県議会本会議速報

平成9年 第2回定例県議会本会議 速 報

<平成9年6月9日 月曜日 午後1時開議>

平成9年 第2回定例県議会本会議 知事提案説明要旨

 

平成9年6月9日


 平成9年第2回県議会定例会の開会に当たり,提出いたしました試案等の説明と報告を申し上げます。

 

(動燃東海事業所における火災爆発事故)

 

 まず,3月11日に動力炉・核燃料開発事業団東海事業所のアスファルト固化処理施設で発生した火災爆発事故についてご報告いたします。

 今回の事故は,火災爆発という衝撃的な事故であったこと,37名の従業員が被ばくしたこと,環境や健康に影響を与えるレベルではありませんでしたが,放射能が施設外に漏れたことなど,県民の皆様に大変なご心配をおかけすることとなり,誠に遺憾に存じております。

 県といたしましては,3月12日に職員を派遣し現場の確認を行うとともに,16日には原子力安全協定に基づき,関係市町村とともに立入調査を実施いたしたところでございます。また,私自身も,事故の翌日の12日には動燃理事長に対し,事故原因の徹底究明や安全対策の総点検,情報伝達体制の改善などについて厳重な申し入れを行うとともに,13日には,内閣総理大臣,内閣官房長官,科学技術庁長官に対し,同様の要請を行った次第であります。その後4月4日に,事故が発生したアスファルト固化処理施設の応急措置が終了したことを確認し,その後は安定した状況となっておるところでございます。

 しかしながら,3月21日に科学技術庁や県に提出された事故報告書の中に事実と異なる記載があることが,4月8日に判明いたしました。このため,4月16日に動力炉・核燃料開発事実団などが原子炉等規制法違反・虚偽報告の罪で、科学技術庁から告発される事態に立ち至りました。県といたしましても,動燃に対し厳重に抗議いたしますとともに,事実関係の究明を強く求めたところであります。

 一方国におきましては,「東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故調査委員会」において本格的な事故原因の究明を進めるとともに,動燃改革検討委員会を設置し,組織・経営管理,情報伝達・広報等の業務全般について,見直しを行っているところであります。

 県といたしましても,今回の事故について,県広報誌「ひばり」,原子力広報誌「あす」により,事故の概要と周辺環境や健康への彫響などについて県民の皆様にお知らせするとともに,県内23の全原子力事業者に対し,施設の安全管理や通報適格体制について点検を要請し,点検結果について6月4日からヒアリングを開始いたしたところでございます。

 また,この事故を踏まえ,危機管理体制の確立を図るため,5月11日に原子力緊急対策班を設置し,事故発生時の対策を迅速・的確に行う体制を整備するとともに,原子力防災計画・防災体制の見直し強化を図るため,「原子力防災体制検討会議」を設置いたしたところでございます。今後さらに,学識経験者等を含めた「原子力防災対策検討委員会」を設置し,福井県等との緊密な情報交換も行いながら,原子力安全対策の充実強化を図ってまいりたいと考えております。

 

(防災体制の充実強化)

 

 次に,防災体制の充実強化についてでありますが,災害時における災害応急対策の総合的かつ円滑な実施を図るため,備蓄倉庫,飲料水兼用耐震性貯水槽及びヘリコプターの臨時発着場を備えた広域防災活動拠点を県西総合公園内に整備し,5月1日に竣工式を行ったところであります。この広域防災拠点は,県内初のものであり,県内外からの応援要員の後方支援基地,救援物資の輸送・集積・配分拠点となるものであります。4月1日から運用を開始した震度情報ネットワーク及び地震被害予測システムとあわせ,災害に強い県土づくりを推進してまいります。

 

(集中豪雨・降ひょう災害)

 

 次に,去る5月24日から25日にかけての集中豪雨により,県北地域を中心に橋の流出や家屋の浸水などの被害が発生いたしました。また,翌26日には県南・県西地域の一部において降ひょうによる農作物の被害が発生いたしました。

 被災されました方々に対し,心からお見舞い申し上げます。今回の災害による公共施設の復旧につきましては,既に計上している災害復旧費等で対応してまいりますとともに,農作物の被害に対しましては,病害防除のための技術指導など適切な処置を講じてまいりたいと存じます。

 

(行財政改革・地方分権の推進)

 

