県議会本会議速報

平成9年 第4回定例県議会本会議 速 報

<平成9年12月2日 火曜日 午後1時開議>

平成9年 第4回定例県議会本会議 知事所信表明・提案説明要旨

 第4回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。

(行財政改革・地方分権の推進)

 まず、現下の最重要課題であります行財政改革の推進について申し上げます。

 国におきましては、少子高齢化や経済のグローバル化などが急速に進行する中、新しい経済社会システムを創造するため、行政改革、財政構造改革など6つの改革を一体的に推進しているところであります。

 このうち、行政改革につきましては、新時代に対応できる簡素で効率的な行政体制の実現を図るため、中央省庁の数を現在の1府21省庁から1府12省庁に再編する案が、ほぼ定し、2001年から新省庁体制に移行することとされるとともに、財政構造改革につきましても、集中改革期間における主要経費ごとの削減目標等を定めた「財政構造改革の推進に関する特別措置法」が、この国会において成立したところであります。

 このように、国におきましては抜本的な行財政改革に取り組んでいるところでありますが、地方公共団体におきましても、国と同様行財政改革に努め、行政組織の簡素・効率化や財政の自主的、自立的な健全化を図ることが急務となっております。

 本県の今後の財政収支見通しを試算しますと、公共投資を今年度当初予算と同水準に据え置いても、人件費や公共投資等義務的経費の増加などにより、平成10年度以降毎年度約1千億円もの財源不足が見込まれております。一方、年度間の財源調整を図るための一般財源基金は、今年度末には約540億円程度に減少する見込みであり、このままでは平成10年度の不足額さえも補填できない状況にあるなど、本県財政は大きな危機に直面しております。

 このため、行財政改革を引き続き強力に進めていく必要がありますので、行財政改革調査特別委員会でのご審議や、行政改革推進懇談会のご意見などを踏まえ、組織機構等の簡素・効率化や職員数の削減などといった県内部の改革に努めるとともに、歳出全般にわたる聖域のない事務事業の見直し、公共事業の抑制や大規模建設事業の見直しなどについて、具体的な検討を進めているところでございます。

 今後、財政健全化方針や定員適正化計画などを含む新たな行財政改革大綱を年度内に策定し、総力を挙げて行財政改革に取り組んでまいる覚悟でございます。

 また、地方分権につきましては、去る10月9日に地方分権推進委員会から第4次の勧告が出され、国においては平成10年の前半にも「地方分権推進計画」を策定する予定とされております。

 これからは、対等、協力という国・地方公共団体の新たな関係の下で、我々が自らの貴任において考え、行動し、個性的で活力ある地域社会を築いていく必要があり、そのためには、社会経済情勢の変化に柔軟かつ弾力的に対応できるよう、体質を強化してまいらなければなりません。

 このため、地方自治の新時代を自ら切り拓き、県民の期待に応えられる、簡素で効率的な行政体制の整備・確立に努めるとともに、市町村の行財政能力の一層の充実を図るための広域行政の推進にも努めてまいります。

(原子力施設における事故について)

 次に、11月20日未明に、日本原子力研究所東海研究所のウラン濃縮研究棟で発生いたしました火災についてであります。

 この事故は、同棟原子蒸気実験室入口付近に置いてあったカートンボックスが燃えたもので、従事者や周辺環境への影響はありませんでしたが、消火活動に入るまでに時間を要し、また、事故発生時の迅速な通報連絡が適切に行われなかったことは、原子力安全協定の趣旨に反するものであり、住民の信頼感を損なうことになりかねず、はなはだ遺憾であります。県及び関係市町村は、同日原子力安全協定に基づく立入調査を実施するとともに、21日には東海村長と連名で、安全管理体制の改善、放射性物質取扱施設での火災等の発生時における迅速な消火活動等の体制及び方法の確立、事故・故障発生時の情報伝達体制の改善などについて、原子力安全協定に基づく改善措置を要求いたしたところであります。

また、25日には、県内24原子力事業所の代表者に対して、原子力施設の安全管理体制、 火災等発生時の初期対応体制及び通報連絡体制などについて再度点検を行い、安全管理の徹底を図るよう要請したところであり、今後とも原子力安全対策の充実強化を図ってまいりたいと考えております。

(衛生行政について)

 次に、夏季一時金をめぐる労使の対立から、計画的な採血業務が出来ない状況が続いていた茨城県赤十字血液センターの問題についてであります。

 県といたしましても、血液の円滑な供給を図ることは、医療行政を支える上で最も重要な課題の一つでありますので、茨城県赤十字血液センター所長に対し、血液の自給自足及び経営の健全化に向けての体制の整備を、全職員を挙げて早急に図るよう強く勧告するなど、問題の解決に向けて全力で取り組んでまいったところであります。

 この結果、昨日、労働争議は解決し、通常の採血業務が再開できることとなりました。この間の県議会、ライオンズクラブ、連合茨城、県経営者協会などのご尽力に感謝申し上げますとともに、県といたしましては、今後とも、血液の安定供給に向けて、血液センターに対する指導の強化、地域における献血組織の拡充など更なる努力を続けてまいりたいと考えております。

 次に、県立医療大学付属病院と遠隔地の市町村保健センター等をネットワークで結び、リハビリテーションの訓練や相談、講演などをテレビ会議システムを活用して行う、地域リハビリテーションネットワークシステムモデル事業について、このたび笠間市との協議が整い、同市の保健センターとの間で業務が開始されることになりました。これにより、遠隔地にいながら医療大学の先進的な機能訓練等が受けられるようになり、地域リハビリテーションの推進に大いに寄与するものと期待いたしております。

