Feb. 27th 1998/修正履歴; Jan. 22nd 2001, Nov. 28th 1999, July 15th 1998, April 3rd 1998, March 3rd 1998, ...

ドップラー効果...私なり

救急車のサイレンを聞くように衛星通信の電波も高くなったり低くなったりします

ループテストに成功したら、交信に挑戦です.
実際にドップラーシフトを調整しながら交信するのは、練習が必要です.

調整の方法は3通り考えられます.

一つは、送信周波数(アップリンク)を一定にして受信周波数(ダウンリンク)を調節する方法

もう一つは逆に受信周波数を一定にして送信周波数を調節する方法です.

最後にコンピュータ(パソコン)を使って送信周波数と受信周波数を同時に制御する方法です.最近、パソコンが普及してきましたので、いよいよ「誰もが気軽にパソコン制御する」時代になりそうです.しかし、無線機をコンピュータ制御する接続機器やコンピュータ本体などに「まだまだ」お金がかかるので、最初はやはり手動で調節することになります.手動での経験を積んでおかないと、自動制御になってトラブルがあった時に対処できないこともあると思います.

ここでは、FO-20, FO-29(アマチュア衛星ふじ)やその他SSBやCWを使うアナログの交信方法を考えてみます.
AO-27やSO-35などFMでデュプレックスのレピーターモードでの交信方法については別に(こちら)で考えてます.

マニュアル風には、送信周波数を一定にする方法の場合

  1. 使われていない周波数を確認
  2. 送受信周波数の関係(式または表)とドップラーシフトを推算して送信周波数を仮決め
  3. 受信周波数を一定にして送信周波数を調節し、自分の信号を受信、調節(ループテスト)
  4. 送受信周波数の和または差を一定にして交信周波数に移動(逆ヘテロダインまたはヘテロダイン)
  5. 送信周波数を一定にして、受信周波数を調節して自分の信号を確認しながら呼び出し
  6. 相手の信号を受信する時は、(送受信周波数の和または差を一定にしながら)受信周波数で調整
  7. 再度送信する時は一時的に受信周波数を一定にして送信周波数を調整してループテスト後
  8. 送信周波数を一定にして、受信周波数を調整し、自分の信号を確認しながら送信
  9. 5〜8くりかえし
受信周波数を一定にする方法の場合
  1. 使われていない周波数を確認
  2. 送受信周波数の関係(式または表)とドップラーシフトを推算して送信周波数を仮決め
  3. 受信周波数を一定にして送信周波数を調節し、自分の信号を受信、調節(ループテスト)
  4. 送受信周波数の和または差を一定にして交信周波数に移動(逆ヘテロダインまたはヘテロダイン)
  5. 受信周波数一定で、自分の信号が受信周波数で聞こえるように送信周波数を調節しながら呼び出し
  6. 相手の信号を受信する時は、(送受信周波数の和または差を一定にしながら)受信周波数で調整
  7. 再度送信する時は受信周波数を一定にして送信周波数を調整してループテスト後
  8. 受信周波数一定で、自分の信号が受信周波数で聞こえるように送信周波数を調節しながら送信
  9. 5〜8くりかえし
#どちらにしてもIC-820では操作し難い.IC-821はマシらしいです.FT-847はどうなのかなぁ?#

どちらが正しいかという議論はできませんし、おそらくアマチュアですから一般的あるいは常識的にはどちらで運用するかということになるのかと思います.とりあえず二通りの方法について、各々すこしだけ掘り下げてみることにします.私が結論を出すには経験が浅いので皆さんのご意見をお伺いしようかと思います.さて、

私が最初にアクセスした衛星は「ふじ3号(JAS-2)」でした.参考にしたのは「SATELLITE ハンドブック」飯島進著(CQ出版株式会社 1994年) でした.この本で紹介されている、受信周波数を一定にして送信周波数をドップラーの変化に合わせて調節する方法を試しました.

JAS-1bやJAS-2は音声交信の受信周波数が435.850MHz付近です.日本などの430MHz帯では、いわゆるバンドプランを無視して衛星の割り当て周波数でも衛星の利用を目的とせずに地上と地上の直接交信をFMで行っている局が多く、その混信で衛星から送られてくる電波が聞き取れないことがしばしばあります.そこで、参考書にあるように、地上局の混信のない周波数で受信周波数を一定にすることは有効な手段と考えられます.

