タイドワークショップ
シュタイナー教育入門編 その1
講師:シュタイナー研究家 鈴木 胖 氏
全智学で知られる教育学者ルドルフ・シュタイナー Rudolf Steiner (1861-1925)
(オーストリア)が提唱した教育法は以前から教育の現場で取入れられてきました。人間は生れてから身体とともに目にはみえませんが精神も成長していきます。シュタイナー教育ではこの「心の内面」の発達を重視しています。一生の中で7才から14才頃までの児童期が、感情や意志、思考といった心の内面が最も発達成長する時期です。また児童期は人間の持つリズムも発達します。絵や音楽などを体を動かしながら深く理解していくことは受講者にとって驚きと発見の連続でした。
マーレン(にじみ絵)
1)3原色の水性絵の具の中から好きな色を1つ選び、充分湿した画用紙の任意の位置ににじませ色を広げてみる。(画用紙の水分が少ないと絵の具が広がらないのでスポンジで水分を補う)
2)色自体と会話しながら色が広がる方向に広げていく。筆は色が移動する方向へ動かす。
3)2つの色が引合い、混ざり合う瞬間をよく観察する。
- ちょうどこのページの背景のパターンの約 5cm x5cm を切取り拡大した様な感じのテクスチャーになります。
オイリュトミー
まず靴を脱ぎリラックスします。この演習では「音を体で表現する」というのが基本です。
1)胸の前で手のひらを軽く合わせ、その中に「自分の心」 を移し入れて、優しく大事に受け止めます。
2)足を上げて、運んで、下ろす(lift/ carry/ place)の順に足の運びと重心の移動を意識して歩いてみます。
3)体全体を使って音を表現しよう。
4)更に5つの母音を感情を込めて体で表現しよう。
| アー: |
両手を大きく広げて、かかとに力を入れて後ろに反る。驚きを表現 |
| エー: |
天と地、左と右の結びつきを表現 |
| イー: |
背筋を伸ばして、頭部が後ろに引かれるような感じで。大地に立つ人間、まっすぐな力強さを表現 |
| オー: |
包み込む優しさを表現両腕を前に伸ばして大事なものを囲むように。つま先に重心を移動する。 |
| ウー: |
献身を表現 |
オイリュトミーの意義
ふだん私たちはある物や事柄を指して言葉を使いますが、オイリュトミーではそれとは全く反対のことをします。体を使って言葉を形にして表現していきます。現在の私たちの生活の中では、言葉がただのそっけない「記号」となって飛び回っている傾向があります。そこで「言葉が本当に心が込められた言葉」として使われるようにという思いがオイリュトミーには込められているそうです。
言葉は母音と子音から出来ていますが日本語の場合、母音はア・イ・ウ・エ・オの5つです。シュタイナーによると母音は万国共通で、どの民族でも母音の音は基本的に同じなのだそうです。ところが子音はその土地、風俗、伝統、習慣などの文化背景により異なり、その結果として言葉の響きに違いが出るとのこと。
母音とその音が表す感情も万国共通と言えます。日本人でも外国人でも喜んだ時や驚いた時は「アー」と発するでしょう。「エー」と言う時は何か疑問がそこにあるような、決断出来ないような気持ちが感じられます。「イー」は自由な意志、姿勢。「ウー」は対象の奥まで入っていくような響きがあります。このように母音の響きにはあらゆる人に共通な基本的な感情のストレートな表現だと言えます。
オイリュトミー体験を終えて
約2時間かけて参加者がそれぞれ「母音」を表現しました。感想を聞いたところ「自然体になることができリラックスできた」「気持ちがよく開放された」「いつもとらないゆっくりした動きが気持ちよかった」などの声が聴かれました。
フォルメン(線描)
フォルメンとは英語のform、つまり形という意味のドイツ語です。画用紙とクレヨンを用いて形の体験をしました。
1)直線
実際に画用紙に描く前に手を上げて空中に横線をゆっくり引きます。自分で描いた線は、自分しか感じ取ることができません。それぞれの参加者が直線を描いたと納得できるまで集中します。次に画用紙に描きます。まず、水平線や地平線のイメージで2・3本の横線を好きな色のクレヨンで引いていきます。横線に続いて縦線を宙に引きます。「天から地に降りてくる線を自分の頭上でつかんで下にまっすぐ降ろしていく」イメージでゆっくりと時間をかけて数回練習します。次に画用紙に描いてある横線を意識して縦線を入れていきます。決して横線上を通過させません。織物を拡大したような美しい線画ができました。
2)円
円を描くといってもクレヨン線で丸を引くのではありません。画用紙の周りから徐々に塗りつぶしていく手法で中心に空白の円(自己)を浮かび上がらせていきます。
3)シンメトリー
2人でペアになり画用紙の真中に垂直線を引き2分割します。まず左半分に最初の人が任意の形を線で描きます。その後、もう一方の人がその形が対照になるように右半分に描きます。つまり真中の垂直線で二つ折りにすると形が重なり合う状態です。ハートや壷、クルクルと丸まった円や木のなど色々な形が登場しました。これは「相手に合わせて同じ世界に調和を保つ」ことを意味します。
Text: Yasuko Asakawa
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