March 3rd 1998にJR6BLWもりやまOMから郵送されてきたカセットテープを文字にしました.
一語一句まちがえないようにコピーしたつもりです.が、式は間違っているかもしれません.漢字も確認してはいますが間違っているかもしれません.数式以外の括弧内は私が追記した注意書きです.

 これを機に位置天文学を調べてみようと思い、ある方から参考書を紹介していただきました.

「天体の位置計算」増補版、長沢工著、地人書館(1985年)(\2000)

現在、勉強中です.さて、JR6BLWさんのテープに戻って、、、

まず、紙とえんぴつ、定規、できればコンパスを用意して読んで下さい.

発端はアマチュア衛星で交信している時に、衛星の飛来方向と追尾をパソコンにやらせているが、やはり計算の中身も少しは理解しておくべきだという話からです.低軌道衛星だったので、ゆっくり講義いただくわきにいかず、後で電話をいただきました.電話代がもったいないので?テープを郵送するのでじっくり勉強して見てくれという話しからつづいています.

 すぐ帰る

テープの中身

中島さん電話のあとでさっそくテープにかかりました。

ごめんなさい今風邪をひいておりまして鼻声です。聞きづらいと思いますが辛抱して聞いてくださいね。

まず、時刻系について説明します。
天文で使います時刻系には力学時TD、世界時UT、協定世界時UT1(ユーティーワン)などがあります。NASAから発表されます軌道要素はUTC協定世界時で記載されてあります。世界時UTから協定世界時UTCを引いたものをdUT1(ディユウティワン)といいます。

いまこのdUT1がプラス0.2秒ぐらいだと思いますが10メガ(MHz)8メガ(MHz)などのJJYでこのdUT1を毎分報じております。毎分の次がJJYで1秒2秒3秒と信号が出てきますが、この1秒目と2秒目に特別な変調のかかった信号がチョン,チョンと入ります。これ2つで0.2秒という意味です。そうしますと、「世界時UTは協定世界時UTCよりも0.2秒進んでおりますよ。」ということになります。このdUT1が0.8秒超えないように毎年今は7月1日にうるう秒を1秒挿入しております。

それから力学時というのがありますが、これは世界時UT にデルタTという数値を足したものが力学時TDになります。今年のデルタTは63秒ですので世界時に63秒足した時間が力学時TDという時刻系になります。人工衛星の軌道計算ではUTC協定世界時を使ってあります。恒星や惑星などの計算では力学時TDを使っております。

次に人工衛星NASAから発表されます軌道要素について地球儀を考えてください。横にぐるりと赤道の赤い線が有りますね。ちょうど土星が輪を回しておりますように、地球儀の赤道のところを大きな広い紙に地球儀がスポッと入るだけの穴をほがして(方言?)、その広い紙に地球儀の赤道のとこまで入れてしまうと、地球儀のつばができますね。このつばを天の赤道といいます。この天の赤道が天球と交わりますと大きな大きな円になります。この大円が天の赤道なんです。

この天の赤道を人工衛星が南から北に通過する点、つまり下の方から上の方へ通過する点が、昇交点(しょうこうてん)といいます。太陽がこの天の赤道を通過する点は春分点といいます。人工天体の場合は昇交点といいます。

春分点から東回りに昇交点までの角度、これを昇交点赤経ラージオメガ(Ω)で表します。それから、人工衛星が地球の周りを回って、もちろん人工衛星は楕円形で回っていきますので、地球に一番近いところ近地点、一番遠いところ遠地点を通過します。人工衛星は小学校の運動場を回るような左回り、こえれを巡航運動といいます。

このように軌道上には近地点が有りますが、昇交点から東まわりに近地点までの角度、これが近地点引数スモールオメガ(ω)。次に軌道傾斜角というのがあります。FO-20の軌道傾斜角は89度くらいですか?今ちょっと判りませんが、90度近いですね。この軌道傾斜角というのは衛星が地球儀を自分の前において、衛星が昇交点を通過しますね。天の赤道を下から上に通過する点が昇交点といいましたね。昇交点を自分の前に置いたとしますと、真横にずっと天の赤道が有りますねぇ。で、昇交点を南の方から北の方に通過した衛星は仮に/えーと/右上の方にずーっと行って地球の向こう側を通過してまたずーっと今度は天の赤道を北から南に通過する。この点を降交点(こうこうてん)といいますが普通使いません。そして、そして天の赤道の下の方に出てまた今度は昇交点を通過します。昇交点を通過してから右上の方にずーっと衛星が行きます。この右上の方に行く角度と天の赤道とのなす角これが軌道傾斜角 i です。

次に平均運動これは1日に衛星が何回地球の周りを回るか、それが平均運動です。それとともに平均運動の変化率。1日についてどれだけ平均運動が変化していくか。これが平均運動の変化率です。