私が感じたこの方法の短所は、受信周波数の調節を滑らかに確実に行わなければ受信側の局は受信周波数の同調を取る場合に混乱するということです.つまり、受信する側は、時にふらふらと周波数が高くなったり低くなったりする電波を聞かなければならない、ひどい時には通信内容が聞き取れないこともあります.送信周波数を的確に滑らかに調節することが快適な交信につながりますが、かなり練習が必要です.国内交信程度ならば受信する側の受信周波数の変化は少ないですが、DX(遠距離交信)などでは(相手局との位置関係にもよりますが)受信周波数の変化(ドップラードリフト)が大きくなったりします.

いつ、誰がどういう経緯でこの方法で運用するようになったか、まだ調べていません.

参考になる記事は、「Satgen349 Operating Fo20 Mode JA Pt4 by GM4IHJ (1995)」
http://www.amsat.org/amsat/articles/satgen/idx021.html
ftp://ftp.amsat.org/amsat/articles/satgen/sgen349.txtなど.

送信周波数を一定にする方法は、私の知る限りでは(出展は忘れてしまいましたが多分AMSATの配信でもあった)一般的な方法のようです.長所はまず、受信する側で同調がとりやすいことでしょうか.受信能力が低い場合、または弱いダウンリンクを捉えたい場合に有効だと思います.さらに極端な場合、送信する側で自分のダウンリンクが聞き取れなくても相手の呼び返す声が聞こえれば交信できるわけです.たとえば、送信する側の送信電力が不足していて自分のダウンリンクが聞こえなくても、送信受信ともに充分な能力を持った相手のダウンリンクを聞く受信能力さえあれば交信が成立するということ.ただし、ループテストが成功していないので衛星のトランスポンダ(中継器)に見合った送信出力の調整ができないので良い方法とは言えないと思いますが.一方、受信周波数を一定にする方法では自分のダウンリンクが聞こえなければ送信周波数を調節することはできませんし、したがって交信に至らないということになります.

いつ、誰がどういう経緯でこの方法で運用するようになったか、まだ調べていません.

 このページを御覧になった方から下記文献のFAXをいただきました。ドップラーシフトに対応したアマチュア衛星通信に関するガイドラインという内容のもので、高い周波数帯を調節し低い方の周波数帯を一定にするという方法を提唱しています。また、現在に至るまでの周波数調整方法の経緯もまとめられています。アマチュア衛星の発展と歴史が深く関わっています.翻訳がのせられればよいのでしょうが、私の英語力と著作権などを考えて出典のみにしておきます。
The Radio Amateur's 「Satellite Handbook」
Martin Davidoff,K2UBC
Pub. No.232 1998 by American Radio Relay League
Chapter4 Page 4-6〜4-8

 これだと、衛星によって使う周波数帯の組み合わせが異なりますので、それぞれの衛星ごとに調節する周波数が異なることになります. その他に参考に、例えば、1997年にメーリングシステムで配信されたものがあります.
[jamsat-news:551] ANS-145 WEEKLY BULLETINS
URL;http://www.jamsat.or.jp/ml/news/199705/msg00028.htmlのFO-20, FO-29に関する記事

 以上の二通りの方法の長所短所を考えて見たところ、一概にどちらが正論かは判断しかねます.最近は日本の430MHz帯の衛星周波数も静かなようですので、送信周波数を一定にする方法が衛星通信に慣れない方にはやりやすいかもしれません.ただ、どちらの方法でもかまわないというわけに行かない理由があります.問題はドップラーシフトおよびドップラードリフトの大きな低軌道衛星で二通りの方法が2組以上の交信で同時に運用されると、衛星通信同士の同一衛星上での混信がおきやすいということです.何故かはドップラーシフトのシミュレーション計算をしてみればわかると思います.(#実際にも体験していたりするような気がします.)