 さて,現下の重要課題であります行財政改革の推進についてでありますが,去る5月8日に、行政改革推進本部において,9年度の実施計画を決定したところであります。これに基づき事務事業の見直し,事務処理の簡素効率化などに引き続き取り組んでまいりますとともに,県出資団体調査特別委員会のご報告を踏まえ,県出資法人の見直しにも取り組んでまいります。

 また,国におきましても,行政改革会議や財政構造改革会議において,聖域のない行財政改革が進められようとしており,地方財政にも大きな影響が予想されるところであります。さらに,地方分権推進委員会から,団体補助負担金の整理合理化や地方税財源の充実強化,必置規制の整理合理化などについての第二次勧告が近々出される予定と伺っており,地方分権の受け皿として,地方の側の体制整備のための一層の努力が必要とされております。

 このため,現在の「行政改革大網」の推進期間終了後の平成10年度以降も,従前にも増して強力に行財政改革を推進していく必要があり,今年度中に有識者で構成する「行政改革推進懇談会」の意見を踏まえ,新たな行財政改革大綱を策定してまいりたいと考えております。

 

 (首都機能誘致)

 

 次に,首都機能の誘致についてでありますが,去る4月7日には,参議院の「国会等の移転に関する特別委員会」の委員の方々によります,茨城中央地域の現地視察があり,当地域の優位性につきましてご理解をいただいたところでございます。

しかしながら,国におきましては,6月3日に,財政構造改革の一環として,「首都機能移転問題について慎重な検討を行うことを提起する」との閣議決定を行い,計画延期の方向で検討されていると聞いております。県といたしましては,首都機能移転は,東京一極集中の是正,国政改革の促進のみならず,我が国全体の災害対応力の強化を図るためのものであり,財政改革とは別の視点に立って早急に取り組む必要があると考えておりますので,今後とも国の動向等を十分に・見極めながら適切に対応してまいりたいと存じます。

 

(常磐新緑沿線整備)

 

 次に,常磐新線沿線開発についてでありますが,鉄道と沿線開発の一体的かつ円滑な整備を図る観点から,かねてより.豊富な技術的ノウハウを持つ住宅・都市整備公団に対しまして.葛城及び萱丸の2地区の施行を要請してまいりました。このたび公団から,事業に参画するとの回答を得まして,この2地区の事業主体が決定いたしました。これにより,つくば地区の沿線開発はもとより,新緑の整備にも弾みがつくものと考えております。

 

(都市緑化の推進)

 

 次に,都市緑化の推進についてでありますが,去る4月26日に国営常陸海浜公園で皇太子殿下・同妃殿下のご臨席を仰ぎ,第8回全国「みどりの愛護のつどい」が開催され,お蔭をもちまして成功裡に終了することができました。また,翌27日から5月5日まで開催いたしました「花と緑のフェスティバル いばらき97」には,県内外から約40万人の方々が訪れ,緯豊かな潤いのあるまちづくりを進める上で大きな成果をあげることがでさました。これを契機として今後とも,一層都市線化の推進に努めてまいりたいと考えております。

 

(腸管出血性大腸菌O157対策)

 

 次に,腸管出血性大腸菌O157による感染症についてでありますが,本年に入ってから,本県でも既に8名の患者が発生しております。これから食中春の多発時期を控え,県としても,早い時期から給食施設や食品提供施設に対する監視指導を徹底するはか,県民に対する広報,啓発に努めるなど,発生の予防に万全を期してまいります。

 

(「大河ドラマ「徳川慶喜」茨城県推進協議会」の設立)

 

 次に,ご承知のとおり,平成10年のNHK大河ドラマが,本県ゆかりの「徳川慶喜」と決定いたしたところでありますが,これを契機に本県の素晴らしさを県内外にPRし,観光客の誘致の促進などを図るため,5月21日に,県,市町村,民間が一体となった全県的な推進組織である「大河ドラマ「徳川慶喜」茨城県推進協議会」を設立いたしました。

 本協議会におきましては,偕楽園や弘道館,西山荘など慶喜公や水戸徳川家ゆかりの名所,旧跡などを中心に,本県の豊かな歴史・文化や観光資源を全国に紹介・宣伝することによって,本県のイメージアップを図り,観光・文化の振興と地域の活性化を強力に推進してまいりたいと考えております。

 

(21世紀に向けた産業振興方策の策定)

 