離心率(りしんりつ)の説明をします。まず図を書いてください。定規とコンパスがあればなお好都合。
十文字の線を書きます。横に10センチ、直角に交わって縦に10センチ、交点をO(おー)とします。縦の線の上の端がA。下の端がB、左の端がC'、右の端がD'とします。点Oから左へ3センチ測ってC、右へ3センチ測ってD、つまりCDの間は6センチ。ここでA,C,B,D,Aとかえる楕円を書いてください。また、点Oを中心として半径OAでぐるりと円を書きますと、この円周にはA,C',B,D',Aがありますね。OからBの方へ2センチとってEとしてください。(2センチでは短いようです.ある方から御指摘いただきました)そこが地球の中心。地球の中心ですから地心(ちしん)といいます。そのEを中心にして、そうですね、えー直径1センチぐらいの円を書いてください。この円が地球ですよ。 (図を見る)

衛星はこの地球の周りを近地点(きんちてん)がBです、遠地点がAです。近地点のことをペリジ、遠地点のことをアポジといいます。衛星は近地点Bを通過してD,A,C,Bこのように回転しております。そして、ABの直線のことを軌道軸といいます。そしてOA=OBこれが軌道長半径(きどうちょうはんけい)です。 (つづいて図を見る)

いまの作図でOEイコール2センチ、OBイコール5センチですので、離心率eイコールOB分のOEイコール0.4(e=OE/OB=0.4)となります。FO-20などの離芯率はもっと小さいので、この作図のEという点はOの方にずっとよっているということになります。このように離心率の小さい衛星のことを円軌道衛星といいます。離心率の大きい衛星、たとえばオスカー10の離心率は0.6016345ですのでこのような、えーと離心率を持っている衛星を長楕円軌道衛星といいます。オスカー10は軌道長半径が2万6千百4点いくらだったと思いますがぁ、それで今仮にこの楕円A,C,B,D,A上で衛星がDとAの丁度真ん中当たりにあるものとしましょう。そこをPとします。Pを通ってODに平行な線を右に引いて、円Oと交わったところをQとします。QとOとを結びます。この角QOBこれが平均近点離角です。角POBこれが離心近点離角(りしんきんてんりかく)です。PとEとを結びます。角PEBこれが真近点離隔です。 (つづきの図を見る)

今度あがります、フェーズスリーのデルタ(P3-D)でも言えることですが、MAというのがあります。これは人工衛星がこの軌道上のどこにいるかということ。つまり近地点BにおいてMAはゼロ、軌道上の点DにおいてMAは64、遠地点AにおいてMAは128、点Cにおいて192、そして近地点に帰って256イコールゼロとなります。(MA; Mean Analogyの表現についてはもう少し正確に表現する必要があります.点D,CのMAは違っています.)

この楕円軌道ACBD上のCとBの丁度中間当たりにRという点をとる。RとEとを結びます。C'とEとを結びます。このC'を仮に春分点としましょうか。春分点といいますのはさきにふれましたように天の赤道を太陽が南から北に通過する点、そうしますと、角C'ERこの角度が昇交点赤経(しょうこうてんせきけい)Ω(らーじおめが)です。角REBこの角度が近地点引数(きんちてんいんすう)ω(すもーるおめが)です。(図)そして近地点引数ωが1日にどれだけ変化するか、つまりωの変化率

ω'=3/4(Re/a)2×J2×n×5cos i2 -1/(1-e2)2

(テープでは、「四分の三かける括弧A分のアールイー...」 とおっしゃているので書き間違っているかもしれません)
(ほかで調べてみると、aは軌道長半径、Reは地球の半径、J2は地球が偏平なので引力がかたよっていることを表す係数、eは離心率だとおもいます)

という式に代入して計算しまして、一日当たりのωの変化量を出し、計算する瞬時のω近地点引数の値を計算します。
同様に昇交点赤経Ωの1日当たりの変化量は

Ω'=-3/2(Re/a)2×J2×n×cos i -1/(1-e2)2
 

このような式によって、Ω'の変化量を計算します。
ω'の値が正負の正のときには、先に説明しました軌道軸ABがBという点は右へAという点は左へ地球の中心Eを中心にして、このABという軌道軸が回転します。また、昇交点赤経の変化率Ω'が正のときは軌道面は軌道軸ABを中心として、Dという点は向こうの方へ、Cという点は手前の方へ回転します。このように人工衛星は運動しながら軌道軸が傾く、そして軌道軸を中心にして軌道面が回転するこのような複雑な運動をしているわけです。

中島さん簡単に聞き流してくださいよ。頭が痛くなりますからねぇ

  そろそろホームに帰る

それで軌道計算に用いますのは、真近点離角、角PEBが必要なんですが、この真近点離角fはすぐには計算できません。
それでまずこの楕円に外接する円Oを考えます。これは正確な円ですのでその上の点は時間的に一様に変化します。(図)それでこの外接円上の点Qこれは仮想的な衛星ですがこの点は簡単に求めることができます。
それでまず、平均近点離角QOBを計算します。計算しようとする瞬時の平均近点離角は、

元期の平均近点離角+2π(元記の平均運動×元期からの時間差+平均運動の変化率×時間差の2乗/2)

という式で計算します。そしてその瞬間の平均近点離角が判ったら、電話で中島さんが言いました、ニュートンのついじ近似という方法で、まずこの平均近点離角から離心近点離角uを求めます。その式は、

u2=u1-(u1-e sin u1-M)/(1-e cos u1)???