 理想的には衛星に積んである中継機(トランスポンダー)の受信と送信の周波数が一定になるように、地上の複数の局がそれぞれ送受信周波数を調節するのがベストと考えられます。先のThe Radio Amateur's 「Satellite Handbook」にも衛星の中継機の周波数を一定に保つべきで、地上局はコンピュータで周波数を調節するようになるだろうと言っています。現在、パソコンで周波数を制御する製品やフリーソフトがいくつか出ています。最近、自動制御で運用されている方と交信するきかいがありました.いよいよ、自動制御が常識の時代になるのでしょうか? 自動制御についてはこちらにまとめてみます.

アマチュア衛星を始める方に十分な情報が無ければ(勉強していただくか、指導体制を強化する)運用法は慣習のようなものですのでわけがわからなくなってしまいます. 私自身逃げているようですが、結論はまた先送りにしておきます.実際私はどちらの方法でオンエアするのか...

ともかく、お互いにこんなに苦労して調整しあって気配りして交信する低軌道衛星の音声通信は、ハードやハート、ソフトやスピリットなど興味深いです.

ドップラー効果を解説しているサイトは下記があります.その他とても勉強になります.
http://www.asahi-net.or.jp/~EI7M-WKT/


*ご意見お寄せいただいた中から今後この場に紹介させていただくことがあるかもしれません.転載不可や匿名など明記なき場合は転載、引用許諾いただいているものとします.
メール宛先

名古屋市のOMさんからループテストができないという切羽詰まった電話をいただきました.

 先日「ふじ2号」で交信を楽しんだ直後に、「iiNさんですか?」という電話がかかってきました.2 エリアの方から「衛星の信号を受信していたらiiNさんの声が聞こえてきたので調べて電話しました」と、衛星に挑戦しているがループテストがうまく行かないという相談がありました.私でわかる範囲でお話ししました.
やはり、どの周波数をどう調節したら良いのかがわからないということです.その方から「xx MHzで聞こえていたが、一体何MHzで送信していたのだ?」という質問を受けましたが、場所によって違うので参考程度にとお話ししました.ドップラードリフトが理解しにくい様でした.近くに衛星通信を楽しまれている知り合いがいれば、実演を見るのが一番なのですが、その方の近くにはいらっしゃらないようでした.要領を得ないまま、説明不足で電話を切りましたが、2日後に再び電話で「ループテストはできた」という喜びの電話をいただきました.どうやらOMさんは長いこと悩んでおられた様です.とても嬉しそうでした.残念ながらこの文を書いている時点で未だそのOMさんとは交信できていません.低軌道衛星でぶつかる難関はドップラーシフトとドリフトの中でループテストを成功させることです.これに失敗して諦めてしまった方はたくさんいるのではないでしょうか?   


その後、無事この方と「ふじ2号」で交信することができました.#よかった!
  
三島市の中村さんから、このページの感想をいただきました.
ドップラーに関する考察にはとても共感を覚えました。AO-13などで経験をつんだ方にはなんでも無いことなのでしょうが、初めからFO-20などにアクセスした私などはドップラー恐怖症になってしまいそうです。自分の声を聞きながら送信中にダイヤルをいじくって周波数を変えるなどということは全くのカルチャーショックでした。受信周波数固定のほうが良いことは頭で分かっていてもこの操作は初心者にはとても難しくそのうち衛星通信自体が敬遠されてしまうのではないかとさえ思われます。私も交信中はパニックになってご迷惑をかけました。いずれにしても難しい問題ですね。


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修正履歴優柔不断ではないですが、考え方が変われば修正します.

Jan. 22nd 2001;MacDoppler PROを使って自動制御を実現したので、ちょっとだけ修正.

Nov. 28th 1999;ドップラードリフトの自動制御についても少々コメント. July 15th 1998;切れているリンクを修正.電話のOMさんとQSO成立を書き足し.誤字修正.

April 3rd 1998;文献追加。衛星のトラスポンダー基準が理想.OMさんからの電話のはなし.

March 3rd 1998;受信一定方法では必ずしも相手局の受信周波数は一定にならない.「相手局の受信周波数の調節幅を小さくできる」という記述を削除.三島市中村さんのメールを転載.脇田さんへのリンク追加.

Feb. 28th 1998;誤字脱字、書き違い修正.