98/01/19 第1回 臍帯血移植検討会 第1回 臍帯血移植検討会  平成10年1月19日(月) 10:00〜12:00          場所:全社協第3〜5会議室 出席者(敬称略)  青木 繁之   浅野 茂隆   有田 美智世   加藤 俊一   草刈 隆  小池 麒一郎  小寺 良尚  ○齋藤 英彦    迫田 朋子   関口 定美  高橋 美智   田島 優子   中林 正雄    西平 浩一   原   浩  平林 勝政   古市 圭治   陽田 秀夫   (○:座長) 議事次第 1 開催 2 議題 (1)臍帯血移植の現状及び医学的評価について (2)検討課題について  (ア)臍帯血移植の実施における技術上の課題について  (イ)臍帯血移植体制の運営上の課題について (3)その他 3 閉会 ○成瀬補佐  定刻になりましたので只今より第一回臍帯血移植検討会を開催させていただきます。 本日は当委員会の第一回会議でございますので、会に先立ちまして事務局から委員の紹 介をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。  財団法人献血供給事業団理事でいらっしゃいます青木先生でございます。  東京大学医学部研究所付属病院長でいらっしゃいます浅野先生でございます。  日本臍帯血バンク支援ボランティアの会代表でいらっしゃいます有田先生でございま す。  東海大学医学部小児科助教授でいらっしゃいます加藤先生でございます。  日本赤十字社事業局技監でいらっしゃいます草刈先生でございます。  社団法人日本医師会常任理事でいらっしゃいます小池先生でございます。  財団法人骨髄移植推進財団企画管理委員会委員長でございます小寺先生でございます  名古屋大学医学部第一内科教授でいらっしゃいます斉藤先生でございます。  NHK解説委員でいらっしゃいます迫田先生でございます。  北海道赤十字血液センター所長でいらっしゃいます関口先生でございますが、雪の関 係で今日は欠席という連絡が入っております。  社団法人日本看護協会常任理事でいらっしゃいます高橋先生でございます。  弁護士でいらっしゃいます田島先生でございます。  社団法人日本母性保護産婦人科医会会員でいらっしゃいます中林先生でございます。 神奈川県立こども医療センター小児科部長でいらっしゃいます西平先生でございます。  兵庫医科大学輸血部教授でいらっしゃいます原先生でございます。  国學院大学法学部教授でいらっしゃいます平林先生でございます。  国立公衆衛生院長でいらっしゃいます古市先生でございます。  全国骨髄バンク推進連絡協議会運営委員長でいらっしゃいます陽田先生でございます  尚、早稲田大学法学部教授でいらっしゃいます鎌田先生は、所要がございまして本日 欠席ということでございます。以上でございます。 続きましてこの検討会は保健医療局長並びに医薬安全局長の私的検討会でございますの で、まず両局長をご紹介させていただきます。最初に、保健医療局長の小林でございま す。続きまして医薬安全局長の中西でございます。両局長を代表しまして、保健医療局 長の小林よりご挨拶を申し上げます。 ○小林局長  委員の先生方おはようございます。最初にこのビルに入られる前に、下の方に報道機 関が多かったのですが、このビルには道路公団が入っているので、そういう関係です。 驚かれたと思います。私も実はびっくりして入ってきました。  さて、臍帯血の検討会を開くにあたって先生方に委員をお引受けいただきまして、誠 にありがとうございました。私どもとしては臍帯血バンク実施に向けて、最適なメン バーとして考え、両局よく相談して委員の人選をしたところでございます。よろしくお 願いいたしたいと思います。 またお忙しいところご参集いただいたことを合わせて御礼申し上げたいと思います。  先生方はよくご存じのように、白血病や再生不良性貧血の血液疾患の治療のために、 血液を作る細胞を移植する一つの手法として、臍帯血つまり臍の緒に含まれている血液 を活用する手法の実用化ということが期待をされているところでございます。白血病等 の治療には、従来から薬剤を用いる化学療法と善意のドナーから骨髄液を提供いただく 骨髄移植がございますが、骨髄移植は現在骨髄バンクで約9万人の善意のドナーが登録 をされておりまして、これまで1千件を越えるバンクを介しての骨髄移植が行われてま いりましたが、ドナーの方から骨髄液を採取させていただきます前に、入院し全身麻酔 をかけないといけないという負担をおかけするという点が問題点として、時々言われて いるわけでございます。  一方、臍の緒を利用する臍帯血移植は出産後不要となっていた胎盤を活用する方法で あります。 当然提供者の身体に負担をおかけいたしません。したがいまして、より多くの方々のご 理解とご協力が得られやすいと考えられますことから、多くの臍帯血が提供され、白血 病等に苦しむ患者さんの福音になるものと考えているわけでございます。  しかしながら、わが国で臍帯血移植を提供していくには、幾つかの解決すべき問題が あると思っております。まず医学的な課題でございます。臍帯血に細菌等が混入しない 等の安全性の観点から、どのように臍帯血を採取・分離・検査・保存をするのかという ことについて指針が必要であると思われますし、また臍帯血移植は患者の体重が50キロ グラム以下の小児に有効と言われておりまして、そうした点を含めまして、臍帯血移植 の適用をどう評価していくのかもつめる必要があります。  さらに臍帯血移植を受けようとする患者さんが骨髄移植をも受けることができる場合 いずれの治療法を選択されるののかという基準も必要となるということではないでしょ うか。  こうした医学的な課題と共にもう一つの大きな問題は、臍帯血移植体制の運営上の問 題でございます。臍帯血移植には骨髄移植と同様にドナーと患者さんの白血球の型を合 わせる必要がありますが、その白血球の型が合う確率は数百分の1から数万分の1と言 われております。したがいまして、臍帯血移植を希望する患者さんの必要な臍帯血を提 供するには、好意でご提供されました臍帯血を大量に保管をする必要が出てくるわけで ござます。その保存体制やそれに関わる経費の問題も実は極めて重要な問題であると考 えているわけでございます。  現在、全国数カ所の医療機関を中心として臍帯血移植が始められていると承知をして おりますが、今後全国的に臍帯血移植を展開するには、こうした技術的あるいは運営上 の課題を解決しておくことが必要であり、臍帯血移植に関する厚生省保健医療局と、医 薬安全局の両局の局長の検討会として臍帯血移植検討会を開催した次第でございます。 これら先生方に多くの重要な課題についてご審議をいただくわけでございますが、一日 も早く臍帯血移植の実施体制が形成されることを願って、患者さんや家族関係者のため にご尽力を賜りますようにお願い申し上げます。本当にご苦労さまでございます。 ○朝浦室長 続きまして本日は第一回の開催ということでございますので、この検討会の進行を行う に当たりまして、座長の選任をしたいと思います。検討会の運営要綱の3.組織の3)に 座長は両局長の指名により、各委員の承認をもって決定する、とございます。小林保健 医療局長ご指名いただけますでしょうか。 ○小林局長  中西局長とも相談をいたしまして本検討会の座長として医学特に血液学について幅広 い見識を有していらっしゃる名古屋大学の斎藤教授にお願いしたいと存じます。 ○朝浦室長  只今斉藤先生というご指名がございますが、委員の先生方いかがでございますでしょ うか。 (ハイ)では斎藤先生に本検討会の座長をお願いしたいと存じます。斎藤先生恐縮でご ざいますが、座長席にお移りいただきたいと存じます。 それでは斎藤先生一言ご挨拶を頂戴したいと存じます。 ○斎藤座長  只今ご紹介をいただきました名古屋大学の斎藤でございます。つい先程、小林局長さ んの方からお話がありましたように、この臍帯血移植は大変重要でしかも緊急な課題で ございます。是非委員の方々にはいろいろな角度から自由で活発なご議論を積み重ねて いただきまして、一日も早くこの治療法を必要としております患者さんにとって、最も 良いシステムを打ち出すことができればと考えております。どうかご協力のほどよろし くお願いします。  議事に先立ちまして、本検討会の会議の情報公開について事務局の方から説明お願い します。 ○朝浦室長 本検討会の情報公開につきましては、検討会の運営要綱4.開催の2)のところで検討会 は公開で開催をするということになっておりますので、公開で開催させていただきます ことをご承知いただきたいと存じます。よろしくお願いします。 ○齋藤座長  いかがでしょうか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。では本検討会の 会議を公開といたします。では早速資料につきまして事務局の方からご説明お願いしま す。 ○成瀬補佐  では既にお手元に配付しました資料について確認をさせていただきたいと思います。 