というような式を使ってニュートンのついじ近似で離心近点離角u、 角POBを計算します。この離心近点離角POBという角がわかったら、それから真近点離角は

f=2tan-1(1-1/e+e×tan u2/2)

という式で求まります。

次に動径の計算。動経といいますのは、軌道上の衛星の位置と地球の中心を結ぶ距離のこと。動径をrとしますと、

r=a(1-e2)/(1+e cos f)

という式で道径rを計算します。

これからいよいよ座標系の変換に移ります。
まず軌道面の上において、地心、地球の中心を原点としてx軸y軸z軸を立てます。x軸プラスは昇交点方向にとりますと、そこから衛星までの角度は近地点引数プラス真近点離角という角度になり、この角度を緯度引数といいます。
まず、第1座標系x1=道経×cos 緯度引数
y1=道経×SIN緯度引数
z1=0
第2座標系
x2=x1
y2=y1cos i
z2=y1sin i
このような式を使って計算していきますが、これはああの第6座標系まであります。
このようにして計算した衛星の方位角と仰角が最後に出てくるわけです。

えー中島さん、だいたいコンピュータのなかでどんな計算がされているかという
ぼんやりした理解だけでも得られれば結構です。

本式に軌道計算をやられるようだったら、またお手紙でもください。
いくらでもご指導します。

 この辺でホームに帰る?

このあとにドップラーシフト、ドップラードリフトの説明を入れて
テープの裏面にオスカー10の軌道計算のコピーを入れておきますね。
 

ドップラーシフトについて

送信周波数を144メガとする。衛星が受信点に近づいてくると受信周波数が145メガになったとします。そうするとプラス1メガがドップラーシフトです。遠ざかってゆくとき143メガで聞こえたら、マイナス1メガがドップラーシフトです。受信点に一番近い所を通るときには送信周波数144メガと同じ受信周波数となってドップラーシフト=ゼロとなる。

変化の様子を考えると仮に10分前に145メガ一番近づいて144メガ、この場合平均的には100キロヘルツ毎分となります。この変化率をドリフトといいます。ドップラーシフトの時間的変化を表したものが、ドップラードリフトです。ある短い時間の間でどれだけシフトの状態が変わるか、この割合がドップラードリフトです。

普通ドップラーと言われているのはシフトのことです。ドップラーシフトが一定であれば、受信周波数に変化はない。シフトの割合が一定であれば、ドリフトはゼロとなります。シフトの割合が常に一定であれば受信周波数は送信周波数と違っていても受信周波数に変化はありません。
シフトの割合が時々刻々に変わるので、受信周波数も時々刻々に変化する。シフトが変化するからそのシフトの時間的な変化の割合に応じて受信周波数を可変しなければならない。ドップラードリフトの方が受信する場合には重要となる。

ドップラーシフトというのは光速と視線速度(道経の変化)との比に周波数を掛けたものです。いまA局がアップリンクしてB局がそのダウンリンクを聞く場合、A局と衛星との距離の時間的な変化の割合と光のスピードの比にA局の送信周波数を掛けたものが、A局がアップリンクする時の周波数になる。つまりA局の送信周波数を衛星がシフトを受けた状態で受信し、トランスポンダーで周波数変換して衛星から信号を送り出す。この

送り出す周波数×衛星とB局との間の相対的な距離の変化を光のスピードで割ったもの

が、B局側のシフトとなる。
いまA局から出た電波を衛星が聞くシフトと、衛星から出た電波をB局が聞くシフトの和は衛星の運動を止めた場合の衛星から出る周波数に対するB局側のシフトとなる。
いま144メガでアップリンクした場合、その時衛星とA局間の距離は光速(光のスピード)の10万分の1だと仮定すると、打ち上げのドップラーシフトはA局の送信周波数の10万分の1=1.44キロヘルツとなる。衛星がA局に近づいていれば、衛星はA局の信号をトランスポンダーで144メガよりも1.44キロヘルツ高く受信する。つまり、144.00144のところで受信する。

同じ条件で衛星がA局を遠ざかるときは、144メガよりも1.44キロヘルツ低い方で受信する。いまトランスポンダーの変換が144メガ=430メガだったとすると、144.00144のところは430.00144となる。この周波数で衛星からB局に送られる。

B局と衛星との間の距離が同じく光速の10万分の1だとすると、そして衛星がB局の方向に近づいているとすると、430.00144×10万分の1=4.30キロヘルツがB局側のシフトとなる。つまり、430.00144+4.30=B局が受信するのは430.00574となる。衛星がB局に対して離れていくときは、シフトはマイナスとなって現れる。

中島さんだいたい理解できましたか?
じや裏の方にオスカー10をダビングしておきますね。
こんごともどうぞよろしくお願いします。
鼻声で申し訳有りませ〜ん。(^_^;)

 ありがとうございました.アマチュア無線のページに戻る


というとでテープの裏面には軌道計算の経過と結果が録音されていました.
もりやまさん、ありがとうございました.
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