ほのぼの小説企画 参加作品

いつもの手紙

作 かば

「えーと、次は……」
 バイクに戻った郵便屋さんは、素早く次に配る手紙を確かめました。本当はゆっくり配りたかったのですけど、配らなければならない手紙がたくさんあってゆっくりしていられなかったのです。
 そして、手紙を確かめていた郵便屋さんは今日も一通の手紙に気付きました。
「あ、ちゃんと入ってるな」
 あて名を見なくてもすぐに比嘉さんへの手紙だと分かりました。手紙は良いにおいのする和紙でできた封筒に入っていましたし、毎週入っているので郵便屋さんも良く覚えていたのです。
「じゃあ、行くか」
 確かめた手紙をいったんカバンにしまうと、郵便屋さんはバイクを走らせました。
 郵便屋さんは比嘉さんから手紙について聞かされていたので、比嘉さんちまでの道はちょっと楽しい気持ちでした。
 というのも、手紙はある女性から比嘉さんへ送られたラブレターだったのです。
「比嘉さん、今日も来てますよ」
 郵便屋さんはバイクを止めると、呼び掛けながら比嘉さんちに入っていきました。
 比嘉さんは一人暮らしのお年寄りでしたから、ちゃんと元気にしているかどうか確かめるのも大切な仕事なのです。
「待ってましたよ」
「足の具合はどうですか?」
「お陰様で大分良いようです」
 比嘉さんはいつものように答えながら、うれしそうに手紙を受け取りました。
 これだけうれしそうに受け取ってもらえると、郵便屋さんもうれしくなります。
「それから、いつものようにこの手紙をお願い致します」
「分かりました。
 責任を持ってお届けします」
 郵便屋さんがかしこまって受け取ったのは先週の手紙の返事でした。
 比嘉さんはいくらか恥ずかしそうにしていましたが、とても生き生きとしているように見えました。
「では、来週また来ますから」
「いつも本当にお勤めご苦労様です」
 比嘉さんに見送られて、郵便屋さんは比嘉さんちを後にしました。
「……ラブレターか」
 若い郵便屋さんは携帯電話ばかり使っていたので、手紙はほとんど書きませんでした。
「おれも書いてみようかな?」
 バイクに乗りながら、郵便屋さんはちょっとだけ照れくさい気持ちで思いました。


 温かい雰囲気を残して手直しをしました。
 文通のやり方が変則的になってしまっていますが、次回以降の手直しで考えてみたいと思います。
(02/09/09 制作、07/01/22 再修正の上再掲載)

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