県議会本会議速報
平成12年 第4回定例県議会本会議
速 報
<平成12年12月1日 金曜日 午後1時開議>

知事提案説明要旨

平成12年12月1日

 平成12年第4回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。

経 済 対 策

 我が国経済は、緩やかな改善が続いており、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが続いておりますが、依然として雇用情勢は厳しく、個人消責も概ね横ばいの状態が続いております。

 政府は、こうした状況を踏まえ、公需から民需への円滑なバトンタッチに万全を尽くし、景気の自律的回復に向けた動きを本格的回復軌道に確実につなげるとともに、我が国経済の21世紀における新たな発展基盤の確立を目指すとの観点から、経済対策として、去る10月19日に「日本新生のための新発展政策」を決定し、その具体化のため、事業規模約11兆円の補正予算を11月22日に成立させたところであります。

 県におきましても、厳しい財政事情の下ではありますが、国の対策と連携しつつ、県内経済を力強い回復軌道に乗せるため、今回の補正予算において、全会計で総額354億円に上る経済対策を講ずることといたしました。

 その概要を申し上げますと、国の経済対策に伴い、国補公共事業を約275億円、県単公共事業を約17億円それぞれ追加するとともに、保育所や老人ホームなどの社会福祉施設の整備事業、IT(情報通信技術)講習の推進などのIT関連事業、さらには、原子力関係の防災資機材の整備事業などに、約62億円上乗せ追加計上いたしました。

 今後は、この経済対策を速やかに実施に移すとともに、引き続き景気の動向や国の対応に十分留意しつつ、県内経済の本格的な回復に向け、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

県計画の改定

 次に、茨城県長期総合計画の改定についてであります。

 昨年11月に茨城県総合計画審議会に対して、計画改定についての諮問を行い、ご審議をいただいておりましたが、去る11月24日に答申をいただき、本日、平成13年度を初年度とする改定計画を決定いたしたところであります。

 改定計画では、現計画のいばらきづくりの基本理念であります「愛されるいばらきの創造−−新しいゆたかさかがやく未来−−」を継承しつつ、新世紀を展望し、少子・高齢化、情報化、グローバル化などの時代の潮流や茨城の特性を踏まえた見直しを行いながら、各分野にわたる施策を総合的、重点的かつ戦略的に展開していくため、12の「愛されるいばらきづくりプロジェクト」を新たに設定いたしております。

 今後、本改定計画を新たな県政運営の指針として、生活者の視点を重視しつつ、県のみならず、県民、企業、NPOなどの多様な主体との連携と協働の下、誰もが快適な生活環境のもとで、安心して、生きがいのある人生を送ることができるよう、ゆとりと潤いそして活力のある地域社会の実現を目指していくとともに、

 陸・海・空の広域交通ネットワークを最大限生かしながら、本県が人・物・情報などの一大交流拠点となることを目標として、全力を尽くしてまいる所存であります。

参考:茨城県長期総合計画の改訂について

IT革命への対応

 次にIT革命への対応についてであります。

 政府は、「IT戦略」を「日本新生」の最も重要な柱とし、全ての国民がインターネット等によるデジタル情報を基盤とした情報・知識を共有し、自由に情報を交換することが可能となる「日本型IT社会」の実現を目指して、「IT基本戦略」を淑りまとめるとともに、「IT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)」を今国会で成立させたところであります。

 本県におきましても、幅広い視点からIT革命への対応を進めるため、「茨城県IT戦略会議」を設置し、去る10月26日に第1回の会議を開催いたしましたが、委員の皆様から、県のITへの取り組みに関する課題等につきまして、さっそく、活発なご意見、ご提言をいただいたところであります。

 また、去る11月15、16日には、全国に先駆けて、つくばカピオを会場として、21世紀の中小企業のIT戦略をテーマに、中小企業ITフェアを開催いたしましたが、基調講演をはじめ、国内トップのIT関連企業の出展、IT相談、IT活用成功事例発表などに、2日間で3千人を超える来場者があり、県内中小企業の方々のITへの関心の高さを窺うことが出来ました。

 さらに、2001年の新千年紀のスタートに際し、本年12月31日から1年間、全国規模でインターネット博覧会が開催されますが、本県としても「科学技術と未来」をテーマとしたパビリノオン「未来科学館」を出展し、先進的な科学技術を有するいばらきのイメージアップを図ってまいりたいと考えております。

 また、先に申し上げましたとおり、今回の補正予算において、IT関連事業経費として約20億円を計上いたしましたはか、来年度の予算編成に当たりましては、IT関連施策を重点的に推進するため、「新世紀いばらき重点化枠」のテーマの一つに、情報交流空間の創造を設けたところであります。

 今後、県といたしましては、「茨城県IT戦略会議」のご意見、ご提言等を踏まえながら、電子県庁の構築やITを活用した産業の振興、県民サービス向上のためのITネットワークの整備など、幅広い分野で、本県独自の特色あるIT戦略を展開してまいりたいと考えております。

