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 臍帯血(さいたいけつ)とは、あかちゃんのへその緒や母親の胎盤にある血管中の血液のことです。
 ほとんどが捨てられているこの臍帯血を移植することによって、血液のガン「白血病」などを根本から治療することが出来ます。
 このページは、公的な臍帯血バンクの整備・充実と臍帯血移植を進めることを目的に開設いたしました。

 白血病など血液の病気に対しては、骨髄移植が行われています。しかし、骨髄移植は提供者(ドナー)に全身麻酔が必要なため、負担が大きく、普及が進まない現実がありました。そこで、出産時のへその緒などに残る臍帯血を利用する研究・治療が進められています。ドナーへの負担もなく、骨髄移植より簡単・安全な治療法として、臍帯血を凍結保存しておく「臍帯血バンク」の整備拡充が待望されています。

臍帯血移植の利点は、

 『造血細胞の増殖能力高く異常反応が少ない』

 『白血球型が一部不適合でも移植可能』

 『出産数の1割採取で全ての白血病児が救える』

 骨髄組織に異常が生じて起きる、白血病や再生不良性貧血、悪性リンパ腫といった血液の病気の有効な治療法としては、正常な骨髄を移植する方法があります。

 骨髄には、血液をつくり出す造血幹細胞が大量に含まれています。白血病などの患者に、他人の正常な骨髄を移植すると、新しい骨髄から正常な血液がつくり出され、病気を治すことが出来ます。

 ところが、骨髄移植には大きな壁があります。移植するためには、患者と提供者の白血球の型(HLA)が一致しなければなりません。しかし、血液型などと違って、白血球の型がすべて一致する確率は血縁者では4分の1と高率となりますが、非血縁者では数1000分の1といわれ、適合する骨髄を持つ提供者を捜すのは、極めて難しいのが現状です。また提供者は骨髄採取のために入院したり、全身麻酔を受けるなど負担も大きく、骨髄バンク事業普及の隘路となっています。
 参考:日本骨髄バンクのホームページ

 そこで、骨髄移植を補う治療法として注目されているのが、骨髄同様、造血幹細胞を含んでいる臍帯血の移植です。臍帯血とは、あかちゃんのへその緒や母親の胎盤にある血管中の血液のことです。血液採取の際、提供者への負担が全くないことのほか、骨髄と比べて優れた特徴がいくつかあります。

 造血幹細胞には、移植されると白血球、赤血球、血小板などをつくる多能性幹細胞や、例えば赤血球など一種類の血液しかつくらない単能性細胞が存在します。移植で重要なのは、多能性細胞が多く含まれているかどうかですが、臍帯血には骨髄よりも密度が高く、しかも増殖能力の高い多能性細胞が多く含まれています。増殖能力は、増加率4.6〜22.7倍、平均10.7倍で骨髄平均の2.6倍と比べ、はるかに優れた能力を持っていることが確認されています。密度も、骨髄の血液と比べ、5〜10倍も高いのです。

 さらに、大きな利点として挙げられるのが、白血球の型の適合する確率が1000分の1程度と極めて高いことです。しかも、白血球の型が1、2種類異なっていても移植できるという特徴を持っています。「百人の臍帯血があれば一つは移植できる」ほどの高い確率を持っていると言われています。また、移植後に起きる異常反応である、移植片対宿主病(GVHD)という病気も起こりにくいという利点もあります。

 しかし、難点もあります。へその緒や胎盤から採取するため、血液量が少ないことです。一回の出産で採取できる血液は50〜250ml、平均で80ml。密度が高いため、体重1kg当たり3〜5ml(骨髄移植では10ml)の移植で済むが、それでも体重30〜40kgまでの患者への移植に限られ、臍帯血移植は主に子どもの白血病などが対象となっています。

 臍帯血移植は、現在までに約200の移植例があり、特に体重50kg以下の小児においてその治療効果と有効性が確認されております。

 平成10年1月より、国はさい帯血移植事業を進めていくための検討会を設置し、公開の場における審議を重ねた結果、平成11年8月に「日本さい帯血バンクネットワーク」を設立し、財政支援をすることになりました。

 日本さい帯血バンクネットワークは、全国各地のさい帯血バンクが共同で5年間に2万個のさい帯血を保存することを目標としており、さい帯血移植に必要なHLA(白血球の血液型)情報の全国一元管理など、移植が公平かつ安全に行われるための事業を行うことを目的として設立されました。

 ネットワークでは、これまで各さい帯血バンクごとに管理されていた、保存さい帯血の情報(移植の可否を決めるHLA型、細胞数及び感染症検査)を共有・管理し、移植を必要としている患者さんの主治医及び移植医療機関が検索を行えるコンピュータシステムを開発しました。これまで患者さんに適合するさい帯血の検索は各バンクごとに行われていましたが、全国的ネットワークでの検索が可能になり、より多くの移植希望者に治療機会を提供できることになります。

 今後は、採取・保存方法についての標準化を検討し、感染症に対する対策の検討など、より安全な、さい帯血の保存と提供を目指して事業を行うことを目的としています。
 参考:臍帯血バンクネットワークのHP

 年間約120万件の分娩(べん)の10分の1が採取できるようになれば、造血幹細胞移植を必要とするほとんどすべての子どもの患者を救うことができると計算されています。そのためには、臍帯血採取に協力できる病院を増やすとともに、バンク維持の費用に対する公的な援助が必要となります。血液採取や検査、保存施設などで、一件当たり年間5万円の費用が掛かります。一日も早い公的資金の導入が望まれます。

 また、臍帯血移植への保険適用も不可欠です。臍帯血移植を血液事業法の中で法的に位置づけるための、法改正も必要になります。

 骨髄移植推進財団によると、今すぐ骨髄移植をしなければならない患者が現在、5000人以上もいます。臍帯血バンクの体制を充実させ、採取可能な病院を整備すことで、一人でも多くのかけがいのない命をみんなで守る必要があります。

 公明茨城県本部(幹事長・井手よしひろ県議)では、「日本臍帯血バンク支援ボランティアの会」(有田美智世代表)と協力して、平成9年秋の臨時国会に「公的臍帯血バンク」設立に向けての署名運動を展開しました。

 その結果、県内でも2万人近くの皆さまにご協力いただき、全国では60万人分のご署名を頂戴いたしました。

 その後このホームページを立ち上げるなど、茨城県で積極的に臍帯血バンクの啓発に取り組んできました。

 県当局や県立県立こども病院などの積極的な取り組みが功を奏し、2000年4月までに9名の患者に臍帯血移植が実施され、いずれも好成績を納めています。

 公的臍帯血バンクネットワークが患者第一の原則のもと、国民の財産として真に次代の医療に貢献するものになるように、私たちは、見守っていかなくてはなりません。今後とも皆さまのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。


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