最初に第1回臍帯血移植検討会議事次第でございます。その後に委員の名簿が載ってお ります。その後が座席表になっております。その後につきましては今回の開催について のものでございます。運営要綱がワンセットで綴っております。  続きまして第1回臍帯血移植検討会資料一覧というのがあります。  資料1−1、日本における臍帯血移植の状況。  資料1−2、日本における臍帯血保存の状況。  資料1−3、海外における臍帯血移植の状況。  次は参考資料としまして、骨髄バンク事業についてというのがあります。  資料2、臍帯血移植に関する考えられる主な検討課題(案)でございます。  資料3、平成8年度厚生科学研究の中の臍帯血プロセッシングと移植の適応に関する 自主ガイドラインです。  資料4、平成9年度厚生科学研究の中の非血縁者間臍帯血幹細胞移植マニュアル (案)でございます。  資料5につきましては、関係文献集です。  参考としまして「臍帯血移植について」「傍聴される方へ」がついております。  途中不備等がございましたら事務局の方にお申しつけ頂きたいと思います。以上でご ざいます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。では議事に入ります。今から12時までですので、勿論自由 な議論をお願いしたいのですが、時間を予め申し上げますと、最初の議題の1を15か20 分くらいで済ませまして、その後議題の2と3に進みたいと思います。では最初に議題 の1でございます。臍帯血移植の現状及び医学的評価ということについて、事務局から お願いします。 ○重藤補佐  では私の方から説明をさせていただきます。座らせていただいて説明をさせていただ くことをお許しいただきたいと存じます。  資料1−1でございます。これは日本における臍帯血移植の状況でございます。この データは平成9年度厚生科学研究「造血細胞移植と免疫応答に関する研究班」の資料よ り抜粋をしたものでございます。平成9年、10月10日現在、日本でこの研究班が把握し ている臍帯血移植の実施症例が26例ということでございます。そのうち26例中6例が非 血縁者間の移植でございました。 血縁者間の20例のうち16例がまだご存命でございます。それから非血縁者間の6例のう ち5名がご存命でございます。  その26名のHLAの適応度でございますが、一致が17例、1座の不一致が5例、以下 の通りでございます。それからその26例の対象疾患はここに書かれている通りでござい ます。それから移植を受けた26例の患者さんの体重分布でございますが、そこに書いて ある通りでございます。  2枚目でございます。その26症例の詳しい内容となっております。若干その表の訂正 がございますので、この場を借りてご説明申し上げます。No.4の疾病が急性骨髄性白血 病でございます。 死因のところでございますがNo.11のところに肺炎と書いてございますが、これは2行ず れておりまして、No.13のところの死因で肺炎でございます。11の方はまだご存命でござ いますので、死因のところは空欄です。2行ずれておりましたのでご訂正をお願いした いと存じます。  以上がわが国における臍帯血移植の状況についてでございます。  資料1−2でございます。これも平成9年度厚生科学研究班の資料より抜粋をしたも のでございます。日本における臍帯血保存の状況ということでございます。この数字も 平成9年10月現在ということでございまして、合計約1,500 件の臍帯血が保存をされて ございます。そこに書かれてございますように、全部で9つの施設とでそれぞれの設置 主体、設立年月日、採取施設、保存施設、採取方法等が抜粋してございます。保存件数 がそれぞれ250 ・275 と各バンクごとに掲載をしておりまして、その合計が約1,500 と いうところでございます。これは現在のわが国における臍帯血の保存状況でございます  資料1−3でございます。海外における臍帯血移植の状況でございます。まず臍帯血 移植でございますが、1988年に初めて臍帯血移植が行われて、同胞間の移植が200 例、 非血縁者間の移植が500 例以上ということでございます。  生存率でございますが、同胞間の臍帯血移植の成績でございますが、白血病等の腫瘍 性疾患が46%、再生不良性貧血等の疾患が78%、非血縁者間の移植成績でございますが 白血病等の腫瘍性疾患が43%、再生不良性貧血等の疾患が60%ということでございます この数字につきましては、それぞれ文献ごとに多少のばらつきがあろうかと思いますが 私どもが調べた文献によりますと、その数字でございました。  それから参考までにでござます。骨髄移植の生存率でござますが急性骨髄性白血病と いう病気に限っての話でございますが、カプラン・マイヤー法によりまして第1寛解期 が術後3年生存率が74%、第2寛解期が60%、第3寛解期が42%、非寛解期が26%とい うことでございます。このデータは骨髄移植推進財団から入手したものでございます。  同胞者間の臍帯血移植の生存率でございますが、これは1.5 年の時点ということでご ざいました。  2.臍帯血バンクの状況でございます。アメリカではニューヨーク血液センターを中 心に、その他大学等ございますが、ニューヨーク血液センターにおける臍帯血保存件数 は約6,000 件以上ということでございます。  それからヨーロッパでございますが、幾つかの研究機関が協力してユーロコードと呼 ばれる臍帯血バンクのネットワークが設立されているというように把握しております。 以上が海外における臍帯血移植の状況でございます。  参考資料でございますが、参考資料は臍帯血移植も骨髄移植も同じ白血病や再生不良 性貧血の治療疾患の治療法でございます。したがいまして現在の骨髄バンク事業の状況 というものが資料の参考資料としてまとめてございます。1枚目が骨髄バンク事業の狙 い、2が骨髄バンク事業のあらましということで概略が書いてあります。  2枚目にそれの模式図でございます。現在骨髄移植推進財団が普及・啓発を行い、善 意のドナーを登録をして、日本赤十字社の協力の元に骨髄移植事業を推進をしていると ころでございます。  3枚目でございます。それの状況でございます。上の表でございますが、平成9年1 月から12月までの登録数と実施件数でございます。登録者数が累計で90,757人、患者登 録数が累計で5,944 人、骨髄移植実施件数が1,376 例ということでございます。これが 骨髄移植のわが国における現状でございます。  下の表が臍帯血移植と骨髄移植との相違点でございます。まずドナーへの侵襲性、つ まり身体への負担でございますが、臍帯血移植は分娩したときに、これまで不要となっ ていたものを活用する方法でございますので、原則ないということでございますが、骨 髄移植は全身麻酔を必要とするということです。造血幹細胞の性状でございますが、臍 帯血移植の方が幼若でございますので拒絶反応が起こりにくいということでございます 骨髄移植の方がHLAなどを完全に一致させる必要があるということでござます。移植 までの必要な期間ということですが、臍帯血移植は予め保存しておきますので、移植が 決定後すぐに移植につかえますが、骨髄移植の方はドナーの方が仕事を休まれたり、入 院をしたりということで、そのために調整する時間が必要ということでございます。  しかしながら移植を受ける患者さんにつきましては、臍帯血移植の場合には採取でき る量の問題がございますので、体重が軽いという条件がございますが、骨髄移植の場合 には必要量が採取できるために体重の制限はないということでございます。以上、簡単 な対比でございました。  事務局よりわが国の状況と海外の状況、それから骨髄移植の状況を簡単に説明をさせ ていただきました。 ○齋藤座長  ありがとうございました。只今のご説明につきましてご質問なり補足・ご意見があり ましたらお願いします。 ○有田委員  ボランティアの有田でございます。両局長今日はありがとうございます。検討を始め ていただく前に確認をさせていただきたいと思います。昨年の7月19日と9月25日に小 泉厚生大臣にお会いしまして、今重藤さんの方からご説明がありましたようなことをお 話申し上げました。そして、臍帯血移植にも医療保険を適用しないと患者さんが移植を 受けられない事、又、公的バンクの早期実現についてお願いしました。大臣からは、 「とても良い事を教えてくれた。平成10年4月に行われる医療保険の改定の時には保 険適用をぜひやりたい。」というお返事をいただきました。  その厚生大臣のお返事にもとづいて厚生省の皆様方が、この検討会をご準備してくだ さったというふうに理解させていただいてよろしいのでしょうか。 ○小林局長  大臣にお会いになったときに、大臣の臍帯血のことは胎盤から採血するわけですから 今まで不要とされていたものを活用するという面では素晴らしいことであるということ は、ちゃんと大臣はおっしゃられております。できるだけ早い機会に保険のことも考え たいということをお答えされたと思います。