98/12/15 第1回臍帯血バンク事業運営専門部会 第1回臍帯血バンク事業運営専門部会  平成10年12月15日 13:00〜15:10          全社協第1〜2会議室 出席者(敬称略)  有田 美智世  ○鎌田  薫   河北 博文   小池 麒一郎 児玉 安司  迫田 朋子    高橋 美智   月本 一郎   中林 正雄  長谷川 友紀  平林 勝政    古市 圭治   正岡  徹   陽田 秀夫  (○:座長) 議事次第 1 開会 2 議題  (1)臍帯血バンク実態調査について  (2)臍帯血バンク事業運営ガイドラインの項目について  (3)その他 3 閉会 ○事務局 定刻になりましたので、只今より第1回臍帯血バンク事業運営専門部会を開催させて いただきたいと思います。本日は第1回の臍帯血バンク事業運営専門部会の開催でござ いますので、事務局より委員のご紹介をさせていただきたいと思います。 50音順でさせていただきたいと思います。 日本臍帯血バンク支援ボランティアの会代表、有田委員でございます。 早稲田大学法学部教授、鎌田委員でございます。 河北先生は遅れるという連絡が入っております。 三宅坂総合法律事務所弁護士、児玉委員でございます。 NHK解説委員、迫田委員でございます。 日本看護協会出版会取締役副社長、高橋委員でございます。 月本委員につきましては遅れているようでございます。 日本母性保護産婦人科医会、中林委員でございます。 東邦大学医学部の長谷川先生がちょっと遅れております。 國學院大學法学部教授、平林委員でございます。 国立公衆衛生院長、古市先生でございます。 大阪成人病センター顧問、正岡先生でございます。 全国骨髄バンク推進連絡協議会副会長、陽田委員でございます。 また本日は欠席しておりますが、日本医師会常任理事の小池委員にも専門部会の委員 をお願いしていることを報告させていただきます。 では会議を始める前に事務局を代表しまして、臓器移植対策室長の朝浦がご挨拶を申 し上げます。 ○朝浦室長 臓器移植対策室長の朝浦でございます。本日は年末の忙しい中、本会議のためにお集 まりいただきまして、誠にありがとうございます。本部会の設置の趣旨、あるいは設置 の経緯などをご説明をいたしまして、挨拶にかえさせていただきたいと思います。 臍帯血移植検討会の先生方には重複になるかも知れませんが、ご説明させていただき たいと思います。 まず7月の臍帯血移植検討会の中間まとめにおいて、臍帯血移植の進め方の当面の推進 方法として、現在地域において活動している各地域バンクの活動を支援する形でスター トしようということが取りまとめられました。同時に情報の共有管理とか安全性の確保 等の面について、共同事業を行っていこうということになりました。5年間で2万個の 臍帯血を集めようということが中間まとめにおいて決まっております。 これを受けまして厚生省としましては、平成11年度の概算要求に臍帯血の関連経費を 約4億円計上して現在財政当局と折衝を行っている状況でございます。このような状況 の下で、11月16日に臍帯血移植検討委員会を開かせていただきまして、共同事業の基本 的な枠組みについて、更に突っ込んだ検討をするために、二つの専門部会を設置するこ とが決定されております。 お配りしました資料の参考資料についておりますが、このうち、二つの部会と申しま すのは、一つは共同事業の技術的な事項について検討する専門部会と、臍帯血バンクの 事業運営専門部会、本部会でございますが、このうち本部会は共同事業に参画するバン クを念頭におきながら、安全な臍帯血を中立・公正、かつ安定的に供給することのでき るバンクの運営のガイドラインと臍帯血バンクの事業評価について、具体的な議論をし ていただきたいということでございます。 なお、現在要求している国庫補助の内容としまして、各バンクへの支援ということも 含まれておりまして、本部会において検討していただいたガイドラインが、国の支援対 象を選定する際の参考になるものと考えております。 先生方は非常にお忙しい中、これからご無理をいってご検討をいただくことになりま すが、今後ともよろしくお願いしたいと思います。 ○事務局 次に議事を進めていくために、どなたかこの委員の中で部会長をお願いしたいと思っ ております。そこで、臍帯血移植検討会の座長である斎藤先生のご指名がありまして、 鎌田委員に本専門部会の部会長をお願いしたいと思いますが、皆様いかがでございまし ょうか。ありがとうございます。では鎌田委員よろしくお願いします。 では続きまして、会議にあたりまして、先程皆様方に配りました会議資料等の確認を させていただきたいと思います。 第1回臍帯血バンク事業運営専門部会議事次第でごさいます。その後ろに委員の名簿 です。その次が座席表になっております。 続きまして第1回臍帯血バンク事業運営専門部会資料一覧 資料 1 臍帯血バンクの実態調査の結果の概要 資料 2 「臍帯血バンク事業運営ガイドライン」の項目(案) 参考資料1 共同事業の内容に関する検討について(案) 参考資料2 「事業運営ガイドライン」において考慮すべき事項について その他に先生方に配付してございます。一つは臍帯血移植検討会中間まとめの概要と 本文です。それと臍帯血移植の実施のための技術指針(概要)です。その他に臍帯血関 係の基準書を5種類を配付してございます。何か不備等がありませんでしょうか。ない ようでしたら、これから議題に入っていきたいと思います。 では鎌田部会長よろしくお願いします。 ○鎌田座長 鎌田でございます。大変非力でございますが、議事の進行役ということで務めさせて いただきたいと思います。検討会の審議を見ておりますと、大変難しい議論で、自信は ございませんが、できるだけ臍帯血バンクが上手く進めるような形で議論をとりまとめ たいと思っておりますので、よろしくお願いします。 では議題にはいります。最初に「(1)臍帯血バンクの実態調査について」です。これ から検討を進めていく上でも、実態を知った上で議論した方がよろしいと思いますので 厚生省が10月1日付けで実施されました臍帯血バンク実態調査の結果について、事務局 からご説明をお願いします。 ○山本補佐 お手元の資料の1でございます。1ページと2ページが概要になっております。3 ページ以降に中身が詳細にまとまっております。この調査については、鎌田座長からご 紹介がありましたように、10月1日付け現在での各バンクの実態を、厚生省の方がアン ケートへの記入をお願いするという形で把握させていただきました。 対象としましたのは、7月26日に中間まとめをまとめた段階で、全国にございました 9つの臍帯血バンク、すなわち北海道臍帯血バンクから福岡県赤十字血液センター臍帯 血バンクプロジェクトまでの9か所のバンクを対象としました。お手元の資料の5ペー ジからです。 5ページにはバンク名と設置主体、設立年月日等がございます。設置主体につきまし ては、例えば血液センターとか献血供給事業団等バラエティにとんでますし、設立年月 日につきましても、一番古いもので平成7年4月で、最近のものですと平成9年に設立 されたものがございます。 6ページです。各種の担当者の有無ということでお聞きしました。情報管理責任者と いうことで、それの設置があるということでお答えいただきましたのが6バンクござい ます。例えば会計事務の担当者につきましても6バンクにつきましてはあるとお答えい ただきました。また専用事務室ということにつきましては4バンクがあるというお答え をいただきましたし、それのスペースにつきましても書いてある通りでございます。ま た事業実施もしくは事業運営要綱というようなものが、書面でできているかどうかとい うことにつきましても、できているというお答えをいただきましたのが7バンクござい ました。 また組織体系図につきましても、それぞれ、ある・ないとの回答をいただいて おります。 7ページです。当初の設立目的とか背景が書いてございます。医療現場の方が主導で もしくはボランティア団体の強い応援とか支援があってなど、それぞれのバンクの設立 経緯は様々でございます。後でお時間があれば読んでいただきたいと思います。 8ページです。各種委員会の設置状況です。各バンクが意思決定をする際に、様々な 名前での委員会が設置されております。主に倫理的なことを議論する委員会とか運営委 員会とかという設置がござます。 委員の構成人数も、様々ですし、開催状況につきましても、随時というところから、定 例的に開催しているところまでございます。詳細データにはござませんが、バンクの会 計につきましても、独自の会計をもっているとお答えいただいたのが4バンク、5バン クについてはまだ独自の会計はないというお答えでございました。 9ページでございます。採取(協力)施設の状況でございます。協力施設は2か所、 多いところで5か所ということで協力施設が設置されております。採取件数もこれは設 立の歴史にもよりますが、数としてもバラバラになっております。 10ページです。検査の実施状況についても伺いました。自ら検査を実施しているとこ ろから、一部もしくは多くの部分を外部委託で行っているというバンクもございます。 そのマニュアルにつきましては、多くのところでは作成されている状況でございます。 11ページです。保存施設の状況でございます。各バンクの保存臍帯血数、現在のとこ ろは左から3つ目の欄ですが、合計しますと約3,700 の臍帯血が現在のところ保存され ております。保存方法の殆どは液体窒素タンクという形です。次の欄に保存可能容量と いうのがございますが、このキャパシティについては全部を足すと、現在でも16,000を 越える保存容量になります。中間まとめでは5年間で2万検体を保存するという目標も 掲げてございますから、保存可能容量は既存の各バンクを足し合わせると、かなり現在 あるということになろうかと思います。また、保存の関係者の設置の有無とか、その他 安全基準の有無についても、多くのところで設置されている状況でございます。 12ページです。移植協力施設の状況です。臍帯血移植を行う施設の選定基準等、具体 的に例えば経験何年以上というふうに書いてあるものと、それ以外にかなり定性的に整 理されているところがございます。また登録患者数も多いところと少ないところと様々 でござます。 13ページでございます。損害賠償保険に対して加入しているかどうかということと、 地方自治体からの支援協力ということをお聞きしました。保険につきましては加入して いるところはございませんでした。地方自治体からの協力についても、それほど多いも のではございません。一部、協力についてお申し出があったというご回答をいただきま したが、あまりない状況にございます。 14ページです。情報の管理です。殆どがコンピューターでデータを管理しております から、それなりの管理体制をとっているかと存じます。 15ページです。情報公開につきまては、ポスター、パンフレット以外に様々な学会等 の発表、インターネットでのホームページの開設等で情報提供はされているという状況 でございます。概略は以上でございます。 ○鎌田座長 ありがとうございました。只今のご説明に対しご質問等がありましたらお願いします ○陽田委員 9ページの採取件数のところです。採取件数となっておりますが、現在保存している 数と理解してよろしいのでしょうか。 ○山本補佐 そうです。 ○陽田委員 神奈川が空欄になっておりますが、これは記入がなかったということで、大体の数は 把握されておられるのでしょうか。 ○山本補佐 11ページに神奈川県の臍帯血バンクの保存されている件数があります。これを足しま すと650 くらいというご回答をいただいております。