自衛隊法改正案(大要)

<我が国に駐留する米軍の施設等の警護>
 我が国に駐留する米軍の施設等を警護(けいご)するため、次の規定を新設する。
(1)特別の必要がある場合の我が国に駐留する米軍の施設等の警護
  <1> 内閣総理大臣は、本邦にある我が国に駐留する米軍の施設等に対するテロリズムによる被害を防止するため特別の必要があると認めるときは、自衛隊の部隊等に警護出動を命ずることができる。
  <2> 内閣総理大臣は、自衛隊の部隊等に警護出動を命ずる場合には、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴くとともに、防衛庁長官と国家公安委員会との間で協議をさせた上で、警護を行うべき施設又は区域及び期間を指定する。
  <3> 内閣総理大臣は、指定した期間内であっても、我が国に駐留する米軍の施設等の警護の必要がなくなったと認める場合には、速(すみ)やかに、部隊等の撤収(てっしゅう)を命ずる。
  <4> <1>の規定により出動を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について、武器の使用等の警察官職務執行法の規定を準用する。
  <5> <1>の規定により出動を命ぜられた部隊等の自衛官は、職務上警護する施設が大規模な侵害を受ける明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを排除する適当な手段がないと認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。
  <6> <4>及び<5>の権限は、<1>の規定により指定された施設又は区域の警護のためやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において当該施設又は区域の外部においても行使することができる。
(2)通常時の自衛隊の施設内警護
  武器等の保管・整備を行う施設設備、営舎又は港湾若(も)しくは飛行場に係る施設設備が所在する本邦内の自衛隊の施設を職務上警護する自衛官は、職務を遂行(すいこう)するため又は自己若しくは他人を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、施設内において、その事態に応じ合理的に必要とされる限度で武器を使用することができる。(ただし、危害の許容は正当防衛又は緊急避難の場合に限る)。
  ○ 自衛隊法の一部を改正する法律案においては、我が国に駐留する米軍の施設等の警護のほか、これまで検討してきた以下の2項目も含まれている。

<武装工作員等や不審船事案への対応>
(1)武装工作員等の事案に対応するため、治安出動時における警察官職務執行法の範囲を超えた武器使用権限として、武装して暴行・脅迫を行う一定の者を鎮圧(ちんあつ)する場合を追加する。
(2)武装工作員等の事案に対応するため、治安出動下令前の事態緊迫時における情報収集の規定を新設するとともに、その際の自己防護のための武器使用権限を新設する。
(3)不審船事案に対応するため、海上警備行動時等において一定の要件に該当する船舶を停船させるために行う射撃について、人に危害を与えたとしてもその違法性が阻却(そきゃく)されるよう、所要の規定を整備する。

<秘密保全のための罰則強化>
 我が国の防衛上特に秘匿(ひとく)することが必要な重要な秘密を漏(ろう)えいした一定の者を従来に比し重い刑罰に処する規定等を新設する。