具体的にこれを採用するかという話になり ますと、中医協というのはありますが、そこは診療側と保険料の支払い側です。医療費 というのは一番は国民の皆さんが掛けた保険料なんです。政府の税金ではないのです。 そういうこともあって、あそこで3者間と公益委員、こういう構図になっていまして、 そこの中医協でご議論をされることになります。  ただ大臣は臍帯血は前向きに考えたいとおっしゃられていることで、我々としてはど ちらにしてもこれを制度化するには検討しておかないといけないことがあるという意味 で、厚生省としては臍帯血について制度化するのは反対という意思はまるっきりありま せんということにはなるのですが、ではこの4月に導入できるかどうかは中医協に我々 がお諮りをしないと、そういうのは事務当局は保険局になりますが、そこがお諮りをし て、ご議論をいただいて決定をする。  しかし我々がここでご議論をしたことは、プラスにはなれマイナスになる会ではあり ませんというとらえ方で見ていただいたらよろしいかと思います。 ○有田委員  ありがとうございました。 ○浅野委員  臍帯血移植と骨髄移植の相違点の説明がありましたが、2、3重要な点が抜けている と思います。それらは臍帯血移植の場合は細胞の凍結保存が必要なこと、産科の先生あ るいは助産婦の方が関与するということ、コーディネーターが必要という事です。これ らは十分に認識されていることでしょうが、臍帯血移植が骨髄移植と基本的に区別され るキーワードであります。今後の議論をする上で重要なことなので是非資料に加えてお いていただきたいと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。 ○原委員  只今浅野先生がおっしゃられましたが、骨髄バンクの主たる目的というか主たる機能 というのは、恐らくコーディネートだと思うのですが、それが抜けているのではないか ということは、臍帯血の方はコーディネートを必要としないということで、これは全く 違うのではないかと私自身が感じておりますし、臍帯血バンクは先程おっしゃいました 検査をその辺の機能の方が非常に重要である。恐らくボランティアの方の活動も全く違 ってくるのではないかと私は期待しております。 ○加藤委員  内容の議論に入りかけているのですが、その前の資料について先程訂正がございまし たが、この資料を作成した責任の一人としまして、もう一か所訂正させていただきます 資料1−1です。 対象疾患の先程4番目の資料の病名の訂正がございましたように、急性骨髄性白血病が 6例となっているのが7例で、再生不良性貧血2例となっているのが1例ございます。 それでこれは研究班の班会のときに配付しました資料を元に、厚生省の方でお作りにな られましたのですが、班会議の席上訂正したのですが、ちょっとそれが今回の誤りが重 なったということでお詫び申し上げます。  その後も調査を研究班としては続行しておりまして、現在把握しておりますのは、12 月10日現在で合計32例の臍帯血移植の実施例が把握されております。恐らくその後も進 行がございますので、それに1ないし2例の追加があるように考えております。以上で ございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。 ○有田委員  3ページの臍帯血移植と骨髄移植との相違点のところです。この表には提供する方、 患者さんに材料を届けるまでの過程が示されていません。提供者へのPR、同意、臍帯 血採取、保存、供給という患者さんのところに移植材料をお届けするまでの過程という のが、骨髄バンクと臍帯血バンクはシステムが全く違うということを、資料としてお示 しいただかなければ、公聴に見えられている皆さんも含めて、私のような医療の素人に とりましては、考え方に間違いが生じるのではないかと思います。今回は間に合いませ んでしたが、次の検討会にはその資料を提出して下さい。 ○小林局長  今臍帯血移植、骨髄移植のいろいろな相違点の表し方などが出てまいりました。ここ に書いたのは、事務局としては今回の3つの議題の医学的評価のことだけを書いたとい うことでございますので、実際に後は浅野先生のおっしゃったように保存の問題である とかコーディネーターの問題とか、沢山の重要な問題があります。それはそれで別途相 違点は、ご意見も含めてうちの方で調整をして次回に出したいと思います。ここは医学 的評価をするための材料として書いたということで、事務局はわざと落としたというこ とではないということはご理解をいただきたいと思います。 ○有田委員  こういう会になれませんのでよろしくお願いします。教えてください。 ○草刈委員  浅野先生のお話と原先生のお話を伺って、コーディネーターは必要ではなくて、産婦 人科の先生がコーディネーター的な役割をするのではないかなと今思ったのですが、い かがなものでしょうか。それから加藤先生のご訂正になったものは次の機会にでも訂正 版をきちんと出していただくとありがたいです。 ○西平委員  会の進め方ですが、先程から細かいことが出てきたりして混乱しているように思うの ですが、そういう細かいことは、先程小林局長も言われましたように専門の委員会で詳 しくやるべきであって、例えばコーディネートの最初の同意書の取り方とか、採取方 法・保存方法は全て特別に細かくならないといけないことだと思います。だからこの大 雑把な資料でこれが抜けているといっても仕方ないことではないかと思います。  例えば、班の方で昨年の暮れから全国のここに書いてある骨髄バンクの視察をしなさ いということでいろいろ回ったのですが、数字はこれだけあるのですが、実際に本当に 使えるものはどうかというと、必ずしもそうではないということで、それもまた後ほど 特別の委員会で分科会のようなところで話せばいいことだと思いますので、確実にもう ちょっと全体として考えていただきたいと思います。 ○迫田委員  凄く単純なことで質問です。臍帯血移植の数字というのはここに数字が出でおります が骨髄移植の数字というのは生存率などは、移植をされた患者さんの数はございますよ ね。 ○重藤補佐  患者さんの数でございます。参考資料の3枚目の上の表の骨髄移植実施件数で累計で 平成9年末で1,376 ということでございます。 ○迫田委員  実施件数ではなくて成績というか生存率です。 ○重藤補佐  成績は資料の1−3の1の臍帯血移植についてというところの参考資料です。 ○迫田委員  失礼しました。すると骨髄移植では術後3年生存率が74%ということですか。 ○重藤補佐  急性骨髄性白血病の患者の場合、病気の第1寛解期で74%、第2寛解期で60%、第3 寛解期で42%です。 ○迫田委員 わかりました。これは骨髄移植の場合ということです。するとこれは単純に比較すると どのように思ったらいいのでしょうか。つまり臍帯血移植と骨髄移植というのは大体成 績としては同じようなものと思ってよろしいのでしょうか。それとも臍帯血移植はまだ これからのものという理解をした方がいいのでしょうか。済みませんがごく単純なこと ですがわからないのです。 ○重藤補佐  そのところを先生方にご評価いただくのがここの議題でございますのでよろしくお願 いします。 ○齋藤座長  いかがでしょうか小寺先生どうぞ。 ○小寺委員  成績について補足します。骨髄移植の場合には、急性骨髄性白血病という病気の第一 寛解期の一番良い条件で移植をやったという場合のところと、今度は非血縁者間移植の 成績ということですが、リンパ腫になりますとこれが約70%くらいになります。慢性骨 髄性ですと比較的良い時期にやった非血縁者間移植は50%強ということでございます。 だから病期と移植の時期によっていろいろ違うということです。  したがって臍帯血移植と今ストレートに比較するのは非常に難しいと思います。臍帯 血移植もこの成績はどうかというと、非血縁と別れておりますが、この非血縁の43%と 60%というのは、少なくともまた国が違いますし、そういうことで差異というのは非常 に難しいのですが、私がぱっと見た限りでは日本の非血縁骨髄移植のデータと米国のこ のデューブ大学を中心とした臍帯血の非血縁の移植というものを比べた場合に、これだ けを見れば多少は臍帯血の方がまだ劣っているのかなという気がしますが、これは恐ら く背景がまだいろいろと違いますからということです。 ○齋藤座長  ケースも少ないですし背景も違うが、ほぼ同じくらいの成績と理解してよろしいでし ょうね。 ○小池委員  先程医療保険の適用というようなご質問があったわけでございますが、中医協に出て おります日本医師会としましては、この臍帯血の移植と、骨髄移植とのコストがどの程 度に納まるのかについて、審議の過程でお知らせいただければ有り難いと思っておりま す。 ○齋藤座長  それは後ほど当然一番ホットなものになると思います。では浅野さんどうぞ。 ○浅野委員  臍帯血移植に関与される産科の先生もコーディネーターと呼べるかもしれませんが、 その仕事の量とか内容が骨髄移植の場合と全く異なることを是非確認お願いします。  