8月9日、台風第13号が関東地方の東を北上

　9日未明から昼にかけて、台風第13号が関東地方のすぐ東を北上しました。台風は中心気圧が970hpaから980hPaと勢力が弱く、西側から乾燥した空気が入り台風としての円形の雲構造は崩れていました。このため、発達した雨雲は中心の東側にしかなく、陸地にはかかりませんでした。この結果、関東地方では山沿いの東斜面を除いて大雨とはなりませんでした。また、台風の中心が近くを通った千葉県の沿岸部を除いて強い風も吹きませんでした。なお、台風の北側を回る湿った東風が流れ込んだ影響で、湿った空気がぶつかる山地の東側斜面では8日から雨が降り続いたため、総降水量が100mmを超えた地点がありました。関東地方における8日から9日の総降水量は、埼玉県秩父市浦山で162.5mm、茨城県北茨城市花園で160.5mm、埼玉県秩父市三峰で132.5mmなどでした。また、発達した雨雲がかからなかったことから、関東地方における島しょ部を除いた最大1時間降水量は、埼玉県秩父で17.5mm（8日11時06分）、茨城県北茨城市花園で17.5mm（9日05時48分）、同じく高萩市大能で16.0mm（9日05時27分）と、激しい雨の降った所はありませんでした。

　茨城県内における8日から9日の総降水量を見ると、上記の花園の他、高萩市大能で121.0mm、常陸太田市徳田で98.0mmなど、北部山間部の東側で総降水量が100mm近くになりました。一方、古河では2.5mm、常陸太田市中野で13.0mm、水戸で16.0mmなど、平野部では総降水量が50mm未満と少なく、地域によって大きな差が出ました。

　日立市では、8日の朝から台風の北側を回る湿った空気による雨雲がかかり始め、弱い雨が降り出しました。雨は9日0時過ぎまで降り続きましたが、最大1時間降水量が3.0mmと強く降ることはなかったため、8日の降水量は16.0mmと少なくなりました。9日の3時頃からは台風を取り巻く雨雲がかかってきましたが、発達した雨雲は台風の東側にしかなかったため、日立市役所では雨は強まりませんでした。この結果、9日の降水量は7.0mmで、8日〜9日の総降水量は23.0mmでした。なお、山間部の西部支所と本山では湿った気流が山にぶつかる影響で市街地よりも降水量が多くなりました。8日から9日の総降水量は、本山で69.0mm、西部支所で95.0mmと沿岸部の3〜4倍の雨が降りました。

　一方、台風が北上するにつれて8日の未明から北東の風がしだいに強まり、台風が千葉県の銚子市に近づいた9日03時20分には日立市役所で最大瞬間風速20.8m/sの北東の風を記録しました。しかし、台風の勢力が弱かったことから、台風が最も近づいた11時前には最大瞬間風速は15m/s前後まで弱まり、吹き返しの風が強まることもありませんでした。日立市役所以外の市内の観測地点は、いずれも日立市役所より風速は小さくなりました。なお、今年の4月6日には日本海沿岸を進んだ低気圧の影響で、日立市役所では最大瞬間風速23.6m/sを記録しています。

　※総降水量は、8日00時〜9日16時までの合計。

　●8月8日〜9日の1時間降水量（西部支所）と海面気圧の推移（日立市役所）

　●8月8日〜9日の風速と風向の推移（日立市役所）

　●参考：台風第13号の経路図と8月9日08時の気象衛星可視画像

　●参考：8月9日03時00分と12時00分の降水レーダー図

　●参考：8月8日18時と9日06時のアメダスによる降水量の分布

　●参考：8月9日03時と12時のアメダスによる風の分布

　●参考：8月9日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図

Amagai Daizo

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