日立の穴 第8号

−ポポーの実(?)からワイン??−

「十王町でポポーの実からワインを作っている」という話を聞きました。さて、
ポポーって何でしょう?始めはポーポーワインかと勘違いするくらい良くわから
ぬその植物。茨城にそのような怪しい名前の植物が生息していたとは、これはひ
とつ行って、真相を明らかにしなければいけません。            

『ポポーワイン完成祝賀会』。ここに行けば全てが分かると聞き、勇んで出かけてきました。行くと会場整備のため、皆さん走り回っておられて、何か聞くどころではありません。「今から始まる祝賀会を聞くと何でもわかります。」と言われて突然祝賀会のお客さんになりすますことになりました。
ポポーの実というのはポポーの木からとれます(あたりまえです)。戦後の十王開拓農家の庭の角などに植えられるようになったポポーは、明治時代に北アメリカからやってきました。温暖果樹で寒さにも強いポポーは、5年から6年で結実する、アケビによく似た実をつけます。木の形は違いますが、実はみかけも味もアケビのようで、熟すとクリーム状になり甘い香りがする、栄養価の高いものです。当時としては、大切なエネルギー源のひとつだったのでしょうね。
さて、話は現在に戻ります。十王町は、周囲の人達が誰でも知っているとおり、海山が豊かで自然の美しい場所です。訪れる人も多いのですが、特産物となるコレ、というものがなにもありません。「十王町には何かお土産になるような特産品はないのですか?」と聞かれることもしばしばだった十王町商工会の人達は考えました。そんな時、平成3年から国が『村おこし事業』を開始しました。十王町は翌年平成4年から特産品開発委員会を結成しました。
総勢25名という特産品開発委員会員はワイン、お菓子、飴、アイスクリームなどの試作品をひねりだし、最後に残ったのが今回御披露目になった『ポポーワイン』と『ポポーろまん』です。
しかし、特産品開発委員会のできることはここまでです。特にワインの開発は専門の知識が必要になってきます。山梨県の『山梨薬研(やまなしやげん)』という会社に依頼して研究してもらうことになりました。 ワインのメッカ山梨は勝沼にある、ワイン専門開発部門を持つこの会社は、今までも数々のユニークなワインを生み出してきました。ぶどう以外から作るワインの開発では有名で、玉ねぎ、アロエ、ハーブなどでのワイン作りも経験のある山梨薬研の社長も主賓でいらしたので、開発の詳しい内容も少し聞くことができました。
ポポーの実は繊維が多く、ワイン最後の行程にろ過がありますが、その際に全ての繊維を取り除くと独特の香までが失われてしまいます。そこで繊維は取り除き、香を残す方法を考えだしました。細胞を破壊し、その香の成分を溶かしてしまうことで、独特の甘い芳香を生かすことができるようになりました。
美しい黄金色のポポーワインは、女性やお酒の弱い方にも優しい甘口のワインに仕上がりました。良く冷やして飲んでみてください。
『ポポージュース』というのもありました。こちらはリンゴジュースのような色です。
最後にお菓子のことを話しましょう。『ポポーろまん』は、中味がポポーの実からできたあんこ。2種類のパターンが楽しめます。1つはおまんじゅうの皮に包まれています。もう1つはパイ皮。どちらかと言うとパイ皮の方は若い人達に喜ばれそうです。反対にまんじゅう皮は、定番のお土産にぴったりの懐かしい面持ちです。『ポポーワインゼリー』というのはポポーワイン色の黄色い透き通ったスッキリした爽やかなゼリーです。お酒のような感じのない、食べやすいゼリーになりました。
『ポポーワイン』はまだ販売していません。これからまだ山梨薬研での研究が継続され、価格の設定もしていません。ご希望の方、ご質問のある方は、下記の十王町商工会内の特産品開発委員会までご連絡下さい。
こんな面白い特産物もすぐ手に入る、日立も捨てたもんでもない!         

319-13 多賀郡十王町友部 1596-3 十王町商工会特産物開発委員会
tel : 0293-32-2086


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