この詳細なご回答は、その時には 空欄であったということでございます。 ○鎌田座長 今の保存数と比べると、採取件数の方が遙かに多いのではないでしょうか。 ○山本補佐 失礼しました。採取件数というのは採取した分ですので、その中でいろいろな感染検 査で落ちたもの、保存に至らなかったものも含むというふうに理解していただければと 思います。 ○鎌田座長 他にはよろしいですか。ではまた何かありましたら追ってご発言いただくことにしま す。議題2の「(2)臍帯血バンク事業運営ガイドラインの項目について」に移りたいと 思います。本専門部会の親委員会であります臍帯血移植検討会において、7月27日付け でとりまとめられましたお手元の中間まとめにおいて、共同事業に参加する臍帯血バン クの基準等に関する基本的な考え方が示されております。事務局の方でこの考え方を更 に具体的にした「臍帯血バンク事業運営ガイドラインに含まれる項目(案)」というも のを、作成していただいております。お手元の資料の2です。この資料のご説明をまず いただきたいと思います。 ○山本補佐 お手元の資料2と参考資料の2に一枚紙で、事業運営ガイドラインにおける考慮すべ き項目についてというのがございます。 参考資料2につきましては、中間まとめの中で、臍帯血の運営はこうあるべきである とか、臍帯血の共同事業に参画する臍帯血バンクはこういう基準を満たすべきであると かということを、まとめてある項目がございますので、そこを抜粋しております。特に 参考資料2の中段に、共同事業に参画する臍帯血バンクというのは、安全な臍帯血を中 立・公正かつ安定的に供給することができる組織であることを求められる。そのために 以下の観点からの評価が必要であるということです。非営利性、安全性、供給実績、技 術力、財政力、組織、設備、事務体制、というような8つの項目につきまして、中間ま とめの中で整理していただいております。 それに基づきまして事務局の方で資料を作成させていただきました。お手元の資料2 でございます。 臍帯血バンク事業運営ガイドラインに考えるべき項目という(案)ということでまと めさせていただきました。 まず最初に臍帯血バンク事業とは何かということを書かせていただいております。臍 帯血バンク事業とは、臍帯血の採取、分離・調整、検査、保存、搬送、及び情報の管 理・提供、その他、臍帯血移植に関する諸活動のうち、移植医療行為を除いたものをい う。というふうに定義させていただいております。 バンクが自ら委託その他のお願いする場合がございますが、それを含めた概念として まとめております。この事業運営ガイドラインをまとめる上での基本的な方針としまし て、4つ書かせていただいております。 (1)本ガイドラインは、共同事業が円滑に実施されるよう、共同事業に参画する臍帯 血バンクの運営の目安を示すことを目的として策定するもの、ということです。 (2)中間まとめの中でもございましたように、共同事業に参画する臍帯血バンクとい うのは安全な臍帯血を中立・公正かつ安定的に供給することができる組織であることが 求められるということです。 (3)人事、組織、財政等において、各臍帯血バンクの自主性が尊重されるべきである こと。各臍帯血バンクには責任ある体制整備と実行が求められるということです。 (4)本ガイドラインは、臍帯血バンクの運営に当たって各臍帯血バンクが配慮すべき 事項について取りまとめたものであり、各臍帯血バンクの独自の取り組みを妨げるもの ではない、という考え方をまとめております。 次に2以下にガイドラインの項目として掲げております。 (1)としまして、事業を行う組織としての基本的な枠組みです。ストラクチャーと申 しますが、その組織の部分をまとめております。 (1)組織です。組織としては例えばバンクの代表者が明確であること。またその代表者 が事業運営に責任が持てること。事業運営もしくは実施要綱が書面で作成されているこ と。バンクの運営方針を決定する委員会が設置されており、その委員会が年2回以上、 回数も書かせていただきましたか、2回以上開催されて、またその議事録が保管されて いること。職員の教育、研修について書いてございます。 (2)財政の問題です。財政として臍帯血バンク会計は独立して管理されていて、その管 理責任者もしくは担当者が明確であること。会計監査が行われていること。これは内部 監査てあるか外部監査かというところも議論をいただかないといけないかも しれません。それから継続的にバンクを運営するための財政計画や予算計画が 明確であること。 (3)事務体制もくしは事務局の体制です。一人以上の常勤職員がいて、バンク専用の事 務スペースがあること。臍帯血バンク事業を行うことに対して、いろいろな組織に入っ ている場合がございますので、組織全体の合意が得られていること。 (4)非営利性を担保していることです。 (2)です。枠組みの次は今度は事業の実施状況です。 (1)が中間まとめにもございました供給実績です。ただこれが非常に歴史の浅いバンク があって、まだ供給実績があまりないところとか、臍帯血はかなり保存しているが、た またまHLAが合わなくて供給しなかったということがございまして、?を付けたのは どのように書いたものかということで、まだ?になっております。 (2)収集見込みです。年間の臍帯血の収集が相当程度です。相当程度とはどの程度かと いうことはございますが、ご議論いただくとして、ある程度の収集ができること。 (3)情報の管理・提供のところです。保存している臍帯血のHLA等の情報について、 適切に医療機関に提供できること。臍帯血に関して、もしくは造血幹細胞移植に関して 地域住民とか医療関係者、患者関係者からの問い合わせてに対して、対応できる体制が あること。自ら供給した臍帯血移植事例について、移植医療機関からの登録、移植後の フォローアップ情報の収集管理を責任をもって行うこと。ここは各バンクに責任を持た せるのかどうかということではご議論はあろうかと思いますが、このように書いており ます。 (4)効率性、費用対効果の高い組織です。 (5)迅速性、利用者の利便性への配慮もございます。 (6)情報公開につきましても、事業の実施状況ですとか、財政状況に関する情報につい て書面で常備されていて、求められたら開示できるような体制があること。 (7)その他です。中間まとめで言及されました啓発・普及活動とか、地域におけるボラ ンティア活動等の活力を十分取り入れること。議論があろうかと思いますが、民間損害 保険への加入等、損害賠償能力があること。こういうことを書かせていただきました。 次の3ページです。中間まとめの中にありました、(3)安全性とか技術力とか有効性 というキーワードで考えて、(2)の事業実施状況にも重なるところはございますが、ま ずは臍帯血移植の実施のための技術指針、これは臍帯血移植実施における技術上の課題 に関する作業部会にて既に作成されております。 この技術指針、その時に同時に作業部会が基準書というのを定めております。この基準 書も合わせまして、水準を満たしていること。各バンクにおいて品質保障管理責任者が 明確になっていること、これが全体を通じて求められるのではないかというふうに考え ます。 各プロセスというかステップごとに書かれております。 (1)採取です。採取の段階では、採取についても「基準書」に基づくその施設ごとの具 体的な手順書が作成されていて、自ら採取を行わない場合、他の施設に採取を委託する 場合につきまして、これは多いのですが、この場合には、施設選定委員会による採取施 設の選定を行っていること。採取施設、産婦人科の施設と臍帯血バンク間での適切な契 約があること。委託されている施設においても、きちんとした手順書が作成されていて 基準書と同程度の水を満たしていることを、定期的にバンクとしても確認していく必要 があるのではないかと思います。 (2)分離・保存です。これは殆どの施設が自ら分離・保存を行っている状況にございま すが、それも同様に基準書に基づく具体的な手順書が作成されていること。自らの職員 に対して教育訓練を行っていること。 (3)検査です。これも自ら検査を実施する場合には、同様に手順書が作成されているこ と。検査を他の施設に委託する場合には、委託契約が結ばれていて、委託施設において も同程度の水準を満たしているということを確認することと書いてございます。 (4)搬送です。搬送につきましても適切な体制が整備されていること。 (5)設備とか施設というキーワードになっておりましたが、これにつきましても基準書 で求められる水準を満たす高い品質が確保できる施設、ハードを有していること。十分 な保存容量及び保存環境があること。情報管理も可能である施設であること。というふ うに書いております。機械が故障した場合、もしくは停電した等の不測の事態に対する 対策についても考えられていること、がございます。 (4)その他です。中間まとめの中にもございました(1)個人情報の保護とか情報管理と いうことです。これも情報管理責任者がいること。保存管理体制が整備されている こと。記録の保管・管理方法は基準書で求められている水準を満たしていること。 これに対する手順書が作成されていることがございます。 (2)倫理性です。臍帯血バンクの運営に関する倫理的な事項について、判断し検討する 委員会が設置されていること。中間まとめでまとめていただきました項目ごとに、やや ブレイクダウンするとこういう項目かなということで、事務局としてとりまとめており ます。以上でございます。 ○鎌田座長 ありがとうございました。今資料全体についてご説明いただきましたが、議論の方は 項目ごとに分けてご検討いただいた方がよろしいと思います。まず「臍帯血バンク事業 とは」という囲みがあります。 その下に「1基本方針」というのがあります。この二つを合わせてご意見がありました らお願いします。 ○平林委員 基本方針の(4)です。最後のところで、「各臍帯血バンクの独自の取り組みを妨げる ものではない」とあるのですが、これはどの辺まで独自の取り組みができるかというこ とについて、ある程度ガイドラインの中で決めておかないと、基本的なところはきちん と押さえて、そこは最小限度独自の取り組みは許さない。ただそれ以外のもう少し余裕 のあるところはここであるというふうに、ガイドラインを作っていく中で、そのことに 考慮して作っていった方がいいのではないかと思います。 ○陽田委員 基本方針のところです。(2)です。「中立・公正かつ安定的に供給する」と書いてあ るのです。中間まとめのときの基本的な考え方で提案させていただいたときの言葉は 「迅速に」という言葉を合わせていただいたのではないかと思いますが、ここでいって いる安定的にということと、迅速ということと、言葉の使い方ですが、どこかに「迅速 に供給できる」という言葉を入れていただいた方が明解かなと思います。 (3)です。「自主性が尊重される」ということが書かれているのです。ちょっと似た 感じかも知れないのですが、先程の(4)と関連するのですが、組織的には自立した組織 であるということを明確にうたっておくべきなのか、それぞれ自立した組織が全体の連 絡協議会等で調整を図っていくのだという考え方ではないかと思いますがいかがでしょ うか。 ○鎌田座長 わかりました。その点何か事務局の方からございませんか。 ○山本補佐  中間まとめで、いろいろなキーワードがここあそこに散りばめられておりまして、そ れをなかなか一文にできませんでしたが、迅速性は非常に重要であるということは、中 間まとめをまとめる検討会でも相当の議論があったことであると思いますので、この中 に上手く組み込むように事務局の方でもう一度検討して、 次回お示ししたいと思います。 