98/03/23 第4回 臍帯血移植検討会 第4回 臍帯血移植検討会 平成10年3月23日(月) 10:00〜12:15          場所:厚生省共用第23会議室 出席者(敬称略)   青木 繁之   浅野 茂隆   有田 美智世  加藤 俊一   鎌田  薫   草刈  隆   小池 麒一郎  小寺 良尚  ○齋藤 英彦   迫田 朋子   高橋 美智   田島 優子   中林 正雄   西平 浩一   原   宏   古市 圭治   陽田 秀夫   (○:座長) 議事次第  1.開会  2.議題   (1)運営組織の枠組みについて   (2)これまでの議論を踏まえた基本認識について   (3)その他  3.閉会 ○成瀬補佐  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第4回臍帯血移植検討会 を開催いたします。  本日は、お忙しい中をご出席いただきまして、大変ありがとうございます。  最初に、本日の委員の出欠の状況でございますが、関口委員が都合により欠席という ご連絡がありました。また、平林委員が急遽、本日欠席とのご連絡がございましたので ご報告させていただきます。  では、会議に入る前に資料等の確認をさせていただきたいと思います。  最初に、第4回臍帯血移植検討会議事次第。その後ろに委員名簿。その後ろに配置表 でございます。続きまして、第4回臍帯血移植検討会資料一覧がありまして、資料1 「運営組織の枠組みについて(案)」、資料2「これまでの議論を踏まえた基本認識に ついて(案)」でございます。 続きまして、参考資料1「委員から検討会に寄せられた意見」。陽田委員より寄せられ た意見。加藤委員より寄せられた意見。西平委員より寄せられた意見。続きまして、参 考資料2「臍帯血利用体制の略図(案)」、参考資料3「現行の地域バンクの運営の概 要」、参考資料4「骨髄バンク事業について」、参考資料5「臍帯血移植及び骨髄移植 に係る費用」でございます。 何か不備等がありましたら事務局にお知らせ願います。以上でございます。 ○齋藤座長  おはようございます。月曜日の朝早くからお集まりいただきまして大変ありがとうご ざいます。  本日は第4回目でございます。主な議題は2つございます。「運営組織の枠組みにつ いて」と「これまでの議論を踏まえた基本認識について」でございます。最初の1時間 強を使いまして1の議題のディスカッションをお願いしまして、そのあと2の議題に移 り、12時までには終えたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。 まず、議題1「運営組織の枠組み」であります。臍帯血移植実施のための運営組織につ きましても、具体的に考える段階に来ていると思われます。これまでの本検討会の議論 を踏まえまして、主な論点を整理したものを資料1として事務局より説明をお願いしま す。    ○重藤補佐 事務局から説明させていただきます。  資料1「運営組織の枠組みについて(案)」でございます。運営組織につきましては さまざまな考え方があろうかと思います。そのひとつとして、基本的な考え方としてこ れまでの地域における地域臍帯血バンクの取り組みを踏まえて、それぞれの地域の特性 や自主性を活かした地域ごとの運営体制を目指す考え方。つまり、地方分権的にバンク を考えていくという一方の考え方と、もうひとつは、経済的効率性、また運営の安定性 や継続性、一定の技術水準を確保するという面からは、一つの組織体として一体的な運 営をすることが必要であるという考え方があろうかと思います。  それぞれ一つの組織の運営の考え方でございますので、こうしたことを中心に今後、 臍帯血バンクをつくっていく場合にどういうような形態を考えていくのか。つまり、地 方分権的なスタイルで現在のバンクを基本として考えていくのか。それとも、経済的な 効率性とか運営の安定を考えると、一体的に運営をしていくのかということが考えられ ます。  したがいまして、そうした基本的なバンクの運営の考え方というものをまずご議論い ただきまして、次に主な論点というところで、それぞれの場面場面でどういった方式が いいのかということになってこようかと思います。  各論的なものでいきますと、2の主な論点の「分離・保存の組織について」というこ とでございますが、現在の地域臍帯血バンクの中で体制の整ったいくつかの施設で行っ ていくのか、あるいは一つの組織に集約して行っていくのか。  「HLA型等の検査」につきましても、分離・保存を行う施設において実施または検 査態勢が整った施設に委託して行うのか、あるいは一つの組織に集約して行っていくの か。 「HLA型等の情報管理機能について」、分離・保存を行うそれぞれの施設にお いて入力及び更新等の情報管理を行うのか、あるいは一つの組織に一元化するのか。  また「患者窓口の機能について」も、それぞれの地域臍帯血バンクごとに窓口を設け るのか、あるいは受付窓口は一つとするのか。  また「企画調整・品質評価・適応評価等の機能について」も、地域臍帯血バンクの連 合体として機能させるのか、あるいは第三者機関を設置してそういうものを審査してい くのか。  各場面場面ごとにも、どういう形を今後つくっていったらいいのか分かれると思いま す。  3のその他の論点につきましては、地方型でいくのか中央型でいくのかということと は関係ございませんけれども、一応詰めておいたほうがいいということで挙げさせてい ただいた項目でございます。  「臍帯血移植の適応評価について」は、適応基準に照らして第三者機関が評価するの か、あるいは移植医が移植を決定するのか。  「骨髄移植と臍帯血移植の関係(臍帯血の治療成績が明らかとなるまでの当分の 間)」でございますけれども、原則として骨髄移植の適用を考えるのか、あるいは骨髄 移植を選択するのか臍帯血を選択するのかは移植医が決定するのか。  また「移植の実施のための搬送について」も、骨髄移植と同様、移植医療機関が受け 取りに行くのか。  また「運営の安定性・継続性」という面から、臍帯血移植の運営体制の安定性・継続 性の観点から、適切な組織はどのような組織なのか。また、運営経費はどのようにする のかというところも詰めておく必要があろうかということで挙げておきました。  その他、議論しておく項目としては、目的外使用の禁止とか個人情報の保護、国際化 への対応ということも議論が必要であろうということで挙げさせていただきました。 それでは、ご議論をよろしくお願いいたします。 ○齋藤座長  ありがとうございました。  大まかな論点でして、まだ足らないところがあると思います。例えば、倫理の問題を どうするのかということもありますし、ほかにもあると思います。また、限られたス ペースでまとめるために言葉足らずのところ、あるいは言葉がやや不適切なところがあ るかもしれませんけれども、主な論点というのは、いままで各委員の方から出されたも のを集めたものでございます。  具体的にいろんなモデルがあると思いますが、案を出していただいたあとでディスカ ッションをしたほうがいいと思います。したがって、いまここで総論的にディスカッシ ョンすることも可能ですが、3人の委員の方から具体案の提案がございますので、まず 3人の方にそれぞれの案を簡単にお話しいただきまして、そのあとで議論ということで いかがでしょうか。(「異議なし」の声あり)  それでは、まず最初に陽田委員からお願いします。 ○陽田委員  それでは、説明させていただきます。  私から資料を提出するのははなはだ僣越かと思いますが、前回の議論の中で私が発言 したことがなかなかうまく伝わっていなかったので、具体的なご提案をしたほうがいい と思いまして、このような案を出させていただきました。  2ページ目でございますが、最初に組織づくり方針を書いてあります。組織づくりも ひとつのものづくりだと思います。ものづくりで一番大事なのは基本理念ではないかと 思っておりまして、この臍帯血バンクに関してはこうあってほしいというものを6点に まとめ上げてみました。  まず1点目として、中央集権的でない組織。2点目として、意思決定が民主的でかつ 速やかにできる組織であること。3点目は患者本位を最優先して、情報公開を積極的に 推進できる組織であること。4点目は効率性を追求して、最小限の経費で運営可能な組 織であること。5点目は自主性・独立性を高め、補助金依存を最小限とする組織。6点 目はクオリティーとサービス面での競争性を導入する組織ということでございます。  あまり時間がございませんので具体的なところに入っていきます。臍帯血の需要数の 予測を行ってみました。この数を予測するのが非常に難しいのですが、大事だと思うの は、これが分母になって、分子と分母の関係でひとつのコストが決定されていきます。 例えば、ストックをどのぐらい持つべきかということもこれに大きくかかわってくるの ではないかと思います。  現在、骨髄バンクの資料から1年間に患者登録がどのぐらいなされているかというも のを出してみますと、約1,200 の患者登録がなされています。その中で15歳以下が364 約30%でございます。ここ1年間の数字を累計してみました。その需要数の考え方です が、海外需要等予測できない極めて大きく動く要素がたくさんあるのですが、300〜400 と予測をしてこれ以降のシミュレーションをしてみたわけでございます。  3ページでございます。需要数がそのぐらいであるという想定でストックの目標を立 ててみました。第2回の資料5に、年間960 件の採取保存をした場合という概算の表が 出ていたので、その採取数960 をひとつの基本として考えてみました。下の表に書いて ありますが、年間360 ずつ3年間採取して4年目以降は480 と半分にペースダウンして います。これはあとで出くる試算で採算をあわせるためにこういう数字にしております  その下に有効率と有効数をあげておりますが、これは私はあまりよくわからないので 適当に数字を入れています。このへんはいろいろ専門家の方のご意見をお聞きしたいと ころでございます。  累計していった場合にどのぐらいになるかという累計数を出しております。10年で 5,000 弱、5年で3,000 弱ぐらいの累計数になっております。前年度のストック数の約 5%程度を供給数として入れてありますが、先ほどの300 〜400 という需要数から、1 つのバンクあたり100 を天井にしてつくった数字でございます。これを3カ所にした場 合にはいくつになるか、4カ所にした場合にはいくつになるかということで、単純に供 給数とストック数を3倍、4倍掛けたものが下に書いてあります。例えば3カ所でやっ た場合、10年間で約1万3,560 のストック数になるという計算でございます。  次に4ページの収支計画ですが、5ページ目の表とあわせて見ていただきたいと思い ます。表の2で説明したほうがわかりやすいと思いますので5ページをご覧ください。 先ほどお話ししましたように、できるだけ補助金の依存を少なくするという意味で、創 立年度で借入金を見ております。