◇気温の変化が大きかった3月

 上旬は、移動性高気圧におおわれて、晴れて気温が高くなりました。特に、4日から5日にかけては日本海を進んだ低気圧に向かって南から暖かい空気が入り、気温が上がりました。しかし、中旬に入ると気圧系が変化して、冬型の気圧配置が続くようになり、北から寒気が南下して、気温が下がりました。下旬には再び気圧系が変わり、低気圧と高気圧が短い周期で日本付近を通過するようになりました。そして、南から移動性高気圧におおわれたり、日本海を進む低気圧に向かって暖かい空気が流れ込んだりしたことから、気温はかなり高くなりました。

 中旬の気温は平年より1.0℃低くなりましたが、上旬と下旬の気温が平年より3℃近く高くなったため、月平均気温は8.6℃と平年より1.8℃高くなりました。これは、観測開始以来2002年の9.9℃に次いで、1966年、1997年と並んで高いものでした。移動性高気圧におおわれたり、冬型の気圧配置の影響で晴れる日が多かったため、月日照時間は200.2時間と平年の110%になりました。一方、月降水量は67.5mmと平年の65%しかありませんでした。

3月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 8.6 6.8
月降水量(mm) 67.5 103.6
月日照時間(時間) 200.2 181.3
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 8.5 5.7
中旬 5.7 6.7
下旬 11.4 8.0
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 59.3 59.5
中旬 80.2 60.3
下旬 60.7 61.5

 ●3月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける850hPa気温の推移

 ●3月の気温(℃)に関する記録

月平均気温
順位 気温
1 2002 9.9
2 2007 8.6
3 1966 8.6
4 1997 8.6
5 1990 8.5
下旬平均気温
順位 気温
1 2007 11.4
2 1972 10.6
3 1979 10.6
4 2002 10.4
5 1969 10.0
月最高気温
順位 気温
1 2007 29 24.7
2 2004 17 23.0
3 1998 30 22.9
4 2004 11 22.8
5 1991 20 22.7

※順位は、1953年から2007年の統計で、値の高い方からの順位

 この冬は、2006年の12月中旬以降、暖かい日が続きました。特に、1月半ばから3月の上旬にかけては、2月下旬前半の一時期を除いて南から暖かい空気におおわれ、気温が高くなりました。その後、3月6日に日本海を低気圧が北東へ進んだ後、大気の流れが変わり、日本付近へ北から寒気が入るようになりました。特に、11日に本州南岸を低気圧が北東へ進んだ後は、冬型の気圧配置が続き、気温が低くなりました。しかし、この寒さも一時的で、20日に気圧の谷が東へ抜けた後は移動性高気圧におおわれるようになり、気温が高くなりました。

 暖かい空気におおわれて冷え込むことが少なかったことから、12月から3月の冬日の日数の合計は22日と平年の半分程度になり、観測開始以来もっとも少なくなりました。特に、1月の冬日の日数が5日しかなく、平年の1/3の日数しかありませんでした。

 ●12月から3月の冬日の日数

順位 12月 1月 2月 3月 合計
1 2007 2 5 8 7 22
2 1973 1 7 7 8 23
3 1979 6 11 4 4 25
4 1972 5 6 11 6 28
5 2002 8 12 8 1 29
平年値 5.8 16.4 14.4 6.3 42.9

 ※順位は合計日数の少ない順で、1953年から2007年の統計。

 ●1月から3月にかけての日平均気温の推移(日立市役所:平年値との比較)

2006年12月から20073月にかけての日平均気温の推移(日立市役所)


◇寒冷前線の通過と気象の変化(3月29日)

 20日に上層の気圧の谷が東へ抜けた後、大気の流れが変わり、南から暖かい空気が入ってくるようになり、気温が上がっていきました。特に、29日は本州の日本海側を進んだ低気圧に向かって暖かい南西の風が吹き込み、関東地方では各地で気温が20℃を超え、5月下旬並みの暖かさとなりました。

 日立市でも、朝から南西の風がやや強く吹き始めるとともに気温が上がり始め、13時45分には日最高気温24.7℃を記録しました。これは、3月の最高気温としては、2004年3月17日に記録した23.0℃を抜いて、日立市役所観測開始以来第1位の値でした。最高気温を記録した後、風向が北西から北東へ変わり、気温も一気に5℃近く下がりました。その後も気温は下がり続け、夜には9℃と明け方より気温が低くなりました。

 ●29日の日立市役所における気温と海面気圧及び風向の推移

2007年3月29日の気温の推移(日立市役所) 2007年3月29日の海面気圧の推移(日立市役所)
2007年3月29日の風向の推移(日立市役所) 2007年3月29日の風速の推移(日立市役所)

 中旬と下旬の大気の流れを比較するため、18日と29日の天気図を比較してみました。18日の850hPa面天気図では-6℃の等温線が関東地方の南まで下がり、本州上では北西の風が吹いて、北から寒気が入る形になっています。一方、29日の天気図では+6℃の等温線が関東地方にかかり、本州上では西から西南西の風が吹いて、気温が上がる形になりました。

 ●参考:3月18日と29日の地上天気図と高層(850hPa面)天気図

2007年3月18日09時の地上天気図 2007年3月29日09時の地上天気図
2007年3月18日09時の地上天気図 2007年3月29日09時の地上天気図
2007年3月18日09時の850hPa高層天気図 2007年3月29日09時の850hPa高層天気図
2007年3月18日09時の850hPa高層天気図 2007年3月29日09時の850hPa高層天気図

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。網掛けの部分は、気温と露点温度の差が3℃以下(空気が湿っていることを表す)の領域を表しています。


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作成日 2007/03/16
訂補日 2007/06/20
訂補日 2015/06/22
名前 日立市天気相談所