各組織の自立した組織や共同事業をやっていくということも、共同事業の考え方の別 の項で明確になっておりますので、そこもこちらで工夫させていただきたいと 思います。 ○河北委員 この中に第三者機能評価という言葉をお入れいただきたいと思います。(1)の事業を 行う組織としての基本的枠組みというところに、第三者機能評価という言葉を入れてい ただきたいと思います。 ○鎌田座長 そのご趣旨は。 ○河北委員 財政だけではなくて、その活動機能に関して、第三者機能評価を受けるということで す。ですから定期的に受ける必要がある、ということを書き込んでいただけたらどうで しょうか。 ○鎌田座長 項目の部分に入れるということになりますか。 ○河北委員 あるいは基本方針の丸の番号の非営利性等に並べてでもいいですね。 ○鎌田座長 2の基本的枠組みの項目に入ってますからね。 ○河北委員 ですから基本的枠組みの(1)とかがよろしいのではないでしょうか。 ○鎌田座長 基本方針の部分はかなり抽象的でございますので、各論的な議論をした上で、また基 本方針をどのような形で反映させるのかということにもなろうかと思います。2の「臍 帯血バンク事業運営ガイドラインの項目」そのうちの(1)の中の、既にこの部分に入り つつあるのですが、事業を行う組織としての基本的枠組み、ルールに関してのご意見を 等を頂戴したいと思います。 ○陽田委員 組織のところで、是非入れていただきたいところがあります。私は検討会のときに、 移植医療をやっている医療機関に関しては、バンクの事業はやらない方がいいというこ とを申し上げたのですが、検討会の中で少し後退した経緯がありまして、私もちょっと 妥協したのですが、少なくとも医療機関がこの バンク事業を行う場合、移植医の立場にある方は、このHLAデータに直接接すること ができない立場、あるいはHLA情報を管理している人に、命令を与える立場に置かな い、という組織上の配慮か是非必要であろうと思います。なぜかといいますと、臍帯血 の場合には物が既にあるわけです。日常的に移植を必要とする患者さんを抱えている臨 床医の方が、データなりに接する立場にあるというのは、私は基本的なバンクの理念か らして不味いと思っております。 特に臍帯血の場合は、半年間は公開されませんね。6ヶ月後にお子さんの健康状況を 確認して初めて移植に使いうる臍帯血として登録し公開されるわけですよね。そういう あいまいな期間があるということは、先程申し上げたような配慮か必要ではないかと思 いますがいかがでしょうか。 ○山本補佐 実はここは随分議論があったところであると思います。中間まとめにまとめたときに は、移植医療部門からの独立についてということで、臍帯血バンクは組織・人事・財政 等の面において、移植医療部門とは独立して運営するべきであると、「べきである」と しましたのは、殆どのバンクが移植医が立ち上げのときに努力をされて、事実上は代表 者をやっておられたり、その組織で今まで培ってきたことかあったので、直ぐにそれを いうと、該当するバンクがなくなるのではないかという議論があって、将来の方向とし てべきであるというとりまとめになったかと理解しております。 検討会の議論をご紹介させていただきました。 ○鎌田座長 組織という言葉が一番問題で、例えば一つの病院の中でバンク機能と移植医療をやっ ているというだけで組織が共通と見るのか、今の陽田さんのは、それはやむをえないが その中で機能的には完全に分離して、分離した管理機能を持たせるようにしようという そういうご意見ですね。 ○陽田委員 いままで立ち上げにご努力をされてこられた移植医の先生方は、バンクの運営に係わ ってはいけないと僕はいっているわけではないのです。少なくとも臍帯血のHLAデー タに接する立場、あるいはそれを管理している人達に命令を与える立場であっては、こ のバンクの基本的な精神からいって不味いのかなと思います。バンクの理念から考えて 患者側と提供する側と明確に分離すべきであると考えています。 バンクの基本理念の一つである公平性を疑われるような組織はできるだけ避けるべき であろうと思うわけです。 ○鎌田座長 採取から移植まで一貫してやっている医療機関で、バンクには入れないで、そのまま 採取から移植までを行ってしまうというケースもないわけではないと思うのです。そう いうものも含めて、院内でのバンクのあり方と、移植医療のあり方の調整ということで すが、少し考えて項目を作っていくということになりますね。 ○陽田委員 採取から移植まで、一貫して医療機関の中でやっていることは、それは別にそれぞれ の医療機関でやることですから、全く問題はないと思います。少なくとも公的な意味で のバンクシステムのネットワークの中に入る組織という前提で、議論をしているわけで す。補助金を受けてこの事業に参画するバンクの組織は、少なくともそうあって欲しい ということを希望しているわけです。 ○児玉委員 私は中間まとめまでの議論を存じあげておりませんので、ご質問したいと思っており ました。そもそも一番最初の定義のところで、「臍帯血バンク事業とは、臍帯血の採 取・分離・調整・検査・保存・搬送、及び情報の管理・提供」最後の移植のところだけ を除くという定義をしておられますよね。 ただ後ろの方の項目を見ますと、採取そのものは、採取施設と臍帯血バンクというの は全く分けて考える、臍帯血バンクと採取施設の関係というのは、委託契約という理解 でよろしいのでしょうか。それとも場合によっては臍帯血の採取のところも含めて、臍 帯血バンクの機能であると考えているのか、その辺は基本的な考え方の問題であると思 うのですが。 ○山本補佐 検討会の中でも定義というところが十分に中間まとめに書ききれなかったところがご ざいます。一応バンク事業として、採取から提供・搬送までを視野におく、ただ全てを 自らやるというところもあるでしょうし、採取の部分は産婦人科の協力施設、今は協力 施設といっておりますが、そういうところにお願いして、自分の施設でもやるが、よそ のとこからもいただく、殆どは採取はよそでお願いする、というように事業実施体とし ては様々でございます。 ここに書きましたのは、どこにお願いをするにしろ、お願いするバンク側がお願いす る側のやっている内容についても、きちんと責任をもっていくというような視点でこの ようにまとめさせていただきました。 ○有田委員 検討委員会でまとまったことが、また何かばらけてきたのかなというような印象をも って聞いていたのです。 陽田さん、移植医療機関とバンクは離すという議論があったときに、現在これを離し てしまったら、今一緒にやっているところが殆どなので、4月からは機能していかない だろうから、猶予を置いてという話になっていたのではないですか。 ○鎌田座長 それは、例えば東海大学病院がバンク活動をやっていらっしゃるときに、東海大学病 院は移植医療もしているから、公的バンクから外すということではなく、同じ東海大学 病院の中で、バンク機能をもっている部分と移植医療をしている部分を、はっきりわけ て、東海大学病院の移植医だけが東海大学の中の情報を独り占めしているという状態は なくせ、その限りでのご発言であると理解しております。 ○陽田委員 そうです。 ○鎌田座長 だから、法人格まで別にしろという話ではないわけです。 ○有田委員 検討委員会の中間報告ではそうなってないのですか。 ○鎌田座長 検討委員会での組織という言葉が、かなり人によってとらえ方が違って、別組織にす るというのは、別の法人にしろというふうに理解されている方もいらっしゃれば、法人 は一つでいいが、機能的には明確に分離してくださいという限りで読んでいらっしゃる 方もいるので、そこをこの際、ガイドラインの中では明確にするということですね。 ○有田委員 そこを明確にしていただかないと、移植医療機関の中でもいいんだということになれ ば、今あるところを膨らましていけばいいわけですよね。そうではないのだということ になれば、また将来2年後とか3年後は、きちんとした形の移植医療機関から離す形の バンクの組織というのを考えていかないといけなくなるのですね。そこをしっかりと決 めてほしいと思います。 ○鎌田座長 そこのところをこのガイドラインの中で基本的な考え方を出す必要があると同時に、 多分このガイドラインというのは、固定的なものではないと思うのです。移植医療もそ うですし、バンク活動もまだ形成途上ですから、実態の変化に応じて、可塑性にとんだ ものにしていかないといけないと思うのです。 取り合えず現時点で、どういう基準を作るか、その中でどれだけ今のような考え方を具 体的に明確にできるか、ということのご議論をしていただければと思います。 ○古市委員 今の陽田さんの意見で、提供するときに、移植する医者が命令的に要請がでないよう な配慮、とおっしゃったので考えてみますと、この中で、四角の中のところに、臍帯血 の採取・分離・調整・検査・保存・搬送と書いてますが、搬送の前に保存、提供、とい うところで議論すべきことがあるのかなと思います。いろいろな資料をもっていて、要 請が出てきて、どこに提供するのかという決定というところで、何か検討するべきこと があるのではないか。その中で陽田さんが言われたように、公正・迅速に提供できるよ うなことをやる。直ぐに搬送という形になってしまうと、大事なことが抜けるのかなと いう気がしました。 もう一つです。最初に河北先生がおっしゃった第三者評価というのは、入れるのであ れば、一番最後の(4)その他というところがございます。そこに倫理性というのが書い てありますから、この辺で全体が第三者によって評価されるようにということで、そこ で議論をしたらいいのかなという気がしました。 ○正岡委員 先程の決定のところは患者さんの情報が出て、HLAの結果が出て合わせて、そこま ではお医者さんが知らせてはいけない。委員会などに出てきたときには、そこで関与し ないと決定できませんかからね。 するとそれまでの情報管理をちゃんとしておくということになるのだと思います。 これは全体として組織は9つの組織でしょうか。1つの組織でしょうか。それはどう でしょうか。 ○山本補佐 中間まとめの結果として、事実上、それぞれが主体であってということです。 ○正岡委員 すると予算が出たら、それを9つに分けるということになるわけですね。 もう一つは採取のところです。骨髄バンクのときには取る人ももらう人も、みな移植 するお医者さんの方が主であったわけですが、今度は供給側は産科のお医者さんでして 例えば母親教室をやっている先生とか、そういうところが非常に重要な供給側になるわ けですね。臓器移植の脳死移植のときには、救急センターが非常に重要なメンバーにな っているのですが、ここは非常に隅っこに置かれているような気がするのです。産科の 先生の協力がそれで得られるのかなという感じがちょっとしております。 ○中林委員 産科を代表しまして、私自身は東京女子医大におりますが、今回出席しておりますの は、産科の医会ということを代表してまいりました。産婦人科学会と医会とはこの事業 に関しては全面的にご協力させていただく。そして私を通じて、事業の内容等もお伝え しまして、要請があればこれに適した施設を可及的に用意させていただく。そういうこ とでおります。それをできるだけ広く進めたいと思っております。 ○長谷川委員 私も中間まとめまでの経緯を存じあげませんので、多少焦点が惚けたような意見かも 知れませんが、組織が例えば移植サイドとニュートラルである、独立している、そうし たら二つの考え方があると思います。 一つはスタッフを分けてしまう。ところが日本の多分HLAの関係者で移植と全く関 係がない。