◇暖かい10月

 上旬から中旬にかけては、移動性高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。また、9月の終わりに南下してきた寒気が残っていた月初めを除いて寒気の南下が弱く、暖かい日が続きました。このため、月平均気温は17.5℃と平年より0.9℃高くなりました。

 23日から26日にかけて、中国東北区を寒気を伴った上層の気圧の谷がゆっくりと東へ進みました。このため、本州付近の上層では西南西からの流れが続いて、曇りや雨の日が続きました。特に、24日は南からの湿った空気と地形の影響で一時的に強い雨が降り、日降水量も120に達しました。この結果、つき降水量は171.5mmと平年の108%になりました。一方、日照時間については下旬の前半は晴れる日がなかったものの、それ以外の期間は晴れるときが多く、月の日照時間は173.6時間と平年の114%になりました。

10月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 17.5 16.6
月降水量(mm) 171.5 159.2
月日照時間(時間) 173.6 152.5
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 58.0 44.1
中旬 68.6 47.1
下旬 47.0 61.3

 ●10月の日立市役所における日平均気温と日照時間の推移

2008年10月の日立市役所における日平均気温の推移 2008年10月の日立市役所における日別の日照時間の推移

 24日の日中、日本海を北上した上層の気圧の谷の前面に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込み(下図850hPa高層天気図参照)、北海道から関東、東海地方にかけて雨雲が広がりました。これらの雨雲は、北北東へ進みながら全体として東へ移動していきました。やや発達した雨雲は日本海側を進み、関東地方には所々に隙間のある雨雲がかかっていました。8時のアメダスでは、関東地方の降水量は0〜12.5mmで、強く降っている所はありませんでした。

 24日の9時頃から、関東地方の南部では気圧の谷の前面に向かって吹き込む南風が強まりましたが、関東地方の内陸部では相対的に気温の低い空気が残ったため、茨城県から埼玉県にかけての暖かい空気と冷たい空気との間には、強い南風と弱い北風との境(収束域)が形成されました。10時頃には、雨雲の主力は茨城県北部から福島県東部に進んできました。そして、11時を過ぎたあたりから収束域と南からの気流が山地にぶつかる影響で、日立市の沿岸部で雨雲が急速に発達し始めました。

 このため、日立市の海岸線沿いの地域では12時前後を中心とした1時間に、40mm前後の強い雨が降りました。日立市役所では、12時00分から12時10分にかけての10分間に15.5mmの降水量を、11時16分から12時16分にかけての1時間に48.0mmの降水量を記録しました(日立市役所観測記録順位第10位)。その後、雨雲は弱まりながら比較的速い速度で北北東へ進んでいったため、13時前には市の南部の方から雨は弱まっていきました。

 ●24日の市内の降水量(mm)

観測地点
総降水量

最大1時間降水量

降水量
日時
日立市役所 120.0 48.0 24日12時16分
北部消防署 117.5 30.0 24日13時00分
本山 135.5 28.5 24日12時00分
西部出張所 92.0 18.5 24日12時00分
諏訪広場 95.5 29.5 24日12時00分
南部支所 94.5 39.5 24日12時00分
十王交流センター 127.0 38.5 24日13時00分

●1時間降水量(mm)の記録

順位 降水量 年月日 時 刻 備    考
1 88.0 1999/10/27 21時14分 雷雨(発達した低気圧)
2 77.0 2008/08/14 17時34分 雷雨(暖湿流)
3 73.0 1980/09/03 19時10分 雷雨
4 66.7 1962/08/24 16時06分 雷雨(寒冷前線)
5 60.7 1962/07/14 01時45分 雷雨(寒冷前線)
6 52.2 1961/06/29 10時00分 梅雨前線
7 50.0 1977/09/19 20時10分 台風第11号(銚子沖通過)
8 49.4 1968/06/29 15時59分 雷雨(寒冷前線)
9 48.5 1993/09/10 19時07分 雷雨(上層寒冷渦)
10 48.0 2008/10/24 12時16分 南からの暖湿気の流入

※1953年〜2008年の統計で、順位は降水量の多い方から

10分間降水量の推移(日立市役所) 2008年10月24日12時10分の降水量レーダー図
10月24日の10分間降水量の推移(日立市役所) 2008年10月24日12時10分の降水量レーダー図

 レーダーで雨雲の状況を見ると、南から北上してきた雨雲が日立市役所周辺で急速に発達した様子が分かります。10時までは、1時間に3mm未満の弱い雨が降ったり止んだりしていました。10時を過ぎた頃から、やや発達した雨雲が北上してきて、時々やや強い雨が降るようになりました。そして、11時30分に南から北上してきた雨雲は、日立市内に入るとともに急速に発達を始めて海岸線沿いに北北東へ進みました。このため、市の南部から北部の海岸線沿いで一時的に強い雨が降りました。

 特に、12時頃に市役所付近で雨雲の発達がピークに達したため、日立市役所では12時00分から12時10分にかけての10分間に15.5mmの降水量を記録しました。その後、雨雲は弱まりながら北北東へ進み、13時には雨は弱まりました。

 ●【参考】10月24日10時〜13時の降水量レーダー図

10月24日10時00分のレーダー図 10月24日10時30分のレーダー図 10月24日11時00分のレーダー図 10月24日11時30分のレーダー図
10月24日12時00分のレーダー図 10月24日12時30分のレーダー図 10月24日13時00分のレーダー図 10月24日13時30分のレーダー図

 ●【参考】10月24日12時のアメダスによる風と雨

2008年10月24日12時の風の分布 2008年10月24日12時の降水量の分布
2008年10月24日12時のアメダスによる風の分布 2008年10月24日12時のアメダスによる降水量の分布

 ●【参考】10月24日12時の地上天気図と09時の高層天気図

2008年10月24日12時の地上天気図 2008年10月24日09時の850hPa面高層天気図
2008年10月24日12時の地上天気図 2008年10月24日09時の850hPa面高層天気図

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作成日:2008/10/08
一部追加:2013/05/02
名前 日立市天気相談所