それから西平さんのおっしゃたことは大事なことだと思います。ただ、基本的に重要 な知識あるいは認識に、最初から委員の間に相違があれば大変なことになります。この 点、西平先生、よろしくご理解ください。 ○高橋委員  単純なことでございます。血液の量が大変に重要な論点になろうかと思います。外国 等でも実施例としては体重最高30とか40というのが限界なんでしょうか。 ○西平委員 外国では大人にも進んでいるようでございます。成人の方の大きい人です。量的にはい ろいろ参考文献にも書いてありますが、私の経験では臍帯血の約2割程度は50キロ以上 の人にも足りる場合があるということです。ですから先程の昨年の12月のアメリカでの 血液学会の成績でも、22例のまとまった成績が出ております。それは成人だけの22例の 成績ですが、それも今までは子供に対する成績と殆ど変わりない成績を上げております し、必ずしも小児に限るものではないというふうに思っております。 ○齋藤座長  ではほぼ白血病あるは再生不良性貧血の治療として確立しつつあるという理解でよろ しいでしょうか。ありがとうございました。細かい技術的または運営上の問題は後でご 議論いただくとしまして、それでは一応この議題の(1)の臍帯血移植の現状及び医学 的な評価を終えまして、議題の(2)の検討課題になります。こちらの方がこの委員会 の骨組みでございますが、それについて事務局の方から説明してください。 ○朝浦室長  資料の2、臍帯血移植に関する考えられる主な検討課題(案)というものについてご 説明したいと思いますので資料をお開きいただきたいと思います。  臍帯血移植をわが国で定着させるためには多くの検討すべき課題があると考えられま す。今後この検討会において検討課題を議論するための素材とするために、ここに事務 局で取りまとめさせていただき、提出させていただきました。あくまでもたたき台でご ざいますので、忌憚のないご意見を頂戴いたしたいと思います。大きく二つに分けまし て、技術的課題と運営上の課題というものに整理してございます。  技術的課題です。まず採取・分離・検査・保存の過程で細菌等の混入による感染防止 等の安全性の確保や、治療の有効性の観点から、臍帯血の品質をどのように担保してい くのか、また患者に対する臍帯血の移植を行うことの医学的妥当性の基準作りが大きな 検討課題になるものと思われます。  検討課題の1〜4までは、採取から保存の過程における課題を整理しております。検 討課題の5は患者の適用、移植施設の問題点についてでございますけども、特に臍帯血 は採取量の関係から先程来ご説明がありますが、現在体重50キログラム以下の小児に用 いられているとしておりますが、こうした体重の問題を含めて、制度として移植の適用 の基準を作る必要があるのではないかと考えております。  冒頭に局長の方からも説明がありましたが、臍帯血移植が適用となる患者さんが骨髄 移植をも受けられる場合、いずれの治療法を選択されるのかについての基準が必要と考 えられます。  次に運営上の課題についてご説明申し上げます。運営の問題としては臍帯血をいずれ の医療機関が採取してどこで保存するのか、それをどのようにして制度化していくのか という大きな問題がございます。これが検討課題の1でございます。保存されている臍 帯血のHLAの型のデータをどのように蓄積し、医療の関係者にどのように情報提供し ていくのか、また現在骨髄バンクのHLA情報とどのように連携をとっていくのかとい うようなことをつめる必要があるのではないかと思います。これが検討課題の2で示し たものでございます。  採取・検査・保存等の費用が問題になるかと思います。どの程度の量を保存するのか ということにつきましては、これからご議論のあるところだと思います。因みに1検体 あたりの採取・検査・保存費用は10万円程度と言われておりまして、仮に1万検体を保 存するとすれば、その採取・検査・保存費用としては10億円かかるという、総額でこれ だけかかると推計をされます。 これが費用面の問題であります。  これ以外にここに書いてございます倫理面、規制等の問題があろうかと思います。簡 単ですが以上でございます。これにつきまして検討課題がこういうものでよろしいかど うかまずご議論をいただきたいと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この他に何か是非検討すべき課題がございましたらどうぞ ○浅野委員  検討課題の検討に先だって、この会の位置づけを明確にしていただけますか。例えば 具体的にこの会で審議したことがどのように記録され、どのような権限を持つのか持た ないのか、それからどういうプロセスで次の過程に進むのか、上部の審議会があるのか 等です。  それから検討課題と、細胞移植全体から見た将来展望、これから20年30年を見て、ど のように展開するのかというかも加えていただきたい。それを認識した上で議論しない と、極めて近視眼的な議論になりますから。 ○齋藤座長  まず位置づけについてお願いします。 ○小林局長  まず位置づけでございます。最初に申し上げましたように、これは保健医療局と医薬 安全局の両局の局長の元の検討会ということでございます。クールに言えば両局が判断 する、そういうと実際には厚生省ではこの両局しかないですから、この問題は厚生省が 最終的に大臣にご相談をするのですが、両局の判断の元になる考え方を整理をしていた だくということでございます。ルール上は両局長の判断基準に基づく。  ただしここで決まった通りに厚生省がやらないといけないのかという義務については そこまではないのです。だからあくまでもここは先生方からいろいろなご意見をいただ いて、最終的に厚生省が決める。しかしこのように情報公開でやっているということは 厚生省は先生方の意見を無視して恣意的に何かを変えようということでやっているとい うのではなく、あくまでも国民の皆さん方のわかるところでご議論をして、それを皆さ んから聞いて、勿論厚生省がそれをやらない時には、それなりの理由を述べる義務を生 じるわけですね。  最終的には厚生省の判断の元となるご意見を集約していただく、ということだという ことです。 ですからこの上にどこかの審議会にかけるということは、今のところはありません。 我々の両局の判断ということになっております。 細胞移植の展開についての話ですが、私どもはまだ細胞移植の将来像というのはそこま では行政官としては、とてもまだ判断しておりませんので、これは先生方からいろいろ なご意見があって、それを先生方が述べられて、皆さんとご議論されて、今回のシステ ムづくりについてどういうところに配慮していくのかということは、先生方のご議論を 十分に聞かせていただいて、レポートに一致すれば書けるし、一致しないなら書けない かも知れないし、そこはどうであれ、ご議論をいただくということでよいかと存じます ○西平委員 只今の質問に関したことです。この会は大体いつくらいまでに、このような問題の課題 の結論をもっていく予定でしょうか。これはかなり細かい作業が沢山必要なんですね。 例えば厚生科学研究の方の小寺先生が取組をしているところですが、これはいろいろと 細かい点でかなり重要な問題が沢山含まれてきます。それをまさか今日決まるわけはな いと思いますが、どのくらいの日程で何回くらいの会議を開くとか、大まかなところが わかればと思います。 ○朝浦室長  この会の最後にご説明しようと思っていた項目でございますが、ご質問がありました ので事務局としての考え方をご説明したいと思います。  事務局としましては、本検討会は本年5月末ぐらいを一つの目処にとりまとめを行っ ていただきたいと思っております。このための検討会の開催回数ですが、かなり精力的 なご議論が必要ではないかと思います。今後少なくとも5回ないし6回程度は必要では ないかと考えております。 5月末ですので2か月に3回程度というスケジュールになると思いますが、そのような 腹積もりでいるところでございます。 ○青木委員  私は今日は途中で中座させていただきますので、先に意見を言わさせていただきます 実は日程調整で40何日のうちの今日だけは都合が悪いと厚生省に申し上げていたのです が、皆さんは今日しか駄目ということでございまして、誠に申し訳ございません。八王 子で都立高校の校長先生の講演を依頼されておりまして、そちらの方に行きます。  この議論の検討課題について先程ご説明をいただいたのですが、もう一つ大事なこと があると思います。と申しますのは、本日は苦肉の策かどうかわかりませんが、保健医 療局長さんと医薬安全局長さんの両方の検討会ということで、これは一つには厚生省の 部署は厚生省でご検討なさればいいと思いますが、造血幹細胞は臓器なのか血液なのか この辺は大きなポイントではないかと思います。その辺を整理しておきませんと、将来 政策上、どこでどのように決めるという問題が残ってしまうと思うのです。  したがいまして、基本的な問題としてまずその辺を検討する必要があるのではないか それによって取扱が違ってくるということです。臍帯血は最近出てきた話ですが、骨髄 移植も造血幹細胞の移植であります。抹消血幹細胞も造血幹細胞であります。  私はこれは血液だ、固形的な臓器と、流動的な臓器とわければ血液だと思っておりま す。その辺は私の理解であります。やはり海外の動きもきちんと目の中に入れてやりま せんと、国際法上の対応もあります。そういうことを広い見地でご検討いただくのがま ず大事かなと思います。  最近、薬害エイズの反省で、ドイツでは血液事業法が定められたわけでございます。 まさにその法案をご覧いただきますと、造血幹細胞は血液事業法の中に含まれているわ けでございます。 そういうことでその辺の法案も是非次回には資料として提出いただきまして、根本的な 問題をご議論いただきたいと思っております。  もう一つは、私どもが忘れてならないのは患者にとって何が一番大事かということだ ろうと思います。そういうことを中心に私も議論に加わらせていただこうと思っており ますよろしくお願いします。 ○齋藤座長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。 ○有田委員  骨髄バンクの創設運動に1986年から6年間関わりました。そして公的骨髄バンクの発 足を待って、公的骨髄バンクの利点、欠点というのは語弊がありますが、問題点などを 考慮しまして、世界の医療を先進国の状況を調べさせていただきまして、公的骨髄バン クを側面から応援しようということで、世界の臍帯血移植バンクの状況を調べることに よって、6年前に臍帯血移植の促進と、公的臍帯血バンクの設立を目標としました市民 運動を展開しまして、本日に至っております。  そういうことで、私は医者でも研究者でもございません。この検討課題の(2)の (ア)の部分ですが技術上の課題についてでございます。お医者さんたちの造血幹細胞 学会というのがありますが、そこと浅野班、小寺班におかれましていろいろ検討された 結果というものが出てこられて、この検討委員会になったのだと思います。それで先程 骨髄移植の状況、臍帯血移植の状況というものも聞かせていただきました。そして臍帯 血は今は1,500 件の保存があります、西平先生の方からは、これは全部使われるわけで はない、そういう状況の中で非血縁者間の移植が6件と加速的になってきているという ご説明がありました。  技術的にどうなのかと尋ねられても、臍帯血の研究、又は医療の専門家による資料と か移植の成績の結果で判断するしかないわけです。それは先程のお話で、臍帯血は凄か ったと思って喜んでおります。この会は、臍帯血関係以外の専門の方が多いと思います ので、皆さんが検討に参加できるように、(2)の(イ)の方からしていただけました ら、医療の専門家でない私たちも活発に意見を述べられるのではないか、(ア)の方で すとそうですかと聞くしかないのかなというふうに思うのです。みなさま方はいかがで しょうか。 ○齋藤座長  わかりました。それは順番にやります。では一応先程も青木先生の方から血液か臓器 かという根本的なご質問もございました。それも取り入れて、当面このような課題で進 めていくことでよろしいでしょうか。ではまず(ア)の方からいきます。臍帯血の実施 における技術上の課題について、これは既に先程から2〜3の方からお話がありました ように、研究班、浅野先生あるいは小寺先生の研究班で取り組まれております。まずそ の資料の説明をお願いします。 ○重藤補佐  事務局から説明させていただきます。資料の3でございます。これは臍帯血プロセッ シングと移植の適応に関する自主ガイドラインということで、平成8年度、厚生省骨髄 移植調査研究事業B班、浅野先生に取りまとめていただいた資料でございます。これは 臍帯血を採取から保存まで、それに使う時の適応まで、その8年度の研究報告として一 応のガイドラインをとりまとめていただいたというものでございます。  中身については時間の関係がございますので省略させていただきます。  資料の4でございます。これは非血縁者間臍帯血幹細胞移植マニュアル(案)という ことで、これは平成9年度の厚生科学研究、主任研究者は小寺先生でございますが、現 在このマニュアルに基づいて各研究者の方で臍帯血移植を取り組んでいこうということ でございます。西平先生が全国を回って調査されているというものも、こうしたマニュ アルに基づいて、移植に供せられる臍帯血の質はどうかというものを研究班として調査 をしているということでございまして、平成9年度の臍帯血移植の実施に向けての研究 班としての採取から保存、適応に関するマニュアルというものでございます。  以上がそうした医学的な技術的なガイドライン等につきましての資料でございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この二つの資料は浅野先生あるいは小寺先生を中心に、こ こにおられる多くの先生方のご協力で出来上がっておりまして、これは医学的・技術的 な問題ですので、先程ご発言がありましたように作業部会を作って細かいところをつめ ていただくということでよろしいでしょうか。 ○浅野委員  ガイドラインについてですが、これを作成した背景について少し述べさせていただい てよろしいでしょうか。 ○齋藤座長  どうぞ。 ○浅野委員  作成しようと考えた時点で、既に世界では急速に臍帯血移植は普及しつつあり、我が 国でも既に運動が始まっていました。したがって、患者の命を預かる移植医としては考 えを統一し、かつ産科の先生方にも認識していただくことが必要であろうと思ったわけ です。その意味で国際規格に合ったガイドラインを作製するように努力しました。 班の先生方以外にも多くの先生方に入っていただいたわけです。  ほとんど間をおかないで小寺班も、今回作製されるようですが、その目的あるいは目 標は何なのか説明いただけますか。 ○齋藤座長  小寺先生一言簡潔にお願いします。 ○小寺委員  平成9年度の厚生科学研修を担当して、研究班を造血細胞移植と免疫応答に関する研 究ということで組織しまして、その一つの部会のテーマの大きなものの一つに臍帯血移 植というものがあるわけでございます。臍帯血移植に関しましては、一つはわが国にお いて既に決して多数の例ではないのですが、地域の骨髄バンクを介して、既に実施して されているという事実があります。 この事実を受け止めて、そういう全国の成績を、一か所に集めて評価する必要があると いうことと、それを今後やって成績向上を図っていく上で、各地でバラバラにやるより はネットワークでも作って、そこで保存に関するものと、採取に関するガイドラインを 遵守することを見届ける。 これはガイドラインを今浅野先生がおっしゃったようにそこで作られたわけですが、そ れを基本にして用いて、それが実際に行われているかどうか見るということです。  もう一つより大事なことは、臍帯血移植を骨髄移植と比べても、最大の特徴は、最初 の学術的なデータにも載っておりましたが、一つは緊急な症例に対して待たなくてもい いという特徴があるわけであります。  その意味でそれを最大限、今の体制を利用しながら生かすには、地域バンクがバラバ ラでドナーを探し、なかったら他のところに頼むというよりは、一か所にデータを集積 し、一気にそこで登録患者さんと適合させて方が早いということで、そういうシステム を作るということです。いわゆるHLA登録と患者登録の図ることによって、臍帯血移 植の現在行われいるシステムの中で、成績向上を図ろうというのが目的です。  それで作ったものが非血縁者間臍帯血幹細胞移植マニュアルというものであって、こ れにそってやるべく体制を作るということです。 ○齋藤座長  ありがとうございました。 ○浅野委員  云っておられること、あるいは班の行われることはよくわかりました。ただ今のお話 をうかがうと成績調査という形になりますが、この点については適切な学会がございま すね。その学会がまとめていくのが妥当なのではないでしょうか。学会と班の仕事との 関係を、もう少し明確にしていただけませんか。この点については厚生省のお考えも同 時にお聞かせ願えればと思います。 成績は2〜3年では分からないわけですから。 ○齋藤座長  しかしこれはいずれにしても技術的な側面をどのようにやるのかというのは、ここで 議論してもいいのですが、一応作業部会で先生とお二人でやっていただくということで 浅野先生と小寺先生が中心になっていただきまして、後は委員の方はまたご相談して、 そこで十分議論をしていただくということでよろしいでしょうか。勿論、技術的な側面 あるいは運営面というのを少し重なる場合もございますが、そういうことでいかがでし ょうか。ありがとうございます。  そうしますと次は運営上の課題です。これは一定の結論が出るというのは難しい問題 です。順不同で時間の許す限りご討論いただきたいと思います。