平成11年 第4回定例県議会予算特別委員会
速 報
<平成11年12月17日 金曜日>

井手県議の質疑要旨

井手よしひろ県議の質問の原稿を転載したもので、実際の質問の発言とは異なります。

予算特別委員会で質問をする井手県議  おはようございます。公明党の井手義弘でございます。通告に従いまして、知事、生活環境部長、保健福祉部長に質問いたします。

JCO臨界事故の損害賠償について

 まず、JCOの臨界事故に対する損害賠償について、知事にお伺いいたします。

 先の代表質問の答弁において知事は、臨界事故の被害総額が153億円に及んでいること。損害を受けたものに対して、すべて事業者や国の責任において補償されるべきものであり、県は、被害者に対する補償が適切に行われるよう、JCOやその親会社、国に対して強く申し入れを行うこと。さらに、国及び関係市町村との連携を図るため「JCO臨界事故補償対策室」を設置することなど、3点を明らかにされました。

 その後、11日に、JCOは損害賠償基準案を公表しました。

 それによりますと、現場から半径10キロ圏内で発生した個人負担の健康診断費をはじめ、事業所の休業に伴う利益の減少、風評被害による利益の減少などについて、事故との相当な因果関係が認められた場合、原子力損害賠償法に基づく損害と認定し、賠償金を支払う。さらに原子力損害賠償法による賠償とは別に、10キロ圏外での風評被害による利益の減少などについても、合理性や妥当性が認められる場合は、10月31日までに限って「特別補償」を行う。「特別補償」では、東海村などの避難要請があった半径350メートル圏内の住民に1人5万円、350メートル圏外の住民で行政の指定場所に避難した場合は1人3万円の「見舞金」も支払う、などとしています。

 私は、この損害賠償基準案は、風評被害の範囲を半径10キロ圏内に限定したこと。10キロ圏外の風評被害の賠償を10月31日までと期限を区切ったこと、事業者への賠償を「損失売上げ」ではなく、「損失利益」としたことなど、全く県民感情を無視し、国や行政にその責任を転嫁した、無責任な基準であり、全く納得できません。

 橋本知事におかれましては、15日にJCOの木谷社長と直接交渉をもたれ、賠償問題が一定の前進をしたことが報道されています。

 まずはじめに、現時点におけるJCOとの賠償に関する交渉の経過と合意の概要をご説明いただきたいと存じます。

 <知事答弁>

 交渉に臨まれた橋本知事のご努力に敬意を表するとともに、損害賠償について、具体的に3点お伺いいたします。

 まず、先ほども指摘しましたように、JCOの損害賠償基準で示された賠償の距離的制約の問題、期間の制約の問題、賠償を損失利益に限定した問題は、今回の交渉でどのように話し合われたのでしょうか?

 また、基準案の中で提示された住民への見舞金の年内支給は、どのようになるのでしょうか?

 更に、今後の損害賠償に関する具体的な交渉予定を、賠償基準づくりも含めて、ご説明いただきたいと思います。

 <知事答弁>

JCOへの損害賠償請求の受付 今回の臨海事故は、事業者の重大な過失によって引き起こされたものです。

 また、このような過失を未然に防ぐことができなかった、国の安全管理体制に大きな問題があったと、いわざるを得ません。

 したがって、事業者は無条件に、すべての合理的、客観的な裏付けのある損害賠償を甘受しなければなりません。事業者がその負担に耐えられないのであれば、国がその負担を肩代わりするべきです。

 今回年内の賠償金支払いが、一部ではありますが、合意されたことは、高く評価されるべきと思います。今後、損害賠償裁判など、時間と労力をかける方法をなるべく避け、納得できる損害賠償基準をもって、当事者であるJCOが、一刻も早く損害賠償を完了できるよう、橋本知事におかれましては、今後とも鋭意努力されますことを強く要望いたします。

大気中の有害物質の削減について

 次に、大気中の有害化学物質の削減について生活環境部長にお伺いいたします。

 発がん性がありガソリンなどに含まれているベンゼンの大気中の濃度が、全国292地点の内46%にあたる135地点で環境基準を超えていたことが、環境庁の調査でわかりました。工場など発生源の近くでは、基準の3倍近い値が相次ぎ、幹線道路沿道では測定地点の8割近くが基準を超え、全国規模での汚染の実態が判明しました。

 そこで、本県におけるベンゼンの大気中濃度の調査結果を、まずお尋ねいたします。

 <生活環境部長答弁>

 ただ今ご説明をいただきましたように、神栖町におけるベンゼン濃度は、1立方メートルあたり9.8マイクロ・グラムに達し、全国的にもワースト3位の数値であり、濃度基準の1立方メートルあたり3マイクロ・グラムの3倍以上の数値です。