 次に21世紀に向けた産業振興方策の策定についてであります。まず、「21世紀新産業振興プログラム」を策定し、本県固有の情報・通信関連.新製造技術関連など9つの有望分野について,その振興方策を体系化いたしました。また,統一キャッチフレーズ「うまいもんどころ」を活用しながら,日本一の園芸県の実現に向け,本県園芸の一層の振興を図るため,「21世紀に翔く茨城の園芸プラン」を策定いたしました。

 

(インターハイ本県開催の内定)

 

 次に,全国高等学校総合体育大会(通称インターハイ)の本県開催について,去る5月27日付けで全国高等学校体育連盟から内定の通知をいただきました。今後平成14年度の開催に向け,会場地の選定や関連体育施設の整備など万全の準備を進めてまいりたいと考えております。

 

(県立施設等の整備)

 

 次に,県立施設等の整備について申し上げます。

 去る5月14日に「障害者なんでも相談室」を県総合福祉会館内に開設いたしました。この相談室におきましては,障害者やその家族の方々,雇用主や福祉施設の方々が抱えている様々な心配ごとや悩みごとなどについて,相談に応じるとともに,各種の情報提供を行ってまいります。

 次に,県南・県西地域のがんの高度専門的医療を担う筑波メディカルセンター病院地域がんセンターが,この4月に着工いたしました。平成11年のオープンを目指して,整備を促進してまいります。

 また,県立中央病院地域がんセンターと国立がんセンター中央病院との間を専用回線等で結び,テレビカンファレンスや遠隔診断,情報検索などの相互支援を行うがん珍療施設情報ネットワークシステムが5月8日に稼働いたしました。これにより,本県のがん診療・研究レベルの一層の向上が図られるものと期待しております。

 次に,8年連続で宿泊利用率全国第1位を記録している県立国民宿舎「鵜の岬」が去る4月29日に新装オープンいたしました。今後とも,他の観光資源との一層の連携を図りながら,本県の観光振興に大きく寄与でさるよう努めてまいります。

 また,工業技術センター内に整備を進めておりました清酒製造技術研究棟「造酒司(みきつかさ)いばらき」が5月13日に竣工いたしました。今後,この施設を拠点として,県産の良質な酒米や県独自の酵母を使用し,特徴ある「茨城の酒」の製造技術の研究開発に取り組むとともに,その普及や後継者の育成に努力してまいります。

 次に,稲作農家に対する先進技術の研修や最新情報の提供を行うための施設として,龍ヶ崎市に整備を進めてまいりました「茨城県水田農業支援センター」が6月5日にオープンいたしました。今後とも,技術レベルの高い農家の育成や産地間競争に打ち勝てる産地づくりに努めてまいります。

 また,本県の特用林産物の一層の振興を図るため,林業技術センター内に整備を進めておりました「きのこ研究館」が4月にオープンいたしました。最先端の研究機器を利用して,バイオテクノロジーを活用したきのこ類等の新技術開発や生産者に対する栽培技術指導などの支援を行ってまいります。

 次に,利根左岸さしま流域下水道が,6月1日に境町において供用を開始いたしました。県西地域としては,初の流域下水道であり,今後とも下水道普及率の向上に向けて,事業の推進を図ってまいります。

 次に,生涯学習の推進につきましては,これまで各地に生涯学習センターの建設を進めてきたところでありますが,6月5日に鹿行生涯学習センターが開所いたしました。また,土浦市に整備いたしております県南生涯学習センターにつきましても,本年10月の関所を目指し諸準備を進めてまいります。

 

(提出議案等)

 

 次に,提出議寮等についてご説明を申し上げます。

 今回の提出譲案は,条例その他14件,専決処分等の報告5件であります。

 条例は,改正するものが4件であり,「茨城県県税条例の一部を改正する条例」などであります。

 条例以外の議案といたしましては10件で,「北浦村を北浦町とすることについて」などであります。

 報告は5件で,専決処分の報告が1件,予算の繰越についての報告が4件であります。専決処分は,平成8年度一般会計の歳入が確定したことに伴う予算の補正などであります。

 以上で,提出議案等の説明を終わりますが,なお,詳細につさましては,お手元の議案書等により御審議の上,適切な御議決を賜りますようお願い申し上げます。


井手よしひろのホームページに戻る

ご意見等ございましたら、是非、ご一報ください

 

 Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp)