◇気温の上がりにくかった3月

 高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は周期的に変わりました。日本付近での低気圧の発達は弱く、大陸からの高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。ただ、上層の気圧の谷に伴う湿った南西流と上層の寒気の影響で天気のぐずつく時がありました。このため、月の日照時間は182.0時間(平年比102%)とほぼ平年並みになりました。一方、低気圧の影響が弱かったことから、月降水量は82.0mm(平年比76%)と平年より少なくなりました。3月6日に本州南岸と日本海を低気圧が進んだ後、日本付近には強い寒気が南下してきました。その後、下旬にかけて日本付近の下層は寒気におおわれるようになり、気温は平年より低い日が多くなりました。この結果、月平均気温は6.7℃と平年より0.5℃低くなりました。

3月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 6.7 7.2
月降水量(mm) 82.0 107.5
月日照時間(時間) 182.0 178.8
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 6.3 5.9
中旬 6.6 7.3
下旬 7.2 8.2
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 61.1 57.2
中旬 57.0 60.9
下旬 63.9 60.7

 ●3月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

2017年3月の日立市役所における日平均気温の推移 2017年3月のつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

 ●3月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移

2017年3月の日立市役所における日最低気温の推移 2017年3月の日立市役所における日照時間の推移

◇3月の日立市内の気温と降水量

 3月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。山間部にある本山、西部支所と標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は5.0℃で、水戸の月平均気温6.5℃よりも1.5℃低くなりました。また、日立と水戸の気温差は2月とほぼ同じでした。

 一方、月の降水量の市内平均は73.3mmで、2月の平均降水量22.0mmの3.5倍になりました。観測地点の間の差は2月と同様に小さく、最も降水量の多かった諏訪広場の85.5mmに対して、最も少なかった西部支所は59.5mmと1.4倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量73.3mmに対して、水戸の月降水量は76.0mmとほぼ同じになりました。

 ●3月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

3月の気温(℃)の記録
観測地点 平均
気温
最高気温 最低気温
気温 日時 気温 日時
日立市役所 6.7 14.8 30 14:19 -1.7 08 03:07
十王交流センター 6.2 15.1 30 12:35 -3.0 08 05:41
北部消防署 5.3 13.6 30 15:42 -3.1 08 05:10
本山(中学校跡) 3.0 14.2 30 14:33 -5.6 08 05:41
西部支所 3.8 16.1 30 14:13 -6.0 08 06:13
諏訪広場 4.2 12.8 30 11:54 -4.2 08 06:01
南部支所 5.9 15.4 30 11:54 -4.5 08 06:32
上記7地点の平均 5.0 -

-

-

-

日立会瀬 6.8 15.5 30 11:27 -2.8 08 05:59
水戸(金町) 6.5 17.5 30 12:40 -3.4 08 07:11
3月の降水量(mm)の記録
観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量
降水量 降水量 日時
日立市役所 82.0 25.0 27 3.5 27 13:07
十王交流センター 80.0 26.5 27 6.5 14 15:27
北部消防署 70.0 26.5 27 4.0 27 08:03
本山(中学校跡) 75.5 28.5 27 4.5 27 12:56
西部支所 59.5 21.5 27 4.5 27 12:11
諏訪広場 85.5 32.0 27 7.0 27 12:54
南部支所 60.5 20.0 27 4.0 27 12:46
上記7地点の平均 73.3 -

-

- -
日立会瀬 87.0 26.0 27 4.0 02 20:03
水戸(金町) 76.0 24.5 27 4.0 27 08:30

 ※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。


◇3月の最高気温が観測開始以来最も低くなる

 今年の2月中旬から3月初めにかけては南から暖かい空気が入りやすく、気温は平年より高い日が続きました。しかし、3月6日に本州南岸と日本海を低気圧が進んだ後、上層の大気の流れが変わり、日本付近に寒気が入りやすくなりました。月平均500hPa高度・偏差図を見ると、今年の3月はベーリング海からシベリアにかけてブロッキング高気圧が停滞し、その西側の日本の東で気圧の谷が深まりました。さらに、北緯30度線に沿って東西に負偏差域が広がったことから、大陸からの寒気は西日本から東日本へ入りました。

 また、例年の3月は低気圧が日本海を進んで暖かい南西の風が入り、気温の上がる時があります。しかし、今年の3月は低気圧が日本海にあっても別の低気圧が本州南岸を進み、南西の風が吹いて気温の上がる時がありませんでした。このため、月最高気温は30日の14.8℃までしか上がらず、3月の最高気温としては観測史上最も低くなりました。なお、月平均気温は6.7℃と平年よりわずかに低い程度で、気温が極端に高くなることがなかったわりに低くなることもなかったことが窺えます。

 このように、3月に入っても気温の上がり方が鈍かったことから、花の開花も遅くなりました。日立市役所前のあんずの花は昨年よりも4日遅い3月24日に、平和通りの桜も昨年より5日遅い4月3日に開花しました。なお、3月上旬から中旬にかけて気温が著しく高くなった2013年は、日立市役所前のあんずが3月17日に、平和通りの桜が3月21日に開花しています。

 ●3月の気温(℃)の記録(日立市役所)

月平均気温
順位 気温
1 1984 3.4
2 1970 4.1
3 1986 5.3
4 2011 5.3
省略 - -
26 2017 6.7
月最高気温
(高い方から)
順位 気温
1 2013 24.9
2 2007 24.7
3 2004 23.0
4 1998 22.9
5 2014 22.7
月最高気温
(低い方から)
順位 気温
1 2017 14.8
2 1965 15.2
3 1986 15.7
3 1983 15.7
5 1984 15.9
最高気温の月平均
順位 気温
1 1984 7.5
2 1970 8.5
3 1985 9.0
4 1965 9.4
省略 - -
23 2017 10.8

 ※順位は気温の低い方または高い方からで、1953年から2017年の統計。

 ●3月の平均気温と最高気温の推移(1953年〜2017年)

 ●1月から3月の日平均気温の推移(2017年と2013年)

1月〜3月の日平均気温の推移(2017年と2013年の比較)

 ●500hPa高度・偏差図(2017年3月と2016年3月)

2017年3月の500hPa高度・偏差図 2016年3月の500hPa高度・偏差図

 ※等高度線間隔は実況(実線)が60m、偏差(破線)が30m、 陰影域は負偏差を表す。


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作成日 2017/04/10
名前 日立市天気相談所