第4回茨城県IT戦略会議 議事要旨

1 日時:平成13年5月31日(木)12:00〜

2 場所:庁議室

3 内容:

(1) 委員から基盤整備の考え方について、プレゼンテーションが行われた。現在の動向、今後の見通し、茨城県で必要と思われる基盤等について発表された。

(2) 意見交換

議長: ただいまの委員からの発表や事務局からの説明につきまして、委員の皆様方から御意見を伺いたい。

委員: 基盤整備の話は、基本的にはやらなければいけない話。総論は賛成である。しかし、2つほど質問とお願いがある。まず、漏れ伝え聞いている話では、光ファイバ敷設の財源が、国のほうでもまだ確定していないようである。県IT推進室としては、基盤整備の財源をどこから確保するつもりなのか、その辺の見通しをお伺いしたい。それと、ここの区域は何年何月までに整備する、そこの区域は何年何月までに整備する、というように時期をきちんと決めていただきたい。その上で、次回議論していきたいと思う。
 情報通信基盤整備の話については、既に先行している県がある。例えばある県でも既に基盤整備をやっているが、そうした実例に照らすと、今事務局から説明いただいた話の中で、心配な個所がいくつかあった。まず、その県では第三セクターを作ってやっており、知事自ら社長に就任しているが、長期的な展望にたって、ちゃんと外部から人を連れてくるべきである。また、技術力の点でも最高の技術をもった会社にやってもらうべきであり、アドバイザーたちを抱えるべきである。このIT戦略会議のように、年3回程度集まってもらって、業績をきちんと判断してもらうのがいい。それと、行政ITに対するサービスが入っていないのは疑問。これでは、行政が何のためにお金を出したのかが分からない。また、最近は状況がかなり変わってきており、ITで突出していると、これからみんなで一緒にやっていこうという輪に入りにくくなる。茨城県においても、視点を関東全体に広げた方がいいだろう。それと、その県の例は、物流に対する視点が全く入っていない。また、最近茨城の8つくらいの市町村で講演する機会があったが、その際のやりとりで市町村にメールを送ったとき、パソコンは各職員の机の上にあるのに、アドレスが村で1つしかない例があった。首長が、職場の床に配線を巡らすということがどうしても理解できないとのこと。こういう市町村もあるので、県としても、ブロードバンドを引くだけではだめ。無線LANまで視野に入れて、面倒を見ていかないといけない。
 ある国でもブロードバンドが発達しているが、中身はチャットやゲーム、ビデオのみである。コンテンツもしっかりやっていかないと、ブロードバンドの意味がない。いずれにしても、予算をどう確保するかの算段をしていくことが必要であるが、その辺の考えはいかがか。

事務局: 来年度の議論はまだこれからであるが、国辺りで、モデル事業としてお金を出していってもいいような話が出ているように聞いている。その話が本決まりになれば、それを活用していくことも考えられる。財源確保については、これからの我々の仕事である。ランニングコストは最近大分安くなってきているようである。

委員: 民間企業に無料で開放しないのか?

事務局: 場合によっては無料で開放という可能性もある。また、最初の数年間は利用料をとらない等の方法も考えられる。いずれにしても、それはこれからの議論。

委員: 市町村には負担を求めるのか?

事務局: まだそこまで議論はしていない。

委員: その辺の考え方を、次回の会議で是非教えてほしい。それと、「○○を利用するためにはその基盤を使わねばならない」というものを是非入れていただきたい。入札、図面の転送、住民票の取得など。

委員: 基盤整備の話については、反対することは何もない。私も、こういう話を待っていた一人である。県独自の地域メディアは必要である。ただこれまでは、情報発信しきれていないことや、JCO事故への対応等に見られるように、即時性がなかったことなどが問題であった。このブロードバンド時代、比較的低価格で基盤を持てるようになってきた。我々が使うとすれば、逆求人サイト、ショッピングシステムなどが中心であろう。もちろん、ネットを使っただけでは防災はカバーしきれないので、その辺の対応も必要であろう。
 それと、衛星を利用して各家庭まで通すことを考えてもいい。衛星については難しい技術は必要ない。インフラ整備の予算も比較的安いので、是非それも視野に入れてほしい。整備に関する日程を提示いただきながら、議論していけたらいいと思う。