(ワールドカップフランス大会への出場決定)

 次に、サッカーのワールドカップについてでありますが、1998年ワールドカップフランス大会のアジア第3代表を決定する試合が、去る11月16日に行われ、日本が見事勝利を収め、長年の悲願であった本大会への出場権を獲得いたしました。

 国民の声援が結実し、この試合結果に現れたものであり、2002年の我が国でのワールドカップ開催にも大きな弾みをつけるものと期待しております。

 今後は、日本、そして鹿島での大会開催の成功に向け、開催気運醸成のための広報PR、スタジアムや道路の整備など、茨城で開催してよかったと言われる大会となるよう万全の準備を進めてまいります。

(筑波研究学園都市の整備)

 次に、筑波研究学園都市の整備についてであります。

 筑波研究学園都市は、昭和38年の閣議了解により国家プロジェクトとして建設が始まって以来30数年を経過し、日本を代表する世界的な研究開発拠点に成長してまいりましたが、さらに常磐新線緑や圏央道などの具体化により新たな発展段階を迎えようとしております。

 こうした状況を踏まえ、現在、国・県において、学園都市整備の基本指針であります「研究学園地区建設計画」、「周辺開発地区整備計画」の改定作業を進めているところであり、先月には、国土庁と共同で設置した「今後の筑波研究学園都市の整備に関する研究委員会」や、県が設置した「今後のつくばを考える懇話会」から、それぞれご提言をいただいたところでございます。

 今後、これらのご提言を踏まえながら、本年度未を目途に両計画の改定を行い、学園都市が我が国の科学技術中枢拠点都市、そして21世紀のモデル都市として発展できるよう、その整備に努めてまいりたいと考えております。

(商工業の振興について)

 次に、創造的企業に、自社製品の展示・商談の場、投資家との出会いの場を提供するため、ベンチャーテクノフェアを、去る11月11・12日の2日間つくば市内において、77杜の出展を得て開催しましたところ、首都圏のメーカー、商社、ベンチャーキャピタルなど、2千人を超える入場者があり、活発な商談が行われました。

 これらの販路開拓の支援をはじめ、テクノエキスパート派辻事業、マネジメントエキスパート派遣事業や、無担保融資事業などを通じて、創造的企業の育成を積極的に推進してまいります。

 次に、大河ドラマ「徳川慶喜」推進事業とそれに関連した観光キャンペーンについてであります。

 まず、水戸市と共同で千波湖畔に建設中の徳川慶喜展示館につきましては、予定通り来年1月開館の運びとなりました。大河ドラマ放映を契機とした観光振興の中核的施設として、様々な広報室伝活動を展開し、県内外の多くの観光客の皆様にお出でいただけるよう努めてまいります。

 また同時に、来年の常磐線全線開通100周年を記念して、JR6社と共同で全国規模の「デスティネーションキャンペーン」を実施してまいります。新たな体験・学習型の19の旅行コースを「いばらきあいの道」として設定したうえ、1泊2日の歩け歩け大会「ツーデーマーチ」や観光地をめぐるスタンプラリー、水郡線のSL運行といった各種のイベントを実施するほか、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などを使った大規模なキャンペーンを実施し、大河ドラマ放映と併せて、本県の観光を積極にPRしてまいります。

(世界湖沼会議の出席について)

 次に、去る10月26日から31日にかけて、アルゼンチン共和国ネウケン州のサン・マルチイン・ヂ・ロス・アンデス市のラカール湖畔において開催されました第7回世界湖沼会議ラカール’97に出席してまいりました。

 10、月27日の開会式におきまして、開発途上国の研究者等の世界湖沼会戦への参加を支援するとともに、併せて本県の開発途上国に対する国際貢献を目的として創設いたしました「いばらき霞ヶ浦賞」の授与式を行い、優れた論文をまとめた9組29人に授与いたしました.

 会議は36カ国約500名の参加を得て、各国の研究者などが各分科会での発表やポスター発表を行う中、成功裏に終了いたしたところでございますが、特にいばらき霞ヶ浦賞や本県の参加団には注目が集まったことをご報告させていただきます。

(天心記念五浦美術館の開館について)

 次に、近代美術館、つくば美術館に次ぐ3番目の県立美術館として、新たな芸術文化活動の拠点を目指し、北茨城市に整備を進めておりました天心記念五浦美術館が、去る11月8日に開館いたしました。美術館では、天心の業績を中心に、近代日本美術の黎明期から現代までの流れを紹介してまいりますが、現在、開館を記念して、横山大観の「屈原(くつげん)」、菱田春草の4点の重要文化財などを含む名作を中心に、「天心と五浦の作家たち」展を開催しているところでございます。

 今後とも、一人でも多くの皆様に近代日本美術の素晴らしさを気軽に楽しんでいただけるような企画運営に心がけ、芸術文化の振興と地域活性化に資することができるよう努めてまいる所存でございます。

(提出議案等)

 それでは、提出議案等についてご説明を申し上げます。

今回の提出議案は、条例その他12件、一般会計及び特別会計決算の認定1件、専決処分の報告1件であります。

 条例は、改正するもの2件であり、今後、弘道館への来客の増加が予想されることから、閉庁日に一般開放している県庁構内駐車場を大型バス等にも利用させるため所要の改正をしようとする「茨城県行政財産の使用料徴収条例の一部を改正する条例」などであります。

 条例以外の議案といたしましては10件で、県有財産の取得などであります。

 次に、認定は、平成8年度茨城県一般会計改び同特別会計歳入歳出決算の認定であり、報告は、専決処分の報告であります。

 以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお、詳細につきましては、お手元の議案集等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。


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