2億円でございます。何年かに分けて借入れることに なるのですが、わかりやすくするために創立年度に一括で入れてあります。  最初の設備投資資金として補助金5,000 万を見込んでおります。この5,000 万という 数字もあまりよくわからないので適当に入れてあります。これは多分上下するのだろう と思います。設備投資額と補助金額を同じ額にしてありますので、多少上下しても問題 ないと思っております。  初年度は供給数0という想定でございますので収入はございません。寄付金について はずっと年間1,000 万ずつみてありますが、努力のいかんによって上下すると思います 補助金を3年間600 万ずつみておりますけれども、これは借入金の支払い利息を補助金 でみていただくという計画になっております。補助金で利子補給をしてもらうというこ とは、あるひとつの保証に相当する部分として見込んであります。  これでいきますと、収入の部を臍帯血供給1件あたり100 万という形で見込んだ場合 2年目で36、3年目で72、4年目以降が100 ということで、4年目以降は1億ずつの収 入になるということで、4年目以降は単年度で黒字になっていくという計画でございま す。  1件100 万というのも、できるだけ安いコストで供給できないかという発想で計算し た結果です。何とか採算があう線として出してあります。  3年据え置きで4年目から借入金を返済をしていって、10年目で完了するという形に なっております。先ほどの供給数の予測によってそれが分母になりますから、予測が多 いか少ないかによってこの数字が全部変わってくるという意味で、先ほどの予測が非常 に重要ではないかと思います。これはあくまでも1つのバンクあたりの計算でございま すから、これが数カ所になるということであればその数倍はあると。  この試算をやってみて思ったのですが、バンクの数としては3カ所ないし4カ所、そ れ以上になると1件あたりのコストが高くついてしまうという感じを持っております。  6ページ目で臍帯血バンクの組織図の案をお示ししてあります。地域バンクという言 葉を使いますと誤解があるかもしれませんが、A、B、Cという保存を行う施設を中心 とした地域のネットワークといいますか、四角い破線で囲ったところでございます。こ こにひとつの主体性をもった組織として3つなり4つなりのネットワークでつくるとい う発想で書いております。  一定のレベルを保持するためにどうするかということですが、真ん中に連絡協議会・ 運営委員会とありますけれども、こういったものを組織してそれぞれの地域バンクから 人と金を出し合って連絡調整していくという考え方でございます。横に出ておりますの は第三者機関として、品質・適応・成績の評価というものを別な独立した機関とすると いうことです。  左に諮問機関というのがありますが、これは骨髄バンクの組織の中で、私たちがこう して欲しいとか、こうしたほうがいいのではないかという議論をしている中でよく出て くるのが、骨髄移植専門委員会で、これはかつて立ち上がりのときに決めたことだから それをもう一度開かないと変えられないというような議論がよく出てくるのですが、そ ういうことのないよう、例えばこの検討会のメンバーを諮問機関として組織しておくと いうようなことも大事だと思います。  骨髄バンクとの関係ですが、あくまでも骨髄バンクと共通の部分について連携するこ とが大事だと思っております。患者相談、患者擁護あるいは国際協力という面で、骨髄 バンクと協力し共同事業とすれば良いと思います。  この前にデータの一元化ということで議論になったのですが、これはデータを共有す るという発想でどこにアクセスして良いということにすればいいのではないかと思って おります。データを公開することでまったく問題ないのではないかと思っております。  7ページ目の組織イメージと母体組織の条件。地域バンクのイメージ、予算、人事面 で独立性を保つ、特に独立採算は必要条件である。効率を考慮して業務は集積したほう が望ましいが、クオリティーとサービス面での競争性を高めるため、単一とはしないで 複数としたほうがいい。その意味では3カ所程度が理想、多くても5カ所までだと。  標準化された共通のルールによって運営される部分と地域の実情によって、それぞれ の方法で運営されるものと区分については十分合意形成が必要である。地域バンク内に 意思決定機関やチェック機能を保有する。地方自治体やボランティアが参加協力できる 仕組みづくりを考える。  真ん中の連絡協議会のイメージですが、各地域バンクが人と予算を出し合って運営す る。内部に委員会等を設けて運営面、技術面等について連絡調整する。各地域バンクに 指示命令を与える組織ではなくて連絡調整の組織である。地域バンクとの関係が本部・ 支部または本社・支社といった上下の関係にはしないほうがいいと考えます。  地域バンクの母体となる組織の条件ですが、非営利、免税、経済行為(借入金等)が 可能な組織。当然、法人でなければならないと思います。この非営利というのは、利益 を出してはいけないということではなくて、利益が出ればさらに再投資してこの目的で 使う。私の試算では4年目以降採取数がペースダウンしていますけれども、そのあたり に再投資をしてペースダウンをさせないで経営を継続していくということができれば理 想だと思っております。  技術面あるいは設備、人材面で信頼される組織でなくてはいけない。部分的には委託 等による協力関係でも可能なのではないかと考えた次第でございます。 以上でございます。 ○齋藤座長 ありがとうございました。  いろんなご意見、ご質問があると思いますが、重複することもあるかと思いますので 続いて加藤委員、最後に西平委員の意見を伺ってから一括ディスカッションしたいと思 います。 ○加藤委員  いまの陽田先生からのお話と重複する部分あるいは論点が違う部分がございますので その点を明確にしたうえで簡潔にお話しさせていただきます。  全体的な位置づけとしては、骨髄バンクあるいは臍帯血バンクというものは、将来こ れからさらに別の造血幹細胞バンク、あるいは造血細胞バンクというものが生まれてい くに違いないと思います。しかし、その対象となる患者さんたちの需要というのは、現 状ではそれほど大きな爆発的な増加がないと考えられますので、ある一定した需要に対 して供給の形態が質的に転換していく中で、こういう体制をどのように考えていくべき かという議論が一番大きなものとして必要だと考えております。  現在、既に動いております骨髄バンクがこの臍帯血バンクに一部の需要を移行してい って、そのような変質に対応するものとして国がいくつも別々のバンクをつくっていく ことは非常に無駄も多いし、また、いまあるものを一旦どこかで縮小あるいは統廃合を していかなければいけないわけですので、全体的な造血幹細胞バンクというものを一つ の大枠として考えて、現在動いております骨髄バンクについてさまざまな反省点がある わけですが、そのようなものはこの際大きく抜本的に大胆に改めるべきものは改めてい くべきだと考えております。  そのような認識のうえで、臍帯血バンクをどのようにこれから位置づけるかというこ とについて考えてみました。  現在、既に10カ所弱の地域臍帯血バンクがございます。これはあくまでも試みのもの でございます。いまの陽田委員からのお話のように、数カ所つくることのメリットは果 してどこにあるかということを十分議論しておくべきだと思います。この狭い日本で競 争の原理を持ち込むことは決して悪いことではないと考えております。そのことはお互 いの努力につながると思いますので。 また、仮に1つの独善的な組織に陥ってしまうことを防止する意味では、そのようなこ とは必要だと考えておりますが、だからといってこの臍帯血バンクが数カ所の形である のが望ましいというふうには考えません。  とは言え、現在動いておりますものをすぐにやめるというわけにもいかない現実がご ざいます。臍帯血移植、臍帯血バンクが確立されたものという技術的な評価を受ける段 階には来ていないと認識いたしまして、その認識のうえに立ちまして当面は現在の地域 臍帯血バンクでの試行を国民レベルでオフィシャライズするというか、そのような過渡 期的な段階を経て、できれば3年後、遅くとも5年後程度には全国的な公的な臍帯血バ ンクへと移行することを計画していただきたいと考えております。  初期段階であります試験的な地域臍帯血バンクは、陽田委員から先ほどご提案があり ましたような形態にほぼ準ずるものと考えております。  次のページに移りますが、この試験的な過渡期的な地域臍帯血バンクでの保存件数は おおよそ5,000 件程度で十分であると考えております。移植件数としては、約200 件程 度、試行期間は3年という期間。この数字は若干上下があり得ると思いますので、おお よその数であると考えていただきたいと思います。  このような段階を踏まえたうえで、安定した質でなおかつ恒常的な組織としての公的 臍帯血バンクが必要であろうと思います。現在の地域臍帯血バンクは、あくまでも研究 者あるいはボランティアの情熱、努力によってつくられている過渡期的なものでありま す。これが恒久的な組織として運営されるためには、その受け皿である組織が任意の団 体であってはできることではございません。このようなことができるような組織体に一 部の業務をお願いするのが適当であろうと考えております。  そのような意味で、保存施設としては日本赤十字社の血液センターが最も最適な組織 ではないかと考えております。ただし、そこについては多くの議論があります。骨髄バ ンクの形成、発展の中でご議論があったことは事実でございますので、その議論を踏ま えたうえで、いかに委託していくかということについてはこれからも議論を続けていく 内容であろうと考えています。したがいまして、現在、骨髄バンクと血液センターとの 関係をそのままスライドするというものではございません。  公的臍帯血バンクの規模といたしましては、保存件数おおよそ5万件。5万件といた しましたのは、臍帯血の体外での増殖という技術が将来できてくれば話は別でございま すが、そうでない場合、成人にも応用しようといたしますと、HLAの適合度に許容範 囲があったとしても細胞数の制限のほうから数は増やしておかなければいけませんので 理想的に5万件といたしました。  これを5年間で達成できるかどうかは私もこの数字を見直さなければいけないと思っ ておりますが、5〜10年で到達するという見通しを立てておくのが当面安全なのかもし れません。  年間の移植件数は500 件程度を想定いたします。現在の骨髄バンクを通じての移植が 間もなく年間500 件程度になろうかという数がひとつでございます。そして、骨髄バン クでは残念ながら登録からコーディネートまでに時間が必要なために、必要な患者さん の全てに移植ができているわけではございません。