まだ先程説明がござい ましたように後数回は開かれるわけですから、その場でいろいろな角度から議論してい ただくということでよろしいでしょうか。ではまず事務局から、先程運営上の課題とい うのが出ておりますが、それについて順不同で50分ほど議論していただきまして、最後 に日程だけ調整させていただいて終わるという予定でよろしいでしょうか。では発言を お願いします。  運営方法あるいは情報の連携体制のあり方、財源、倫理面、いろいろ面があると思い ます。 ○草刈委員   今血液事業をやっておりますが、あまり関心のない方に、こっちを向いていただくこ とが運営上で一番大切なことだと思います。熱心な方々がワーと全面に押し出してばか りでは、国民全体の共感が得られにくいというのが、腎移植や他の移植でもあり、移植 医療を一所懸命やっておられる先生方が、あまり出ると具合が悪いということは、体験 しています。国民の皆さん、この場合の主役は臍帯血を提供してくださるお母様あるい はご主人かな、そういう方が気持ち良く出してくださることが大切だろうと思います。 そのようなシステムを構築しないと、絶対に上手くいかない。それは他の移植の場合で も同じです。血液事業でも同じです。  先程から隣の加藤先生や小池先生にひそひそ話をしたのですが、厚生科学研究の中で の提供者というのが、妹とか弟と書いてあるので、胎児になっているのです。他の同意 書の方では提供者はお母さんになっているので、やはり、ドナーというのはどっちなの だろうかというのを社会的にきちんとしておかないといけない。平林先生やその他の法 律の専門家の方がおられるので、きちんとしておかないと、初めのボタンのかけ違いが あとでとんでもないことになるような気もします。だから先程から産婦人科の先生が主 役ですと偉そうなことをいったのは、婦人科の先生が一人しかいない、これは片手落ち ではないかと中林先生のお立場を本当に同情しております。 ○中林委員  今お話がございましたように、お話を伺って産婦人科の名前が出てきたということに 大変に感謝しております。私どもは大変に興味がありながら、実際にこの仕事に関わる ことができない、してなかった。ごく一部の方が行っていたことを、今回会として参加 させていただいたことに大変感謝しております。  それから産婦人科には開業の先生を中心にした産婦人科医会がありまして、今回私は それの代表として出ておりますが、産婦人科学会とこの二つがございます。厚生省の方 にお願いしまして、学会からももう一名申し上げたのですが、突然のことで少しきつい ということで、オブザーバーとしてご参加いただくということです。しかしそういうこ とで二人が恐らく出てくることになると思います。  ただこの仕事か恒常的にいくためには、産婦人科の施設がどのように恒常的に臍帯血 を供給できるのかということで、学会なり医会の協力の元でこれを運営していき、私は それの窓口となりながら会をまとめていかないといけないのではないかと感じておりま す。よろしくお願いします。 ○齋藤座長  ありがとうございました。 ○西平委員  私は小児科医ですが、肝心の産科医がそっぽを向くとどうにも動かない。勿論その前 に母親とか父親の同意書が必要ですが、この点については母親についてのことは殆ど拒 否する人は今まで我々は経験しておりません。他の施設に聞いてもそうです。ですから その点はあまり問題はないのかなと思いますが、次の段階の実際に採取する産科医の協 力、採取するのは産科医だけとは限りませんが、産科医が関心を示さないと、その施設 ではいくら小児科医がいてもできないのです。 ですからこれは是非産科医あるいは産科学会等で、十分に意義を説明していただければ と思います。  失礼かも知れませんが、あまりに骨髄移植とかに殆ど無関心な方がいらっしゃるかも 知れませんので、説明をかなりしないと理解してもらえないかなと思いますので、その 辺は是非まずよろしくお願いしたいと思います。  体制ということについては、先程もちょっと申し上げましたが、小寺班ので全国のバ ンクを一通り回りましたが、現在のところはそれぞれ僅かな研究費あるいは全くの自分 たちのお金を持ち出している状態てやっている状態です。ですからそのための予算措置 が全くないのです。  例えば神奈川の場合でも全く0に近いのですが、皆さんのあっちこっちから集めた献 金でやっているという状況ですので、それをきちんとしないことには、バンクそのもの は全然進まないし、産科の先生のボランティア的な先生がやっていくだけですから、産 科の先生たちに対する協力費とかをきちんとしていかないと、全くこの臍帯血バンクと いうのは大規模にはなりえないと思いますので、その辺を厚生省の方も考えていただけ ればと思います。 ○高橋委員  産科医の先生方の話がでたのですが、お産に関しましては助産婦も大変に大きな役割 を担っておりまして、正常分娩の場合には助産婦がとりあげる権があるわけでございま して、そこも大変に重要ですので、是非論議の中で加えていただきたいと思います。 ○迫田委員  北海道の臍帯血バンクを取材させていただいたことがあります。その時にお母さん方 にお話を聞く機会が随分ありました。するとこの臍帯血の提供というのは、非常に受け 入れやすいものであるという感じをもっております。ただ、様々なプライバシーとかそ の後のデータのことについて、きちんとそれが守られるということを、一か所不信を持 たれてしまったらお終いだと思います。特に移植という問題は、ドナー側と患者さん側 をはっきりシステムとしてわけるということを考えていただきたいということがありま す。  それから直接は関係がないのかも知れませんが、お母さん方の中で非常に良いものだ から提供したい、だが提供できないお母さん方もいるわけです。血液のことでね。私に は何ができないのか分かりませんがね。すると何人かのお母さんで、私は提供したいの だが、私の血液は駄目らしいということで、凄く落ち込んでいるお母さんもいらして、 その辺のところで産婦人科の先生や助産婦さんや看護婦さんたちに、逆にお母さんたち からの、私の血液の何が悪いのかという言われ方をするというようなことも少しはある かなという懸念を感じました。 ○齋藤座長  各地の臍帯血バンクの実情のお話がでました。加藤先生、運営上の点での問題点など はどうでしょうか。 ○加藤委員  私どもが大学の中で臍帯血を採集し、大学の中で一貫してやってきたわけですが、こ れはあくまでも公的なものができるまでの民間での試み、試行としてしか捕らえており ません。一刻も早く公的なものに移行して、より質のよいそして恒常的な組織としてみ なされなければいけない。 骨髄バンクの場合には、当初は民間の骨髄バンクが名古屋の東海骨髄バンクを初めとし たものがやがて公的なものに移行しました。  この時には移行するのはドナー情報だけで十分だったわけです。今回につきましては 現在は既に1,500 以上の献体が保存されております。この扱いもやがて議論になってま いりますが、ある意味で、前段階の試みというのは、最小限でもっとも効率の良い段階 に止めておきませんと、後の公的なものが健全にスタートできないというものに繋がる のではないか懸念しております。  青木先生は既にお帰りになりましたが、やはり青木先生がおっしゃいましたように、 議論としてこれが移植臓器なのか血液なのかという議論は、クリアにしておかないと次 に混乱が起こると思います。物としては血液の中に含まれる細胞であると理解しており ます。しかし輸血であるか移植であるのかというと、明確に移植であります。物として の議論を進めるのか、用途としての議論を進めるのか、両方が相まってしかるべきだと 思いますが、その点で単純に扱う場所がどちらかに偏るべきだということにはならない と考えておりますので、あまり色分けを黒白というのではなく、これはあくまでもオー バーラップする議論であるということで、お二人の局長さんがお出でになられた性格の ものであるということを理解して、この議論を進めるべきだと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。原先生、近畿の今までの経験はいかがでしょうか。 ○原委員  私どもも臍帯血保存採集に当たりまして、加藤先生がおっしゃられましたように、 我々が作っている、あるいは運営している現実の臍帯血バンクは、公的なあるいは大規 模な臍帯血バンクが出来るまでのトライアルとして位置づけることには全く同じ意見で ございます。その意味では、 是非きちんとした公的な臍帯血バンクを作っていただきたいというのが私ども最大の希 望であります。  臍帯血バンクを運営していく途中でいろいろな問題点がございます。先程西平先生が おっしゃいましたが、お母さん方の問題点、これはあまり問題はなかったというのは確 かですが、産婦人科の先生方との折衝の中でいろいろな問題点がございます。先程西平 先生がおっしゃいましたように、産婦人科の先生方の協力が得られなくて、途中で止め た、お願いしていた施設で採ってくれなくなったということもあります。 