県議会本会議速報
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平成13年 第4回定例県議会本会議

知事提案説明要旨

<平成13年12月4日 火曜日 午後1時開議>

 提案説明に先立ちまして、謹んで一言申し上げます。

 このたび皇太子同妃両殿下御夫妻に、内親王殿下がお健やかに御誕生されましたことを、心からお慶び申し上げます。内親王の御誕生は、皇室はもとより国民が等しく待ち望んでおりましたところであり、今後、御母子ともに御健康に御留意なされ、お健やかに内親王殿下が御成育されますよう心からお祈り申し上げます。

 次に、平成13年第4回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。

雇用・景気対策

 我が国経済は、輸出、生産、設備投資が減少し、個人消費が弱含みで推移するとともに、雇用情勢は厳しさを増し、失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、景気は一段と悪化しております。また、先行きにつきましても、米国における同時多発テロ事件等の影響もあり、世界経済が同時的に減速するなど、懸念が強まっております。

 政府は、こうした状況を踏まえ、中長期的な視点に立ち、個人消費をはじめ民需主導の持続的な発展を図るため、各般の構造改革を積極的に推進することを経済財政運営の基本とすべきとの観点から、去る10月に、構造改革を進めていく上で先行して決定・実施すべき施策を「改革先行プログラム」として決定し、その実施のため、雇用対策を最重点とする歳出規模約3兆円の補正予算を11月16日に成立させたところであります。

 県におきましても、国の対策と連携しつつ、悪化する雇用情勢への対応をはじめ、緊急に取り組むべき諸施策を実施するため、10月補正に引き続き、今回総額約108億円に上る補正予算を編成いたしました。

 その概要を申し上げますと、緊急雇用創出基金の設置や離職者支援資金創設などの雇用対策に約95億円、少子高齢化やIT化に対応するための福祉・教育関係の施設設備整備事業に約11億円を計上いたしましたほか、セーフガード関連対策、牛海綿状脳症対策、緊急テロ対策など、緊急に取り組むべき事業につきまして予算措置を講じました。

 県といたしましては、引き続き、景気の動向に十分留意しながら、今後予定されております国の第2次補正予算との連携を図りつつ、県内経済の活性化や雇用及び中小企業に係るセーフティネットの整備に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

原子力施設火災事故

 次に、原子力火災事故についてであります。

 去る10月31日に、核燃料サイクル開発機構大洗工学センターの高速実験炉「常陽」メインテナンス建家内で火災が発生いたしました。

 この火災による放射性物質等の放出はなく、環境中への影響はありませんでしたが、周辺住民の方々に大きな不安をいだかせたところであります。

 県といたしましては、県原子力安全協定に基づき、翌日、関係市町村とともに立ち入り調査を実施する一方、11月8日には、核燃料サイクル開発機構に対し、事故原因の徹底究明と万全な再発防止対策を講じること、さらに、それまでの間「常陽」の改造計画に係る作業を再開しないことなどについて措置要求を行ったところであります。今後とも、原子力施設に対する賓全対策の強化に努めてまいりたいと存じます。

牛海綿状脳症対策

 次に、牛海綿状脳症(BSE)対策についてであります。

食肉処理場における検査体制につきましては、去る10月18日から全国一斉にスクリーニング検査が開始され、本県におきましても必要な機器類の整備や機動的な人員配置等を行い、全力で新たな検査に取り組んでいるところであります。

 先月21日には北海道で国内2頭目の、そして一昨日群馬県で国内3頭目のBSEに感染した牛が確認されましたが、現在のところ本県における検査結果はすべて陰性となっております。

 また今回の補正予算におきましては、新たな検査体制に対応した食肉処理場の施設整備に対する助成や検査要員の拡充、牛肉販売促進キャンペーンの実施などに要する経費を計上いたしますとともに、国に対しまして、発病メカニズム及び感染経路の早期究明、スクリーニング検査体制整備に対する十分な支援、検査開始前の国産牛肉の全量買い上げと焼却処分の実施、特定危険部位や肉骨粉の処理に係る費用に対する負担などにつきまして、強く要望しているところであります。

 今後、県といたしましては、県民の皆様に安心して牛肉を食べていただけるよう検査の徹底に努めますとともに、安全性についてのPR、さらには、畜産農家や関連事業者に対する支援等を行い、BSE対策に万全を期してまいりたいと考えております。

農産物セーフガード関連対策

 次に、農産物セーフガード関連対策についてであります。

 急増する輸入農産物の影響対策として、ねぎや生しいたけなど3品目について発動されましたセーフガード暫定措置は、11月8日で200日間の期限が終了し、現在引き続き中国との間で政府間協議が行われているところであります。

 本県におきましては、先の10月補正予算におきまして、コスト削減や集出荷体制の整備等による競争力の高い産地づくりを目指して、県内のねぎ及び生しいたけの産地改革計画策定に対する支援を行うこととしましたが、さらに今回の補正予算におきまして、産地改革に必要な機械、の導入について、新たに助成措置を講ずることといたしました。