臍帯血バンクの導入により、いまよ りも多くの患者さんに移植が実現するということになれば、年間の件数はこの程度も十 分予測されますし、また、将来の技術の進歩によっては現在の適用をさらに広げて、ほ かの種類のガンにも応用できるということになれば、その数は500 で止まるものではな いと予測されます。  予算規模は仮のものでございます。細かな予算の組み方は今後の議論の中で肉付けさ れていくのだろうと考えておりましたので、この程度の予算を立ててみました。この額 を論じる前に、下のほうに書いてございますが国、都道府県あるいは法人なりの事業者 がそれぞれに分担をしあいながら、それを維持していく際には患者さんの負担が当然入 ってくるわけです。先ほど陽田委員からは1ユニットあたり100 万ぐらいの費用という ことでしたが、私もだいたい同じぐらいで120 万ぐらいと想定いたしました。仮に将来 年間500 件ということになりますと、それだけで6億の収入が期待できるわけですので そのようなことにのっとって今後議論が進められるのであろうと思います。  次の3ページをご覧ください。そのような考えから造血幹細胞バンクの全体の体系を そこにイメージしてみました。運営のあり方としましては、国、自治体、日赤、医療、 ボランティアの方々が公平に、そして積極的に参加する形態でありたいと思っておりま す。  それぞれの幹細胞あるいは患者さん等々のデータを集約するデータセンター的なもの イメージするならば、現在の骨髄移植推進財団を充実していくことになるのかもしれま せん。コーディネート。これはドナーとの間のコーディネート、いわゆる現在進めてい る骨髄移植推進財団でのコーディネートの意味合いでございます。その対象は骨髄の提 供者、あるいは将来の末梢血幹細胞の提供者の方々と結ぶことになります。  保存センターというのは、主に臍帯血の保存を担当するところになると思いますが、 しかし、場合によってはここには骨髄、末梢血というものの保存も入ってくるかもしれ ません。  このようなものを一元的な(あえて一元的と言わさせていただきます)大きな造血幹 細胞バンクとして運営していくことが、医療の技術の進歩に伴うさまざまな質的な変換 に十分応えられるものになるのではないかと考えております。  最後に4ページでございますが、事務的な流れでございますのでご説明するまでもご ざいませんが、患者さん・主治医からバンク事務局への登録がなされ、そしてHLAの 検索により、その適合するドナーが骨髄なのか末梢血なのか臍帯血なのかという情報を 患者さん・主治医に提供し、そして患者さんと主治医がその中から選択をするという形 で物事は進められていってよろしいのではないかと思います。 以上が私の提案でございます。 ○齋藤座長 ありがとうございました。最後に西平委員お願いいたします。 ○西平委員  私のほうは、いままで実際に神奈川でやってきたことを簡単に説明しまして、それか らどういうふうにしていったらどうかという大ざっぱなことです。前のお二人の委員の ように細かくいろいろ計算してございませんので、私のだいたいの考えだけを示したい と思います。  実際に神奈川で行われて1年以上たちましたけれども、実際にいままで全国から110 数例のHLAの検索依頼を受けまして30数例の適合している人が見つかりました。実際 に移植したのは7例です。4月から保険も通るということで、また4〜5例ほど予定れ ています。  実際にサーチを依頼してきたところは北海道から九州、沖縄までにわたっております そういった経験を通しまして、どういったことが問題になるかということを簡単に述べ させていただきたいと思います。  3ページですが、これは第1回の会議のときに私が出した中に書いてあるもので何度 もご覧になっていると思いますけれども、こういったHLAの登録センターがあって、 そこから地域の臍帯血バンクの事務局、それから診療機関・主治医というような簡単な 略図ですけれども、こういった感じでいいのではないかと思います。  これはあくまで将来像でありまして、すぐに来年からこういうふうになるとは考えて おりません。例えば、4〜5年後にはこうなるかもしれないということです。費用の面 ですけれども、先ほどからいろいろお話しになっていますが、公的資金で全てをやって いただきたいと思っています。寄付金でほとんど賄うとか、補助金は少なくするという ことではなかなかうまくいかないのではないかと思います。  骨髄バンクの場合でしたら、採取とか保存とか処理とかそういうものがないものです から、実際にあったときだけ採取するという骨髄採取のときだけですよね。ところが、 臍帯血の場合は、それ以外に実際に患者さんの100 倍も1000倍ものストックが必要だと いうことになるわけですから、それにかかわるいろんな費用が必要です。特に最近の世 の中ではなかなか寄付といってもお金が集まりませんので到底無理だろうと思いますの で、ぜひ公的資金を毎年何億ずつか投入していただいて、きちっとしたものができるの が4年か5年か先かわかりませんけれども、そこまでできましたらそれ以降はそんなに お金はいらないわけです。あとは消費していく部分を補っていく程度ですから。  例えば、1年間に2億円ずつ補助していくとしますと5年間で10億円になるわけです けれども、ある程度集まりましたらそれ以降は5分の1か10分の1で済むのではないか と思います。お金を集める銀行のように考えてもいいかなと思っています。ある程度資 金が集まれば、それを資金としてしっかりしたものにしておけば、あとはそんなにお金 はいらないという考えでいます。  2番目に、地域バンクとか中央集権的かあるいは地方分散的かということになるので すけれども、図にも書いてありますように全国に7カ所前後は必要だと思います。いく ら日本は狭いといっても地理的な交通の便とかを考えますと、北海道とか東北という大 きな分け方でいっても最低7カ所は必要だと考えています。そうでないと臍帯血バンク のメリットである速やかに対応するということはできないのではないか。  3カ所ぐらい大きなものをつくっておいて、委員会をつくって委員がなかなか集まら ないということでは速やかな対応ができないと思いますので、私はむしろ数は多いほう がいいと考えております。実際には7カ所ぐらいの地域に事務局をおきまして、実際に 移植に携わる人たちが主体性、責任をもっていろんな事務を行うというのがいいと考え ております。  移植の実際に関してはそんなに難しいことではないと思いますが、主治医を介して地 域のバンク、事務局へ申し込んで、事務局から全国登録センターができたらそこに直接 問い合わせて、複数のドナーが見つかりましたらどれがいいかを地域の委員が審査して 自分の地域にあるのがよければそれを使うし、他の地域にあればそれを直接コーディ ネートするというシステムがいいのではないかと思っています。  全国HLA登録センターができるまでは、移行的な過渡的な段階としては各地域に直 接どこの地域からでもサーチを依頼できるようなシステムがいいのではないかと思いま す。もしドナーがあるということでしたら、複数あれば先ほど申しましたようにいいも のを選ぶ、どこにもなければ仕方がないということになるわけです。そういうイメージ を持っています。  全国的な登録センターの最低限の情報としてどういうものが必要かということにもな るのですが、HLA登録センターですからそれに関することと、臍帯血の細胞数などが 必要ではないか。 当然これには作業部会で進んでいます質的な問題などをクリアしたものと仮定しての話 です。そういうことを考えています。  あと4ページから19ページまで資料がありますが、こういったたくさんの書類が必要 なわけですけれども、1人の患者についてこれが全部必要というわけではなくて、臍帯 血のドナーがあった場合とかなかった場合とか、そういうのも全部含めての資料でござ います。臍帯血移植が保険に通るまでの試験的なことということで、保険医診療外のも のも含んでの資料ですので、かなり余分な資料も含まれています。  4月から保険適用になりましたあとは、省かれる書類がかなり出てくると思います。 もしあった場合の話として骨髄移植と違う点は、検索依頼を出してから手順の流れとし てドナーの実際の実施計画とか検体をどうやって運ぶかなどの引き渡し計画といったも のが多少違うかと思います。  現在、骨髄を飛行機で運搬する場合には入口のところでお医者さんが待てないとかそ ういうことが許可されているわけですけれども、臍帯血の場合についても運ぶときは飛 行機が必要ですので、それに関しての運搬のときの容器をこういうものだからというこ とでフリーパスにすると、厚生省、運輸省もあるかもしれませんけれども、それは早急 にお願いしたいと思っています。  いままではいくら遠くても飛行機はとても無理だと思いましたので、九州まででも電 車で運んでいたわけですが、もっと速やかにするためには航空社との協力の手続きをお 願いしたいと考えています。 骨髄バンクとの関係につきましては、臍帯血移植そのものは確立されているとは思って おりませんので、我々が始めた趣旨自体も、公的バンクに向けての臨床的なデータを収 集して、何とか早く公的バンクをやるために始めたわけですので、まだ十分な数には達 していないと思いますから、当面は独立して骨髄バンクとは別組織として行っていくの がいいのではないかと考えています。 ○齋藤座長  ありがとうございました。  ただいま3人の方からご意見を伺いました。3年あるいは数年先になる体制と、それ までの移行期をどうするかという問題もありますでしょうし、いろんな問題があると思 います。まず、移行期はともかくとして3年あるいは5年後に目指す体制として、数は いろいろ出ているわけですが、地方分権的に整備するのか、あるいは統一的に整備する のかという点をご議論いただきたいと思います。 もちろん、いまご説明あったように採取施設とか保存施設とかいろんな部分がありまし て、ある部分は統一的に整備して、ある部分は分権的にするというような考えもあるで しょうし、いろんなチョイスがあると思います。いかがでしょうか、ご自由にご意見を いただけたらと思います。 ○小池委員 あまり移植に関して知識がありません。したがいまして、できましたら先行して発足し ました骨髄バンクのシステム上の問題点があるかどうか、どういうシステムになって、 そのときにどういうような問題が発生しているのか、そのへんもご教示いただければあ りがたいと思います。 ○齋藤座長 いま小池委員のほうから、骨髄バンクシステムが6年経過しているわけですが、そのシ ステム及び問題点はどうか。前に資料として出しておりますが、きょうの資料にも入っ ています。 ○重藤補佐 骨髄バンクの資料は参考資料の4の「骨髄バンク事業について」というところにござい ます。 委員会の中で小寺委員が骨髄バンク代表ということで委員会にご出席でございますので 小寺委員のほうからお願いいたします。 ○小寺委員  特に問題点ということについてのご質問ですので、いままでに至る概要と我々が考え ている問題点についてご説明いたします。  