いろいろな意味で産婦人科の先生方あるいは助産婦の方に参加していただいて、是非き ちんとした公的臍帯血バンクを作るについては、先生方もその組織の中に組み入れてご 意見をくみ上げるようにしていただきたいと思っております。 ○齋藤座長  小寺先生、東海臍帯血バンクのことで何かございませんか。 ○小寺委員  東海臍帯血バンクの現状は、さきの厚生省の方から出されました資料にあります。そ れを踏まえて私の運営についての意見を述べさせていただきます。  先程浅野先生が言われましたように、臍帯血移植というのは広く造血細胞移植の中の 一つでありまして、例えば、非血縁者間骨髄移植というものと密接にリンクしておりま す。私は財団の企画管理委員会という立場で出ておりますが、今後例えば日本骨髄バン クのドナーリクルートをどの辺までやるのかという規模の設定です。臍帯血バンクの可 能性の限界というのは非常に密接にリンクしているので、その意味で造血細胞移植、造 血細胞バンクというものの中の一つというとらえ方というのは大事だろうと思います。 それによって保存の規模であるとかも決まってくるのではないかというのが一つありま す。  もう一つは今度は現場の一人として考えますと、非血縁者に造血幹細胞を求めなけれ ばいけないという患者をもった場合、患者とチームにとって一番良いのは一つのところ にそういうものをリクエストすると、いずれにしてもそちらの方で最適な造血幹細胞を 用意してくれるというシステムが理想であります。  その点でも、勿論これは既設の日本骨髄バンクと一緒にするということを必ずしもい っているわけではないのですが、連携プレーを描く必要があるのではないかと考えてお ります。  もう一つは、この委員会の時期であります。先程おっしゃったように、非常にしっか り論議しながら、しかしながら現実的に早いところで結論をということだと思うのです が、一回一回皆さんお忙しいところを集まって議論されるわけで、そこで大事なことは 実際には今は地域の臍帯血バンクを利用しなさいということで臍帯血移植が行われてい るということと、その臨床面、それから臍帯血そのもののクオリティコントロールとい うのは、なるべく急いでいただきたい、それが私の意見です。 ○浅野委員  これまでの議論を聞いていて、臍帯血移植体制は機能的には2つからなる。つまり、 採取・保存と移植それぞれ違う機能を持つことが明確にされたと思います。この2つを いかによくリンクさせるかという小寺先生のお話はありました。 ですから、今後の議論は二つの部分にできるだけ綺麗に分けて進めていただきたい。移 植医は移植の成績の向上に責任を持つものであって採取・品質管理まで責任を持つこと は無理なことを明確にする中でバンク体制の理想を考えていきたいと思います。 ○平林委員  只今の浅野先生のお話に乗っかって申し上げさせていただきます。一番大きな問題は 公的なバンクを作るという場合に、それをどういう形で作っていくか、その場合にすで にある骨髄バンクとの関係をどうとっていくのかというのが、一番大きな現実的な問題 だろうと思うのです。  その時に今の浅野先生のおっしゃったことにのって言わせていただくと、共通する部 分と全く違う部分があるのです。共通する部分は一緒なところ、あるいは法の部分は共 通するから、そこは従来の骨髄バンクのシステムをできるだけ利用する。ただドナーの 方は非常に違う体制なので、ドナーの方の体制をどう新しく作っていくか。それをどう 公的な物として作っていくのかというのが恐らく具体的な検討課題として上がってくる のではないかなというふうに伺っておりました。  その際に、骨髄バンクのときに私も少しお手伝いをさせていただきましたが、公益性 とか公平性とか公共性という基本的な理解は共通なわけですから、そこをどうリンクさ せていくのかそれが一番重要である。そのためにどういうスケジュールをお考えになっ ているか、先程お伺いしたところ5月までにというふうにおっしゃられたのですが、そ れは果してそこまでいくのか、私にはちょっと疑問が残るところです。  したがいまして、その部分を少しつめた形で、技術的な課題について作業部会を作る とすれば、運営上の課題についても作業部会を作って、少しつめた議論を予めしておか ないと、先程座長はここで運営上の問題が議論をされるようなことをおっしゃいました が、そうすると5月までには、これをあまりいうと自分で自分の首を締めることになっ てしまうのですが、間に合わないのではないかなというようなことを感じておりました ○齋藤座長  ありがとうございました。本日は第1回でございますので、どういう問題点があるの かということを皆さんに知っていただく意味で幅広く議論しております。勿論運営上の 課題についても、その方が効率がよければそういう作業部会を作るということも当然必 要かと思います。 ○陽田委員  骨髄バンクを6年前に立ち上げて現在稼働しているわけです。この骨髄バンクを立ち 上げた経験を十分に生かすような議論をしていただきたいと考えております。骨髄バン クでは非常に評価すべき点・反省すべき点が多々あろうかと思いますが、民間のバンク から公的にというプロセスは非常に似ております。反省すべき点でいうと一度決まった 枠組みが、国民を巻き込んだシステムというのは、ある時点で見直しとかが必ず必要に なってくると思うのですが、最初に決めたことを変えるためには、最初に立ち上げる時 よりももっともっと大きなエネルギーが必要になるということが、公的という言葉が付 くことによって、そうなりがちであるという反省をもっております。その辺のところは 運営主体、運営組織がどうなるかによっても違ってくると思うのですが、十分にご議論 いただきたいと希望しております。  もう一つです。事務局にお願いをしたいのです。今までも度々臍帯血に関する報道が なされてきました。臍帯血の優位性というか、ドナーに負担を掛けないということが強 調されるあまり、もう骨髄バンクはいらないのではないかというイメージを、一般の国 民の方々に与えてしまうという懸念を持っております。私自身も骨髄バンクの活動を地 域でずーとやってまいりましたので、いろいろな方々にそういう報道があると良かった ねと言われるのですが、その良かったねと言われる言葉の裏には、骨髄バンクの必要性 がなくなったのだねということが、それの裏に若干意味合いとしてあるということで、 臍帯血の優位性を非常にPRするのは結構ですが、まだまだ骨髄バンクは必要であるし 骨髄バンクのドナーの拡大も必要であるということも、合わせてPRしていかないと誤 解を招く恐れがあるということで、その辺の2点についてお願いをしておきいたと思い ます。 ○迫田委員  そこのところをちゃんと理解したいのです。今、臍帯血は数が少ないからということ ではなく、臍帯血がもし十分に量もあり、海外でも50キロ以上の人にもという話があり ましたが、そうなった場合でも、骨髄の方がいいという場合があるのでしょうか。その 辺のところを理解したいと思います。 ○齋藤座長 私の理解は、臍帯血移植は造血幹細胞の数が限られているので、あまり体重の大きい人 にはできないと思うのです。したがって、骨髄移植と臍帯血移植というのはお互いに相 補うものであって、決してお互いに相反するものでもないし、完全にどっちかになるも のでもないという理解ですが、よろしいでしょうか。 ○迫田委員  ある患者さんにとってみれば臍帯血の方がよくて、ある患者さんにとってみれば骨髄 の方がいいということがありうるということでしょうか。 ○齋藤座長  そうですね。 ○浅野委員  今の迫田さんの云われたことが大切であるということで、私は最初に細胞移植の将来 展開についても考える必要があると申し上げたのです。私は、斎藤先生と同じで当分は 両方とも必要で発展させなくてはならないと思っております。  その理由の一つとして臍帯血の保存とその品質管理が行えれば骨髄の保存も適応でき るということもあげられるでしょう。科学技術が急速に進歩すると共に適応は変わるわ けですから長い目でガイドラインもそれに連動させないといけないと思います。  この種の会議は一度決まれば暫く開かないということであってはならないと思います ○小林局長 先程事務局から説明のことで大分ご関心をよんでおります。厚生省がなぜ5月といって いるのかというと、実はもしこれが早めに実施をしようということになると、どうして も公的な資金の導入をしないと、斡旋関係が上手くいかないだろう。全く民間ベースだ けの金でやるのは無理だろう、というのが我々事務当局の覚悟であります。そういう意 味で、よし、予算要求をするとすれば、最後の細かいところまでは決まらなくても、大 枠のところは固まらないと、それは国費を投入するということについても、厚生省とし て判断できない。予算は年がら年中やっているわけではなく年に一遍です。だから5月 という期日が出来たということをご理解いただければ、なぜ我々がそういったのかとい うことをご理解いただいて、ご協力いただければと思うわけでございます。