Copyright Yoshihiro IDE  LastUpdate 2001.Apr.15

 介護保険料月額1,533円。日本一保険料がやすい町が、茨城県の北西部にある大子町(だいごまち)です。
 親との同居率が高く、家族で介護を賄おうとする傾向が強い地域で、措置制度の下では介護サービスの利用が低調に推移してきました。
 そのために、介護保険料が安く設定されました。介護保険施行から1年。この町の変化をレポートします。

大子町の総人口と高齢者人口(表−1:H13年4月2日現在)
  総人口 高齢者人口 高齢化率
11,991 3,125 26.06%
12,368 4,348 35.16%
合計 24,359 7,473 30.68%
30%以上の高齢化率は茨城県内でもトップクラスです。

大子町の介護保険第1号被保険者の保険料(表−2)
段  階 保険料
(年額)
保険料
(月額)
H12年度
年額
H13年度
年額
人 数 比率
第1段階 9,200 767 2,300 6,900 73 0.9%
第2段階 13,800 1,150 3,500 10,400 2,450 32.7%
第3段階 18,400 1,533 4,600 13,800 3,932 52.5%
第4段階 23,000 1,916 5,800 17,300 771 10.3%
第5段階 27,600 2,300 6,900 20,700 256 3.4%
基準保険料月額1533円は日本一安い保険料となっています。

要介護認定申請者数と認定者数(表−3:H13年3月末現在)
申請者数 843 1号被保険者 2号被保険者
要支援 74 74  
要介護1 182 182  
要介護2 125 118 7
要介護3 85 80 5
要介護4 84 83 1
要介護5 83 78 5
認定者 633 615 18
自  立 37    
死亡・転出 149    
合  計 819    
要介護率8.2%は茨城県の平均と同じです。認定者819人のうち149人が死亡または転出しています。

要介護認定者の内訳(表−4:H13年3月末現在)
認定者内訳 認定者数
在  宅 487
施  設 146
合  計 633

実際にサービスを受けている人の内訳(表−5:H13年3月末現在)
サービス利用者 利用者数 利用率
認定者の内
在  宅 357 73.31%
施  設 146 100.00%
合  計 503 79.46%
在宅の要介護認定者の内2割(130人)が一度もサービスを利用していません。

在宅サービス受給者の状況(表−6:H13年3月末現在)
◎認定者の数に対する人数比と支給限度額に対する金額比
受給者 利用率
(認定者数)
利用額 一人当りの
利用限度
利用限度額
合    計
利用率
(金額)
要支援 55 11.29% 1,444,290 61,500 3,382,500 42.70%
要介護1 120 24.64% 6,501,660 165,800 19,896,000 32.68%
要介護2 66 13.55% 3,685,640 194,800 12,856,800 28.67%
要介護3 41 8.42% 2,574,090 267,500 10,967,500 23.47%
要介護4 39 8.01% 3,078,420 306,000 11,934,000 25.80%
要介護5 36 7.39% 2,692,550 358,300 12,898,800 20.87%
合  計 357 73.31% 19,976,650   71,935,600 27.77%
認定者数 487          
利用限度に対して27.8%しか介護サービスを利用していない実態が浮かび上がっています。要介護度が上がるに従って、金額ベースの利用率が低くなっていますので、利用者の負担の大きさが、利用率低迷の原因と思われます。

施設サービス受給者の状況(表−7:H13年3月末現在)
人数 利用月額 平均利用月額
特別養護老人ホーム 介護老人福祉施設 71    
老人保健施設 介護老人保健施設 71    
療養型医療施設 4    
施設介護合計 146 49,836,000 341,342

介護保険の利用状況
◎介護保険事業計画との比較(表−8:H13年3月の実績と介護保険事業計画の月平均を比較)
介護保険事業計画 実績(H13年3月) 計画との比較
利用者数 利用額 利用者数 利用額 人数比 金額比
居宅 要支援 61   761,574 55   1,444,290 0.902 1.896
要介護1 139   4,648,586 120   6,851,820 0.863 1.474
要介護2 68   2,665,789 66   4,023,720 0.971 1.509
要介護3 35   1,892,831 41   3,523,900 1.171 1.862
要介護4 26   1,615,907 39   3,810,740 1.500 2.358
要介護5 20   1,439,976 36   3,401,910 1.800 2.362
合  計 349 0.202% 13,024,663 357 0.321% 23,056,380 1.023 1.770
施設 特別養護老人ホーム 84   27,026,508 71   22,753,790 0.845 0.842
老人保健施設 55   20,226,900 71   24,092,350 1.291 1.191
療養型医療施設 12   5319462 4   1,063,750 0.333 0.200
合  計 151   52,572,870 146   47,909,890 0.967 0.911
居宅介護支援等     2,070,963     2,781,260   1.343
総費用合計 500   67,668,496 503   73,747,530 1.006 1.090
利用者負担     6,559,519     7,096,627   1.082
給付費合計 500   61,108,977 503   66,650,903 1.006 1.091
介護保険事業計画と実績とを比較した資料です。在宅サービスの伸びが177%と顕著です。これは計画より利用者率が大幅に上がっていることと、高額なサービスの活用が要因と思われます。
介護保険は、3年ごとに保険料を見直すことになっています。おおむね1年目は給付額が計画より下回り、2年目が計画通り、3年目が計画を上回り、3年でバランスをとるように調整されることになっています。大子町の場合、1年目でほぼ計画の給付額に達してしまい、3年目にはオーバーすることが懸念されます。

介護保険在宅サービスの利用状況比較
◎介護保険事業計画とH12年7月、H13年1月の実績を比較(表−9)
利用者数 利用回数
計画 H12年7月 H13年1月 計画比 7月比 計画 H12年7月 H13年1月 計画比 7月比
ホームヘルプ   86 78   90.70% 1,283 863 782 60.97% 90.61%
訪問看護   74 79   106.76% 251 289 299 118.97% 103.46%
ディサービス   104 134   128.85% 225 571 698 309.76% 122.24%
ディケア   87 94   108.05% 342 698 659 192.50% 94.41%
ショートスティー   7 25   357.14% 118 26 261 221.50% 1003.85%
ショートスティー(療養施設)   4 3   75.00% 85 23 25 29.35% 108.70%
訪問入浴 68 44 45 66.18% 102.27%   119 104   87.39%
福祉用具貸与   25 63   252.00%   155 514   331.61%
居宅療養管理指導   3 2   66.67%   2 2   100.00%
在宅サービスの給付金額が大幅に事業計画より延びている要因は、ショートスティーの利用であることがわかります。
H13年1月の実績が25人で261回の利用ということは、一人平均10日以上に達しています。老老介護などによって、施設入所が必要な高齢者がショートスティーを長期間活用している現状がうかがわれます。


Webメニュー選択画像