日立の穴 第20号 |
− きがるに行きたい民芸品屋さん発見!−
毎日の生活にそれほど必要ないもの、いわば趣味のものだけど、あればちょっと
生活が楽しくなるものってありますよね。中でも民芸品といえば、どこか古めかしい、
けれど懐かしいイメージがありませんか?今回紹介するのは民芸品のお店です。
のれんに気が付かなければ、ここだとは分かりません。単なる一軒家のように見えました。けれど店内は、まるで昔にタイムスリップしたような、どこか不思議な、ここだけ時間がゆるやかに流れているかのような感じを受けます。靴を脱いで上がるため、知り合いの家にお邪魔したような気さえしてきます。呉服屋さんに20年余り勤めていたご主人は訳あって辞め、『民芸店きがる』を構えて2年が経つそうです。「こういった竹細工や篭(かご)なんかが好きだったんです」
竹製品、一閑張(いっかんばり)の器やつづら、漆器、陶器、和食器、のれんや風呂敷、藍染布、和紙のはがきや便箋、あけび蔓(つる)細工やブドウ皮細工の篭(かご)。『民芸店きがる』さんにあるものは、ノスタルジー溢れる和小物から、なかなか手に入らない篭(かご)まで、ご主人が本当に好きで扱っているものばかり。
一閑張(いっかんばり)とは、竹で編んだ籠に和紙を貼ったもので、とても軽くて丈夫。「これで出来た器は洗えるんですよ」と伺ってびっくり。一閑張(いっかんばり)に漆塗りで仕上げたつづらは、はがき入れサイズから、和装小物を入れておくようなものまで様々。
また、ブドウ皮細工のブドウとは山ブドウのこと。「ブドウ皮細工やあけび細工は大変貴重で、注文してもなかなか入ってこないんです。常に予約待ちの状態ですね」聞けば、ブドウ皮細工の篭(かご)で8万円以上するのだそう。なんだかこの世界も奥が深そうですね。こういった物に興味がある方にはこんなお店は、それこそ貴重なのではないでしょうか。
「できるだけ日本製品を扱っています。アジア諸国の同じような製品に比べて値は張りますが、物は日本製の方が断然いいんですよ」
ゆっくり出来るお客さんには、お茶やコーヒーでおもてなし。椅子に座ってのんびり話でもしながら品物を見ていって、ということなのでしょう。「でもね、狭いから5人も入れば一杯なんですよ。だから椅子に座ってるお客さんがそわそわしちゃったり」どんな方がいらっしゃるのでしょうか?「お客さんの99%が女性ですね。40代から50代のいわゆる"熟女"の方がほとんどです」休日よりも平日の方がお客さんは来るのだそうです。「だって"熟女"の方々、休日は家族の面倒見るので忙しいじゃない(笑)」
派手な宣伝もなく、小ぢんまりとしていても、この店にはご主人の夢がつまっているようです。生活必需品でない、趣味のものを扱っているこういったお店はなかなか難しいかもしれません。実際「一人もお客さんが来ない日もある」とか。それでもこういったお店があるこが嬉しいような気がします。そして、こういったお店も存在できる街であって欲しい。
穏やかな人柄のご主人とお茶を飲み、話をしながら、ゆっくりと品定め。ぼんやりと表を見れば、いつのまにか Time Goes By...大通りを外れ、ちょっと迷ったら辿り着けないような所に、あくせくした日常から離れた安らぎが感じられるこんなお店、内緒じゃもったいない。
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