公明月報に「奮闘手記」掲載

公明月報99年3月号P56
公明月報
1999年3月56〜59ページ


県の情報ネットを拡充

 私は、平成6年の12月の茨城県議会議員選挙で初当選をしました。県議会の第一印象は、議会と県民とが大きく乖離している、議会情報があまりにも県民に知らされていないということでした。

 なんとかこのような状況を打破して、県民のための県政を実現するためにはどのようにすべきか悩んでいた時に、パソコンによるインターネットにめぐり会いました。

 インターネットの特徴は、少ない経費と労力で、さまざまな情報を全世界に発信できることです。

一般的なパソコンとモデムと呼ばれる通信機器、そして電話回線があれば、誰でもが簡単にインターネットにホームページを開設し、情報の送り手になることができます。

インターネットにホームページ「ホットラインひたち」を開設

 平成7年4月全くの独学で、インターネットのホームページ「ホットラインひたち」(http://www.y-ide.com)を開設しました。内容は、県議会本会議の議事録や委員会での発言の要約、県や地元市町村から出される様々な情報の掲載、日常の議員活動報告などでした。

 また、県議会事務局内の閲覧しか許されていない「県議会議員の資産・所得・関連会社報告」もホームページに転載して、県民に全面公開しました。

 こうした内容のほかに、タイムリーで主張性のある特集企画のページも作成してきました。「反対消費税5%」「動燃事故情報ボックス」「県立カシマサッカースタジアム改築問題を考える」「介護保険を考える」「公的臍帯血バンクを支援するページ」など、議員として得られた情報を県民に還元することを大前提として、公明党の主張を一人でも多くの方に理解していただけるよう、イラストやグラフなどを多用して見やすいページづくりに努力しました。「反対消費税5%」のページには、多くの反響があり、100通以上のメールが寄せられてきました。「介護保険を考える」には、2万4千件ものアクセスがあり、中には他県の自民党県議会議員からのアクセスもありました。「公的臍帯血バンクを支援するページ」では、臍帯血バンク支援ボランティアの有田美智世さんのご協力も得て、臍帯血バンクへの理解を深められるページ作りを心がけた結果、毎日のように、一刻も早いバンク設立を願う声が全国から寄せられています。

 地元新聞やパソコン専門誌に10数回紹介され、ホームページにアクセスしてくださる人数も順調に増加してきました。開設から2年9ヶ月程経過した現在(1月20日)では、3万5千件以上の来訪者が記録されています。掲載した文書の総数は669文書(容量5.4MB)、400字詰め原稿用紙で4360枚分となり、写真やイラスト・グラフは1105枚(容量で17.5MB)に上りました。政治家のインターネットを評価している方からは、「議員のホームページとして、情報量ではトップクラス」(http://www.yk.rim.or.jp/~sousou/politic/)との評価をいただくまでになりました。

 具体的なホームページの作成は、できるだけ一度作ったデータを再利用するように心がけ、労力をできるだけ軽減しています。たとえば、ワープロで作った文書(自分の質問原稿や要望書など)はそのままインターネット用の言語に変換することができます。印刷されたデータは、スキャナーと呼ばれる光学読取機で処理をすると、インターネットで活用できるようになります。

 写真等は、デジタルカメラやビデオから直接入力できますので、現像代などの費用もかからず、その場で処理できるため日をあけずに掲載ができるようになります。

 最近は、一日の活動を終え、夜10時頃から1〜2時間程度パソコンに向かうのが日課になりました。自分の一日の戦いを総括するためにも、有効な一時となっています。

 12月の県議選の後、いただいたメールが大変印象的でしたので転載させていただきます。

 「はじめまして、日立市在住の33歳、会社員です。さすがに、県議さんだけあって、情報量の多さと、質の高さには驚いています。特に慢性的な交通渋滞に日々、悩まされている私にとって、道路整備計画のページはとってもためになる情報ばかりで、メールを書かずにはいられませんでした。市報などでは情報が足りません。今後もより充実したホームページの作成をよろしくお願いします。今回の選挙では井手さんに投票しませんでしたが、次回にはきっと一票を投じたいと思います。...たぶん。」

茨城県の高度情報基盤整備を推進

 こうした自らのホームページでの情報公開と主張・意見の発信作業と同時進行で、県の情報基盤整備と発信される情報の内容充実に努力してきました。

 まず、平成7年から8年にかけては、茨城県内のインターネットサービスの立ち上げに全力を挙げました。私が、ホームページを開設した7年の春頃では、インターネットの入り口であるプロバイダーのアクセスポイントが、県内の主要都市に限られ、このままでは県内の情報格差が広がってしまう懸念がありました。そこで、県の呼びかけで「茨城県高度情報化推進協議会」を設立し、民間の業者では採算の合わない小規模の都市でも、県内すべての市外局番ごとにアクセスポイントを設置した半官半民のプロバイダー「ネットいばらき」(http://www.net-ibaraki.ne.jp/)を平成8年1月に立ち上げました。この「ネットいばらき」の設立により、県民誰でもが市内通話料金で全世界からの情報を受け取ったり、発信することができる基盤が確立しました。