議長: 欠席した委員から事前に意見が提出されておりますので、会議録への記録をお願いします。

委員意見:代読 下記の件、情報通信基盤整備は最も最初に必要な施策と思います。(番号は、検討のポイント番号に該当)
1.ただし、ゆくゆくは、民間移行が必要です。民間プロバイダーが立ち上がって来て、それぞれが活躍する場を開くことが大切です。従って、民間に移行できるシナリオを考えておくことが大切です。どの部分を最初に民間移行できるか?第2弾として、どの部分を民間移行するか?など。また、どうしても民間移行出来ない部分はどこか?さらに、民間と言えども、ある種の公的役割を担ってもらうところはどこか?などを考えて置くことが必要と思います。
2.ネットワークの管理センターを一ケ所と考えている様ですが、管理のミラーセンターをいくつか分散配置して相互監視体制が出来るようにした方がベターです。ある種の危機管理システムですから。
3.運営は大きく固くならないようにすべきです。最初は官主導でも良いのですが、1.でも述べたように本来は民間が行って良い部分です。その時の資金はどのように集めるかが問題ですが。
4.ラストワンマイルについては、ねばり強い調整機能を求められるので、それぞれの利点や弱点を整理しておかれると良いと思います。
5.教育の情報化については、県民のリテラシー向上に関しては、大筋良いとは思います。ただ、専門家集団を作る必要があり、工業技術センターにその集団形成をするのが最適かと考えます。日本全国でこの専門家集団が少ないと思っています。

委員: 学校教育についての意見だが、資料中にも何度も出てきた「活用」が重要だと思う。情報とは何ぞや、というような定義などを教えるよりも、子供たちには情報の活用方法を教えるべきである。

委員: おととい基盤整備済みの県で講演する機会があった。そのとき、その県の人たちと話したことだが、今は「どうしたらもっと使ってもらえるか」という新たな悩みを抱えているようであった。これから県で基盤を整備していくなら、先行しているところの経験に学ぶことは重要である。アメリカでも同じ悩みを持っているようである。そう考えると、基盤整備も大事だが、冒頭の委員の発表にもあったようにサービスインフラが重要である。その上で、必要なアプリケーションも自ら明らかになってくる。サービスインフラがないと、インフラを作っても利用範囲が限定的になる。もちろん、認証基盤等は県だけでは整備できないだろうし、セキュリティもしっかりしておかないといけない。サービスインフラといってもデータセンター等色々あるが、どの辺まで必要なのかの検討も大事である。ここが詰まれば、アプリケーションも決まってくる。
 教育分野についても、基盤の上に立ったアプリケーションと考えることができる。パソコンが使えないのは話にならない。私も、会社に入社したとき、COBOLとかFORTRANなどを教わったが、今では役に立たない。そう考えると、本来教えるべきなのは何なのだろうかと思う。私も「活用」が大事だと思う。e-ラーニングでも、確かにいいコンテンツが出てきている。外国語を勉強するにも、脳科学を利用して、より効率的に学習できるようなソフトが出てきている。パソコンそのものを使えるようにすることも大事だが、教育の現場でメリットを感じられるものを活用していけば、使う側にとってもメリットが感じられると思う。

委員: 私も、基盤整備については異論がない。基盤整備に関する事務局資料中、検討のポイントについては、「整備の必要性」については異論なし。「整備主体・整備方法」については、問題になってくる部分だろうと思う。委員は県がやると理解しているようだが、私は、民間と行政との役割分担が見えていないと思う。そこのところがポイントかと思う。私の意見としては、東京では民間も随分オーソライズされているが、茨城では民間だけでやっていくのは厳しい。県が主体的にやっていかないとインフラ整備は遅くなってしまう。県側に、いくつかの選択肢をある程度整理してもらうと、議論が進むと思う。インフラは、使われなければ意味がない。教育分野とも絡むが、「使う人のリテラシー」と「コンテンツ」の両輪が必要である。近年、インターネットの利便性が強調されているが、インターネットには影の部分もある。教育分野の問題については、インターネットをどう使っていくか、影の部分も含めて議論していくことが必要。
 学校におけるパソコン整備について質問だが、今は技術革新が早い。早めに入れたパソコンについてはどうしていくのか。

事務局: リースで対応している。3年サイクルくらいで新しい機種を入れる予定。

委員: やはりコンテンツが大事であるから、学校にこういうものを定着させていくためには、委員がおっしゃったようにASPを作っていくことも大事である。

議長: それでは、委員、民間の立場からお願いします。

委員: 茨城の基盤整備は大分遅れている。すぐに始めなくてはいけないこと。高速ネットに期待するものとしては、主に動画の送信である。それによって、多くのビジネス発展可能性が生まれる。私の考えとしては、例えば、土浦にある事業所とのテレビ会議、新製品を動画で顧客に紹介、印刷業者とのやりとり、設計図面の送信(セキュリティの問題もあるが)などが考えられる。民間の立場としては、1日でも早く光ファイバが整備されることを願う。整備範囲としては、県では何kmくらい考えているのか?