骨髄バンク事業が発足いたしまして7年目に入っているわけですが、その間、年間の 発生例数が約5,000 とも6,000 とも言われる白血病、再生不良性貧血の患者さんの中で 骨髄移植でなければ治癒できない、なおかつ血縁内に提供者が見つからないという方た ちが約1,700 人ぐらいおみえになると考えています。そういう方たちに対する非血縁者 間骨髄移植の供給率を高めるということを最終目標にしてやってまいりました。  ドナー数そのほかは皆さんもご存じだと思いますが、最終的な我々の目標でございま すそういう患者さんたちをどのぐらいの確率で救ったかといいますと、いままでの患者 さんの登録累計数が5,500 ぐらいになっておりまして、そのうちの約1,400 から1,500 名の方たちに非血縁者間骨髄移植を実施してまいりました。従いまして非血縁者間骨髄 移植の供給率は約25%でございます。  即ち必要とされる方の4分の1にしかこういう機会を与えてこられなかったというの が骨髄バンクの問題だと思いますが、一方において世界的に見まして恐らく最大の骨髄 バンクでございます米国骨髄バンクと比べてみますと、非血縁者間骨髄移植の機会を与 えるという確率は同じく向こうも25%でありまして、現存するものとの比較だけで言い ますと、供給率ということにつきましては比類のないところまで達していると思います  日本骨髄バンクの場合には10万人弱のドナープール、米国骨髄バンクが250 万人を超 えるドナープールを持っておりますから、25分の1のドナープール数において実現した ということと、スタッフ数そのほかに関しましても恐らく20分の1以下のスタッフ数で それを実現してきたというわけでありまして、そういった意味でわが国における骨髄バ ンク事業というのは、少なくとも現存するものと比較をするという点におきましては成 功した事業ではないかと考えております。  したがいまして、現在我々はいろいろ問題点を抱えているわけでありますが、こうい う問題を解決する場合には、既に実際に比較するものが現存していないということがあ るものですから、そういったことで非常に今後難しいところがあるわけであります。私 どもとしては、なるべくコストベネフィットということを国民医療の観点からも考えな がら、なおかつ非血縁者間骨髄移植、ひいては非血縁者間造血幹細胞移植の供給率を高 めるということを最終目標に今後とも努力を続けたいと思っております。 以上です。 ○有田委員  小寺先生への質問です。移植医療の立場からのご説明としてそれはよくわかっている ことなんです。出てくるのはそのことばっかりなんですね。私どもが知りたいのは、事 業としてどうなっているのか、運営上どうなっているのか、そういうところを知りたい んです。そういうところをいままで説明されたことがない、聞いたことがないんです。 私たちは関心をもって見ていますけれども、そういうものが出てこないんですよね。  これも骨髄バンク事業ですから、国民の税金をつぎ込んでそれがどうなっているのか というところを知りたいわけです。それは臍帯血バンクを構築していくうえで、これも 事業ですから成り立つのか成り立たないのか。事業が成り立たなかったらどうにもなら ないわけです。ですから、そういうところを厚生省にも教えてほしいと思います。 一番の問題点として不透明。意図した意図しないにかかわらず、国民の側からすると不 透明で中身がわからない状況です。ですから、委員もご質問されたのはそういう部分も あったのではないか。いままでの医療の現場での功績は、私もそれはそれとして認めて おります。そこのところをどなたかご説明いただけないでしょうか。 ○齋藤座長 それでは草刈委員、どうぞ。 ○草刈委員 最初にきょうの資料ですが、できれば通しのページを打っていただけるとお話の中につ いていけると思います。よろしくお願いします。  骨髄バンクにつきましては、浅野先生と草創期から取り組んでいまの状況になってい るわけで、いろんなことがあると思います。いろんなクレームがあることを耳にする度 に心を痛めていす。一つひとつ対応していいものをつくっていくのが現在の骨髄バンク の責任だと思います。しかし、透明性がないということについては次回にでもきちっと 説明することをお願いします。いろいろとお知らせや広報をしているけれども見ない人 もいるんですよ。見ないで見えないという方もおられるから、こういう疑問にはきちん とバンクから説明していただいたほうがいいのではないかと思います。 きょうの3人の委員の中でも、日本赤十字の血液センターのことがチラチラ出てまいり ましたが、あとで結構ですから予算が移管した経緯を正確に行政から教えていただけれ ばと思います。 ○齋藤座長 骨髄バンクの運営はオープンにされていると思うんですが、何か補足説明がありますで しょうか。 ○朝浦室長 草刈委員からご指摘がありましたように、ある程度紙でないと十分説明しづらいと思い ますので次回、数字をお示ししながらご説明したいと思います。 ○草刈委員 その中でも、恐らく浅野先生も同じだと思いますが、硬直性とか言われると実につらい んですね。我々はもし過ちがあれば改めるのにはばかることなかれでございます。ただ しそのときには登録していただいた方の誠意は裏切ってはなりません。それはきっちり しなければいけない。だけども改めることがあればさっさと改めるということだと思い ます。 ○陽田委員  私どもは骨髄バンクの応援団でございまして、また叱咤激励する立場であるというふ うに思っておりますので、あえていまの骨髄バンクの問題点についてのご質問にかなり 概念的かもしれませんけれどもお答えいたします。 私が組織づくりの方針の6点を挙げましたけれども、このへんははっきり申し上げまし て骨髄バンクをつくり上げてきたプロセスの反省点から出てきているものだとご理解い ただければある程度おわかりいただけると思います。細かい説明は省略させていただき ます。 ○迫田委員 まさにその点をお伺いしたかったところですが、陽田さんがわざわざ補助金行政に頼ら ないというところを挙げられた理由を説明していただきたいのですけれども。 ○陽田委員  これは、この補助金だけではないんです。いまの日本の構造全体がそうなんですけれ ども、とにかく税金を中央に集めて補助金とか地方交付税という形で地方に配分をする という、そこにいろんな問題点が指摘されていますね。できるだけ補助金に頼らないで できるシステムができないかということを考えていかないと、自由性が失われるという か、先ほど硬直性というお話が出ましたけれども、どうしてもそうなりがちだとこの6 年間感じてきたところです。 ○迫田委員 ちょっとわかりにくいので、具体的に骨髄バンクの例でお話しいただくことはできませ んか。次回でも結構ですけれども。 ○陽田委員 ではまとめてきます。 ○齋藤座長 その点は次回にまとめてディスカッションすることにしまして、この運営形態のあり方 で……。 ○浅野委員  これからの議論をスムーズに進めていくためにお願いしたいことが3点あります。  この検討会は骨髄バンクが既にあってそれを中心に臍帯血バンクという議論をなさっ ているようですね。どうもこれは違うのではないでしょうか。ソフトとハード両面を考 えてバンクというのは存在するわけなんだけれども、私自身、恐らく皆さんもそうだと 思いますけれども、これまでの議論から、臍帯血バンクというのは分離・搬送・保存を 含む施設、ハード面を抱えた部分がほぼ全てを占めるということまず認識すべきだと思 います。  第2点目は、陽田さんから試算がいろいろ出ましたけれども、骨髄バンクと大きく違 った点は、国際協調の必要性がすぐに出てくるということです。この点を考慮していた だきたい。 それから、先ほどの第1点で申し上げたことに関して、これからの議論の進め方として 当然出てくると思いますが、二つのバンク間の調整の問題は別にして、まずどれだけの 保存施設、ハードが必要なのかということの議論から入らないと、いつもこの骨髄バン クという漠然としたソフト面の問題ばかりで不確かな議論に走ってしまう。臍帯血移植 の長所を生かすためにはどのようなバンクが理想的なのかという議論から始めていって いただきたいと思います。 ○齋藤座長  いまのご意見ですが、先ほど3人の方の中で、例えば加藤委員のご意見は、骨髄バン クと臍帯血バンクをそれぞれ単独あるいは対立したものとしてとらえるのではなくて、 造血幹細胞移植ということを数年後日本として行っていくのはどういうシステムがいい かという議論だと思うんです。したがって、いま言われましたような点も含めて先ほど ご意見をいただきましたので、主な論点として先生が言われました採取・保存・搬送と いう点も入っていますので、主な論点に進めてよろしいでしょうか。 それでは、主な論点について、早速、分離・保存の組織についてという浅野先生が指摘 されたところが出てきております。いかがでしょうか。 ○草刈委員  研究段階ということは皆さん認めているんですね。そうすると実施の方式というのは 一定にしないと比較検討ができないと思います。ですから評価方式を第三者がきちんと やっていくことは結構ですけれども、その評価ができるようなものでなければならない まさに違うものは比較できませんということです。  3人の先生方のきょうのご意見の中で共通したことは、前から斎藤先生が何回もおっ しゃっているミニマムリクワイアメントをきちっともっているところのネットワークが 必要だということは共通しています。それはいいと。ただ、3番目に、バンクというも のの持っているコンセプトが少しづつ違うような気がします。なにもかも持っていると ころと、いま斎藤先生がおっしゃったようにいくつか分散して持っているところとが違 っている。それは、ここにおられる方は実際にバンクをやっている方でもバンクの一番 偉い方でございます。本当に採取している人たちの現状というのには……。言いすぎた ら謝りますけれども。  臍帯血採取基準書とか調整保存基準書とか衛生管理基準書とか管理基準書、そのほか 作業手順書というのが作業委員会でそろそろできる頃ではないのでしょうか。ですから 小池先生もおっしゃったように現実の作業で一体どんなところに問題があるのかを把握 しなければこの事業がどう運営されるべきかを論ぜられないのではないかという気がい たします。ですから、特に検査の場合は小池先生は現実に悩んでおられると思いますが 普通の病院でやっておられる臨床検査すらも大きな幅があるんですね。HLAになって きたら費用とか精度からというととんでもない大きな違いになってくる。例えば我々は いつもPCRでは厳重な技術管理をやっている。いくつかの機関でそれを調整するのに 大変な苦労をしています。ダブルブラインドでコントロールでやっています。第三者に きちんとやっていただかないと評価ができっこない。 その中でいろいろとやっていくのだけども、やはり現在の実際の作業のところでの問題 点とか手順書はどうなっているのということを、次回でもいいからご報告を受けてほし いなと思います。我々も一緒になって考えたいという気がいたします。 ○斎藤座長  それは現在の地域の臍帯血バンクの実態でしょうか、そうでなくて骨髄バンクのほう ですか。 ○草刈委員  骨髄ではなくて、作業部会でいまやっているものです。 ○齋藤座長  技術上の部会でやっているほうですか。 ○草刈委員  そのところを見ないと運営だけを考えてもしょうがないなと思います。 ○齋藤座長  それは先回一度、中間報告をしましたし……。室長どうぞ。 ○朝浦室長  いまのご質問ですけれども、実は4月3日に臍帯血の作業部会を開きまして、とりあ えずの案といいますか先ほどの作業手順についての議論がまとまるようにやっておりま すので、次回の検討会の場でご提出できると思います。 ○草刈委員  そのほうが迫田委員も安心すると思うんです。何がゴチャゴチャしているかというこ とが頭の上で言葉だけ飛び交っているような気がいたします。 ○有田委員  考え方として、私は骨髄バンク構築のときにも陽田委員たちと一緒に6年間携わりま した。そして、素人ですけれども臍帯血バンクも6年間見てきています。医療は同じだ からいいんです。 システムのところで、どうして混じり合えないものを1つにしようと考えておられるの かという疑問があります。  例えば、こういう例が適当かどうかわかりませんけれども、牛乳を私たちが消費者と して購入するときにビンと箱があります。消費者としてはもらうものは一緒です。造血 幹細胞は一緒なんですけれども、ビンの業界と紙の業界は消費者が一緒なんだからその 業界を一緒にしてしまえという議論は起こってこないんですね。鉄をつくるところでも 高炉業界と鉄くず業界は一緒にならない。そういう考え方から考えると、臍帯血を採取 して検査・保存して供給することと、骨髄バンクがドナー募集をしてコンピューターに 入れるというデータバンク、そこをことさらなぜ一緒にしようということで考えていか れるのか。そこのところの考え方を教えてください。 ○齋藤座長  それはたびたびいままでの議論でも出てきており、結局、患者さんの利便性とか国と して取り組むために造血幹細胞移植という大きな枠組みでとらえたほうがよいという考 えであると思います。例えば、ビンの牛乳も紙パックの牛乳も牛乳という点では同じで すので、臍帯血移植をいまの骨髄バンクの枠組み無理に押し込めるのではなくて、骨髄 バンクの枠組みも改めるところは改め大きく造血幹細胞移植として21世紀に向けて脱皮 しようというわけです。  ですから、そのためにはいまここでビンの牛乳と紙パックの牛乳が違うからといって 分けずに、牛乳として1つに考えたほうがいいのではないかというご意見が多かったと 思います。 ○有田委員  議事録に残してくださいね。私は多かったというふうに思っていません。発言した人 の数を数えたとしたらです。ですから、事務局がいままで出してこられた資料というの が、衣の下から鎧がチラチラではなくて鎧そのものが出てきていて、そういう形の中で 資料を出されて議論してきたわけです。  これは絶対言わないでおこうと思ったんですけれども、臍帯血移植の研究があって移 植医療の促進がありました。平成8年度に浅野班が行ったことを、同じような案を又小 寺班を作ってやらせている。なぜ臍帯血移植医療をやっていた先生たちがこれだけおら れる中で、それに携わっておられない骨髄バンクの代表の小寺先生をわざわざ新たに代 表において、そこに研究費をつけて資料を出すための研究会をつくったのかなと疑問を 持っています。これは私だけではありません。 私の個人の意見と思って聞かないでください。活動してきた中で後ろにおられるさくた んの方たちの疑問です。  ですから、なぜ骨髄バンクありきというところにこの議論をもっていかなければなら ないのかということをお尋ねしたいと思います。 ○齋藤座長  ほかの方のご意見を伺いましょうか。原先生、どうですか。 ○小寺委員  僕のほうから答えましょうか。 ○齋藤座長  では、原先生のほうから。 ○原委員  臍帯血というのはかなりハード面が重要ですので、まずハード面がどれぐらい国内で 必要なのかということから入っていけば、ある程度ハードを充実しなければなりません から、あとは最近の情報機関ではHLAの検索はかなりフリーにできるのではないかと 思っておりますので、ある程度フリーに活動してもいいのではないかと思います。ある 程度の規格はもちろん決めなければいけませんし視察も必要でしょうけれども、それ以 上のことはあまり厳密に決めないほうがいいのではないかと思います。 骨髄バンクとの関係につきましては、当然そこではHLAの問題がありますから、HL Aの検索システムが両方できるようなシステムをどうしても考えなければならないと思 いますが、それを同時にしなければならないかというのはまた少し問題が別だろうと思 いますので。 ○陽田委員  あまりこのへんの議論に時間を費やすのはどうかと思うんですけれども、最初からの 議論で骨髄バンクと臍帯血バンクの違い、いわゆるドナーから患者までつなぐシステム としてはまったく違うんですね。ただ、共通するところは患者側がアクセスするHLA データをどうするかというところに共通点があると思うんです。これを僕は共有化とい う言葉を使いましたけれども、オープンにして共有すればあまり難しい問題ではないと 思っています。どこかの組織がお金をかけて管理する必要がなくなってくると思います  ただ、骨髄バンクに関しては、そこから先のコーディネート業務という重要なものが ありますから、そこから先はぜんぜん違うんですね。あと共通するとすれば国際協力の 問題と患者相談の問題。これは対象が同じですから、そこをどういうふうにうまく協力 関係を保つかということが大事であって、それ以外のものはまったく別なんです。です から、組織も当然違ってくると思います。そういう考えをしております。 ○齋藤座長  議事の進行上申し上げますが、最終的にどのような組織にするかということがいまは つめる所まできていないんです。ですから、浅野先生も先ほど言われたように分離・保 存・運搬の組織はどうするかという、少し決められるところを決めていかないと総論か ら各論にいって、また総論に戻っているので検討が進まないと思います。主な論点の分 離・保存の組織について、本日は全国何カ所にするかというご意見がありましたけれど も、1カ所でいいというご意見はなかったと思います。3カ所から7〜8カ所ぐらいま でというご意見はありましたけれども、そのへんはいかがでしょうか。 ○青木委員  それをやっていくわけですけれども、先ほどから一体どれだけ使用するのかと。厚生 省から出された資料は5,000 件をストックして100 という数字がこの資料の中にもあり ますけれども、私はそんなに少なくないだろうと思います。先ほどの陽田さんの試算を 見ますと結構使用量はあると。私もいろいろ計算して十字先生の文献のHLAの患者適 合数等から見れば、ワンローカスミスマッチでやってもあの厚生省の5,000 の中で100 ということはないだろう。  そういった観点からいけば、3ないし5あるいは7という数字かなと。しかし7はち ょっと多すぎるのではないか。当初は1カ所でもデリバリーできるわけです。数が少な いところから始めれば1カ所でもいいんですが、しかし災害等の問題もありますし3カ 所ぐらいにそれぞれ独立したほうがいいのではないかと思います。組織はどういう形態 にするかはあとの議論でしょうが、そういうふうに思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。3カ所から7〜8カ所というご意見だと思います。  次はHLA型等と書いてありますけれども、いまの分離・保存を行う施設で一部は行 い、またHLA型については日赤血液センターにお願いするということになるかもしれ ませんけれども、そのあたりのご意見はいかがでしょうか。  それぞれ全国数カ所で全てHLAまで含めてやるのか、あるいは、部分的には全国的 なところでやっていただくのかということがありますが。これはどちらでやっても大き い問題ではないと思います。  次に、HLA型等の情報管理機能というのは、例えば5カ所なら5カ所で情報管理を 行うのか、そこで行うと同時に、そこに患者さんあるいは主治医がアプローチをすれば 全て全国の状況がわかるようにしておくのかということですが、いかがでしょうか。 ○青木委員  そのことは前にも何回かここでもお話ししたと思いますけれども、なにも1カ所に集 約しておく必要はないわけです。先ほど皆さんからもお話が出ているように、データの 共有化という考え方でいけばいい。それぞれのバンクがそれぞれ公開していく。その中 から患者さんあるいは移植医がセレクトしてアプローチすればいいわけです。それが公 正な分配、早く必要な人に速く届ける一番いい方法ではないかと考えています。 ○迫田委員  確認ですけれども、データの共有化の場合のデータの出し方、地域バンクがフォーマ ットを同じにしておけばよいということだと思うんですが、あくまで確認ですけれども それは患者のプライバシーというところではまったく問題ないというふうに思ってよろ しいんでしょうか。その型だけを見ていれば当人ということは確定されないという理解 でよろしいんでしょうか。 ○青木委員  そうです。いわゆるHLAタイプの公開であって、誰それの提供ということとはまっ たく切り離す。これはプライバシーですから一切患者と切り離して公開するということ です。 ○齋藤座長  ただ、その場合、先ほど加藤委員が言われました移植が必要な方で、骨髄かも末梢血 かも臍帯血かも知れないというときには、ある程度1カ所にしておかないと患者さんに 不便ではないでしょうか。 ○加藤委員  再度確認させていただきますが、いま議論がバンクというものの定義が曖昧なまま進 んでおります。私が申し上げているのは、あくまでも全体の枠組みをバンクというふう に申し上げております。採取・分離・保存まではバンクの中の1組織であります。そう いう点で、そこの抱える情報は現在の骨髄バンクを含めた全体の中で今度は患者さんの ものです、患者さんがアクセスするものになります。ですから、患者さんはあちらのバ ンク、こちらのバンクにアクセスの労をとる必要なく、いまの骨髄バンクへのアクセス が不便だというならそれは改めればいいことだと思いますので、なにもバラバラにして おく必要はぜんぜんないと思います。 ○齋藤座長  そうですね。その次の患者窓口の機能ということとも関係すると思うんですが、恐ら く全国7カ所でそれぞれやった場合は窓口が7つある、それに骨髄の窓口は別にあると いう非常に複雑なことになると思います。したがって、窓口を1つという意味ではHL Aのタイピングだけはどこかで一本化したほうがいいような気がしますけれども、いか がでしょうか。 ○草刈委員  やはり作業部会がどのようなことで調整に苦しんでいるかというのを見たいなと思っ ています。もうひとつは、この間この会議が終わったときに出口のところで傍聴者の方 からお話を伺ったのですが、やはり患者さんたちは死に直面しているわけです。