 これらの農産物は、暫定期間終了後、輸入数量が昨年同期の水準に概ね達するなど、これから一番の需要期を迎え輸入の急増が懸念されておりますが、産地自らが生産、流通の構造改革に取り組み競争力をつけるには、一定の猶予期間が必要でありますので、県といたしましても、セーフガードの本格発動を国に要望いたしますとともに、引き続き産地に対する支援を行ってまいります。

危機管理体制の整備

 次に、危機管理体制の整備についてであります。

 9月に米国で発生した同時多発テロ事件を契機に、危機管理に対する県民の関心が高まるとともに、その重要性が改めて認識されているところであります。

 このため、去る11月8日付で、「茨城県危機管理対策本部」の設置要綱を定め、迅速に初動体制を確立し、トップダウンによる情報の収集・分析や対策の決定などを行う新たな危機管理体制を整備いたしました。今後とも、県民の生命、身体、財産を守り、安全で安心できる社会と暮らしの実現に努めてまいりたいと存じます。

 また、特に心配されております炭症菌等による生物化学テロ対策につきましては、警察と保健所の連携による24時間の調査・防疫体制の確立や衛生研究所を中心とした検査体制の整備、医療機関等との連携による医療体制の確保、医薬品の備蓄などに努めているところであり、今回の補正予算におきましても、必要な検査機器や装備・資機材等の整備費を計上いたしました。

行財政改革・地方分権の推進

 次に、行財政改革及び地方分権の推進についてであります。

 本県財政は、依然として危機的状況が続いており、現在、平成14年度当初予算編成に向けて、行財政改革大綱及び財政再建プランに基づき、事務事業の総点検や組織・機構の簡素効率化、未利用財産の売却等による歳入確保など、財政の健全化のための徹底した取り組みを行っているところであります。

 しかしながら、巨額の財源不足を解消し、分権時代にふさわしい行政を推進していくためには、地方独自の取り組みだけでは限界があり、現行の地方税財政制度の抜本的な見直しによる財政基盤の充実が不可欠であります。

 このため、地方消費税及び個人住民税の充実などによる国から地方への税源移譲や地方交付税総額の安定確保などにつきまして、引き続き、国に対し要請を行っているところであります。

 また、政府において道路公団等の見直しが、専ら中央の観点から議論されている事態を憂慮し、43道府県知事と連携し先月には、高速道路ネットワークの国における責任ある整備を求める緊急アピール等を行ったところでありますが、今後とも引き続き、所要の道路財源の確保並びに計画どおりの整備推進を国に強く働きかけてまいります。

 一方、地方分権を実効あるものにしていくための課題の一つである、市町村合併につきましては、このたび、つくば市と茎崎町の合併協議が整い、来年11月1日の合併を目指して去る11月12日に合併の調印が行われました。

 これまでの関係者のご努力に敬意を表しますとともに、県といたしましては今後とも様々な施策を通じまして、市町村の自主的な合併を支援してまいりたいと存じます。

IT革命への対応

 次にIT革命への対応についてであります。

県におきましては、昨年10月に「茨城県IT戦略会議」を、設置しご議論をいただいてまいりましたが、去る11月7日に最終報告書が提出され、電子県庁の構築、ITを活用した産業振興や豊かな暮らしの創出、人材育成・学校教育の情報化、高速大容量情報通信基盤の整備方策など、幅広い分野にわたるご提言をいただきました。

 今後、県といたしましては、この報告書を受け、IT関連施策の基本的方向を示す指針及びその具体化を図るアクションプランを策定しながら、本県独自の特色あるIT戦略を計画的かつ着実に展開してまいりたいと存じます。

 その一環として、今回の補正予算におきましては、県立学校について原則として本年度内に校内LANを整備するための経費を計上いたしたところであります。

国際熱核融合実験炉の誘致

 次に、国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致についてであります。

 文部科学省のITER国内サイト適地調査専門家会合が去る10月18日に取りまとめた最終報告書におきましては、本県那珂町が適地として最も高い評価を得たところであります。

 今後、政府において日本誘敦が早期に決定されますとともに、専門家会合の最終報告書を十分踏まえ、那珂町が最終的な国内候補地として選定されるよう、県議会をはじめ関係の皆様と連携しながら、引き続き積極的な要望活動を行ってまいりたいと存じます。

ワールドカップの開催準備

 次に、ワールドカップの開催準備にっいてであります。

 今月1日に、韓国釜山におきまして本大会組合せ抽選会が行われ、カシマサッカースタジアムにおける対戦カードが決定いたしました。

 アルゼンチン対ナイジェリア戦、ドイツ対アイルランド戦、イタリア対クロアチア戦と、3試合いずれも屈指の強豪シード国が登場する好カードとなり、カシマサッカースタジアムに全世界の熱い視線が注がれ、感動の舞台となるものと思われます。