 また、この「ネットいばらき」の拠点施設(NOC)を、社会福祉法人「茨城福祉工場」(http://www.net-ibaraki.ne.jp/ifc/)に誘致しました。身体にハンデキャップのある方でも、やる気と知識のある方であれば健常者とおなじ仕事ができるはず、との確信で、いわゆる福祉作業所内に拠点施設を作り、障害のある方に実際に運営に当たっていただいています。障害者の自立と最新の情報化への取り組みが見事にドッキングでき、全国的にも注目されております。

 県内全域をカバーするインターネット網が整備できたことを機会に、県立学校へのインターネットの導入を提案しました。この提案は、平成9年と10年度の2カ年で実現し、県内のすべての県立学校からインターネットにアクセスが可能となりました。

全国に先駆けてインターネットによる行政情報を充実

 また、インターネットを活用した県の情報提供を推進してきました。最初に所属した総務企画常任委員会で、茨城県の公式ホームページの開設を繰り返し要望し、平成7年の7月に実現しました。現在では、全国的にもトップクラスのアクセス数を記録しています。(茨城県のホームページ:http://www.pref.ibaraki.jp/)

 自治体のホームページの多くが観光パンフレット的内容に止まっていますが、県民への情報提供型のホームページを目指すよう再三提案してきました。

 知事の記者会見の内容やその参考資料も平成10年4月より掲載を開始しました。

 また、県の正式な公示媒体である「県報」もPDFという新しい技法を提案して、来年度より全文が掲載されることになっています。県報のインターネットでの公開は、全国初の試みになると思われます。

 県のホームページ以外にも、特筆するインターネット情報が茨城県では誕生しています。

 例えば、県営住宅の空室情報を公開しています(http://www.mito.ne.jp/~ijk/index.html)

 これは、県営住宅の管理に当たっている県住宅管理協会が昨年春より公開しているもので、現在入居可能の県営住宅がリアルタイムで表示されています。入居の希望者は、どの団地が入居できるか、どの部屋は空いているのか、どのような間取りで家賃がいくらなのかが、いつでも、誰でも、無料で検索できるようになっています。

 県の総合福祉センターでは、福祉データベースを公開しています(http://www.ibaraki-welfare.or.jp/)。市町村ごとに異なる福祉のメニューをすぐに探し出し、連絡先を調べることができるようになっています。

県立図書館の電子化も完了しました(http://www.lib.pref.ibaraki.jp/)。県立図書館の蔵書を、自宅にいながらインターネット上で検索することができようになりました。

県議会のホームページ(http://www.pref.ibaraki.jp/gikai/index.html)も、平成9年11月にスタートさせました。自民党などの抵抗もあり、まだまだ満足できる内容ではありませんが、第一歩は踏み出せたと考えています。全文検索が可能な議事録のデータベースも、いつでもインターネット上に公開できるよう準備が完了しています。

 平成9年夏には、県選挙管理委員会のホームページ(http://www.pref.ibaraki.jp/senkan/index.html)を開設しました。県選管のホームページは全国でも唯一、低迷する選挙の投票率を上げるために、また、開票速報をより早く、正確に提供するために威力を発揮しています。

インターネットを福祉分野でも活用

 今後のインターネットの活用を考えるとき、忘れてならないことは福祉の分野への活用だと思います。ネットいばらきの拠点施設を茨城福祉工場という障害者の作業場に設置し、大きな成果を得たことは先に触れました。四肢に障害がある方にとっても、インターネットは社会とのコミュニケーションをとる有効な手段です。目や耳などに障害がある方にとっても、音声読み上げソフト等を活用すれば、十分にインターネットを活用することができるようになりました。

 さらに、お年寄りにとっても、機器の進歩によって取り扱いが簡単になれば、インターネットは狭まった行動半径を飛躍的に拡大するツールとなることは確実です。

 こうした福祉分野へのインターネットの活用を推進するためには、パソコンなどのセットアップやソフトウェアの開発、障害者やお年寄りに基本的な扱い方を教えるなどといったボランティアの育成が是非とも必要になります。

 また、こうした活動の場となる福祉インターネット教室などのような施設が不可欠になってきます。

茨城県においては、NPOによるパソコンボランティアの育成・組織化や現県庁舎(4月に新庁舎に移転予定)内への福祉パソコン教室の開設などを、今後推進していきます。

インターネットは議員活動の最大の武器

 インターネットは無限の可能性を持った媒体であると思います。今後、テレビでインターネットに接続できる装置(WebTV)やディスプレー付きの電話機などの登場によって、さらにインターネットは一般家庭に普及してくると思われます。

 インターネットは、議員の活動の広報媒体やその主張を広く訴える手段として、この上もない媒体です。むしろ、議員が有権者に対するアカウンタービリティーの一環として、インターネットでの情報発信を当たり前のようにする時代が遠からずやってくるのではないかとも思っています。

茨城という保守土壌に、インターネットという情報の武器を持って、県民本意の政治をうち立てていきたいと決意しています。


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