24日から25日にかけて、黄海から本州上へ寒気を伴った上層の気圧の谷が進んできました。この気圧の谷は、規模は小さいものの上層に寒気を伴っていました。つくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ5500m付近（500hPa面）の気温は24日21時の-9.7℃から25日21時には-11.9℃まで下がりました。また、日本の東を北北東へ進む台風第21号から湿った空気が流れ込んだことから、25日の朝から気圧の谷の東側に当たる関東地方の南部で雨雲が発達しました。気圧の谷が関東地方に近づてきた昼頃から発達した雨雲は北東へ進み始め、18時頃には日立市を通過して、19時過ぎには福島県へ抜けました。
関東地方南部では、上層の気圧の谷が関東地方近づいてくる前から発達した雨雲がかかり続けたため、千葉県を中心に総降水量が250mm前後の大雨となりました。関東地方各地の25日の降水量は、千葉県牛久で285.0mm、大多喜で276.0mm、佐倉で248.0mmなどでした。気圧の谷の東側では、上層の寒気と南からの湿った空気の影響で雨雲が線状に発達し、千葉県から茨城県沿岸部で1時間に50mmを超える非常に激しい雨が降りました。25日の1時間降水量の最大値は、千葉県鴨川で85.5mm（10時16分）、牛久で64.5mm（10時57分）、東京都三宅島で62.0mm（10時19分）などでした。
日立市では、上層の気圧の谷が東海地方まで進んできた昼頃から、1時間に5〜10mmの雨が降るようになりました。そして、気圧の谷の前面に線状に発達した雨雲がかかってきた16時過ぎから18時にかけて、1時間降水量50mm前後の激しい雨が降りました。日立市役所では、17時54分までの1時間に49.5mmの降水量を記録しました。これは、日立市役所観測開始以来第9位の記録です。また、北部消防署では17時41分までの1時間に64.5mmの降水量を記録し、日立市内で最も１時間降水量が多くなりました。
なお、発達した雨雲は海岸線沿いに北上していったため、日立市内でも沿岸部と山間部では降水量に差が出ました。日立市内で最も総降水量が多かったのは、北部消防署の163.0mmでした。一方、最も総降水量が少なかったのは、山間部に位置する西部支所の90.5mmで、北部消防署の6割程度の降水量でした。雨雲の移動は早く、19時過ぎには雨は止みました。その後、23時までは小雨のちらつくときがありましたが、26日未明には晴れてきました。
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降水量 |
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日時 |
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日時 | ||
| 日立市役所 | 118.5 | 49.5 | 25日17時54分 | 10.0 | 25日17時43分 |
| 十王交流センター | 154.0 | 61.5 | 25日17時53分 | 15.0 | 25日17時44分 |
| 北部消防署 | 163.0 | 64.5 | 25日17時41分 | 14.0 | 25日17時34分 |
| 本山 | 137.0 | 41.0 | 25日17時54分 | 11.0 | 25日17時39分 |
| 西部出張所 | 90.5 | 32.5 | 25日18時13分 | 8.0 | 25日17時37分 |
| 諏訪広場 | 108.0 | 47.0 | 25日17時50分 | 12.5 | 25日17時30分 |
| 南部支所 | 102.0 | 40.5 | 25日17時33分 | 12.5 | 25日17時19分 |
| 日立会瀬 | 127.0 | 55.0 | 25日17時52分 | 11.5 | 25日17時22分 |
| 水戸（金町） | 118.5 | 46.5 | 25日17時21分 | 13.0 | 25日17時05分 |
※降水量は、25日01時〜24時までの合計。
●日立市役所における1時間降水量（mm）の記録
| 順位 | 降水量 | 年月日 | 時 刻 | 備 考 |
| 1 | 88.0 | 1999/10/27 | 21時14分 | 雷雨（発達した低気圧） |
| 2 | 77.0 | 2008/08/14 | 17時34分 | 雷雨（暖湿流） |
| 3 | 73.0 | 1980/09/03 | 19時10分 | 雷雨 |
| 4 | 66.7 | 1962/08/24 | 16時06分 | 雷雨（寒冷前線） |
| 5 | 60.7 | 1962/07/14 | 01時45分 | 雷雨（寒冷前線） |
| 6 | 56.0 | 2016/08/23 | 11時59分 | 雷雨（上層寒気） |
| 7 | 52.2 | 1961/06/29 | 10時00分 | 梅雨前線 |
| 8 | 50.0 | 1977/09/19 | 20時10分 | 台風第11号（銚子沖通過） |
| 9 | 49.5 | 2019/10/25 | 17時54分 | 寒気を伴った上層の気圧の谷 |
※1953年〜2019年10月25日の統計で、順位は降水量の多い方から
●参考：つくばにおける高層観測の気温（℃）
| 高さ（気圧） | 22日 09時 |
22日 21時 |
23日 09時 |
23日 21時 |
24日 09時 |
24日 21時 |
25日 09時 |
25日 21時 |
26日 09時 |
| 5500m(500hPa) | -9.5 | -8.8 | -12.0 | -10.8 | -10.9 | -9.7 | -9.6 | -11.9 | -12.5 |
| 1500m(850hPa) | 7.0 | 10.7 | 9.2 | 8.7 | 7.7 | 7.5 | 9.7 | 11.6 | 9.8 |
●10月25日の降水量の推移（日立市役所と北部消防署：1時間値）
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●参考：10月25日16時00分と18時00分の降水レーダー図
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●参考：10月25日16時と18時のアメダスによる降水量の分布
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●参考：10月25日16時と18時のアメダスによる風の分布
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●参考：10月25日18時の地上天気図と21時の500hPa面高層天気図
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Amagai Daizo
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