事務局: 資料の整備イメージでは、大体500km弱くらいと考えている。

委員: そうなると、委員の意見のように、管理センターが1つでいいのか?という問題も出てくる。中小企業としては、1日でも早く基盤が整備されることを願っている。是非とも、有効活用していきたい。

議長: 皆様の意見を一通り伺ったところで、事務局へのお願いを申し上げたい。@基盤整備については、「サービスインフラ」の方が具体的である。委員からも、官民の役割分担、コスト負担などについて整理してもらいたい旨要望があった。こうしたことについて、ある程度の展望がないと議論が進まない。大まかな方向性を出してもらえるとありがたい。A高度情報化推進協議会で行っているサービスプロバイダ事業については、事業開始から4〜5年経って、そろそろ限界がきている。利用者も公的部門が多く、民間サービスプロバイダ事業者に対して競争力が弱い。今後どうしていくか。私としては、公共ネット化していくのが1つの方向性かと思っている。こうしたことも議論に載せていってほしい。
 教育の分野については、やはり小・中・高別々の議論になってくるようである。しかし、これからは、小中の連携、中高の連携、高校と大学の連携が大事であり、それぞれの間の部分が重要である。今後、インターネット時代の教育にどこまで踏み込めるかを示せるといい。また、通信教育もこれからのポイントであり、次回の議論に期待したい。

委員: 今日の議論では海底ケーブルの利用方法についての話がなかったが、その辺はどうなのか?ある県ではうまく活用していないようだが。

事務局: 先日、担当者が調査に行ってきた。その県では、IXセンターを作るなら自分のところが適地ではないかということで手を挙げて、今構想が動き出しているようだが、海底ケーブルとはまだつながっていない。今後、議論を取りまとめていただける中で、茨城県は、東京に近く、つくば・東海などの研究施設もあるなどの特徴があり、競争力があると言う人もいる。今後、県としても手を挙げていく方向で考えている。

委員: 今週の新聞に出ていたが、IT特区に指定されると、数々の優遇措置があるようである。県としても、日立や鹿島辺りを推薦していってもらいたい。

議長: 手を挙げたら本腰を入れないといけない。IT特区構想については、経団連は税制面での優遇措置等に大きな関心を示しているようである。それ以外に、県としても、工業団地的発想で産業団地などを考えていけば、新しい意味での産業創出になる。ケーブル敷設は雰囲気作りになる。栃木県の芳賀工業団地などは、地盤が強固なことが特徴だということだが、そうであれば、茨城県でも大丈夫なのではないか。

委員: 人材育成での話にあったが、情報技術系の新しい分野に精通した人材を育てていくことが大事である。県内に人材が足りずに東京まで出向かなければならないのは大変悔しいこと。それと、平成13年度に、情報技術系人材育成プランがどのように充実されるかについて教えてほしい。

事務局: (土浦産業学院等のカリキュラム等について説明)

委員: 私たちが求めるのは、もう一歩上のレベルの人材である。

事務局: 職業能力開発という観点からやっているので、それ以上となると、民間の大学レベル、専門学校レベルになってしまう。

委員: 商工部門で新産業サービス支援をやっていただいているのはありがたい。しかし、まだ製造業の流れが中心のようだ。新しい商品や製品だと支援の対象になりやすいが、技術としては目新しくなくてもビジネスモデルとしては有効なものがある。新しい製品を作る等の話でないと、どうしても門前払いになってしまう。そういうものへの援助システムができるといい。

事務局: 具体的にはどのようなものがあるか。

委員: 一例だが、ポータルサイトを作ってショッピングモールを作ろうとする人がいるとする。それ自体は目新しい話ではないが、そこに牛乳屋や新聞屋をくっつければ新しいビジネスモデルが生まれる。牛乳屋や新聞屋のように、毎日地区内を回る人たちがiモードを持って、各家庭の注文を受付・送信し、地区内の注文を全てその人たちがさばくシステムを構築するとか。

事務局: 平成13年度に、ITビジネスモデルを支援する事業を立ち上げた。単独企業では難しいが、一定のグループであれば支援可能である。

事務局: お答えになるかどうか分かりませんが、新技術支援事業において、これまではソフト開発は対象に認めていなかったのが、今年度から認めるようになった。今年度の申し込みは、応募数が多かったため、残念ながらもう締め切ってしまったが。

委員: そういう事業に対して、多くの申し込みがあるというのは明るい材料である。

議長: 基盤整備の範囲や整備主体について、今後、重点的に議論していけたらいい。県でやる部分と民間に期待する部分の切り分けがはっきりすれば、おのずから議論が深まる。事務局へのお願いだが、議論の方向性をある程度ペーパーにまとめていただけるとありがたい。次回までにお願いしたいが。

事務局: 選択肢を示す形になるかもしれないが。

議長: 茨城県として、IT特区的な構想をどう考えるか、また、国際IXの構築についてもどう考えるか、その辺りの考えを聞かせてもらえればと思う。お願いが多くて恐縮だが、総論については異論はないので、これから各論をやっていけたらと思う。

事務局:本日はありがとうございました。次回は、7月6日(金)10時半から開発公社で行う予定です。会議室は追って御連絡いたしますので、お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。