◇寒気の南下は散発的で冬型の気圧配置は続かず

 5日から10日の周期で寒気が南下しましたが、月末を除いて強い寒気の南下はなく、日本付近を低気圧や気圧の谷が通過することが多かったため、冬型の気圧配置となる日は少なくなりました。このため、12月としては晴れる日が少なくなり、月日照時間は170.6時間と平年の90%にとどまりました。また、月平均気温は7.6℃とほぼ平年並になりました。

 一方、本州付近での低気圧の発達は弱く、上旬から中旬にかけて降水量の少ない日が続きました(上旬から中旬の降水量は14.5mm)。しかし、28日から29日にかけてに本州南岸を北東へ進んだ低気圧の影響で29.5mmの降水量があったため、月降水量は58.0mmと平年の185%になりました。

12月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 7.6 7.2
月降水量(mm) 58.0 31.3
月日照時間(時間) 170.6 189.9
旬別降水量(mm)
降水量 平年値
上旬 6.5 11.7
中旬 8.0 9.4
下旬 43.5 10.2

 ●12月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温(09時)の推移

2007年12月の日立市役所における日平均気温の推移 2007年12月のつくばにおける500hPa気温(09時)の推移

 ●11月から12月にかけての日最低気温(日立市役所)の推移

2007年11月から12月にかけての日最低気温(日立市役所)の推移

 今年は、11月の半ば以降寒気が5日から10日の周期で南下してくるようになり、気温の低くなるときが何度かありました。しかし、寒気の南下とともに冬型の気圧配置になって西よりの風が吹くことが多く、日立市役所では他の地点ほど気温が下がりませんでした。このため、月平均気温が昨年より低くくなった割には、日最低気温が0℃未満に下がる日がなかなか現れませんでした。

 しかし、30日から31日にかけて日本海を寒気を伴った寒冷渦が東進したのに伴い、30日の午後から強い寒気が本州付近へ入ってきました。つくばにおける高層観測の気温の変化を見ると、29日09時には高さ1500m付近で8.8℃とかなり暖かい空気が入っていましたが、31日09時には-4.1℃と10℃以上も下がり、非常に強い寒気が入ってきたことが分かります。このため、地上の気温も30日の夕方から下がっていきました。30日の日中は収束域の影響で雲が多くにわか雨も降りましたが、15時頃からは雲が消えて夜には快晴となったため、一段と気温が低くなりました。特に、31日の3時頃には西よりの風が一時的に弱まったため、日立市役所では急に気温が下がり、3時13分にこの日の最低気温-0.3℃を記録しました。これは、今年の秋になって最も低く、また初めての氷点下の気温となりました。

 その年の秋以降、日最低気温が初めて0℃未満になった日をみると、最も遅かったのは1958年の冬で、この年は12月31日になっても日最低気温が0℃未満になった日がなく、0℃未満に下がったのは1959年の1月3日になってからでした。今年の12月31日という記録は、1957年と並んでこれに次いで遅い記録です。なお、去年の記録も12月30日と、今年に次いで遅い記録になっています。

 日立市役所以外の地点では、11月の19日から23日にかけて下層へ強い寒気が入ってきたときに日最低気温が0℃未満になっため、今年は過去5年間では最も早く日最低気温が0℃未満になっています(本山では、2005年に次いで2番目に早くなっています)。

 ●最低気温0℃未満の記録日  ●日立市役所以外の最低気温0℃未満の記録日(最近5年間)
遅い順
順位 月日 最低
気温
1 1958 01/03 -2.3
2 2007 12/31 -0.3
3 1957 12/31 -1.2
4 2006 12/30 -0.1
5 1968 12/30 -0.9
最近5年間
月日 最低
気温
2003 12/27 -2.1
2004 12/23 -0.1
2005 12/11 -1.0
2006 12/30 -0.1
2007 12/31 -0.3
本山
月日 最低
気温
2003 12/05 -1.0
2004 12/03 -0.3
2005 11/17 -0.2
2006 11/25 -0.7
2007 11/19 -0.7
南部支所
月日 最低
気温
2003 12/17 -0.4
2004 12/23 -1.8
2005 12/04 -0.7
2006 12/05 -0.9
2007 11/23 -1.2
水戸
月日 最低
気温
2003 12/05 -0.6
2004 12/03 -1.1
2005 12/02 -0.5
2006 11/25 -0.7
2007 11/23 -1.7

 ※1958年は、12月31日になっても日最低気温が0℃未満になる日がなく、0℃未満に下がったのは1959年の1月3日になってからでした。

 ●参考:12月30日から31日にかけての気温と風速の変化

12月30日から31日にかけての気温の変化 12月30日から31日にかけての風速の変化

 上層に寒気の入った4日と30日は大気の状態が不安定になり、雷が発生してひょうが降りました。4日の場合は、上層の寒気はそれほど強くありませんでしたが、下層へ南から暖かい空気が入ったため関東地方北部に収束域が形成され、局地的に日立市で雷が発生しました。8時30分頃に日立市役所のすぐ西側で落雷があった後、5分間ほど直径1cmのひょうが降りました。収束域が停滞したため、その後も12時過ぎにかけて時々雪あられやにわか雨の降る不安定な天気が続きました。上層の気圧の谷が東へ抜けた15時頃から宗祖域が解消し、晴れてきました。

 30日の場合は、日本海へ南下してきた上層の寒気の南端に当たる関東地方で大気の状態が不安定になり、茨城県の中部を中心として雷雲が発生しました。日立市では10時過ぎに1回落雷がありましたが、水戸市周辺では13時過ぎにかけて断続的に落雷があり、特に12時過ぎには直径8mmほどのあられが2回観測されました。寒気に伴う収束域が南東へ抜けた15時頃からは、晴れ間が広がってきました。

 ●参考資料:12月04日と30日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図

2007年12月04日09時の地上天気図 2007年12月30日09時の地上天気図
2007年12月04日09時の地上天気図 2007年12月30日09時の地上天気図
2007年12月04日09時の500hPa面高層天気図 2007年12月30日09時の500hPa面高層天気図
2007年12月04日09時の500hPa面高層天気図 2007年12月30日09時の500hPa面高層天気図

 ●参考資料:12月04日の降水量レーダー図と落雷状況

12月04日の降水量レーダー図(08時30分) 12月04日の落雷状況(08時30分)

 ●参考資料:12月04日の市役所屋上の様子

 ●参考資料:12月30日の降水量レーダー図と落雷状況

12月30日の降水量レーダー図(12時30分) 12月30日の落雷状況(12時30分)

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作成日:2008/01/18
訂補日:2013/12/24
名前 日立市天気相談所