しかも今現在ある臍帯血バンク、あるいはそれに類する施設にご尽力いただ いた方で、俺は移植と関係がないという方は恐らく極めて少ないと思うのです。すると 人でクリアに分けるというのは、かなり問題が生じる。アクティビティーが一時的に極 めて低下する可能性が高いと思うのです。するとスタッフで分けるというのはどうも現 実的ではないのかなと思います。 もう一方はルールで規定するという方法があると思います。すると選択ルールを明確 にする。したがって恣意性が入らないようにする。命令も入らないし、 恣意も入らない。逆にいうと誰もがアクセスできて、公開が前提です。ただ勿論半年間 の、例えば安全期間をどうするのかとか、安全性の確認をどうするのかというのは別の 議論として、一つの考え方として、勿論情報にヒエラルキーを付ける必要はあると思う のですが、ある種インタイトルされた人間に関しては、常にアクセスできる。相互監視 する。レシピエント選択基準も明確にする。逆に明解でないものについては、例えば臍 帯血バンク協議会とか、あるいは個々のバンクの倫理委員会で検討していただければ構 わないと思うのですが、少なくともルールに合致したものに関しては、問題がない限り 行うというような形のルールで公正さを確保するという二つの考え方があると 思います。 どうも他のソリッド・オーガンの移植とかで、一時、移植医は恣意性があるからよく ない、するとアクティビティーが低下しているということも経験としてありますので、 臍帯血バンクで同じような誤りを繰り返さないということを考えますと、より明解な ルール、恣意性の少ないルール、しかもそれが相互にチェックできる体制というのが、 そういう方向でご意見あるいは議論が進めることができれば、より実際的かなという気 がします。 ○陽田委員 私の発言の補足の説明をさせていただきたいのです。この臍帯血のHLA情報は採取 から半年たった時点で、全て公開をするというとになっております。公開をした後は全 く平等に患者側、すなわち主治医の方がアクセスできて、平等なチャンスが生まれるわ けですが、そこに至るまでは、非常に宙ぶらりんな半年間の期間があるわけです。そこ をきちんと規定しておかないと、そのバンクに係わっている移植医が担当している患者 さんだけが、特別な利益を受けるという誤解を受ける恐れがあります。 移植医が係わらない方がいいといったのは、極一部です。HLAの検査をして、個人 情報と共にそのデータを保存する部分だけですから、ここは何も移植医が係わらなくて もできない話ではないのです。 どこの施設でもこれはできると思うのです。組織的又は人事的な工夫で簡単に解決でき る問題なのです。 ○迫田委員 一点確認したいのです。先程のお話の中で、施設の中で臍帯血を保存して施設の中で 行われるものについては、公的なもの以外、ということで起こりうるであろうという感 じの発言があったように思うのですが、それはそれでいいのかということを確認したい のです。例えば、臍帯血移植が保険で認められるような形になってくると、するとどこ で臍帯血移植が何例行われたのかというのは、数字だけでも明らかにすることができま す。すると実際にどこのバンクとして何例行われたというのが、全例がきちんと把握さ れるようになれば、恣意的に使われたというのは後からきちんと検証することが できる。公正さが担保されるという気がするのですが、そこにそれぞれの施設が独自に やって、独自にやる分についてはいいでしょうというものを残しておくのかということ についてお考えをお聞きしたいと思います。 ○陽田委員 これは別に法律に規定されているわけではありませんので、ある医療機関が臍帯血を 保存して、それを自分のところの患者さんに移植をするということは、誰も止められな いことですね。しかし、少なくともこの臍帯血バンクのネットワークに入って、公的な 色彩をもって、公平に事業を行っていこうという組織については、李下に冠を正さずと いうか、疑われることは止めた方がいいという発想で申し上げているわけです。 ○正岡委員 一つは兄弟で障害をもっている患者さんの次の赤ん坊から臍帯血をとって、お兄ちゃ んに使うというのは誰も止められないのですよね。ただし、そのHLAが違ったら、こ れはお兄ちゃんには使えませんから、バンクにあげるということは起こりうると思いま す。そこらを疑惑をもたれないようにするということはありますが、そのような母親の たっての願いとかは、決して無視できないと思っております。 ○鎌田座長 私も先程も申し上げたのですが、現にバンク事業に参加している病院であっても、家 族間の移植的なものが入ってくると、これはバンク事業とは別という話になります よね。この範囲をどこまで広げることが可能なのかというのが、少し難しい議論になる のかも知れないということで申し上げたのですが、その点も含めて、情報管理のあり方 なり、あるいはどの段階からバンク事業に組み入れられると考えればいいのかというこ とも、可能であれば、このガイドラインの中で基本的な考え方を出しておいた方がよろ しいのではないか。こういう問題を提起するということですね。 ○中林委員 今のお話に少し関係があるのですが、臍帯血を採取する産科医の立場として、この中 にコマーシャリズムが入り込むことは、何とかしたい。これは本来この参加する施設の 基準で、今いったように兄弟間ということではなく、保険適用が入ったときに、ではコ マーシャルでやろうというところが出てくるのですよね。これが非常にはびこっていき ますと、折角作ったものが生きていかない。そういうものをどのように規制するかも、 これから少し離れますが、一度ディスカッションしていただきたいと思います。 ○児玉委員 中間まとめの前提になっているお話であろうと思ったのですが、よく分からないと思 っている点です。 先程の迫田委員のご質問に関連します。要はこの基本方針の共同事業という言葉がある のですが、共同事業に関して定義がはっきりしているわけではない。つまり、臍帯血バ ンクのネットワークの中に入られたら、完全に共同事業としてやって行かれるのか、つ まりある特定の日赤なら日赤、東海大なら東海大で採取されたものを、取り分けるとい うことが許されるのか、一端エントリーしてしまえば、セレクションを全体の共同事業 の中で公平にやっていかないといけないのかです。 もう一つは、レシピエントの選択の公平性のお話が出ていたのですが、ことに臍帯血 の場合は、骨髄バンクよりHLAが完全一致でなくてもという部分がある。もう一つは 適用されるものが、例えば再生不良性貧血からいろいろある。するとルールがはっきり してないと、例えば自分の施設で今レシピエントになりたい人かいる。この人は完全一 致ではないが、例えば再生不良性貧血である。別の施設で完全一致の患者さんがいると いう場合、共同事業というのであれば、横の連携があって、何がしかのルールで、あな たの施設で取ったものではあるが、一定のルールに基づけば別の施設の患者さんがより プライオリティーがあるとか、ここまで縛りをかけるのかです。 それともある程度は、自分のところで採ったものは取り合えずやっていただいて、残 ったものを共同事業にするというお考えなのか、その辺は既に中間まとめ段階で何かご 了解かあるならご説明をいただきたいと思います。 ○山本補佐 中間まとめを作るに合わせまして、お手元にございますが、技術指針というのをとり まとめております。技術指針の中には委員の方々は臍帯血実施移植の実施のための技術 指針とございまして、その中の8ページに書いてございます。例えば移植細胞数の形態 であるとか、HLAの適合度等がございまして、優先順位の1・2と書いてござい ます。完全一致の方が優先です。この考え方は共同事業に入っておられて、そこに登録 された臍帯血で自分の患者さんが2座不一致、別のところの医療機関が1座不一致、 もしくは完全一致であった場合には、そちらが優先であるということです。自分が集め たから俺のものであるという話はない、という整理をさせていただいております。 ただ先生がおっしゃる通りに、それ以外の適応というのが大変に広まっております。 それにつきましては、お手元に分厚い基準書という、臍帯血移植実施基準書というもの の中に適応症がございます。3ページくらいですが、臍帯血移植の適応ということで、 造血細胞もしくは血液疾患以外に、先天代謝異常症とか免疫不全症等もリストアップは されております。 ただ、委員からのご指摘がありましたように、この世の中で、どういう優先順位にな るのかとか、どの疾患を優先するべきなのかということについては、まだクリアではな いので、そこは整理してかからないと、ご指摘いただきましたルールというところが明 確ではないか。ただこれを外れた場合、もしくはこれを越えて適応したいという場合に つきましては、この中で保存機関とは別の判定委員会を作って、そこに移植したい症例 を持ち込んでいただいて、判定委員の中でジャッジしていくという確認はあります。 それから今児玉委員からお話がありました共同事業とは何かということにつきまして は、お手元の資料の中間まとめの概要というところの4ページ目のところに、臍帯血バ ンク連絡協議会ということで、共同事業としてやるべき内容ということで、バンクの連 絡調整とか、採取・保存・検査等の標準化、同じルールでやりましょうとか、情報を共 有してお互いにアクセスしましょうとか、安全性の評価をしましょう、移植医療機関の 登録、関係機関との連絡調整、適応の評価、事後の評価、治療成績の評価、提供者のフ ォローアップの評価、情報公開、国際協力と共同研究ということで、大枠としては整理 されてます。 ○陽田委員 確認です。先程、一旦HLA情報が登録されて公開されたものに関しては、適応疾患 であれば、患者さんが登録したら、それは登録順というか、この患者さんとこの患者さ んのどっちが優先で云々ということはないのですよね。登録した順に適応疾患であれば ということですよね。 ○朝浦室長 登録の仕組みをどう作るのかという問題もあります。登録制そのものを各地のキーバ ンクでやるのかどうかという問題も実はあると思います。全体としての登録制を設ける のかという議論もあると思うのですが、基本的には情報が開示されれば、患者者や主治 医からアクセスをして、自分のHLAに適合しているものがあれば、保存している臍帯 血バンクの方に具体的にアプローチできるというふうに今はイメージはしております。 ○正岡委員 この患者さんとこの患者さんの臍帯血が合う、きちんと全部あっていれば文句はない のでしょうが、1座不一致まで認めるということになってくると、どうしても1座不一 致同士の患者さんの中で、この患者さんにはこっちがより合っているという判断がいる と思います。これは移植医あるいは提供するHLA関係の先生が、恐らくコミッテイな どで決めるという必要があると思います。 ○鎌田座長 それは全体のシステムでは非常に重要ですが、ここの議題との関係でいえば、判定を するコミッティがセンターにあるのか、それとも各地域バンクがもっているべきなのか 後者であるとすると、それをもっているバンクがここの基準に当てはまるという形にな ってくるのだと思うのです。 ○長谷川委員 テクニカルには、保存したものは日本全国で宅急便などを使えば出せるのです。した がって、幾つのバンクを想定するのかというのは別の問題であるとして、それぞれが違 う適応基準というのはおかしいのですよね。だから運営を考えるときに、技術の方に、 適応基準をはっきりさせていただきたい。少なくとも私の理解では骨髄移植に対して、 まだ補完的なんですよね。最近は幾つか出てきて、多少というのは悪いのですが、多少 有効性について云々されてますが、まだ実験的なんです。 