロの世界もこれからの科学技術の大きな発展の可能性を秘めたフロンティアです。さらに、生物の持つ複雑かつ精緻な機能の解明や人の心をつかさどる脳の機能の解明も、新しい科学のフロンティアです。21世紀のわが国が夢と希望を持って前進するためにも、これらの科学技術のフロンティアに果敢に挑戦します。

5 生命倫理問題に配慮したライフサイエンスの振興

 21世紀は生命科学の世紀といわれています。ヒトゲノムの解読がおおむね終わり、生命科学が新しい段階を迎えた今、このゲノム情報を使って、病気の発生原因の根本的解明や画期的新薬の開発など、いわゆる「オーダーメイド医療」の早期実現をめざします。国民一人一人が健やかで活力ある高齢化社会を送れるよう、こうしたゲノム関連研究をはじめとするライフサイエンス研究に重点的、戦略的に取り組んでいきます。また、生命科学の振興に当たっては、クローン技術の規制問題に象徴されるように、生命の尊厳や倫理の確立がもっとも重要です。生命の尊厳を重視する党として、公明党は積極的に生命倫理の問題に取り組んでいきます。

6 科学技術分野の国際協力の推進

 科学技術は人類共通の知的財産であり、科学技術の国際協力は、世界の平和と繁栄に寄与するだけでなく、この宇宙船地球号のなかで、人類がさらに持続的発展を遂げていくために極めて重要です。国際社会におけるわが国の立場を踏まえ、宇宙ステーション、深海掘削、核融合等さまざまな分野において主体性を持って国際協力に取り組んでいきます。さらに基礎研究分野の協力や国境を越えた人材の交流なども拡充していきます。
また、地球環境問題や資源・エネルギー問題など地球規模の諸課題の解決に向け、わが国のリーダーシップを発揮していきます。

7 次世代を担う子どもたちの理科教育

 次世代を担う子どもたちの理数離れが指摘されています。自然や先端科学に触れ科学の面白さを体験する機会、ITを利用した学習の機会を増やすなどさまざまな工夫を行い、"こころの教育"と並んで、知恵の時代に生きる子どもたちに理科、数学など、科学技術の基礎を学ぶ機会を増やします。

 

<戻る><目次に戻る><次へ>

Webメニュー選択画像