 神栖町は、いうまでもなく鹿島コンビナートの中核地域であり、平成9年には、スチレンモノマーを製造するプラントから、ドラム缶にして125本から250本分という多量のベンゼンとエチルベンゼンが、漏れる事故が発生しております。

 今回の深刻な汚染数値に、住民の方からは、不安の声が大きく上がっております。

 そこで、この地域のベンゼン濃度の高い原因を、県としてはどのように認識しているのかお伺いいたします。

 また、先ほどご説明していただいた数値は昨年、平成10年度の平均値でありますので、今年度の直近の観測数値を公表していただきたいと思います。

 <生活環境部長答弁>

 環境庁では、来年1月から、ガソリン中のベンゼン濃度を5%から1%に削減することや、大気中に排出している主な工場・事業所に対し、都道府県への届け出と測定を義務づけ、自治体の指導を強めるなど、2001年春には、大気汚染防止法を改正する方針だと報道されております。

 県においては、具体的にどのような対策をお考えなのか、お伺いいたします。

 <生活環境部長答弁>

 私は、現在1カ所だけで測定しているモニタリング地点を大幅に拡大し、監視体制を強化する必要性があると思います。

 また、24時間・常時、リアルタイムでの監視体制も整えるべきと考えます。

 更に、このベンゼンにだけではなく、他の有害化学物質の監視体制を構築することも不可欠であると提案いたします。

 例えば、国が優先取り組み物質に指定している22物質の中でも、アクリロ・ニトリル、塩化ビニル・モノマー、クロロメチル・メチルエーテル、1・2−ジクロロ・メタン、ジクロロ・メタン、タルク、1・3−ブタ・ジエンの7物質は、本県においては測定調査さえ行っておりません。

 こうした現状を踏まえ、監視体制の強化と監視対象物質の拡大について、生活環境部長のご所見をお伺いいたします。

 <生活環境部長答弁>

 地元住民の中には、鹿島工業地域を縦断する国道124号線を「ガン街道」と呼ぶ方がいます。

 各事業所から排出される発ガン性にある化学物質によって、住民の健康が深刻な影響を受けていることへの不安が作り出した言葉であると思います。

 県民の生命と健康を守り、住民の不安を払拭するためにも、万全な監視体制の整備、有害化学物質の削減対策により積極的に取り組んでいただきたいと要望いたします。

インフルエンザの予防対策について

 次に、保健福祉部長部長に、インフルエンザの予防対策についてお伺いいたします。

 1985年には1400万人を超えたインフルエンザワクチン接種者は、93年に375万人に激減しました。「インフルエンザ流行の抑止効果は疑問」として、94年に予防接種法も改正され、希望者が料金を自己負担する「任意接種」に変わりました。

 しかし、97、98年と連続してインフルエンザが大流行し、昨年の全国での死者は、ここ20年間で最も多く1200人を超えました。

 本県における昨年の集団発生の状況は、1万人以上が発症し、お子さんが3人、在宅のお年寄りが1名、施設に入所されているお年寄りが5名、合計9名が、インフルエンザが原因と思われる病気で亡くなっています。

 ここ数年のインフルエンザ流行の傾向や今年の予想について、まず保健福祉部長にお伺いいたします。

 <保健福祉部長答弁>

 さて、こうした集団発生が危惧される、インフルエンザ対策についてお伺いいたします。特に、施設に入所されているお年寄りの対策をお伺いいたします。

 11月1日付の読売新聞の記事に、東京の青梅慶友病院の事例が紹介されておりました。同病院では3年前、約800人の入院患者の4分の1以上にあたる200人余がインフルエンザに感染、重症化し、肺炎を起こす患者もいました。そこで一昨年、予防接種を取り入れました。初めてのことで、希望者だけに実施、約3分の1の患者が受けました。それでも約140人が発症、思ったような効果は上がりませんでした。

そこで、昨年は原則として全員に接種する方針に変え、体調不良などを除く約8割の患者と、職員にも実施した結果、発症したのは32人にとどまり、症状も軽く、肺炎を起こす患者はほとんどなかったといいます。インフルエンザの流行期には例年、抗生物質などの点滴が必要になったり、亡くなったりする入院患者が急増しますが、昨シーズンはいずれも増えませんでした。院長は、「ワクチンの効果を実感した」と語っていると、新聞記事は結ばれておりました。

 米国疾病管理センターの報告によると、インフルエンザに対するワクチンの効果は、健康な成人では発症の危険を7〜9割減らすほか、施設に入所している高齢者の場合、発症の危険を3〜4割、死亡の危険を、なんと8割も減らすとしています。

 アメリカでは、65歳以上の高齢者や、ぜんそくの子供を含む肺や心臓の慢性疾患のある患者らに接種を勧めており、欧米では、高齢者の6〜7割が接種を受けているといいます。