原子力安全対策

 次に、原子力安全対策についてであります。

 まず、核燃料サイクル開発機構の東海再処理施設の運転再開についてでありますが、本施設につきましては、本年3月27日に核燃料サイクル開発機構から運転再開の申し入れがあり、県といたしましては、5月19日の県原子力安全対策委員会において国及び県の調査結果に基づき安全性を確認していただきましたところから、7月24日、県の原子力審議会に運転再開についての諮問を行い、精力的にご審議をいただいておりましたが、10月30日に「運転再開を認めることは差し支えないものと考える」との答申をいただきました。

 この答申には、国や核燃料サイクル開発機構に対して、安全確保の徹底などに関する5項目の意見が付帯されたところでありますが、県といたしましては、再開を判断するに当たり、これらの意見等に対し、国及び核燃料サイクル開発機構から誠意ある回答が得られましたので、地元の東海村長と協議の結果、11月10日に運転再開を認めることとし、その旨を回答いたしました。

 今後とも、東海再処理施設をはじめとする全ての原子力施設に対して、安全対策の更なる強化を要請し、安全で安心できる県民生活の確保に努めてまいりたいと存じます。

 また、原子力防災計画につきましては、本年6月に原子力や危機管理などの専門家で構成する県原子力防災対策検討委員会を設置し、JCO臨界事故などを踏まえた原子力防災計画の見直し方針について検討をお願いしておりましたが、本日、同委員会から報告書が提出される予定となっております。

 今後は、この報告書を受け、来年2月に予定されております県防災会議において、原子力防災計画の改定を行ってまいります。

行財政改革・地方分権の推進

 次に、行財政改革及び地方分権の推進についてであります。

 本県財政は、現時点での財政収支見通しによりますと、平成13年度及び14年度の2年間で、なお2,000億円に及ぶ税源不足が見込まれ、依然として、再建団体転落という最悪の事態をも想定せざるを得ない、危機的な状況が続いております。

 このため、現在、本年2月に改定した行財政改革大綱等に基づき、全庁挙げて行財政改革に取り組んでいるところでありますが、平成13年度当初予算編成に向けて、事務事業の総点検や組織・機構の簡素効率化、未利用財産の売却による歳入確保など、なお一層、財政の健全化に向けて取り組んでいかなければならないと考えております。

 一方、地方分権を実効あるものにしていくための課題の一つである、市町村合併につきましては、合併に伴う市制要件の緩和を国に対し要望してまいりましたが、昨日、合併特例法の改正案が国会で可決され、これにより、来年4月1日には、潮来町と牛掘町の合併により、県内21番目の市、「潮来市」が誕生できことになりました。

 また、本年1月から合併パターンの検討を「茨城県市町村合併推進委員会」にお願いしておりましたが、委員会では、10月には素案を公表して、広く県民の皆様からご意見をいただくなど、慎重に審議を重ねられ、昨日、将来目指すべさ合併パターンと段階的に気運醸成を図るべき合併パターンの2つのパターンを内容とする報告をいただいたところであります。

 参考:茨城県の市町村合併について

 県といたしましては、この報告をもとに、本年中に合併パターンを含む市町村の合併の推進についての要綱を策定し、住民の方々の意向を踏まえた自主的な合併をさらに推進してまいりたいと考えております。

(常磐新緑の整備推進)

 次に、常磐新線の整備推進についてであります。

 常磐新線建設の上で大きな課題となっておりました、財団法人日本自動車研究所の施設の移転につきましては、去る9月21日に研究所側と合意に達しましたほか、沿線開発のための土地区画整理事業におけるつくば市の負担につきましても、10月13日に協議が整い、決着することができました。

 今後とも、土地区画整理事業の年度内の事業認可取得に向けて、鋭意手続きを進めるなど、平成17年度の常磐新線の開業及び沿線地域の整備に、全力を尽くしてまいります。

常陸那珂港の利用促進

 次に、常陸那珂港の利用促進についてであります。

 去る8月に、常陸那珂港とその周辺地域が、輸入促進地域(いわゆるFAZ)となり、その中核施設として、荷捌き・保管施設に加え、流通加工施設、情報化オフィスなどを備えた「ひたちなかFAZ物流サイト」の整備が、第3セクターの株式会社ひたちなか都市開発により進められてまいりましたが、このほど完成し、本日供用開始されたところであります。

 また、常陸那珂港の外貿定期航路につさましては、本年4月の極東ロシアとの問の月2便の一般貨物船の就航、8月の韓国釜山との間の週1便のコンテナ航路の開設に続き、この度、アメリカ西海岸のエパレット港との問に月2便の北米定期コンテナ航路が開設され、去る11月19日に第1船が入港いたしました。

 今回開設された北米定期コンテナ航路では、常陸那珂港が東日本で唯一の、かつ日本で最初の寄港地となりますことから、これを中継港として、新たに2つFAZ中核施設の供用開始とあわせ、今後、港の利用が大いに進み、ひたちなか地区の発展にとりまして、大さな一歩となるものと期待しております。