化学療 法をとるか骨髄療法をとるか、先生方は特にそういう臍を噛んだことがあると思います が、化学療法をとらずして骨髄移植をやったためにかえって命を縮めてしまったという 例も先生方はお持ちだと思います。  患者さんにあった臍帯血があれば直ちに移植するために、欲しいよというような医療 なのだろうか。そうではなくて患者さんと主治医との間のチームが評価をきちんとして アクセス、治療法の選択をしなければならない。風邪薬を買うような感じではない。傍 聴者の方から素晴らしい直言を受けました。そのことからも、治癒という言葉が資料に 簡単に出てくるんですが、治癒する方もおられるけれども、そのあと再発される方もお られるという大変な病気だということは先生方はもちろんわかっておられるんでしょう けれども、議事録だけを見るといかにも軽々と語られているなという気がします。私の 偏見でしたら謝りますけれども。 ○有田委員  私は陽田さんの案を見たときに、私どもが考えてきた案と似通っていると思ってびっ くりしました。この理念のところもまったく同感ですし、組織図についても賛成してい ます。3つと仮定してこういう形をとった場合に、加藤先生案の流れ図と比較すると2 と3のところを飛ばすことができるんです。これも草刈さんの言われたように死ぬか生 きるかに直面している患者さんの移植医療のスピード化に役立つ組織になります。草刈 さんは硬直ということもおっしゃいましたけれども硬直のところで困っている部分も解 決できると思います。  それは赤十字の責任ではなくて、行政の仕組が硬直してしまうようになっているから それがいけないのであって、こういう流れの中であえて硬直する方向に話をもっていか なくても、新しい発想で、それこそ反省点に立って臍帯血バンクのシステムを考えてほ しいことがひとつ。  もうひとつ、これはお医者さんたちにお伺いしたいのですけれども、骨髄、末梢血、 化学療法、臍帯血とありますけれども、いまお医者さんたちの技術とか知識の中で、こ の患者さんにはこれがいいと言える人がおられるんですか。情報をしっかり公開したら 患者さんと主治医の段階で解決できる問題ではないかと思うんです。浅野先生にあえて そこらへんのところをお聞きしたいのですけれども。 ○浅野委員  このことについては加藤先生の案が出てきたときに漠然と質問を加えてみたかったの ですけれども、誰が適用を決めるのか。これは言うまでもなく患者と家族と主治医です その情報は全て先ほど申されたような公開のデータベースがあって決められる。主治医 の考え方をレベルアップするのは学会だということです。ですから、バンクのソフト面 を一括するのは具体的に何かという疑問です。 ついでに申し上げますけれども、いわゆるHLAデータの共有化に関しては非常に簡単 です。 患者さんのアクセスも非常に楽です。というのは、例えば7つあったとしても共有化さ れていれば、どこにでも患者さん、家族、主治医はアクセスすればいいわけです。そう いうことがありますから、議論としてはハード面を担うところがどこであって、先ほど 草刈先生がおっしゃったように、どこまで担うのかというものを決めて、そのうえでソ フト面を考えても良いのではないかと思います。 議論をスムーズに展開するためには細胞保存施設を決めてからじゃないと骨髄移植と臍 帯血バンクの関係が分からないと思います。 ○齋藤座長  いろいろご意見いただきましたけれども、きょうは運営形態を全てつめることは到底 できないわけでして、きょういろいろとご意見をいただきましたので作業部会のような ものをつくって検討していただこうと思いますが、よろしいでしょうか。  とりあえず実際のデータをもって案を出された陽田委員、加藤委員、西平委員、それ に私がどなたか1人、お2人にお願いしてということで人選をお任せいただけますでし ょうか。(「異議なし」の声あり)  ありがとうございました。  あとちょうと30分残りましたので、議題の2にいきたいと思います。いままでのが各 論としますとこれは総論ではありますが、いままで3回の委員会でいろんな意見をいた だいたことを少し整理してみたわけです。議題2の資料を見ていただきますとわかりま すように、ほとんどは全ての方が賛成することではあると思います。事務局から手短に ポイントだけ説明してください。 ○重藤補佐  資料2「これまでの議論を踏まえた基本認識について(案)」でございます。最初の ところの善意・任意の尊重から、1ページの下から2つ目の採取施設についてのところ までが、いままでの議論を踏まえて事務局で整理させていただいた項目でございます。 1ページの一番下の臍帯血移植の現状と今後の取り組みについてというところから2 ページ目に続きます項目は、前回出させていただいた資料を前回の先生方の意見をもと に訂正させていただいた内容でございます。  したがいまして、この内容につきましては内容、軽重も順不同でございます。しかし ながら、こういったことで合意がなされましたら中間報告の中での基本的考え方とか運 営のあり方とか、報告書段階で整理をして出させていただきたいと思っています。この 内容について問題があるかどうか。基本認識についてよろしいかどうかということをご 議論いただければありがたいと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。1ページの上のほうの非営利組織で運営するということに はどなたもご異論ないと思いますし、公正かつ適正に使用する、安全で有効な供給をす る、全国的な供給体制の整備については、全国的な情報ネットワークが先ほどからいろ いろご議論ありましたけれども、現実的にはいろいろな形態がとれると思いますが、総 論としては整理するということでいいと思います。  もちろん、十分なインフォームドコンセントの必要性、あるいは情報の公開性、採取 については産婦人科の先生の理解と協力を得て行うという当然のことだと思います。一 番下の現状と今後の取り組みについては、事実を述べただけであります。昨年12月10日 までで32例が行われているということ、したがって例数が少ないので現在でははっきり しない、専門家としても有効性、安全性などにつき答えの出せないこともあるので、数 としては200 例、300 例といろんな例数がありますが、その間は研究事業的に取り組ん でいって経験を積むということでよろしいのではないかと思います。  次にいきますと、ここは表現の問題もありやや委員によっては違う意見をお持ちの方 もあります。しかしながら、いままで出されました性格につきましても、現行の血液事 業の業務の手法と類する面もあるが違う面もあるという両面を取り入れて書いてあると 思います。 ○青木委員  これについては浅野先生のほうから代替案が出されておりましたが、その代替案を採 用いただいたほうがいいと思います。 ○齋藤座長  それはどこが違うんでしょうか。 ○青木委員  前々回の議事録に示されていると思いますが。 ○齋藤座長  これは、私もそこを読みましたけれども、ただ日本語だけの問題なんですね。要する に、採取・保存・搬送の過程で最後のところが、確か、輸血とかそういうものとは違っ た面もあるが血液事業と似ているという言い方と、ここにあるように血液事業と似てい る面もあるが異なっている面もあるという、その前後の問題だけなんですよね。 ○浅野委員  血液事業かどうかということで問題になったときに議論をして、その結果、私が提案 したときにそのまま認められたと思います。  それはどういうことかというと、治療目的は移植と輸血は異なるが、業務に関しては ほぼ類似するといった言い方だったと思いますけれども。バンクでは業務を中心に考え ますから、それで皆様には納得していただいたと思っていましたが、、、。 ○齋藤座長  どちらを先にもってくるかということだけで事実は一緒なんですね。似ている面もあ れば異なる面もあるし、特にこれが似ているからどうだの、違っているからどうだとい う問題ではないと思うんですが。ほかの委員の方、いかがでしょうか。 ○古市委員  それぞれのご意見はわかりますけれども、この原案が正しいと私は思います。表題が 「臍帯血移植の性格について」ということですから、いろいろありますけれども本質は 血液製剤の治療ではなくて移植であるということが基本なんです。ただ、周辺のいろん な形は類似しているということですから、前後引っ繰り返すと言っていることはおかし くなりますから、これが正しいと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。そういうことでよろしいでしょうか。 ○迫田委員  データについてですけれども、12月10日現在で32例という数字ですが、もう3カ月た っておりまして、専門家の先生がここにいらっしゃるわけですから、できれば新しい数 字を出していただきたいと思います。 ○齋藤座長  いま何例かわかりますか。 ○重藤補佐  研究班でされていると思いますので、事務局では把握しておりません。 ○齋藤座長  次回までに数字を入れ替えるということでお願いします。 ○小寺委員  いまも研究班という言葉が出てきまして、先ほど有田さんがおっしゃったので誤解の ないように言っておきますが、ここではあまり出す必要はないんですけれども、私が班 長をしているのは「造血細胞移植と免疫応答」という班です。その中には約4つのテー マがありますが、そのうちの1つがたまたま臍帯血であるということですので、そこを 誤解のないように。中で実際にやっていらっしゃる方たちは、ここにいらっしゃる先生 もみえるし臍帯血をやっていらっしゃる先生たちが中心にやってみえますから。一応そ ういうことですので誤解のないようにしていただきたいと思います。  もうひとつは、草刈先生から先ほど言われましたけれども、骨髄バンクというものに ついてここの方たちにやや誤解があるような気もいたします。確かにいろんな問題もあ りますが、最初に小池先生からのご質問に対して、世界的にみて遜色のない最終目標を 達成しつつあると、供給率を高めるということを達成しつつあるということを言った背 景は、少なくともそこに至らしめた現在の組織形態とか運営形態というのは、現存する ほかのものと比べて悪いという証拠はない。 ということは、逆に何か新しいものを提案されようとするときに、それが現状のものと 比べてより良く動くという保証はないし、そこは十分考慮されたほうがいいだろうとい うことです。 ○原委員  先ほどの文章の問題で、血液製剤を用いるのとは異なるものであるということで私が 気になりましたのは、私がここにこだわる理由は、何とか臍帯血に単価をつけてほしい ということにあるわけです。単価をつけていない骨髄バンクが非常に経済的に困ってい るということは事実だと思います。コーディネートを担当されている方々とかボランテ ィアの方々は努力しておりますが、経済的に非常に困っておられる。このへんは少し考 えてあげないとだめではないかと私自身は思っております。