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アルコール系燃料ガイアックスを巡る
議論をいばらきから報告します。

最終更新日
茨城県議会議員:井手よしひろ


環境省報道発表資料 平成13年3月1日
アルコール系燃料(ガイアックス)の排出ガス実態調査の調査結果について

 環境省は、最近ガソリン代替燃料として販売され、関心が高まっているアルコール系燃料ガイアックスについて環境保全上の効果を把握するため、ガイアックスを使用した際の自動車排出ガスへの影響について調査を行った。本調査では、四輪車及び二輪車を用いて、自動車排出ガス規制の測定法により、各種物質の排出量の測定をした。
 その結果、ガイアックスは炭化水素分を49.3%、イソブタノールを21.2%、イソプロパノールを12.0%、添加剤としてオクタン価向上剤であるMTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)を17.4%含んでいた。また、ガイアックス使用時の各種物質の排出量は、ガソリン使用時に比べ、一酸化炭素及び炭化水素は改善する傾向だったものの、窒素酸化物は悪化する傾向を示した。その他、二酸化炭素及び燃料消費率はほぼ同等となり、アルデヒド類の排出量は悪化する傾向を示した。これらの主な原因として、ガソリンを燃料とする自動車にガイアックスを使用することにより、排出ガス中の窒素酸化物等を除去する触媒が正常に作動する制御範囲を超えたためと考えられる。

(参考)試験の概要

  1. 試験燃料
     ガソリン100%、ガソリン50%+ガイアックス50%、ガイアックス100%の3種類

  2. 試験車両
    四輪車 ・・・ 乗用車2台(昭和53年規制車(平成11年式(四輪車A)、平成10年式(四輪車B))、1500cc、三元触媒、酸素センサー付)
    二輪車 ・・・ 1台(未規制車(平成8年式)、50cc、キャブレター方式)

  3. 試験項目
    (1) 燃料性状
    (2) 自動車排出ガス試験
    [1]測定方法 ・・・ 四輪車:10・15モード、11モード、二輪車:二輪車走行モード
    [2]測定物質 ・・・ 窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、燃料消費率、アルデヒド類
    (3) 運転のしやすさ(ドライバビリティ)

  4. 試験結果
    (1) 燃料性状
     燃料性状分析結果を表.1に示す。ガイアックスには、炭化水素以外の成分として、主にイソブタノール(全体の21.2%)、イソプロパノール(同12.0%)、MTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)(同17.4%)が含まれていた。

    表1.燃料性状調査結果
    試料名 ガソリン
    100%
    ガイアックス50%
    +ガソリン50%
    ガイアックス
    100%
    密度(15℃) [g/cm3] 0.7393 0.7300 0.7215
    90%留出温度 [℃] 161.0 141.0 103.5
    MTBE [vol%] 0.0 8.4 17.4
    ベンゼン [vol%] 0.9 0.8 0.6
    硫黄分 [ppm] 14.1 6.7 0.7
      インブ
    タール
    イソプロ
    パノール
    メタノール MTEE 炭化水素分
    ベンゼン トルエン キシレン その他の
    炭化水素
    ガソリン100%
    [vol%]
    0.0 0.0 0.0 0.0 0.9 10.3 8.3 80.5
    ガソリン50%
    +ガイアックス50%
    [vol%]
    10.5 6.0 0.0 8.4 0.8 5.2 4.2 64.9
    ガイアックス100%
    [vol%]
    21.2 12.0 0.1 17.4 0.6 0.2 0.1 48.4
    (2) 自動車排出ガス試験
    1) 規制対象物質
     試験結果を図1−1.に示した。ガイアックス使用時の各物質の排出量をガソリン使用時と比べると、車両や走行モードによって若干違いはみられるものの、全体的にみると、一酸化炭素と炭化水素についてはガイアックス使用時の方が少なく、窒素酸についてはガイアックス使用時の方が多い傾向にあった。
     また、四輪車について、各々の規制値・平均規制値と比較すると、規制値を超過するものはみられなかったが、平均規制値を超過するものが一部みられた。
     なお、ガソリン50%、ガイアックス50%を混合した燃料を使用した場合の排出量については、概ねガソリン100%使用時とガイアックス100%使用時の間の値となった。
     
    2) 二酸化炭素、燃料消費率
     試験結果を図1−2.に示した。二酸化炭素、燃料消費率とも、ガソリン使用時とガイアックス使用時では、それほど違いがない結果となった。
     
    3) アルデヒド類
     試験結果を図1−3.に示した。全体的にみると、アルデヒド類の排出量は、ガイアックス使用時がガソリン使用時に比べ、多い傾向となった。
     
    (3) 運転のしやすさ(ドライバビリティ)
     冷間始動性、加速性及びシャシダイナモメータ上での運転性評価については、二輪車の冷間始動性が悪化したが、そのほかの項目でガイアックス燃料使用によるドライバビリティへの影響は認められなかった。
     
    (4) 総括
     ガイアックスをガソリン代替として使用した場合、ガソリンに比べて一酸化炭素、炭化水素の排出量は少ないものの、窒素酸化物については多い傾向となった。これらの原因としては主として、ガソリンを燃料とする自動車にガイアックスを使用することにより、排出ガス中の窒素酸化物等を除去する触媒が正常に作動する制御範囲を超えてしまったためと考えられる。

図1−1.自動車排ガス試験結果(その1)
図1−2.自動車排ガス試験結果(その2)
図1−3.自動車排ガス試験結果(その3)
環境省環境管理局総務課
 環境管理技術室
 室     長:安藤 憲一(6551)
 室 長 補 佐:酒井 雅彦(6552)
 担     当:高橋 一彰(6554)

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