日立の穴 第31号

−竹で作った梅むすめ−

竹人形を作っている所は全国でたった3軒しかありません。そのうち2軒は越前
つまり福井に、残りの1軒は、なんと日立にあるのです。昔から竹の産地として有名
な茨城県、竹の生産量は全国で3位なんですよ。                



MARK

外観 『ひたち竹人形工房』ご主人の柴田重光さんが竹人形に興味を抱いたのは大学時代。「水上勉の『越前竹人形』を読んで感銘を受けたんです。それで越前竹人形の尾崎欽一先生の元で修行を始めたんです」

オーナー 5年間の修行を経て、故郷日立に帰ってきたのが昭和47年。2年後には工房を構えました。「ちょうど、昭和49年に茨城で国体があったんですね。それに合わせて茨城土産になるかな、と」
現在は、退職祝や新築祝、祝い返し等に使われるのが8割を占め、残り2割がお土産品なのだそう。

材料となる竹は、地元や京都、四国などのものを使用しているそうです。
まず、油抜き(80〜100℃の湯で煮る)した竹を、2〜3年乾燥させます。工房の天井には乾燥中の竹がズラリ。おしゃれなインテリアみたい。
乾燥させると必ず割れる竹が出てきます。人形にしてから割れないように、乾燥させている時点で割らせてしまうのだとか。でも、割れたって袖などの部分に使えるし、竹ひごや竹釘にもなるから、捨てるところなんてないわけですね。
模様をつけたり着色するには皮をむきます。「皮をむかないと着色してもすぐはがれるんですよ」手間がかかるんだなあ。最後に表面にツヤをだして完成、となるわけですね。
仕上げ待ち
お土産品なんかだったら1日20体くらいは作るそうです。注文製作で1〜2週間かかるとのこと。
『道成寺』や『鞍馬天狗』など、能や歌舞伎の型をモチーフにしたものや、『水戸黄門』『磯節』『梅むすめ』など、郷土にちなんだ竹人形も作っています。
『常陸の華』は、中小企業庁長官賞を受賞。雅びやかな姿が愛らしい!

地域の学校やPTAからの依頼で、『竹とんぼづくり』を教えに出向くこともしばしばだとか。子供よりも、むしろ大人たちの方が夢中になってしまうようです。昔、なたで竹を割いて竹ひごにして、凧作ったわねえ、なんて。
徹夜して人数分の材料を用意することもあるのに、それでもお金はもらわない。なんでそこまで出来るんだろう。「竹が日本人の生活からかけ離れてきている現代において、触れてもらうのにいい機会だからです。それに竹人形のアピールにもなるからね」

伝統工芸の技を継ぐ人材が不足している昨今、こちらでは頼もしい2代目がいます。柴田さんのご子息、重之さんです。建築関係のデザインをしていたけれど、後を継ぐために1年ほど前に帰郷し、現在修行中。曰く「竹を知る期間」なのだそう。
柴田さんによると「3〜5年は修行するようでしょう」とのことですが「私は人形しか作れないけど、2代目は現代のインテリアに合うようなものも出来るんじゃないかと思っています」と、かなり期待している様子。

「竹籠だったら中国製のものが圧倒的に安いから、それでは商売にはならないですよ。竹人形というジャンルだからこそやっていける」と話す柴田さん。1代目が作りあげた伝統的人形と、これから作られていく2代目の伝統。
Dolls made from bamboo are one of the Japanese traditional products が日立で手に入るんだもん、内緒はもったいない。





MAP
319-1221 茨城県日立市大みか町6-19-8
Tel: 0294-53-4868
Fax: 0294-53-7168
営業時間:8:00〜19:00
年中無休

BACK NUMBER
Back Home

Last modified 3/22/99  Maintained by jsdi