したがって骨髄移植との関係です。骨髄移植では有効性が証明された。臍帯血の方で はかなり症例数があって、有効性がほぼ想定される。骨髄移植では有効性が証明されて いるが、臍帯血ではまだ例数が少ないという形で、グレーディングを付けて、エビデン スに基づいてきちんと適応を決めていかないといけない。この基準が不明瞭てある、あ るいは全国で揃ってない場合には、運営の方では公正性を担保しないといけない。それ は極めて困難です。アクティビティーを下げてしまいます。ぜひ運営の方から技術の方 に、ある種のスペックを出して、恣意の入りにくいようなルールを作っていただきたい し、臍帯血のある種の補助をするというのは公益材ですから、それにエントリーされる のであれば、そのルールを少なくとも認めていただきたいという条件を、この条件を認 めるのかどうかは、こちらの運営の方の部会であると思うのですが、そういう形が望ま しいと思います。 ○鎌田座長 時間も経過してまいりましたので、(1)の部分の議論が残っていたらまた出していた だくとして、(2)の事業実施状況に関するご質問ご意見をお出しいただければと思いま す。これは先程も事務局の方からご説明がございましたように、事業実施状況といいま しても、これからまだ立ち上げていくものもありますので、現に実施しているというこ とよりも、実施能力がどれほどあるのか、実施の体制がどれほど整っているのかという ことも含めてお考えいただきたいと思います。 ○陽田委員 事業実施状況の中の(3)です。情報管理・提供というところがあるのですが、これの一 番最初のところに、「保存している臍帯血のHLAなどの情報について適宜適切に医療 機関に提供すること」となっています。このHLA情報については、これだとこのバン クが直接医療機関に提供する印象があるのですが、私の理解では、共通のデータベース の中に情報を集積して、それをどの医療機関もアクセスできるという体制にするという 理解をしていたので、この表現はちょっと適切ではないのではないかと思います。 ○山本補佐 実は明日、技術の方の専門部会が開催される予定でございます。その専門部会の方で 例えば検索システムとして予備検索と本検索という制度を取るのかどうか、予備検索で アクセスできるデータとは何々の項目なのか。それを患者が自由にアクセスできるのか 患者等とありましたので、医療機関を通じてアクセスするのかどうかです。 それから一次検索が終わった後に二次検索で、より詳細な患者さんのフォローである とか、生まれたお子さんのフォローデータであるとか、相当に細かい検査データをどう アクセスするのか、それを患者がするのか、医療機関を通じてやるのかということの枠 組みを、明日技術部会の方で検討することになっておりますので、ちょっとこの辺の表 現はそちらを待ってです。 ただ何らかの情報をバンクが提供する役割を担うとしたら、というくらいにお読みい ただいて、そちらの議論を待ってここのところは整理させていただきたいと思います。 ○迫田委員 先程(1)のところで陽田さんがご指摘になったことであると思うのですが、実施状況 に入るのかどうかわかりませんが、情報の管理・提供というところに、恣意的なことが 行われないような、例えば情報の管理・提供の責任者を設けるとか、それは6か月まで の全部オープンになるまでの間は外には出さない、担当者以外にはアクセスできないと か、そういうことを情報の管理・提供というところに書き込むという方法はないでしょ うか。 ○鎌田座長 これは事務局を含めて検討していただくということにしたいと思います。 ○有田委員 最初の医療機関に提供するというところです。これは一番最初のところでのことでは ないですよね。 バンクが医療機関に、供給が決まってから後からですよね。最初に医療機関に提供する ということではないですね。最初は誰でも見れるようにしているわけですよね。その後 のことですね。確認です。 ○山本補佐 今有田委員からお話があった(3)の情報の管理・提供のところの1番の○のところ です。 ここは陽田委員からも同じようなご指摘がありましたように、医療機関へと限定的に書 きましたし、HLA等の情報で、だからここは、何の情報を誰に提供するシステムをど う作るかを、技術部会の検討をまって、適切にこちらの方でまた次回までに整理させて いただきたいと思います。 ○陽田委員 今のところです。技術部会の検討を待ってということが出たので、是非ともお願いを しておきたいのです。ここは極めて重要で、この臍帯血の最大の利点は迅速性であると 思っておりますので、その辺の手続きを、あまり難しく煩雑にしすぎて、結局時間がか かるというふうにならないように、十分にお願いをしておきたいと思います。 ○有田委員 私も一言言わせていただきます。くれぐれも、こういうものを審査するお医者さんの グループを作るということは、なくしてほしいのです。この専門部会の方で出てこない ようにです。事務局によろしくお願いします。 ○正岡委員 情報というのは9つのセンターに全国データが皆揃っている、そういうような情報の 保管になるわけですね。 ○山本補佐 正岡先生がおっしゃったように、基本的には全国の情報が全てアクセスできないなら 9つがあってもしょうがないと思うのですが、具体的にどの情報を一次スクリーニング できるのか、中間まとめには明確に迅速性ということもうたわれておりましたし、患者 等が一次スクリーニングにアクセスできることという理念も明確になっておりますので そこを含めて、技術部会でシステムを検討していただいて、また検討会でも議論できる かと思います。 ○正岡委員 そのように電話でとかコンピューターで連絡しあうということになると、ハッカー対 策などが非常に重要になってくると思うのですよ。 ○陽田委員 戻ってしまうのですが、事業を行う組織としての基本的な枠組みの(2)の財政的なこと です。これを行う組織が補助金を受けてやるという場合に、補助金というのは年度末に しか入らないわけです。ですからその間の資金繰りをどうするのかというのは、極めて 重要な問題であると思うのです。その辺がここでは抜けていると思います。財政計画の 中に含めてお考えになっているのかも知れませんが、ちょっと具体的に書いておいた方 が良いと思います。 もう一つです。2ページの収集見込みというのがあります。相当程度が見込めること とあります。これは検討会の時にも私は大分申し上げたのですが、一つ一つのバンクの キャパシティーが少なくて、保存数が少ないと、どうしても一つあたりのコストが高く なります。このコストを誰が負担するにしても、安く済ませる方が良いわけですので、 あまり小さいものを沢山作らずに、ある一定規模のものを限定してお願いするという考 え方でいくべきだと考えております。 ○迫田委員 情報の管理・提供の2番目の○です。問い合わせに対して対応できる体制が整備され ていること、これは広報活動という意味でなくて、個別の情報という意味で理解してい いのでしょうか。それとも広報活動のようなものを含むと考えているのか、そうすれば ちょっと情報の管理・提供ではなく、広報活動というのは別のものであると思うのです が、これは個別のことに対しての相談という意味に理解していいのでしょうか。 ○山本補佐 後ろの方でまた啓発・普及活動というものも(4)のその他にもあります。確かに意 味するところは曖昧であったと思います。ただバンクには恐らくいろいろな問い合わせ が、個別の患者さんなり市民なり医療機関なりから出てくるかなと思います。それで、 ある一定程度のレベルの対応が出来なければ、という意図で書いておりまして、もし適 切な表現があれば、お教えいただければと思います。 ○正岡委員 情報管理・提供の2番目です。HLA等の情報が地域住民というか、患者さんの家族 が直接このHLAとか、臍帯血はこうだということを聞けるということになっているの ですか。これはそういうことは意味してないのですか。 ○山本補佐 情報のところは明日の議論を待たないといけませんが、ただ、例えばの議論の中で、 私どもの厚生科学研究の中で、こういう研究をやってくださった先生などの報告である と、例えば一次検索として、予備検索としては、例えばHLAの型と細胞数がどのバン クに保存しているのかという情報は、基本的にはインターネット上も公開されている、 もしくは電話で、患者さんであろうが、ご家族であろうが問い合わせがあったときに、 あるとかないの答えができる、あると分かった場合に、もっているバンクに、次も誰が 問い合わせるのかという問題はあるのですか、より詳細なデータをもらうという仕組み もありうるのではないかというような、特にインターナショナルに海外ではHLAの情 報が、今時はホームページで自由に検索できるようなシステムがございます。それも一 つの考え方という研究の報告はいただいております。 ただ具体的にどの情報を、誰が具体的にアクセスできるのかというのは、技術部会で の検討を待つということかと思います。 ○正岡委員 一つの臍帯血を、二人の患者さんが取り合いをするということになると、これは大変 なことになると思うので、そこはよく考えてほしいですね。 ○平林委員 情報のところで(3)と(6)に情報という言葉が出てきて、恐らく違う意味で使っている と思うのですが、その辺はきちんと整理して、むしろ今のお話ですと(3)の方は臍帯血の HLA等の情報をも公開して、管理してきちんと提供するという意味も含んでいるのだ ろうと思いますので、(3)の方にも、その意味では公開性というものをきちんと入れてお いた方がいいだろうと思います。 (6)の情報はまた全然違う性質の情報ですから、これはまた別途考えるということの方 がよろしいのではないでしょうか。 ○陽田委員 ここの情報の管理・提供の二つ目の○に書いてあるのは、地域住民、医療関係者、患 者関係者と並んで書いてあるのでちょっと分かりにくいのだと思います。例えばこれは 提供したいお母さんが、どうすれば提供できるのかという問い合わせに答えるという意 味ではこれでいいのだと思うのですが、患者関係者の相談問い合わせということになっ たら、個々のバンクがそれぞれにやるというのは、果してどうか。これはむしろ臍帯血 だけでやるというものもいかがなものかと思います。私が検討会のところでご提案して いたのは、患者の相談部門と、国際協力の部門については、骨髄バンクと臍帯血で共同 でやるべきではないかということをご提案しましたが、ここではそこまで議論をする場 かどうか分かりませんので申し上げませんが、ここでは患者まで一緒にすると、非常に 限定した問い合わせ相談にしないと難しいのではないかという印象です。 ○有田委員 問い合わせをする方は、される方の状況にお構いなく、なんでも来るのです。提供し たいという人の問い合わせも来ますし、移植を受けたいという人の問い合わせも 来ます。ですから、そこの辺をひっくるめて、専門的にならないまでも、ここである程 度の最初の答えはきちんとできるような意味での情報公開と理解しているのですが、 どうなのでしょうか。 ○鎌田座長 (2)(3)の2番目の○は、いろいろな意味での情報の提供がまぜこぜに入っていると 思います。一般的な情報提供と、相談の問題と、HLAの検査の一次検査結果の提供の 問題がありますから、今後分けて議論をするように工夫した方がいいかなと思います。 ○有田委員 だから患者さんのみというか、その辺はまたここではなく別途考えてやらないと、困 るのではないかと思います。 ○鎌田座長 次の段階ではもうちょっと整理して出すことにしたいと思います。