日立の穴 第19号

− 団地の中にこだわりのおそば屋さん発見!−
「日立の穴」ファンの方からこんな情報が…。「住宅街の中に本格的な手打ちそばを  
食べさせてくれるところがありますよ」これは行かねば!という事で、行ってきました。

平成9年11月にオープンしたという『手打ち蕎麦 傳六』は、住宅が立ち並ぶ団地の中にありました。6号国道沿いの団地なのですが、団地の中まで入らないと、どこにあるのかちょっと分かりにくい所です。
「主人がそば好きで、趣味でそばを打っていたんですよ」と笑う店主の遠藤さん。「会社を定年退職した後の第2の人生はそば屋をやろうということで、自宅の庭をつぶしてお店にしました。まだ主人は定年じゃないので、それまで私が基盤を作っておいてあげようと思って」
そのご主人、そば打ちの腕前はいつの間にか広く知られ、そばを打っては知人にふるまったり、そば打ちの講習会の講師に呼ばれたりしていたんだそうです。笠間市で行われている「素人そば打ち大会」に出場したことも。それが縁で、お店で使う器を笠間焼にしようとした時もお世話になったのだとか。「人には恵まれていますね。お店を建てる時も、大工さんが張り切っていろいろしてくださったし、お店が忙しい時に手伝ってくれる方もたくさんいるし」
『傳六』という店名は、お互いの父親の名前を一文字ずつとって付けたのだそう。

店は和風だけれども、どこかモダンといった感じです。窓にはロールスクリーンの代わりに、色無地の反物を使っています。入り口のたたきに襦袢の端切れが敷いてあったり、昔の着物の端切れが額に装丁されて飾られているのもお洒落。表ののれんは遠藤さんの手作り。なんと看板は和裁用の裁ち板だったもの。

メニュー数はそれほど多くありません。江戸そばと二八そばが中心。
江戸そばとは、水とそば粉のみで打ったもの。つなぎを使わないので、打つのが難しいのだとか。でもそば粉100%だから風味が断然いい。普通は23本くらいに切るところを、こちらでは30本くらいに切ります。細くて食べやすい。
二八そばは、そば粉10に対して小麦粉2を加えています。普通、二八そばといったら、そば粉と小麦粉8:2の割合ですよね。この辺にもご主人のこだわりがありそう。
鴨汁そばやウコッケイそばなどはありますが、天婦羅そばはありません。でもメニューにはきちんと天婦羅の盛り合わせが。「そばつゆに天婦羅をつけて食べる方がいますが、それではつゆに油が移ってしまって、せっかくのそばの風味が台無しになります。天婦羅が食べたい方には盛り合わせを頼んで頂いて、それぞれ別につゆをつけて食べてもらっています」とのこと。季節によって素材が変わるそうです。

他にも、そばつゆ入りのだし巻玉子、そばの実はるまきなど、ちょっと変わったメニューがあります。呑ん兵衛には、そば焼酎がおすすめ。焼酎をそば湯で割ったもので、通にはたまりませんね。
Welcome 「以前は板ワサもおいてありましたが、東京あたりとは違って、この辺では出ないですねえ。あと、水でそばを召し上がる方結構いらっしゃいますよ。『水そば』ですね」通の人にいわせると、本当においしいそばは水で味わっても十分いけるものだとか。
「主人が店にいる時なら、打ち立てのそばが食べたいっていう注文にも応じられるんですけどね」ですって。てことは、土日に来ればご主人がそばを打つところが見られるかもしれないってことですね。

立地条件がいいとは言えないし、特に宣伝しているわけではない。それでも来てくれたお客さんが、口コミで広めてくれたり、他の人を連れてまた来てくれたり。「商売を始めて、しみじみと人と人とのつながりが一層大事に感じます」
なるべくなら他人には教えたくないというお客さんも多いとか。そば好きな人にとって『傳六』は、Secret place for an authority of SOBA の穴場かも。でも内緒じゃもったいない。


319-1411 茨城県日立市川尻町2-15-1
tel : 0294-43-2224
営業時間:AM11:00〜PM2:30
     PM5:00〜PM8:00
定休日:水・木曜日

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