 こうした高齢者へのワクチンの接種について、どのように認識されているか、更に、今後県内の高齢者施設を、どのように指導されるのか、保健福祉部長のご所見をお伺いいたします。

 <保健福祉部長答弁>

 更に、施設に入所されている方の費用の問題について、触れておきたいと思います。

 インフルエンザワクチンは、2回接種しますが、1回あたり3000円から5000円、2回で6000円から1万円の費用が掛かります。

 現在は、措置費による支出が認められており、お年寄り本人の自己負担はないわけです。

しかし、来年4月よりの介護保険導入により、介護サービスは措置制度から保険制度に移行することに伴い、現状のままでは、このワクチン接種の負担も全額自己負担となります。

 すでに、大阪府などでは、費用の半額を負担する制度を設けているとのことですが、本県は、来年度以降、どのように取り組まれるのかお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 <保健福祉部長答弁>

 次に、インフルエンザワクチン自体が不足している問題について、ご質問いたします。

 先日、県北の老人保健施設の関係者とお話をする機会がありました。入所している方で、希望された方に1回目のワクチン接種を完了して、2回目を行おうと薬品会社に注文したところ、もう在庫がないとのこと。2回目の接種はめどが立たないと悲鳴を上げておられました。

 県は12月はじめに、県内のワクチン卸売業者に対して調査を行いましたが、もうすでに、すべてのワクチンが医療機関に納入され、在庫は全くない状況と、その結果を公表しております。

 ワクチンの不足に対して、県としてはどのような対応をとられるのか、お伺いいたします。併せて、先ほど触れました高齢者施設の入所者など、もっとも必要な方にワクチンが行き渡らない状況は、絶対に避けなくてはならないと思います。高齢者施設のワクチン確保についてのご所見もお伺いいたすものです。

 <保健福祉部長答弁>

臍帯血移植の推進について

 最後に臍帯血移植の推進について質問いたします。

 臍帯血(さいたいけつ)とは、あかちゃんと母胎を結ぶ「へその緒」や母親の胎盤中の血液のことです。この臍帯血には、造血幹細胞という特殊な細胞が多く含まれ、この造血幹細胞を移植することによって、血液のガン「白血病」や、再生不良性貧血などを劇的に治療することが出来ます。骨髄移植に比べても、ドナーへの負担が軽いことや白血球の型が適合しやすく移植の可能性が高いなど、多くのメリットも持った治療法です。そして、何よりも、今まで捨てられていた「へその緒」や胎盤によって貴重な生命が救える、すばらしい治療法であります。

 この臍帯血移植の推進については、民間のボランティア団体を私ども公明党が支援をし、今日までそのお手伝いをしてまいりました。

 97年夏に、県内で臍帯血バンクの設立署名を行い。2万人の県民の賛同署名をいただきました。

私も、インターネットで臍帯血を進めるホームページを開設し、現在までに、11740名の方にご覧いただいております。また、98年第1回の定例県議会では、私は、同じ予算特別委員会でこの臍帯血移植推進のご提案を行い、県としても臍帯血保存用の冷凍庫等の予算化を図られ、積極的に推進する立場を明確にされたところであります。

 こうした経緯の中で、98年度99年度における、県内での臍帯血移植の実績について、ご報告をいただきたいと思います。

 <保健福祉部長答弁>

 さて、本年8月、臍帯血移植の全国的組織として「臍帯血バンクネットワーク」が設立されました。

 いよいよ本格的な臍帯血移植体制が、全国規模で整備されてきたと実感しております。

 このような状況の中、私のインターネットホームページには、毎日のようにこれから出産を控えた女性からメールをいただきます。

 その内容の一部をご紹介しますと、

 「来年4月に第2子出産予定の妊婦なのですが、茨城県内において臍帯血バンクへの登録する方法を探しています。今度、子供を産んだ後は出産の予定がなく、これが最後のチャンスと思っています」

 「一人目の子供を出産する時は、自分のことで精一杯でした。しかし、子供を持つとボランティアに対する考え方も変わってきて、自分に出来ることはないかなぁと考えるようになり、次の子は臍帯血をボランティアに活かせる病院を探しています。県内の病院ではダメなのか知りたくてこのページを見ました。是非、臍帯血を提供したいのですが、そういったことを調べる方法を教えて頂けたらと思います」

 「私は11月13日に出産を控えています。自分の臍帯血が、茨城においては少しも役に立たないのが残念です。是非、早く臍帯血バンクに協力できるようになればと思います」

 こういったお話を聞くにつけ、県内でも臍帯血を採取(提供)できる病院を、一刻も早く整備していただきたいと念願するものです。

 そこで、臍帯血採取病院の整備の考え方と、臍帯血移植の普及啓発に関するご所見を保健福祉部長のお伺いいたします。

 <保健福祉部長答弁>


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