なにも5月 までにやらないと駄目ですといって脅迫しているつもりはございません。 ○古市委員  期待されていた会が開かれ、関係する人から真剣なご意見が出て、嬉しいことだと思 っております。ただ、ちょっと危惧しておりますのは、浅野委員はじめ専門家の先生方 が非常に問題が沢山あるというご意見です。それはそれで結構なのですが、5月までに は結論が出ないという雰囲気があって、それではいけないと思うのです。  この会の目的は冒頭に言われましたように、国民が望んでいることを今の状況をより よくして公的なシステムを作ろうということですから、少々問題が残っていても5月ま でに答申を出して、スタートを切るということで皆が協力をしないといけない。ただ随 分議論がありますので、これは申し訳ないのですが、専門家の先生方の小委員会なり ワーキンググループの方の開催回数を増やしていただいて、我々はそれが出た段階で逐 次会議に参加させていただく。こうさせていただけたらありがたいと思います。  これは私の経験ですが、以前厚生省にいましたときに、臓器移植の答申が出たわけで す。しかしその後、法律ができるまでに随分時間がかかりました。専門家の先生方の中 でも意見がわかれ、それが国民の安心に繋がらなかったということです。 現在、公的な制度がなくてもやっておられるように、医療というのは医師の責任ででき るのです。ただ、これが保険の裏打ちがないとか、公的なシステムがないと個人的な努 力ができない。 こういうチーム医療の問題なんです。行政や国民の協力を得てやっていかないといけな い、こういう中の医療であると私は思うのです。 従って、公的な制度を整備することが必要ですが、制度ができても医師や医療機関の中 で意見が統一されてないということになればまた遅れるわけです。だからこの会が5月 までにいろいろな議論をすると同時に、関係の先生方のところで意見を統一しておくこ とが大切だと思います。 ○原委員  一言付け加えさせていただきたいと思います。先程血液か臓器かという話がございま した。確かに加藤先生がおっしゃられたように、血液という部分と臓器と両方です。移 植医療という部分からみればあくまでも臓器に属するのだろうと思うのです。ただその 中で先生がおっしゃられましたように、採取処理保存という部分と移植という部分が明 確に別れます。前半だけをもってみるとそれは血液という性格を表しているのだろうと 思っております。移植という面からみると臓器という面を表しているのだろうと思うの です。  この面で、ここに出席しておられる先生方の臍帯血に対する見方、臓器と考えるのか 血液と考えるのか、ある程度の議論をされた上で、では臍帯血移植と骨髄移植の相違点 はどういうところであるのかというのは、共通の意見としての考えをもってから、部会 に別れるとしても、その辺までは共通のある程度のイメージをもっていただいて進んで いただいたら有り難いと思っております。 ○齋藤座長  ありがとうございました。血液であるか臓器であるのか、どちらかに分ける必要もあ り、両方であるといってもいいわけです。その点についていろいろご意見があると思い ますが草刈先生いかがですか。 ○草刈委員  今日は鎌田先生がお休みなので、それは無理かなと思います。薬事審議会から見たも のと、薬事法というのは物凄く厳しいのです。鎌田先生からご意見を頂戴した方がいい のではないかと思います。いってみれば私は法律は素人ですし、医療材料として医師の 責任、専管事項としてやっている場合と、一つの製剤としてやるのでは違いがあるとい うことは、鎌田先生からのご説明を伺ってやった方がいいのではないかと思います。 ○有田委員  医者でも患者でもない私たちが、献血推進運動を通して臍帯血に関わってここまでき ました。 公的骨髄バンク創設のときもそうでしたが、臍帯血についても、患者を抱えているお医 者さんたちが、材料までを調達するために物凄く苦労しておられるという現実がありま す。それは血液事業の精神とダブってくるのですが、私は早い時点に移植医の先生方を 患者さんの元に帰して差し上げたいのです。そして患者さんたちが必要とするときに、 瞬時に材料を送って差し上げるような社会体制を作っていかないといけない。移植医や 欲しいという人達が供給のところに口出しをしなくてもいい状況を造り出さなくてはい けない。  公的骨髄バンク創設運動に沢山の患者さんや市民が参加しました。また公的臍帯血バ ンクの設立運動を始めたら、患者さんや移植医や多くの市民が応援参加してきました。  患者さんは死ぬか生きるかのところで待っておられる。だから、特に急ぐところとそ うでないところの、指針を示してほしいと思います。移植医の先生を患者さんのところ に早く戻して欲しい、それが私の願いです。  もう一点は提供する人達、それからこれを見守っている多くの市民が、喜んで良かっ たねと笑顔で迎えられるような、そういうシステムにならなければいけないと思います ○齋藤座長  ありがとうございました。田島委員何か発言されますか。 ○田島委員  私は発言したくてもなかなかできない状況にございました。全くこの分野については 素人で、素人でいらっしゃる皆さん方も何らかの関わりを今までにもっておられたよう に伺っていましたが、私はそれもないということで、今日ここに参りまして、皆様の発 言を聞いておりまして、面食らうことがしきりだったのでございます。とにかくいろい ろ専門家のお立場でこういうところは必ずつめて欲しいというご意見も多々あろうかと 思いますが、これは大変に良い制度だと思いますので、ご当局の方でもなるべく早く予 算措置を講じて、前向きに検討していきたいというお気持ちをもっておられるようです から、それをこちらの方で足を引っ張るような形ではなく、積極的に推進していただく ような方向で議論を進めていっていただけると一番いいのではないかと思います。  全ての制度で完璧なものを作らなければ立ち上げてはいけないということではないと 思いますので、とりえあず問題を含んだ形というのはいけないと思いますが、形になる ところでまずスタートしてみて、あと問題のところはその時点で改良していくという姿 勢でご議論していただくと、一般国民の立場からは有り難いのではないかと、完全な素 人して拝聴しておりまして感じましたので一言申し述べます。 ○中林委員  一言述べさせていただきます。産婦人科医にとって、実は分娩のときというのは母親 と胎児の両方の安全性を確保しないといけない。そしてこれがお産は夜でもいかなると きでも起こるわけですが、果して産婦人科の多くの施設で沢山の人数がいるのかという と、大学病院ですら2〜3名の医師です。  この時に完全な形で安全性の確保されたクオリティコントロールされた臍帯血を採る ということは大変に難しいことであると思います。  逆にこういう市民運動が広がるにつれて、私の臍帯血を使ってくれといったのに、医 者が採ってくれなかったというクレームが、産科医としても大変に実は困っているとこ ろもあるわけです。 しかしそれでは今後どうしたらいいのかということに関しては、今厚生省の方から1万 名を集めるのに約10億円という話で、年間に1万名を集めるというのか何年かに集める のかはよく分かりませんが、この集める数によって、我々としてはシステムが作りが変 わってまいります。 年間約100 万近い分娩がありますが、このうちの1万名というかなり限ったものを集め るということであれば、かなりしっかりした公的病院等にある程度の数をお願いすると いうことは可能ですし、そうでないなら、かなり施設の乏しいところまでお願いをしな いといけない、すると技術的にもいろいろな指導をしないといけない。そういうことで 今後一体どのくらいなのか、特に5月というリミットがありますので、どのくらいのこ とを算定されておられるのか、それによって産婦人科医の方の対応としても、学会にも って対応したいと思いますが、いかがでしょうか。 ○齋藤座長  ありがとうございました。本日は第1回で大変に貴重なご意見を伺いました。最後に 日程の調整をさせていただいて終わりにしたいと思います。  2月と3月に行う3回の日程を決めたいと思います。2月の上旬から中旬に1回と、 3月の上旬に1回と下旬に1回です。委員の方々のものを拝見して、全員が○というの は少ないので少しでも多い日ということですね。  2月13日の午後という方が一番多いので、次回を2月13日金曜日の午後です。3月の 上旬は3月6日の午前中、下旬にいきまして23日月曜日の午前中ということでいかがで しょうか。 ○重藤補佐  事務局より確認をさせていただきます。第2回は2月13日の午後、第3回が3月6日 午前、第4回が3月23日午前ということでございます。 ○齋藤座長  そういうことでよろしくお願いします。時間がまいりました。本日は貴重なご意見を ありがとうございました。終わらせていただきます。 (以上) 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711