9日から10日にかけて、上層の気圧の尾根が日本付近をゆっくりと東へ進みました。これに伴って、大陸から進んできた下層の暖気塊が、北日本から東日本へ流れ込んできました。つくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ1500m付近(850hPa面)の気温は8日09時の11.8℃から10日09時には19.6℃まで上がり、下層へ暖気が入ってきたことを示してます。さらに、上層の気圧の尾根の東進に伴って、日本海から関東地方の南東へ進んだ高気圧は、9日から10日かけて動きが遅くなり、北日本から東日本をおおいました。このため、9日、10日と全国的に気温が高くなりました。
特に10日の関東地方では、南西の風がやや強く吹くいて晴れたため、内陸部を中心に最高気温が30℃を超えました。関東地方各地の最高気温は、栃木県佐野で35.0℃、群馬県桐生で34.9℃、茨城県大子で34.8℃など、86地点中57地点で最高気温が30℃以上となりました。茨城県内でも、上記大子の他、古河で最高気気温33.9℃、笠間で33.1℃を記録するなど、14観測点のうち北茨城と龍ヶ崎を除く13地点で最高気温が30℃を超えました。また、7地点で今年の最高気温となりました。
日立市役所における気温の推移を見ると、9日は10時44分に最高気温29.3℃を記録したものの、その後は東北東の風に変わったため、気温は夜にかけて下がっていきました。10日は11時から南南東の風が入り、気温は一旦下がりました。しかし、12時00分になると南西の風が強まって気温が上がり、13時32分には最高気温32.7℃を記録しました。これは、今年に入って初めての真夏日(最高気温30℃以上の日)で、真夏日初日の記録としては、昨年よりも39日、平年よりも19日早くなっています。最高気温を記録した後も南西の風が吹き続けたため、気温の下がり方は鈍く、24時でも気温は24℃前後までしか下がりませんでした。
日立市内の気温を見ると、全地点で最高気温が30℃を超えるとともに、今年の最高気温となりました。最も気温が高かったのは、西部支所の32.9℃でした。今回は、南西の風によるフェーン現象の影響が大きかったため、沿岸部の最高気温も十王交流センターで32.8℃、日立市役所で32.7℃、南部支所で32.5℃と、山間部と同じ程度まで気温が上がりました。
●今年の最高気温(℃)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●真夏日初日の記録(日立市役所)
年 | 月日 | 最高気温 | 時刻 |
2014 | 07/10 | 30.4 | 13:18 |
2015 | 07/12 | 30.2 | 11:52 |
2016 | 06/18 | 30.4 | 11:15 |
2017 | 07/02 | 31.5 | 13:52 |
2018 | 06/27 | 32.7 | 14:54 |
2019 | 07/19 | 32.1 | 11:49 |
2020 | 06/10 | 32.7 | 13:32 |
平年 | 06/29 | - | - |
●参考:つくばにおける高層観測の気温(℃)
高さ(気圧) | 07日 09時 |
07日 21時 |
08日 09時 |
08日 21時 |
09日 09時 |
09日 21時 |
10日 09時 |
10日 21時 |
11日 09時 |
5500m(500hPa) | -11.6 | -12.6 | -9.7 | -8.0 | -8.1 | -8.9 | -8.9 | -6.5 | -7.5 |
1500m(850hPa) | 10.9 | 12.3 | 11.8 | 13.9 | 16.5 | 19.5 | 19.6 | 17.8 | 18.0 |
●6月9日から10日の気温の推移(10分値)
●6月9日から10日の風向と風速の推移(10分値:日立市役所)
●6月10日13時と14時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:6月10日15時の地上天気図と09時の850hPa面高層天気図
Amagai Daizo