 さらに、その後、北米、欧州、ニュージーランドとの問にRORO船による3つの定期航路の開設が決定し、11月29日に北米からの第1船が入港するなど、今後、順次入港が予定されております。

 今後とも、新たな国際物流拠点の建設をめざし、定期コンテナ航路などのさらなる誘致、常陸那珂港の一層の整備を推進してまいりたいと存じます。

参考:常陸那珂港について(県土木部のHP)

西暦2000年酸性雨国際学会の開催

 次に、西暦2000年酸性雨国際学会の開催についてであります。

 本学会は、同学会組織委員会並びに日本学術会議が主催し、環境庁及び茨城県の協賛により、今月の10日から16日の7日間、つくば国際会議場において、

 天皇、皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、世界各国から約1千人の研究者等が参加して、アジアで初めて開催されるものであります。

 今回の会議では、酸性汚染物質の発生や生態系、文化財への影響等の各分野にわたる酸性雨問題の科学的解明、並びに次世代を配慮した環境教育問題をテーマに、調査・研究発表や講演などが行われ、その成果は、地球環境科学の今後の進歩に大きな学術上、技衝上の影響を与えるものと期待されております。

県立施設等の整備

 次に、県立施設等の整備についてであります。

 まず、県立医療大学についてでありますが、県ではリハビリテーション医療の専門化や高度化に対応し、保健医療分野における教育者及び指導者の育成を図るため、来年4月の開設に向け、文部省に大学院設置の認可申請を行ってまいりました。

 この度、今月下旬には設置認可が下りる見込となったため、学生募集や入学試験実施のための関係条例の改正案を今回提出いたしたところであります。

 大学院設置を契機に、県立医療大学が、教育研究の進展と本県医療水準の向上に、さらに大きく寄与してくれるものと確信しております。

 次に、下妻市の小貝川に架かる国道125号の「祝橋」が完成し、去る11月15日に供用を開始いたしましたが、今年度中には、橋梁前後の2.4キロメートル区間の4車線化が完了する予定であり、これを契機に、朝夕の慢性的な交通渋滞が大きく緩和されるものと期待しております。

提出議案等

 次に、提出議案等についてご説明申し上げます。

今回の提出議案は、予算の補正に関するもの3件、条例その他17件、認定1件、報告2件であります。

 まず、一般会計の補正予算についてであります。

 今回の補正予算においては、先に申し上げましたように、国の「日本新生のための新発展政策」に基づく経済対策関連経費を中心に、予算措置を講ずることといたしました。

 補正予算の財源としましては、国庫支出金や交付税措置のある県債を活用し、極力一般財源の持ち出しを抑えることとし、所要の一般財務35億6,600万円につきましては、平成11年度からの繰越金を充当することといたしました。

 次に、歳出の主なものについて申し上げます。

 国補公共事業費 254億6,500万円

 県単公共事業費 17億500万円

 IT関連事業としまして、

 情報通信技術(IT)講習推進特例交付金事業費 13億3,600万円

 IT学習環境整備事業費 4億1,000万円

 電子自治体推進緊急整備事業費 3,900万円

 児童健全育成活動情報化緊急推進事業費 5,100万円

 情報教育等推進整備費 9,800万円

その他の事業としまして、

 保育所整備費補助 2億7,900万円

 老人福祉施設整備費補助 17億500万円

 介護予防拠点整備事業費補助 6億1,600万円

 地方卸売市場施設整備事業費補助 4,900万円

 地域畜産環境対策事業費補助 7,700万円

 防災活動資機材整備費 12億円

 新大洗水族館整備事業費 1億2,600万円

などであります。

 これらによる今回の補正予算の総額は333億7,800万円となり、この結果、補正後の一般会計の予算総額は1兆1,286億900万円となります。

 また、債務負担行為としては、(仮称)空港テクノパーク造成委託契約、ゼロ国債に係る国補公共事業の工事請負契約など新規7件であります。

 次に、特別会計の補正予算についてであります。

 特別会計は、流域下水道事業の補正など2会計の補正で、総額20億7,000万円、債務負担行為が新規2件、変更2件となっております。

 次に、条例その他の概要についてご説明申し上げます。

 条例は、新たに制定するもの4件、改正するもの7件であります。

 新たに制定する条例は、情報通信技術に関する基礎的な技能の講習の推進を図るための「茨城県情報通信技衝講習推進基金条例」、土地区画整理事業の施行に伴う「研究学園都市計画事業島名・福田坪一体型特定土地区画整理事業施行規程を定める条例」などであり、一部を改正する条例は、県立医療大学に大学院を設置するための「茨城県立医療大学条例の一部を改正する条例」、県南広域工業用水道及び県中央広域水道の料金の改定を行うための「茨城県工業用水道条例の一部を改正する条例」及び「茨城県水道条例の一部を改正する条例」な、どであります。

 条例以外の議案といたしましては5件で、工事請負契約の締結、(仮称)空港テクノパーク造成事業用地の淑得などであります。

 次に、認定は、平成11年度茨城県一般会計及び同特別会計の歳入歳出決算の認定であり、報告は、専決処分の報告が2件であります。

 以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。


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