 開催まで200日を切り、いよいよ正念場を迎えますので、交通輸送、警備等の対策に万全を期しますとともに、ホスピタリティの向上を図り、県民一体となって世界の方々を温かくお迎えしたいと存じます。

つくばエクスプレスの整備推進

 次に、つくばエクスプレスの整備推進についてであります。

 まず、鉄道の整備・運営主体である首都圏新都市鉄道株式会社がマイカル関連社債を保有し、結果的に大きな損失を被ることとなりましたことは誠に遺憾であります。その後、会社において対応についての検討が進められてまいりまレたが、先月29日の取締役会におきまして、資金運用方針の抜本的な見直し等の今後の対処方針が決定されるとともに、経営陣の責任等についても明らかにされました。

 今後は、平成17年度開業に向け、関係者が一丸となって鉄道建設並びに沿線整備に取り組み、県民の皆様の期待に応えてまいりたいと存じます。

 なお、鉄道工事につきましては、今月12日に守谷町と谷和原村にまたがる車両基地内でレール発進式が行われ、初めてレールの敷設工事に着手される予定となるなど、工事・は新たな段階を迎えております。

県立施設等の整備

 次に、県立施設等の整備についてであります。

 まず、水戸赤十字病院につきましては、「基幹災害医療センター」として指定を受け、本館の整備が進められてまいりましたが、去る11月10日に竣工いたしました。

県北地域の中核病院としての役割とともに、災害時における医療の中心的役割を果たしてくれるものと期待しております。

 また、茨城県済生会が整備を進めておりました「龍ヶ崎済生会病院」が完成し、12月1日に一部診療を開始いたしました。

 診療科目数11科、病床数210床、第2次救急医療に対応でき、総合的な診療機能を有する地域中核病院として、今後、龍ヶ崎地域の医療水準の向上に大きく寄与してくれるものと期待しております。

 次に、道路の整備につきましては、国道125号阿見土浦バイパス及び都市計画道路荒川沖木田余線が、今月20日に一部開通の運びとなりました。これにより、土浦市南部から阿見町にかけての慢性的渋滞の解消と、国道6号や国道354号、常磐自動車道桜土浦インターチェンジへのアクセスの向上が図られることを期待しております。

提出議案等

 次に、提出議案等についてご説明申し上げます。

 今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、条例その他20件、認定1件、報告1件であります。

 まず、一般会計の補正予算についてであります。

 今回の補正予算におきましては、先に申し上げましたように、国の「改革先行プログラム」に基づく雇用対策やセーフガード関連対策、牛海綿状脳症並びに緊急テロ対策等、国の補正予算に関連する経費を中心に予算措置を講ずることといたしました。

 補正予算の財源としましては、国庫支出金や交付税措置のある県債を活用し、所要の一般財源6億6、500万円につきましては、平成12年度からの繰越金を充当することといたしました。

 次に、歳出の主なものについて申し上げます。

雇用対策としまして、
  緊急雇用創出基金積立金74億5100万円
  緊急雇用創出基金活用事業費1億3100万円
  離職者支援資金貸付事業費補助19億2600万円
  職業転換能力開発費800万円

セーフガード関連対策としまして、
  産地構造改革特別対策事業費補助5400万円

牛海綿状脳症対策としまして、
  牛海綿状脳症検査費5200万円
  牛海綿状脳症関連牛処理施設整備支援事業費2100万円

緊急テロ対策としまして、
  感染症等危機管理強化事業費900万円
  警察運営強化費900万円

その他の事業としまして、
  私立保育所整備費補助1億7800万円
  放課後児童クラブ整備費補助5900万円
  情報教育等推進整備費2億7900万円
  老人福祉施設整備費補助5億4500万円
  原子力緊急時医療施設整備運営費3500万円
などであります。

 これらによる今回の補正予算の総額は107億8400万円となり、この結果、補正後の一般会計の予算総額は1兆1127億1600万円となります。

 また債務負担行為は、新規1件であります。

 次に、条例その他の概要についてご説明申し上げます。

 条例は、新たに制定するもの2件、改正するもの12件であります。

 新たに制定する条例は、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律の施行に伴う「公益法人等への職員の派遣等に関する条例」及び緊急雇用創出事業に係る基金を設置するための「茨城県緊急雇用創出基金条例」であり、一部を改正する条例は、キャンピング車に係る自動車税率の改正並びに地方税法改正に伴う自動車税のグリーン化等を行うための「茨城県県税条例の一部を改正する条例」、県立看護専門学院等の専修学校化及び水戸看護専門学院の中央看護専門学院への統合再編等を行うための「茨城県看護専門学院及び看護専門学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」などであります。

 条例以外の議案といたしましては6件で、工事請負契約の締結、土地改良事業に関する事務の委託などであります。

 次に、認定は、平成12年度茨城県一般会計及び同特別会計の歳入歳出決算の認定であり、報告は、専決処分の報告が1件であります。

 以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。


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