消費税引き上げ反対ロゴ

 Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp) 最終更新日:1996/SEP/7

消費税反対の絵  不景気なのに消費税率を現在の3%から5%へ引き上げることをあっさり決めた橋本内閣。

国民に開かれた議論を行わないばかりか、前提条件の行政改革を先送りにし、高齢化社会の展望も示さず、国民不在のウソと公約違反が浮き彫りになっています。

そこで、なぜ、私たちは政府の消費税率引き上げに反対するのか、理由を述べてみたいと思います。


なぜ! 消費税率引き上げに反対するのか

 理由その一・・・国民的論議が全くない

 消費税率の引き上げは、自社さ政権が今年6月、国会が住宅金融専門会社(住専)処理でごたごたしている会期末に、大慌てで正式決定されました。

 税率見直しの期限は9月30日まであるのに、政府は3カ月以上もさかのぼって来年4月からの引き上げを決定してしまったのです。

 橋本内閣は徹底的な議論を行わないばかりか、引き上げへの経緯を国民に説明することすらしません。

 わずか4日間という密室で、しかも「身内の議論」だけで決めてしまっては説明のしようがないのでしょう。

 特に、消費税反対を叫んで党勢を伸ばしたことのある社民党は、その政策の転換を分かりやすい言葉で国民に説明をする義務があると思います。

 消費税率引き上げを前倒しで早々と決めたのは、マスコミでも「今秋以降と見られる解散・総選挙と消費税論議の時期が接近すると、選挙への悪影響を避けられないと考えたからだ」(「朝日」6・21付)と指摘されたように、国民生活よりも党利党略を優先させたことがはっきりしてしまいました。

 理由その二・・・行政改革が全く進んでいない

 政府は来年4月からの引き上げは、既に法律で認知されている問題、と説明していますが、94年11月に村山政権下で成立した改正消費税法の付則には、税率決定に際して、

 [社会保障などの財源確保

 \行政・財政改革の推進状況

 ]消費税などの課税適正化

 ^財政状況−−

 を総合的に勘案して検討することが明記されているのです。

 特に、行政改革の推進は消費税率見直しの前提条件であり、村山政権時からの事実上の公約です。公約実行は政党、政治家の生命線のはず。自社さ政権は2年近くもいったい何をしていたのか。

 行政改革を推進するどころか、細川・羽田政権で進み始めた改革を全てストップさせてしまいました。

 公約を平然とホゴにする自社さの与党三党には、政党としての資格すらないといっても過言ではありません。

 7月の東京新聞の全国世論調査によると、引き上げに「反対」「どちらかといえば反対」が合わせて82%に達し、「賛成」「どちらかといえば賛成」の合計17%を大きく上回りました。政府が税率引き上げの前提として公約してきた行財政改革についても81%が「進んでいない」と、国民の評価は最低です。

 理由その三・・・不況に逆戻りする

 今、消費税を引き上げることは景気や経済への影響も計り知りません。

 新進党の税制調査会が景気と消費税の関係について、景気に及ぼす影響を試算したモデル(日経ニーズ・マクロモデル)を基に検討したところ、消費税率を5%に引き上げた場合、補正予算の有無、特別減税の継続、取りやめにかかわらず、97年度の実質国内総生産(GDP)は、96年度の2%台から1%台に落ち込むと予測。

 これに対し消費税率を3%に据え置いた場合、いずれのケースでも97年度の実質GDPは2%台を維持するとしています。

 消費税率を5%に引き上げることは「(景気に対する)『暖房効果』である補正予算や特別減税をはるかにしのぐ『クーラー効果』がある」(新進党の野田政審会長)というわけです。

 経済企画庁の試算によれば、97〜99年度の実質成長率は毎年0.9%低下するとしています。

 これでは不況への逆戻りが必至ですが、専門家の分析では国民の買い控えや経済不安の増大などで影響はそんな程度で済まないというのが支配的です。

 住専処理で税金をムダ遣いし、財政を悪化させる原因をつくっておきながら、財政が厳しいからといって取りあえず消費税の税率を引き上げるというやり方は、膨大な財政赤字がある限りいつでも税率を引き上げようという安易な行為を容認することになり、財政再建など到底及びません。

 財政が厳しいからこそ、大胆な歳出削減などによる財政再建計画などの前提条件を提示した上で、消費税率の変更について国民に理解を求めるのが手順であり、筋でしょう。

 理由その四・・・弱い者いじめ

  消費税率を一方的に引き上げる自社さ政権は、「弱い者いじめの政権」といえます。

 五%への引き上げは、国民一人当たりに換算すると、年間約4万円、4人家族で約16万円の負担増になるとみられます。

 経企庁の試算では消費者物価も1.5%上がると見込まれます。

 超低金利の下、金利から物価上昇分を差し引いた実質金利はマイナスになり、預金の目減りは、それでなくても経済的に苦しい年金生活者らを直撃します。まさに高齢者世帯にとっては、増税とのダブルパンチを受けることにもなります。

  その一方で、消費者が納めた税が国庫に入らないという、不公平な益税問題は放置されたままで、食料品の非課税や年金生活者など低所得者に対する政策的配慮といった逆進性を是正するための措置も何ら講じられていません。

結論に代えて・・・国民の世論で『5%阻止は可能』

 こうした政府の横暴に対して、私たち公明は現在、消費税率の引き上げ阻止へ向けて全国的なキャンペーンを展開しています。

 政府が5%への引き上げを決めたといっても3%据え置き法案を国会で成立させれば、引き上げ阻止が可能となります。

 たとえ来年4月以降になって消費税5%が確定しても、新進党が政権を取れば「3%」に戻すことができます。

 次期衆院選は、「政権交代を可能にする」小選挙区比例代表並立制で行われます。消費税や住専問題での国民の怒りの鉄ついを加える絶好のチャンスといえましょう。


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