非常に努力して骨髄バンク が成功して大きな成果を上げていることは事実だと思いますが、その中でボランティア の方が非常な犠牲的な精神を発揮して維持しているわけです。 これがいつまでも続くということを期待するのは無理ではないかと思います。  それは、補助金に頼っているからそういうことになるのであって、ある程度供給数が 増えれば増えるほどコーディネートの仕事は増えるわけです。コーディネートが増えた からといって補助金が増えるわけではないわけです。仕事をした分だけある程度の収入 源を確保されていないと非常に困った事態が予想されるのではないかと思っていますす 同じことが将来、臍帯血バンクに起こらないようにということではないと思います。価 格をつけてほしいということで血液にこだわっているわけです。 ○重藤補佐  価格という面でいきますと、参考資料の5でございますけれども、骨髄移植の場合も 造血幹細胞の最初にかかる費用ということで保険適用されております。骨髄穿刺15万円 の技術料という形で点数がついております。形の問題ですので技術料という形でとるの か、それとも物代でとるかだけの違いでございまして、保険できちんとみられていると いうことでございます。  コーディネート料にしてみましても、その人にかかる1対1対応というのは基本的に は保険の考えであろうというふうに考えておりますが、保険のしくみ上、その人のコー ディネートにかかわる時間数とその人の賃単価ということで今後保険の上乗せというこ ともお願いをしていくことはあろうかと思いますが、ただ、単価的にはそんなにならな いのではないかと考えております。 ○古市委員  それで原先生がご納得ならいいですけれども、その話は別の次元の話になりまして、 結局、角膜とか心臓とか肝臓のあらゆる臓器に波及するわけです。要は患者さんの負担 が過剰にならないような制度をつくればいいので、ものの値段のほうにもってくるのは 混乱するだけですから、それはまた別の配慮をすればいいのではないかと思います。 ○青木委員  この「性格について」というところに私がこだわるのは、前々回かなりの時間を費や して議論して、そして浅野委員のほうからこういうことでどうだろうという文章が出て 大多数の人はそれに納得したと思うんです。 ○草刈委員  そうでもないですよ。皆さんに伺ってみて下さい。 ○青木委員  そうですか。 ○齋藤座長  そうでもないです。  もう一度そこのところに戻りますと、輸血の場合のように輸注したものの寿命が終わ れば終わるものと違って、幹細胞は一生増え続けてその人の生命と共に続くわけですか ら、やはり移植に近いという面が強いですね。したがって、文章を入れ替えるよりもこ のほうが関口先生のご意見もありましたし、いいというふうに記憶しています。 ○迫田委員  いま原先生のお話を聞いて、問題にしているのは文章の問題ではなくて費用の最終的 なことなんだということがやっと理解できました。いま重藤補佐からお話がありました けれども、骨髄バンクについて行政指導が入ったという記事が最近ございましたが、そ のへんについては経費の問題で骨髄バンクにはいろんなことがあるんだろうということ が推察されますので、そのへんもあわせて、いまお話しになったように全てうまくいっ ているというふうには思えないので、次回のときに骨髄バンクについてちゃんとご説明 いただきたいと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。  それから、利用者の利便性と採取・分離・検索・保存の施設、このあたりはいかがで しょうか。 安全性であるとか設備、人員に十分配慮するということで問題ないと思うんですが。  情報管理体制は、この表現でいいのかどうか。一元化というのは違う表現のほうがい いかと思いますが。  最後の適応・品質評価・成績の評価は、第三者機関というのが先ほど浅野先生が言わ れましたように学会を含んだ第三者機関ということでいいかと思うんですね。例えば、 学会でもありますし、いろんなところの集まった協議会でもいいですし、その結果を情 報公開するのも当たり前のことだと思いますが。 その他、基本的認識でまだ議論していないのが倫理の問題ですが、できれば次回どうい うような論点があるのかということで出していただいたらいいかと思います。 ○陽田委員 この基本認識の中に情報公開というのが2回出てきます。「情報公開に努める」となっ ていますが、これは「情報公開を原則とする」というふうに書き換えていただきたいと 思います。 ○齋藤座長  そのほうがいいですね。したがって、これはあくまでプライバシーにかかわるところ ではなくて運営面のことですね。 ○青木委員  先ほどの情報管理体制についてですが、きょう出てきた「共有化」のほうがいいんじ ゃないでしょうか。国民全てが共有するという意味で。 ○齋藤座長  2ページ目の下から2番目ですが、「全国的な規模で臍帯血のHLA型及び細胞数な どの情報を共有化する」と。割と新しい言葉ですけれども、それでよろしいでしょうか ○陽田委員  ここには国際協力が出てきていないんですね。 ○重藤補佐  国際協力は資料の1「運営組織の枠組み」のところの2ページ目、その他議論してお くべき項目ということで挙げております。まだ議論がなかったものですから挙げており ません。 ○陽田委員  この4番目の全国的なネットワーク普及体制というところ、全国というと日本だけに 限定してしまうのかなと思ったものですから。 ○齋藤座長  ここで国際対応も何度も指摘されておりますので、必要な論点になると思います。  それでは、その他ということで事務局から2点、3点説明をお願いします。  前回、加藤委員から、骨髄移植の場合はG―CSFが保険適用となったけれども臍帯 血移植はどうかというご質問がありました。その点について朝浦さん、お願いします。 ○朝浦室長  前回、加藤委員のほうから保険適用の件のご質問がありましたけれども、臍帯血移植 時のG―CSF製剤の投与につきましては骨髄移植と同様、保険適用の対象となるとい うことでございます。以上でございます。 ○齋藤座長  加藤先生、よろしいでしょうか。  それからもう1点、草刈委員から、補助金が薬務局から保健医療局に移管した経緯の ご質問がございましたけれども、その点について。 ○成瀬補佐  移管につきまして簡単にご説明させていただきたいと思います。年度はさかのぼりま すけれども、平成2年の6月に保健医療局において骨髄バンクのあり方に関する研究班 が発足しております。その後11月に同班の報告が出ておりまして、公的バンクにつきま しては公平性、公共性、公益性を担保するということになっております。その後、平成 3年1月に骨髄移植対策専門委員会の設置、6月にその中間報告が出ておりまして、そ の後、平成3年12月に財団法人骨髄移植推進財団が発足しているということが経緯にな っております。  平成4年の1月から日本赤十字社の骨髄データセンターの設置、並びに骨髄供給希望 者(ドナー)の登録検査がスタートしております。その経緯といたしましては、骨髄バ ンクのあり方に関する研究班の報告に基づきまして日本赤十字社の関係がございまして 薬務局おいて日本赤十字社ドナーHLA型検査費用及び検査システムの整備を平成3年 度に計上したという経緯があります。  その年の4年6月でございますが、財団法人骨髄移植推進財団で患者登録が開始した ということです。この事業につきましては、補助としまして平成4年度におきまして患 者登録のものにつきましては保健医療局で計上したという経緯があります。その後、平 成5年4月に日本赤十字社へのHLA型検査費にかかる予算を薬務局から保健医療局へ 移管した。これにつきましては財団の設立後でございますけれども、骨髄バンク事 業・・・予算的に一元化で管理するというものでございます。  その後、平成6年6月に私どもの臓器移植対策室の設置により、骨髄移植事業を同室 において所管しているという経緯でございます。 ○齋藤座長  ただいまの説明につきまして何か。 ○有田委員  私の発言からだったと思います。作業の経過については了解いたしました。ありがと うございました。 ○齋藤座長  それでは、あと10分ですが、全体を通じまして運営組織の枠組みで実際的なことを出 していただいて、それからまた総論も含めて議論しましたけれども、何か足らないとこ ろ、あるいは議論のこういう論点があったほうがいいのではないかというところがござ いましたら、追加をお願いいたします。 ○有田委員  陽田委員に質問ですが、資料の3ページのところですが、4年目から採取数の点数が ダウンしています。これは同じペースではいけないのですか。欧米では50kg以上の大人 の患者さんの移植も進められておりまして、臍帯血移植を進めておられる現場の先生方 特に内科の先生方の間からは大人の臍帯血移植ということに非常に期待をしているとい う声が聞かれます。大人の患者さんから私どもの会にも待望する問い合わせが多くござ います。  加藤先生に質問です。アメリカをこの間見て来られましたが、そのときに成績とかは 見てこられましたでしょうか。私は昨年の8月と一昨年の10月に行って実際に見させて いただいておりますのでそれまでの状況はわかっておりますが、最新の情報ということ で教えていただきたいと思います。 ○陽田委員  いまのご質問ですが、4年目から採取数をダウンさせたのは、計算上採算をあわせる ためにダウンさせています。同じペースでやっていくと採算があわないんです。これは 先ほどもご説明したとおり地域バンクのいろんな努力でこのへんは増やせると思うんで す。例えば、寄付金が多く入ってくるような仕組みをつくるとかで多くできますし、供 給数等が違ってくれば当然このへんも再投資していけば増えていくと思います。  ですから、供給数がどのくらいになるかという予測でぜんぜん違ってくると思います そのへんの数字の入れ替えは可能だとは思っています。 ○加藤委員  有田委員からご質問がありました海外での移植の最新の情報をということで、特に先 月視察にまいりましたアメリカでの状況を聞ければという話ですが、断片的なご報告で 申し上げるのがよろしいのか、あるいは次回にきちんとした報告書という形でここに提 出したほうがよろしいのか、そのほうをまず……。 ○齋藤座長  そうですね、時間をとらなければ次回報告いただけるなら何か資料があったほうがい いですね。 ○加藤委員  ただ、資料もある意味では完璧なものではございませんので、もし3分ぐらいでとい うことであれば、いま簡単に申し上げます。 ○齋藤座長  では、いまお願いします。 ○加藤委員  一番数多く非血縁者間での臍帯血を提供しているのは、ご存じのとおりニューヨーク 血液センターなわけですが、現在保存件数が約8,000 件ございます。そして、移植件数 は600 例に達しているそうです。78%が米国内、22%が外国ということでございます。 この中で18歳以上の成人患者さんが98例。  ただし、どのような治療もそうなんですが、初期の試験的な側面をもった治療の場合 には非常に進行した患者さんたちが多いということで、そのために成人例では移植後3 週以内の早期死亡が多い点が目立っていると伺いました。