それと同時に、こ この情報の提供もそうですし、患者選定もそうですが、患者ないし医療機関等に対して 各地域バンクが直接全てを行うのか、あるいは中央が媒介になるのが原則なのか、そこ のところは必ずしも技術委員会が全部を決めるものではないと思いますので、こちらで も今後どういう体制がいいのかという検討を、現実に即応しながら、していった方がい いのではないかと思います。 ○有田委員 ここの2番目の部分については、今バンクをやっているところは殆どされていると思 うのです。皆が対応してくださっていると思います。 ○山本補佐 先程からクリアでない部分は、一つはこの後で共同事業をやる事務局を設ける、その 事務局は一体なにを果たすのかというのが実は明確ではないために、混乱しているのか なと思います。事務局の果たす役割については、本日資料をご用意できませんでしたが この場でも次回以降の大きなテーマになると思います。また情報につきましてはここに 書いたものでは十分に整理されてませんので、どういう情報はどこで受けるのかという ことをきちんと整理しないといけないと思います。 問題提起としては有田委員がご指摘されたように、バンクという看板をあげると、い ろいろな情報や相談が来るので、自分のところで受け入れないのであれば、どこで受け るのかを明確にしてあげないと中途半端に終わってしまうということの上で、技術部会 との検討をフィードバックしながら、整理させていただきたいと思います。 ○鎌田座長 では(3)の安全性・技術力・有効性の項目についてお願いします。 ○陽田委員 その前にもう一つすみません。2ページの一番下のその他のところです。民間損害保 険への加入云々というのがあります。これは先程の各バンクの資料を見るとまだどこも 加入されていないようですが、これはまだ日本で存在しない保険であろうと思います。 骨髄バンクのときもドナー保険という全く存在しない保険を、事業のスタートと同時に スタートしたわけです。ですからこれはある程度事務局の方で保険会社と、こういうも のが可能であるのかどうかということを、資料として出していただかないと、議論がで きないのではないかと思います。よろしくお願いします。 ○長谷川委員 これについては、恐らく趣旨は最終的な賠償能力を担保するということだと 思います。恐らく臍帯血バンクがどういう法人の形態を取るのか、クリアではない部分 があるのですが、恐らく基本財産等では無理であろうということで、あとは損害賠償の 責任範囲は業務についてどういうふうに規定するかによって、賠償がどういう形で生じ るのかというのは当然しないといけないと思います。 可能性としてはPLの対象になるのかなという気がします。そうであれば、これは問 い合わせをしてないので何ともいえないのですが、一般のPL保険で担保されるかどう かというのが、恐らく議論の対象になると思いますので、事務局の方でお願いします。 ○児玉委員 多分、一般のPL保険では不可能ではないかと思います。といいますのは、保険を設 計するときに、一発のダメジャビリティー、何人くらい、どのくらいの障害がありうる のか、それについてどのくらいの損害賠償があるのかという一発のダメジャビリティー と、それがどのくらいの頻度で起こりうるのかということです。 日本の保険会社の保険のスタンスですと、あらかじめある程度分かった段階でしか約 款料率を決定してこないというのが、日本の保険会社のスタンスなんです。外資とくに ロイズなどの引受スタイルですと、わからない段階でも、ある程度高く保険料率を設定 して引き受ける。一事故でも起これば、保険料率が何倍にも、場合によっては何十倍に も跳ね上がって、結局、オンゴーイングの付き合いをずーと続けてもらうことによって 最終的には全部回収するというスタンスの保険のスタイルです。 日本のように保険に対して、保険の公共性があるのだから、いざというときにはとに かく払えという立場で保険会社に役所の側が接して、保険会社の側は、だったらという ことでおっかなびっくり、状況がはっきりするまで出てこないという保険のスタイルに するのか、ロイズのようにやばくても突っ込んでくる、事故が起こった後は保険料の大 幅な値上げによってそれを回収するという非常に営利性の高い保険で付き合うのか、そ の辺は日本の保険業界は非常に揺れ動いております。 もう少し根っこのところを言えば、損害保険、つまりライアビリティを前提にした損 害賠償の保険ということで考えるのか、あるいは医薬品機構のような過失等を問題にし ないコンペンセーションで考えるのか、保障ということで考えるのか、その辺でちょっ と2段構えでアプローチをした方がいいのではないか。 もっとドラスティックに言えば、加害者側がファンドを形成して、加害者側がライア ビリティを負った場合に支払いをするという自動車保険型の保険のスタンスも一つあり ます。逆に、被害者側、ここの場合にはドナーの側ですが、ドナーの側がある程度リス クを分担してもらうという火災保険型の被害者側でファンドを用意していくという発想 もあります。なかなかその意味ではいろいろなアプローチの仕方、いろいろなライアビ リティーの切り分けがあるので、いちがいに保険会社にどういうものでしょうかという と、エーと言われると思います。 ○陽田委員 すみません。今の話を聞いていて大事なことを確認するのを気がついたのです。これ は患者に対する保障でしょう。 ○鎌田座長 患者ですか、ドナー保険ではないのですか。 ○朝浦室長 骨髄移植のようなドナー保険ということではないということですね。 ○児玉委員 さっき話がごちゃごちゃしてしまったのですが、ドナーの側に対する保障ということ でも、結局骨髄バンク側にファンドを形成していくのか、それともドナーになる以上は 一定のリスクはあるのだから、レシピエントになりそうな人でファンドを用意していく のか、というそれでも二通りに別れます。そういうことが理念的にはありうるというこ とです。 ○鎌田委員 ドナー側には当面は補償を考える必要はないということですか。 ○有田委員 むしろいうならドナーよりもバンクの方ですね。ドナーに関してはないですね。 ○正岡委員 すると採取のときも、採取専用の看護婦さんが何かへまをして分娩の邪魔になった、 そういう保険ですね。それはこっちが、恐らくその看護婦さんはこのバンク側の職員で しょうから、向こうの病院に損害を与えるということはおこりえない、そこまで考えこ とはないかな。 ○鎌田座長 第三者的にいえば、そんなに危険がないなら、無過失損害賠償責任くらい負ってくれ という感じはしますがね。 ○児玉委員 私はまだ共同事業ということで、どこまで共同で、どこまで分権的意思決定を許すの かということが、なかなか見えてこないのです。情報発進についてもデシジョンメーキ ングについても、どこまで各バンクが分権的にやるのかという、ルールつくりについて も、倫理委員会についても、どこまで中央集権的にやるのかという、これが実態として ご苦労されて立ち上げてこられた各バンクのお立場もあるので、急に国の予算が付くか らというので、急に中央集権的にやるのは、実態としてなかなか難しいという悩みもき っとあるのではないかと思うのです。 ただ情報の発進にしても集積にしても、ある程度中央集権化しないといけないし、 ルールつくりにしても、ある程度の統一性があった方がいいのではないか、それからそ れがただ、全体が一体となって共同事業になっていくと、ライアビリティ、損害賠償と いうレベルで言えば、いつも全体が一種の共同行為としてライアビリティーを背負うと いう可能性が出てくる。 するとライアビリティのリスクというのは、一番悪いところのリスクで考えざるを得 ないという、その辺も損害賠償との関連でいうと、若干悩みになるところかと 思います。その辺はどこまで共同なのか、どこまで中央集権なのか、その部分である程 度整理いただけると判りやすいと思います。 ○平林委員 恐らくそれが一番現実的に難しい問題だと思うのです。検討会の中でも、造血幹細胞 全体の事業をどう構築していくのかという、全体像をどう描くのかということと、骨髄 バンクの関係とこの関係をどう取り合っていくのかという問題で、しかし実際にこれが 始まっているというので、僕が答えることではないと思うのですが、非常に中途半端な ところで、しかし現実的な要請に答えないといけないということで動きだしているとい うところがあります。恐らく非常に難しい。 一つの問題の解決をするカギになるのは、事務局からおっしゃられました、事務局が 一体どこまでのことができるのかという、現実的な対応能力の関係で、そこで我々の組 織も、どこまで中央集権的にできるのかというのが決まってきてしまうのではないかと いうのが私の感想ですが、いかがでしょうか。 ○鎌田座長 もう少し細かくいえば、事務局と仮称の連絡協議会の本体も、別だということ ですね。構成も機能も別だということになりまして、その辺の組み立て方がまだ固まっ てないことが議論をわかりにくくしていると同時に、ここでも議論していかないといけ ないということになるのでしょうかね。 ○山本補佐 蛇足中の蛇足になってしまうのかも知れないのですが、ただこのガイドラインの基本 的な考え方は、最初に申しましたように、今の時点では各バンクが自主的に責任をもっ て一つ一つが主体である。それでそれぞれが組織内でやってきた臍帯血移植について、 一つは安全性がお互いがシェアするのであれば一定のクオリティをもったものでないと いけない。それについて、安全基準を決めました。それはちゃっと守ってください。守 らないところは仲間に入れませんというか、お互いにシェアはできませんということで すね。その上でそれを担保するために、査察をしたりということを、今度技術委員会で 決める。 もう一つはHLAの情報について共有しましょう。その方がマッチする可能性が高い ということが明確になってます。それから陽田委員がご指摘になっている公正性という ところから、レシピエントの選択基準を明確にしていきましょう。そのルールの中で、 提供しましょうというところまでは明確なのですが、それ以上、どこまでやっていくの かというのは、まだ十分になってません。 ただし、それぞれのバンクに責任があるというのは非常に明確で、中央が全部の責任 を負うかという絵には、今のところはなってないということでございます。 ○高橋委員 前に戻るかも知れないのですが、自分自身の理解が悪くて伺いたいのです。このバン ク事業に乗らないで施設内で実施されるという実態があるわけですよね、そのケースに 関しては、ここで論議されているような基準の網は被らないのですね。そのケースに関 しては、今後、どの程度そういう枠外のケースかあると予測できているもの でしょうか。 ○月本委員 私はどちらかというと現場の立場にいるものです。先程正岡先生のお話についてです が、自分の兄弟から取ったものが合わないと、全部登録すると思います。恐らく同胞間 で合った人以外はバンクに登録すると思います。同胞間だけを自分のところで使う、現 実としてそういう動きになると思います、そこまでは許してあげてほしいのです。後は バンクに登録するということですね。 ○高橋委員 その枠が広がったとしても基準は被らないのでしょうか。 ○有田委員 正岡先生、たまたま兄弟で生まれて取って、合わないからバンクに提供しますという 話は最初からないのです。それはガイドラインの中では決まってますよね。そういう話 にはなってませんよね。その反対としてバンクに登録して、合ったから返してくれとい う話もなし、という話でしたよね。といいますのは、時間的にそういう余裕というのは あるのですか。 ○正岡委員 生まれてきてHLAを見て移植ができるようなら使いたい、合わないなら捨てるのは 勿体ないからバンクにあげます。