11日、台風第5号から変わった低気圧が日本海を北東へ進みました。一方、関東地方の南には太平洋高気圧があって、東日本から西日本をおおっていました。この高気圧の北の縁に沿って大陸から進んできた暖気の塊が、12日の日中に関東地方を通過しました。つくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ1500m付近(850hPa面)の気温は10日09時の21.2℃から11日21時には25.0℃まで上がり、下層へ暖気が入ってきたことを示してます。この暖気におおわれたことと日本海を進む低気圧に向かって吹き込む南西の風によるフェーン現象の影響で、関東地方では気温が上がり猛烈な暑さとなりました。
関東地方各地の最高気温は、群馬県桐生と伊勢崎で40.5℃、埼玉県鳩山で40.2℃など、51地点で最高気温が35℃以上となりました。南西の風に伴って気温が上がったため、内陸部の群馬県、栃木県、埼玉県だけでなく、茨城県から千葉県、東京都でも最高気温が35℃を超える地点がありました。さらに、今年の最高気温となったのは70地点で、そのうち13地点では観測史上最高の気温となりました。なお、茨城県内の最高気温は、古河で39.6℃、大子で38.5℃、笠間で38.7℃など、14地点の内12地点で35℃以上の気温となりました。また、全地点で今年の最高気温となりました。
日立市役所における気温の推移をみると、下層へ暖気が入ってきたことから10日の夜から11日の朝にかけて気温はほとんど下がりませんでした。11日は日の出とともに気温が上がり始め、7時20分には気温が30℃を超えました。その後、南西の風がやや強く吹き始めるとともに一段と気温は上がり、13時16分には日最高気温37.6℃を記録しました。これは、6月10日に記録した最高気温32.7℃を抜いて今年の最高気温となるとともに、今年初めての猛暑日となりました。最高気温を記録した後、風向が南へ変わるとともに気温は4℃近く下がりました。その後、変動を繰り返しながら夜にかけて気温は徐々に下がっていきました。ただ、暖かい空気に覆われていたことから気温の下がり方は鈍く、24時になっても気温は28.0℃までしか下がりませんでした。
日立市内の気温を見ると、全地点で最高気温が30℃を超えるとともに、今年の最高気温となりました。最も気温が高かったのは、南部支所の37.7℃でした。また、最も気温が低かったのは、北部消防署の33.9℃でした。今回は南西の風によるフェーン現象の影響が大きかったため、沿岸部でも山間部と同じ程度まで気温が上がりました。
●今年の最高気温(℃)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●参考:つくばにおける高層観測の気温(℃)
高さ(気圧) | 08日 09時 |
08日 21時 |
09日 09時 |
09日 21時 |
10日 09時 |
10日 21時 |
11日 09時 |
11日 21時 |
12日 09時 |
5500m(500hPa) | -3.4 | -5.4 | -5.4 | -3.9 | -2.1 | -5.0 | -4.9 | -3.7 | -4.9 |
1500m(850hPa) | 19.4 | 19.0 | 22.9 | 21.9 | 21.2 | 23.1 | 24.8 | 25.0 | 20.6 |
●8月10日から11日の気温の推移(10分値)
●8月10日から11日の風速とと風向の推移(日立市役所:10分値)
●参考:8月11日13時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:8月11日09時の地上天気図と850hPa面高層天気図
Amagai Daizo