生着率は疾患で異なっていて 全体として83%。しかし、再生不良性貧血、ハンクリン貧血あるいは慢性骨髄性白血病 の進行期では、その生着率が落ちておりまして55%。その他の急性リンパ性白血病、急 性骨髄性白血病などでは生着率が92.7%と伺いました。生着日につきましては、再生不 良性貧血で遅れる傾向があるということです。  疾患ごとの成績というのは、現時点ではニューヨーク血液センターがデータを把握し ておりますけれども、各施設のそれぞれの報告を尊重するということで、必ずしも正確 な値はいただけませんでしたが、例えば、小児の急性リンパ性白血病では1年生存が70 %を超え、これは骨髄移植よりもすぐれているのではないか。慢性骨髄性白血病では、 病初期であればという条件がつきますが臍帯血移植のほうがやや生存率が高いのではな いか。しかし、学問的にも化学的にも詰めるべきところはたくさんあると思います。  その他、移植細胞数の数がその後の運命を左右するひとつのファクターになっている HLA抗原との相関、どれだけミスマッチを許容できるかということにつながるわけで すが、現時点では明確なHLAとの相関は出てきていない。これはデューク大学あるい はミネソタその他のところも共通した現象のようです。  したがいまして、この委員会で議論しております1抗原ミスマッチと現時点では言っ ているわけですが、将来2抗原、3抗原というふうに、初期の段階からではありますけ れども十分広がると予測されるところでございます。  あとは、実際に移植を行っていますデューク大学での現場を見させていただきました が、常にデューク大学で移植を受けている患者さんの入院ベッドが十いくつあったかと 思いますが、その半分以上は非血縁者間の臍帯血移植を行っている。これはその施設の 特徴でございますから、全ての施設がそうだということではございません。しかし、米 国、世界あるいは日本の将来の医療の形態のひとつの方向性がそこにはあるのかなと感 じて帰ってまいりました。 ○齋藤座長  ありがとうございました。いま米国の状況のお話がありましたけれども、恐らく米国 の場合は営利事業として各臍帯血バンクが機能しているという我が国とは保険医療制度 の大きな違いがあると思います、陽田さんは地域バンクでかなり寄付金に頼って運営で きるという考えなんですか。我々はそれはできるかなという気がするんですけれども。 ○陽田委員  私の別表2を見ていただければいいと思いますが、ここで寄付金を毎年1,000 万ずつ 入れていますけれども、一番下から2行目の過不足の繰越が毎年増えていって、結局寄 付金の分はここで残っているんですね。いわゆる寄付金に頼らない試算になっています ただ、プラスアルファとして地域でそういうものを入れることによって、より再投資で きるという枠組みを各地域でつくらないと大きなものになっていかないだろうという意 味で入れているわけです。  これがないと経営できないという試算はしていません。 ○西平委員  先ほど原先生も言っておられましたけれども、骨髄移植と違う点は皆さんご存じのと おり採取・保存にかかわる費用、検査ですね。それが非常にたくさんかかるということ を皆さんご存じでしょう。例えば、1検体につき10万円かかるということを試算されて いるわけですから、ここに保険で21万円を保険治療としては認めたのですけれども、そ こに至るまでの過程の費用をどうするかということが問題であると思うんです。  それを寄付金に頼ると言われても、それは到底できないと僕自身は思っているんです それを何とか公的なものでやってほしいというのが僕自身のいままでの気持ちであって それをつくるためのデータを一生懸命やってきたのであって、今後も寄付金に頼ってや れといったら、じゃあこんな会議、何のためにやっていると僕自身は言いたくなっちゃ うんですね。それならいままでどおり我々だけでやりますと言いたくなるので、ぜひ資 料5に出されてあります未定という部分をはっきりと値段をつけてください。これをは っきりさせないことにはちゃんとしたバンクなんて到底できないと私は思います。 ○青木委員  ひとえに、どの程度使われるかというところに尽きると思います。ですから、さっき の発言の前に先生に伺いたかったのは、アメリカの適用はいまの骨髄移植の適合だけな のか、あるいは末梢血幹細胞の固形ガンも適用なのか、日本で考える場合に将来、子宮 ガンとか精巣ガンとか末梢血幹細胞の適用の対象にするかどうかで相当数が違ってくる わけです。  最初に申し上げましたように、5,000 例の100 例というのはあまりにも厚生省の資料 では少なすぎる。実際にはもっとあるわけですから、そこを確定して、どうなったら近 い将来大人にも使えるのか使えないのか、あるいは適用を増やすか。例えば、固形ガン なんか入れますと、いままで亡くなった人が子宮ガン、精巣ガン、卵巣ガンで1万数千 人あるわけですから、それを対象にすれば適合もどんどん増えていくということもあり ますし、そこらへんをどうするかということがひとつ。  それと、いま現実に各バンクで財政問題に非常に苦労しているわけですけれども、こ れが流れることによって運営できるような形にもっていかないと永続性がないわけです から、そういった意味で陽田先生の試案は、ここに数字をどう入れていくかによって何 年後かに採算がとれるようなコストを計算していかなければいけない。  補助金に頼るのではなくて、当初の設備資金は補助金が必要かもしれません。しかし それが後から流れていけばその中で運営していけるようにという形をつくっておけば、 将来的にはどんどんコストダウンできるわけです。ということで、基礎的な確定をどう するかということも大事だと思います。 ○齋藤座長  もちろんいまのお話は数年後、軌道に乗った時点の例数と、それまで研究的にサポー トする期間とでかなり違うと思うんですが。どうぞ。 ○重藤補佐  厚生省におきます試算の100 例と申しますのは、骨髄移植がいままで1,300 例以上行 われ、一方で臍帯血移植は12月段階で血縁者も含めての32例という状況があります。ま た、現在骨髄バンクに対して、15歳以下の子供さんの造血幹細胞移植がほしいといった 申し込みが300 例程度あります。この中で、骨髄移植が適用になる症例もいるでしょう し、臍帯血移植の適用となる症例があると思いますし、それぞれ病状等によって主治医 データ等の中で選択をしていくということだと考えられます。したがいまして、立ち上 げてから数年間、300 例の小児が全員臍帯血の移植というふうには考えていませんで、 300 例の中で骨髄移植と臍帯血移植がそれぞれ行われ、その中で数年間やって、例えば 500 例程度の症例数を行って、本当に骨髄移植と臍帯血移植の病状と病期もあわせまし て、きちんと両治療法について、その治療成績がどうなのかというものを疫学的にきち っと評価を行ってから次のステップに進むべきだろうと考えております。  したがいまして、100 例といいますのは、最初の立ち上げの段階の最初の5年間程度 がその数字できちっとやっていくということを原則として考えた場合の100 例というこ とでございます。 ○朝浦室長  あくまでも推計値でございまして、こういうふうにするんだということを言ったもの ではございません。あくまでも試算のための数字でございます。4,000 検体と申します のは、試算をするためのひとつの数字を示しただけの話でございまして、きょうの参考 資料の一番最後のページに費用の推計方法を出しておりますけれども、約2万検体を確 保するということがこの資料のベースになっておりまして、それを5年間で集めるとい うことで、年間4,000 検体ということで推計を出しているということでございます。ご 確認いただきたいと思います。 ○齋藤座長  いま財政面を含めてのご議論は数年後どんどん適用が広がったときの状況と、それま での移行期、試行期をどうするかというのと別だと思います。したがって、それは必ず しも同じでなくてもいいわけですし、そのへんはいま決められないところもあるわけで すから……。 ○陽田委員  いまのご説明いただいた費用の算出というのは、単純に経費を100で割っていますけれ ども、100を引いた数字の3,900が使えないというのであれば別ですが、残ったものはど んどん使っていけるわけですから、このへんの数字は単純にはこうはいかないと思いま す。  もうひとつ、先ほど寄付金ではとても運営できないというお話がありましたので、誤 解のないように念を押しておきたいのですが、私が計算した表の事業収入の臍帯血供給 のところは別に寄付金という意味合いではございませんので、このお金の性質について は何もうたってありませんが、これが保険なのか患者負担なのか、それはこれからの議 論だと思うんです。どこまで保険で適用できるか。ただ、経営として考えていくときに そういう寄付金とかもできるだけ入れられるようなシステムを考えないと、より大きな ものにならないという意味で申し上げているわけですから、そこのところは誤解のなき ようにお願いしたいと思います。   ○重藤補佐  陽田委員の試算の背景は、保存した臍帯血が何年もつのかというところが不明でござ いますので、一応その危険を考えて1年ずつ4,000 ずつ集めて、それがずっと続いて5 年ずつ取り換えていくということを一応念頭においてつくらせていただきました。  それが5年になるのか10年になるのかまた試算が異なってまいりますが、一応5年は 大丈夫だろうというところがいまのところ判断だろうということでございますので、毎 年4,000 ずつコンスタントに集めていくという絵にしてございます。 ○浅野委員  国際化の対応についてもう少し加える考えを入れておいたほうがいいのではないでし ょうか。 皆さんよくご存じかもしれないけれども、ネットコードが出来つつあり世界をカバーし ようとしています。そこでは米国、欧州の国際規格をこの段階から取り込んでいかなけ ればいけないということになると思います。国際協力の対応が遅れるといろんな問題が 起こってきますので、よろしくお願いします。 ○齋藤座長  大変活発にご議論いただきましたが、時間が過ぎましたのでこれで本日は終わらせて いただきます。次回は4月13日(月曜日)の2時からです。場所はまだ決まっていない ようですが、決まり次第ご連絡いたします。どうもありがとうございました。 ○加藤委員  参考資料の3でございますが、各バンクの予算経費が今回またのぼってきたのですが 先ほどから申し上げましたとおり私どものところは2億となっておりますが、これは設 備面での別のものと重なっておりますので、これからこれが一人歩きするとほかのバン クにもご迷惑をかけますので、2億をとって2,500 万という数字に修正をさせていただ きます。 ○成瀬補佐 どうもありがとうございました。 (以上) 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711