そのデータはHLAのデータはそのままバンクにあげ る、そういうことは十分に起こりうると思います。それからインフォームド・コンセン トのところで、アメリカでは全部とって、凍らせてから、お母さんからインフォーム ド・コンセントをとって、OKであったものをバンクに入れている。OKが出ないもの は捨てているということを、この前ニューヨークではいってました。だから後から入れ るというのは、入れれるものは何でも入れたらいいのですよ。 ○有田委員 バンクに提供するお母さんには、最初の参加の段階で、お産までの間にバンクに提供 しますという承諾書をいただくのですよね。ですからその時点で、自分の子供に使うと か使わないという話はないのです。 ○正岡委員 でもそれは自分の子供が病気であれば、自分の子供に使いたいというのが、まず第一 義にある。 ○有田委員 その話はバンクの話はないのです。 ○正岡委員 バンクの話にはないが、そうしたら合わない場合に捨てるのかということですよね。 それは使えるようにした方がよろしい。 ○陽田委員 それは極めて希に発生するケースであると思います。この共同事業に参画している採 取機関でお産をする場合にのみ対応するべき事例になるのでしょうね。だからその意味 では極めて少ないケースであると思うのです。だから議論をしなくてもいいというわけ はないと思いますがね。 ○正岡委員 僕は、9つのうちの1つというのが非常に難しくて、最終的に全国的にどうしても決 めないといけないというところができてくるような気がするのです。今日資料をお渡し しましたが、例えば特許が認められたときに、アメリカとヨーロッパでは特許の料をど こに請求されるのか、このバンクで受けきれるのかということがありますよね。その時 には、どういうふうな組織でやるのか、それは各バンクの受け入れる方か、請求先がバ ラバラで個人の方がいいのか、ということも考えておく必要があると思います。 ○山本補佐 今、正岡先生がお話になりましたのは、臍帯血を凍らせて移植をするという技術自身 に特許が認められたということで、特に欧米でそういう話があったのです。これは実は 私どもの親委員会の方の検討会では一切議論がなかったものですから、新たに先生の方 から情報提供をいただいたのです。これは今後の検討として留意しないといけない点で あるかと思います。ただ今までの検討会の中では特許の話は誰も想定していなかったと 思います ○正岡委員 日本ではまだ認められてないのです。アメリカとヨーロッパは認められております。 ○有田委員 アメリカは認められましたか。 ○正岡委員 ヨーロッパは認められたというネーチャーに載ったのです。それで広告を出したので す。拒絶するように広告を出したのですがまだそれがどうなったのか僕は知らないので す。 ○有田委員 アメリカは多分認められない方にいくように、私は情報としてはいただいて おります。知ってましたが、あえて出しませんでした。 ○鎌田座長 予定の時間も大分近づいてまいりました。(4)のその他、あるいは全体に渡って次回 に向けてご意見をお出しいただければと思います。 ○迫田委員 共同事業と各バンクのことです。私の検討会での理解は、確かに共通のルールという のは非常に重要ではある。だが、一つの大きな中央集権的な仕組みにしてしまうと、い ろいろなものがある。今まで簡単に動かないとか、競争がなくなるとか、あるいは例え ば行政の方のかなり強い影響を受けるというようなことで、なるべく自立性を持たせた 上で、共通のものを共通にしていきましょうという議論であったと理解をしています。 ですから共通にすべきものがなにか、あるいは例えば先程のもしかしたら損害賠償の ようなものも、共通にすべきことなのかも知れませんし、各バンクでできないことはこ れであるから、これは共通にしようというような発想でもいいのではないかというふう に、私個人は思っております。 ○河北委員 細かいことかも知れませんが、財政的なあり方です。施設補助的な財政支援になるの か、それとも利用者に対しての補助金等になるのか教えていただきたいと思います。 ○鎌田座長 これは事務局からお願いします。 ○朝浦室長 現在厚生省から要求しております概算要求の内容を簡単にご説明します。一つは共同 事業という言葉が出ておりますが、共同事業を動かすために必要ないろいろな委員会な り、あるいはそのために必要な消耗品等の経費が一つございます。もう一つはそれぞれ のバンクで5年間で2万個集めるということが決まっておりまして、1年間ですと4千 個です。この4千個を各バンクでそれぞれ集めるための、例えば検査料ですとか搬送費 用とか、あるいは採取にかかる謝礼等を含めた経費について予算計上しました。 全てではありませんが、予算を計上をしているということです。その意味では、後者の 部分はバンクに対して支援をするという形になっております。 ○長谷川委員 最初に河北委員がおっしゃった第三者評価についてです。どこに入れたらいいのかと いうことを幾つかご提案いただいたと思います。つらつら見ていますと、3ページの (3)の安全性・技術力、有効性、そこに二つ一般的な事項ということが書いてあります ので、そこに第三者機能評価について、これは受けることなのか、受けることが望まし いのか、状況によると思いますが、そこに入れることが適当であると思います。 ただ第三者機能評価といいましても、臍帯血バンクというのは医療機関ではないので すよね。医療機関対象であれば、例えば日本医療機能評価機構であるとか、第三者機能 的な機能評価のできる機関はあるのですが、こういうものについてはないということで 一体どういう形が望ましいのか、行政が直接行かれるのがいいのか、あるいは協議会の ようなものをお作りになって、サイトビジットでお互いにご覧いただくのがいいのか、 あるいは書面でいいのか、それはむしろこれは技術系の事項なのかという気はします。 ○鎌田座長 中間とりまとめでは一応はこの概要の4ページにありますように、むしろ個々のバン クが一つ一つ審査をうけるというのではなくて、全体を通じての審査評価機関の構想と いうのがありますので、それとの絡みで、一個一個が自分で審査のシステムをもってな いといけないということとは、違う発想もありうると思います。 ○長谷川委員 一個一個が持つのではなくて、一個一個は受けるわけですね。 ○鎌田座長 そうですね。受ける体制をもってないといけない。それぞれが個別審査機関をもって ないといけないのか、それとも全体でということですね。 ○長谷川委員 そういうのは独立した組織であれば、個々に受けないといけないし、そのインスペク ションする機関を相互に人を出し合って作るのか、外部機関に委託するのか、あるいは 行政にお願いするのかというのは、また別個の議論だと思います。 是非技術の方にお願いしたいのは、臍帯血の適応を明確にしていただきたいというこ とです。あとはサイトビジットとか第三者機能評価をするにあたって、ガイドラインは 確かに頂戴しているのですが、どうもプロセス的なことが多いのですが、本当にそれで いけるのかどうか、特に注意して見るようなところがあるのかどうかということは、将 来の第三者機能評価を考慮して、一つお願いしていただきたいと思います。 あと私どもには特許のことで情報を頂戴しましたので、それの最新の情報という形で できれば各委員の方に資料を提供していただければと思います。 ○朝浦室長 事業内容の評価について、実は先程冒頭でご説明しましたように、本部会で事業評価 のあり方について検討するということに一応は仕切りとして、委員会ではなっています ので技術的な側面も別の観点ではあろうかと思いますが、一応はこの場で後ほど会を設 けてご議論をいただければと思います。 ○月本委員 同じことの確認になりますが、情報公開のことです。HLAのデータは患者さん一般 の方皆さんにオープンになるのですね。そういうお話であると受け取ったのです。誰で も毎晩、毎朝見ることができる。 打ち出して、HLAがあったから先生移植をやってくれということになって、それとも 主治医がしてくれないから訴える、ということもありうるので、よくお考えになってく ださい。現実にそういうこともあるわけです。 今バンクの方ではオープンにされてますよね。患者さんにはね。それを医者が皆が見 てしまって、取り合いになりますから、もっと取り合いがしやすいですよね。HLAの 情報を公開してオープンにするということはね。かなりトラブルとか問題が出てくると 思います。するなというわけではございません。 現実問題として私に患者さんがいたら、僕は忙しいから毎日アクセスしろ、あったら 教えてくれという言い方をするかも知れません。逆の立場でインターネットを使えない 患者さんにとっては非常に不公平ですよね。 ○有田委員 それはそういう話にはならないのではないですか。患者さんにとっては自分に合うの があるのかないのかというところから、医療の選択が始まっていくわけですから、却っ てメリットがあるのではないでしょうか。ですから、実際に頂くとか頂かないというの 、そこから主治医との話になっていきますから、公開する方がずーとメリットがある と思って、私はその意見を支持しました。 ○月本委員 そうですか、現場では逆の立場もございまして、それがトラブルの元になるというこ ともね。 ○正岡委員 メリットがあるという人が誰が仲裁するのか、それは難しいですね。 ○有田委員 それは先に手を挙げた方が公平ではないのですか。 ○月本委員 でしたらおっしゃるように、毎朝インターネットで打っている人が勝ちでしょうね。 そういうことでいいのでしょうか。 ○山本補佐 今の月本先生の問題意識はこちらの方で技術部会の方に伝えます。といいますのは多 分おっしゃるのは、あるということと、移植をする時期というのがあって、唾を付けて おくわけではないですから、自分が使えると思っていたら、別の方が危機的な状況にな って直ぐに使ったら、取られたとか取られないということになってもはじまりませんの で、その意味ではそういうルールを、実際にはどうしたらいいのかということです。そ れから患者さんのために具体的に提供できる情報は、何がベストであって、その情報を きちんとコンサルテーションできる体制もいると思います。 正岡先生と月本先生の問題意識については技術部会にきちんとお伝えしまして、また 検討していただきたいと思います。 ○長谷川委員 この中間まとめの方の適応のレシピエントの選択ルールですと、HLAと細胞数だけ ですよね。細胞数はむしろ臍帯血の方で、HLAだけですと、例えば2万検体くらいあ りますと、かなり高い確率でシックスマッチになってしまうのです。大体65%以上の確 率で揃ってきます。バッティングというのは多いにあるのです。そうしますと、これだ けではなく、そうかといって早い者勝ちがいいのかというのには、またいろいろと問題 があるのですが、だからもうちょっと詳細なるルールを決めていただかないと、患者さ んが情報を見れるというのは、ある種保障されないといけないとは思うのですが、そう はいっても、それこそ脅迫されるように、真に迫った患者さんにお願いされるという立 場も実際にはありうることですので、そのあたりは是非技術部会の方に、我々の問題意 識をお伝えいただきたいと思います。 ○陽田委員 この公開については、骨髄バンクの反省から提案をしたことです。迅速性を担保する という意味では非常に大事なことなんです。ただし、急がない患者さんが、予約を入れ て、そのままずーといるというのは公平性に反しますから、キープできる期間というの は限定をするということは大事だと思います。 その辺のところは是非お願いします。予約をして、移植をしないで1年も2年も予約の ままで置いておくということは、公平の原則に反すると思いますので、その辺はルール として確立しないといけないと思います。 ○有田委員 事務局に是非ともお願いしたいのです。専門部会の方はお医者さんたちばかりですの で、私たちは発言できませんから、是非ともお願いしておきたいのです。まず患者第一 ということで話を進めてほしいのです。くれぐれも移植医サイド云々ということになら ないようにお願いします。これは非難しているのではなく、お医者さんたちが手間とか ややこしくなるというところで話が決まらないように、本当に患者さん第一というとこ ろで話を進めていただきますようにお願いします。 ○河北委員 細かいことかも知れませんが、今の議論というのは血液の所有権とか使用権というよ うなことを議論していることなのですね。そうではないのですか。 ○鎌田座長 そうではないですね。 ○河北委員 それが一つです。もう一つはこの情報の取扱いは、広報と公表と開示、これは使い分 けた方がいいと思います。それは言葉としてきちんと分けていただきたいと思います。 ○鎌田座長 今日は多くの貴重なご意見をいただきました。明日の技術部会への注文も大分出てま いりました。事務局の側でまたこれを取り入れてたたき台をお作り下さるようお願いし たいと思います。更にご意見がありましたらまた事務局にお願いします。 ○陽田委員 私は最後の検討委員会を欠席したので、この部会の位置づけですが、最終的にどうい うことを決めてるのか理解してないのです。具体的に固有名詞でどこにお願いするとい うところまでやるのでしょうか。 ○朝浦室長 その点につきましては前回の検討会の場でもご質問がありました。この部会において はあくまでも事業運営のガイドラインの中身についてご議論いただく、私どもの立場と しては、仮に国庫補助という形で実現ができるということになれば、その国庫補助の内 容である各バンクを選定をする際の一つの参考材料として、活用させていただくという ことになろうかと思います。共同事業を行っていく上で、基礎的な条件である構成員を どうするのかというのは、極めて重要な事項であると思いますので、本部会においては 共同事業に参画するバンクを念頭において、どういうバンクに入っていただくのかとい うことを議論していただきたい。それを我々の立場で参考にさせていただくというよう な位置づけをさせていただきたいと思っております。 ○鎌田座長 その意味では本来ここでやるべきことを越えた議論も大分やっているのですが、性格 上やむを得ないのではないかと思いますので、お許しいただきたいと思います。 現に9つのバンクが動いていて、今日は実態調査のご報告をいただいたのですが、そ れぞれのバンクの側から、直接ご説明を伺ったりご意見を伺ったりしておいた方がいい ような気もするのですが、いかがなものでしょうか。 ○迫田委員 各9つのバンクが今後も、どうしても自分たちのところでの継続を希望していらっし ゃるのか、あるいはかなり運営上難しいので、ここまで立ち上げてくださったというこ とに、こちらは感謝をして、どこかと共同になってもいいと思っていらっしゃるバンク が既におありなのかということについて、本当は聞きたいと思います。 ○陽田委員 これはアンケートで現状については情報として提供されているのですが、それぞれの バンクの今後の意向については何も情報の中に入ってませんので、その辺もあればあり がたいということです。ここでこういう項目について、今後どう考えているのかという ことが、もし議論されれば、それについて聞いていただければ非常に決めやすいと思い ます。 ○鎌田座長 私はここに来ていただいて、直接話を伺い、場合によっては質問をするというのがい いのかなと個人的には思っているのですが、あるいはそういうことは事務局でやっても らって、結果だけを報告していただいた方が効率的なのか、その辺のご意見を伺えれば と思います。 ○平林委員 最終的にはそれは必要だと思うのですが、いつご意見を伺いするのかというタイミン グが難しいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。初めに聞いた方がいいの か、あるいはある程度ここで議論をしてから、それを踏まえて意見を聞いて、もう一回 再調整をするという段取りを取るのかです。 ○鎌田座長 これは来年度から動きだすので、あまり間際になると、うちを補助金対象にしてくれ というお願いだけがあって、あまり実態の話にはならないということで、どういう実態 なのかということを知る上でもご意見は早い方がいいかなと思ったのです。 ○有田委員 鎌田先生にお願いします。基準を先に、それぞれのバンクに配慮するのではなく、本 当にどういう形で共同事業を動かしたらいいのかという基準づくりをしていただいたら それぞれのバンクもその基準が決まったら、それがクリアできるとかできないとかとい うのが決められると思うのです。そうして自分のところは共同事業に入れそうであると なれば、もっと積極的にいろいろなこと改革したり動き出したりできると思うのです。 そこを中心にやってほしいと思います。 ○鎌田座長 ヒアリングのようなことをやるとかやらないかということについては、どうでしょう か。 ○月本委員 有田委員のご意見とほぼ同じだと思いますが、今回検討していただきました事業運営 ガイドラインの項目を、もう一回バンクの方に、この通りにやるが、やれるかというこ とをお問い合わせいただいて、恐らく私が見た感じでは3〜4か所くらいしか現実には できないのではないかと思いますので、そういうことで、努力目標としていただけるか ということも入れて、話をしていただきますと、来年4月に向けて時間も無駄なく動く のではないかと思います。これはとてもよく出来ていて、これだけ守らないといけない ので、バンクの人にそれの確認をしていただければと思います。 ○鎌田座長 事務局の方で意向を確認していただければいいということですね。 ○月本委員 ええ、またご意向をお聞きしていると各バンクからいろいろなお話がまた事務局にあ ると思いますが、それをくみ上げていただいたらと思います。 ○山本補佐 委員の方々か決めることで、事務局としては特に異論はないのですが、ただこの作業 部会を作るメンバーシップの際に、かなりバンクを実際にやっておられる方から、自分 たちの不在のところで物事を決めるとは何ごとだという意見が相当あって、そうはいっ ても、ヒアリングをするとか、サイトビジットをするとか、書類調査をするということ とか、云々カンヌンということで、こういうメンバーシップになったのです。だから全 然意見を聞く場がないというのはね。 ○鎌田座長 こちらの方は直接バンクに携わっていらっしゃる方が、基準を決めるのはおかしいと いうことで、そういう人は入らないでこの委員会を作ろうとしたのですが、逆に現場の ことを知らない人だけで何を決めるのだというご心配もあるので、その意味では現場か らのご意見を伺っておいた方がいいかなと思います。 ○長谷川委員 私は是非インタビューを実施すべきだと思います。むしろ技術部会というのはテクニ カルな話なので、専門家が集まればコンセンサスに至るというのはそう難しくないと思 うのです。むしろこちらの方があり方を決めるという、バンクにとって決定的に死活問 題のようなことが、今日の資料にも一杯並んでいるわけです。それでいけるのかどうか 大きな目標というのは、新たに芽生えようとしている技術、しかも公益性の高い技術を いかに定着させて普及させるのかということですね。だから今のアクティビティーを下 げることは駄目ですね。ただそれを学問的にも登録して評価ができる、なおかつ必要な 方が使えるような形という、現在オンゴーイングのものを育てて、なおかつ将来大きな 財として作っていくことなので、これは現場の方の意見を聞かない限りは、なかなか良 いものはできないと思うのです。 どういう時期でもいいのですが、もう来年度という話になると、あまり待っている余 裕はないので、別に一回でなくても結構なので2回に分けるとか、是非、インタビュー をして聞かせていただくという機会を設けていただきたいと思います。 ○鎌田座長 特にご反対がなければ、直接のお話を伺うということでどうでしょうか。言われたこ とを受け入れるという会議ではありませんで、こちらの側はこちらの側で全体として5 年間で2万を集めるには、どういう体制を作るのが一番効率的かということを、自立的 に判断しないといけない。しかし同時に現場がこういうものの考え方では、自分たちの 感覚と、相当にずれているというようなことがあれば、それはお伺いした上で考慮しな ければいけないと思いますので、事務局とご相談させていただきながら、場合によって は次回にこういうものの考え方に対するご意見を伺う機会を作るということもお許しい ただければと思います。 ○河北委員 私はエイズの拠点病気の機能評価をしております。以前、病院団体で自ら手を挙げた 病院のネットワークを作ろうとしたのです。ですから自ら手を挙げた病院のネットワー クと、エイズの拠点病院として指定されたところと、どちらが機能するのかというと、 自ら手を挙げたところなんです。ですからやはり現在既に活動を初めているところの意 見は、よく聞いた方がいいと思います。 ○陽田委員 ヒアリングを行うについては、何を聞くのかということを、きちんとこちらで決めな いと、これだけの人数で9か所の方とヒアリングをすると非常にとりとめのない形にな ると思いますので、そこをこちらで十分に固めてからやった方がいいと思います。 ○鎌田座長 はい、いずれにしろ全部一遍に聞くとなると、一か所10分でも90分かかりますので、 ある程度、こういう点についてのご意見ということで、絞り込んでお話をしていただく なり、あるいは時間の足りない分は文書で出していただくなり、そういう工夫をしない と何日もヒアリングのために先生方の日程をとっていただくのは難しいと思います。そ の辺の工夫も事務局とさせていただきたい。場合によっては2時間よりも長い部会にな るかも知れませんが、少し工夫をさせていただくことをお許しいただければと 思います。 ○山本補佐 ご指摘がありましたので、今日はこの項目についていろいろな意見をいただきました ので、事務局の方で直させていただいて、各委員にフィードバックしていただいて、ま たご意見をいただく、それを各バンクに投げて、かつ今何点か質問項目が上がっており ますので、それをこちらで整理させていただいて、それも委員の先生方に投げて、過失 とか追加意見等がありましたらそれもいただいた上で、各バンクに投げて、準備してき ていただいて、その項目についてヒアリングをするということで、こちらの方で準備さ せていただきたいと思いますので、各委員の方にファックス等で連絡させていただきま す。よろしくお願いします。 ○古市委員 結構ですが9か所全部が来ないといけないという義務感を与えないように、もう任せ るというところがあれば、非常に結構なので、どうしても言いたいということがあれば どうぞという感じではないかと思います。 ○鎌田座長 はい、こちらとしても出来れば全部来てくれない方がいいというと語弊がありますが 時間的にもそう余裕がありませんから、無理に発言させることはやめたいと思います。 でも発言の機会だけは保障したいと思います。そういうことをやるのであれば、こうい う点を質問すべきだというご意見もありましたら、申し訳ありませんが事務局にお届け いただいて、事務局で整理をしていただくという段取りにしたいと思います。 本日は時間を超過してしまいましたが、今後ともよろしくお願いします。これにて散会 します。 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711