インターネットと政治のロゴ
公選法とインターネット

  このページは、自治省行政局選挙部選挙課から提供いただいた資料を
新党さきがけのホームページで確認させていただき作成いたしました。
Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp) 最終更新日:1996/OCT/24


平成8年10月2日

 自治省選挙部長殿

回 答 願

新党さきがけ      
       政策調査会長 渡海紀三朗

 インターネットのホームページは、その性質上、候補者の経歴や政治信条、公約などをきめ細かく低廉かつ広範に提供できるだけでなく、有権者が自ら求める「候補者情報」をいつでも必要に応じて入手可能とするメディアである。
 投票率が低迷している現状を踏まえ、有権者の選挙への関心を高めるためにも、選挙情報、候補者情報の流通手段の多様化が不可欠であり、ホームページはこの観点から極めて有効であると思われる。この点についての自治省の見解を伺うとともに、以下の各項目について回答を願いたい。

A.インターネット上のホームページの開設と公職選挙法との関係について

 インターネットのホームページは、

  1. 極めて低廉な費用で開設・維持できる、
  2. 電子的記憶としてサーバー上に保持されるものであり、通常の「文書図画」とは異なっている、
  3. 通常のビラ・ポスターの場合と異なり、相手方からアクセスして利用するものであり、候補者等の側が 積極的に「頒布」または「掲示」するものではない
 という特質を有している。

以下、各点について回答を願いたい。

1.(規制の合憲性)
 インターネットのホームページは極めて低廉な費用で開設・維持できる点で、公職選挙法上規制されている他の選挙運動手段(ビラ・ポスター等)と格段に異なっている。もともと、公職選挙法142条・143条等で選挙運動用の文書図画の頒布・掲示を制限しているのは、金のかからない選挙の実現のため必要やむを得ないものであるとして当該制限が合理性ありとされるからである。
 したがって、仮にインターネットのホームページを同法142条・143条違反と解釈運用した場合、当該運用は憲法違反(表現の自由及び政治活動の自由を規制するに当たり、規制目的に照らし規制手段が合理性を欠いている)となるのではと考えるが、どうか。

2.(構成要件該当性)
  a)「文書図画」
 公職選挙法142条・143条は、選挙運動用の「文書図画」を規制している。ところで、インターネットのホームページは電子的記憶としてサーバー上に保持されるものであり、通常の「文書図画」とは常識的には異なっていると考える。同法の「文書図画」に当たるのか否か、当たるとすればその理由は何か。
 あるいは、同法143条2項で規制している「アドバルーン、ネオン・サイン又は電光による表示、スライドその他の方法による映写等の類」に当たるのか否か、当たるとすればその理由は何か。

  b)「頒布・掲示」
 公職選挙法142条・143条が規制しているのは、選挙運動用の文書図画の「頒布・掲示」である。仮にインターネットのホームページが「文書図画」に当たるとしても、通常のビラ、ポスターの場合と異なり、相手方からアクセスして利用するものであり、候補者などの側が積極的に「頒布」又は「掲示」しているものではない。「頒布・掲示」に当たるか否か、当たるとすればその理由は何か。

3.(政党等の政治活動規制)
 インターネットのホームページは公職選挙法201条の5で規制している政治活動手段に当たらないと思うが、どうか。
 仮にインターネットのホームページは選挙運動に用いれば公職選挙法142条・143条違反となるが、それ以外の政治活動として用いれば、政党等が用いても、選挙期間中でも違反ではない(公職選挙法201条5の規制の範囲外)となった場合には、「選挙運動」と「政治活動」の区分けが極めて重要となる。「選挙運動」と「政治活動」の間の線引きはどのようになっているか。

B.具体例

選挙期間中、以下の事例はそれぞれ公職選挙法違反となるか。

 1.候補者のホームページに以下の情報を掲載した場合
  a)氏名
  b)選挙区または活動中心地域
  c)学歴・職歴などのプロフィール
  d)立候補したことを示す記述
  e)候補者自身の公約
  f)所属政党の公約

 2.政党のホームページに以下の情報を掲載した場合
  a)公認候補者等について
   (1)氏名
   (2)選挙区
   (3)学歴・職歴などのプロフィール
   (4)政策主張、コメント
   (5)前国会議員が候補者となる場合、
    議員在職時から掲載されていたその者のプロフィール・政策主張など
  b)党の公約

 3.その他
  a)掲示板に貼るポスターや新聞広告、政見放送時の掲示等にURLを記載すること。
  b)海外のサーバーに、公職選挙法に抵触するホームページの素材をおくこと。
  c)電子メールによる投票依頼。
  d)各自治体やボランティアのホームページに、首長の写真を掲載すること。
  e)通信衛星を利用して演説会を複数の箇所に中継すること。
  f)インターネットを通じて演説会を中継すること。
  g)ホームページにおいて、人気投票の結果を公表すること。
   なお、「世論調査」と「人気投票」の区分けは何か。
  h)インターネット上の情報開示行為は、公選法142条1項の「散布」に該当するか。
  i)インターネット上の情報開示行為は、公選法151条の5の「放送」に該当するか。


 新党さきがけの回答願いと自治省の回答自治省の回答新党さきがけのホームページに

井手よしひろのホームページに戻る
ご意見・情報をお送りください(Email y_ide@jsdi.or.jp)